2012年06月15日
消費社会と自分探しの病理
第四の消費(三浦展 朝日新書)
タイトルにピンと来て、買いました。
これは。。。
ちょっと難しい・・・
ですが。
かなり時代の流れをつかんでいます。
これは勉強になります。
そして、恐ろしい本だと思います。
内田樹「下流志向」と並ぶ、おそろしさがあります。
80年代から90年代。
消費者の志向は「自分探し」へとシフトする。
つまり、みんなと同じ「人並みの」モノではなく、
みんなとの差別化ができるモノを欲しがった。
それを企業は敏感に察知し、
「自分探し」を広告・マーケティングのテーマにした。
そして若者は、いや若者だけではない
多くの人は「自分らしさ」主義者になった。
そしてそれを「消費」によって実現しようとした。
自分らしい車、自分らしいテレビ、自分らしいインテリア。
雑貨屋さんで部屋に飾るかわいい小物を
買うことは、自分らしさの形成のプロセスなのだ。
そういえば、
僕もパソコンは道具だと思っていたのに
あの、センセーショナルなSONYのVAIOのブランディングに完全敗北して、
VAIOとVAIOソフトケースを購入したっけ。
i-phoneを買うときも、携帯電話を買う感覚ではなく、
i-phoneユーザーであるという誇りを買うような感覚に陥った。
こうして、
モノによって、自分を形成していくという消費スタイルが
出来上がっていく。
これは、生活必需品としてのモノが行き渡り、
企業が成長していくために、モノを売り続けなければならない
宿命にあるので、ある意味、必然だった。
しかしながら、これが悪夢の始まりだった。と
三浦さんは言う。
自分らしい携帯電話を手に入れること。
それは、携帯電話を自分そのものと同等にしてしまうのと同じことだ。
だから、携帯電話を持たないと不安になる。
たしかに、友達の連絡先やメールが全て入っているのだから
もはやもうひとりの自分だ。
もうひとつの特徴は永遠志向である。
海外高級ブランド志向は
「変わらない何か」を身につけることで
自分というものを確立しようとした。
さらに自己改造志向が見てとれるのだという。
今の自分は「自分らしく」ないから、
学んだり、運動したりして自己を改造していくことが必要となる。
これが第三の消費社会だったと三浦さんは言う。
そしていま、第四の消費が始まろうとしているのだと。
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コミュニティ。
それをどのように消費社会にアレンジしていくか、
消費社会が新たな次元にテイクオフしていくために、
考えることは多い。