2013年10月22日
自由か、それとも承認か
「認められたい」の正体~承認不安の時代(山竹伸二 講談社新書)
これはいいですね。
「孤独と不安のレッスン」(鴻上尚史)
の次に読むと、現象が心理学的に説明できるのかもしれません。
現代社会は
承認不安の時代だと言います。
それは自由の獲得とセットであったと
著者は言います。
かつて、キリスト教が支配していた
ヨーロッパ社会のベースは
全てキリスト教的価値観でした。
~~~ここから引用
特定の価値観が支配的な社会では、
誰もが信じている社会の価値基準に準じて
行動すれば、一定の承認を確保することができるため、
現代的な承認不安とは無縁である。
しかし裏を返せば、
そうした行動以外は否定され、
逸脱した行為は批判の対象になる、ということでもある。
(中略)
しかし現在では、近代化の進展にともない、
こうした社会共通の価値観への信頼は失墜し、
価値観が多様化した時代に突入している。
その結果、人々の自由はこれまでになく拡大したが、
どのように行動が人々の承認を得るかは
不透明になってしまった。
そのため、多くの人は、
周囲の人間に同調したり、
過剰に配慮することで、自己価値の承認を得ようとしている。
それは再び、自由の抑制につながってしまうのだ。
~~~ここまで引用
なるほど~。
と思わずうなってしまうような一節。
自由のない時代は、
社会一般の価値観に合わせて生きていくことで承認を得た。
自由な時代になって価値観が多様化したことで
かつて得ていた承認が得られなくなった。
また、
企業コミュニティも地域コミュニティも崩壊しつつあるいま、
個人の関係性にのみ承認の機会を依存するようになった。
そうだったのか。
だからみんなSNSで人とつながろうとするのだなあ。
それはふたたび、自由を奪っているというところも当たっているなあと。
企業とか学校とか、地域社会とか、
かつての価値観が微妙に残っていたり、
壊れていたりするところが
承認の苦しさを生んでいるのだと思います。
自由と承認の葛藤。
そんな時代をいまの大学生、社会人たちは生きているのだなあ。
なんか20代のころのわけのわからない「もやもや感」が
説明できたようでうれしいです。
いい本をありがとうございました。