プロフィール
ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 105人
オーナーへメッセージ

2014年02月11日

小さなお店が「当事者」を育む

1999年のまきどき村スタートから
15周年の2014年。

今年も
「人生最高の朝ごはん」は4月から始まります。
4月6日(日)が初日予定。

2011年のツルハシブックスからも3周年。
3月の3連休にひっそりとお祝いしましょう。

土曜日。
堀部さんの講演を聞いて感じたこと。

本というのは、
「非効率」な商品であるということ。
にも関わらず、
「効率的なシステム」を追求し、現在のシステムが形成されたこと。

だからこそ。
街の本屋の経営が厳しいのだということ。

経営が厳しいのは、
ニーズに答えていないからだ。

ツタヤで本が売れるのは、
ニーズに答えているからだ。

それは、
「本が欲しい」というニーズではなく、
「ライフスタイルを提案してほしい」というニーズ。

ツタヤの書籍売り上げが
紀伊國屋を抜いてチェーン店1位になった。
この事実をどう受け止めればいいのか?

恵文社一乗寺店。

京都市左京区という立地を活かし、
お客さんに様々な本を提案するお店。

本好きの聖地とも呼ばれる
このお店に、人はなぜ吸い寄せられるように行くのだろうか?

堀部店長の話から推測すると、
「本屋が本屋である理由」
がそこにはあるからだと思った。

本というメディアはきわめて非効率的な商品である。

本屋に行くときは、
目的をもって本を探しに行くのではなく、
「偶然」を求めていくのだと堀部さんは言っていたが、
まさにその「偶然」が詰まっている本屋さんが恵文社一乗寺店なのだと思う。

そしてその
「偶然」という「非効率的」なものを求めて、
人は電車やバスを乗り継いで、あるいは寒い中自転車を飛ばして、
一乗寺まで足を運ぶのだろう。

そこに感じられる「美しさ」があるからだ。
そんな話を咀嚼していたら、
僕は、まきどき村のことを思い出していた。

あの20代の全てをつぎ込んだ畑には、
何があったのだろうか?

日曜日の朝6時に集まって、
畑をして、
朝市で漬物を買って、
みそ汁を作って
みんなで朝ごはんを食べる。

「人生最高の朝ごはん」と呼んだ活動には、
20代が人生を賭けられるほどの魅力があったのだろうか。

そう考えると、
僕はやっぱり「問い」を発信したかったのだと思う。

本当の「幸せ」や「豊かさ」とは、
いったいなんだろうか?
そんな問いが生まれた大学生の頃。

地球環境問題、農業問題、食糧問題を入り口に、
僕は、本当の豊かさについて考えるようになった。

衝撃の1冊
「どれだけ消費すれば満足なのか?~消費社会と地球の未来」
(アランダーニング ダイヤモンド社)を読んで、
「消費を増やしても、幸せだと思う割合は変化しない」というデータを知った。

衝撃のテレビ
特命リサーチ200Xでのブータン王国の特集を見て、
日本の100分の1以下の消費で人は幸せに生きていることを知った。

では。
どうしたらいいのか?
自分で表現することだった。

尾崎豊が世の中に問いかけたように、
とまではいかないけど、

僕も畑という場を通じて、
世の中に本当の幸せ、豊かさを問いかけたいと思った。
いや、問うのではなく、自分なりに表現したいと思った。

朝起きて、畑して、
みそ汁つくって、囲炉裏を囲んで食べる。

これが豊かさなんじゃないか、と表現したかった。

そんな話を思い出した。

いま。
ふたたび。
僕の前に、「本」そして「本屋」という
非効率的なメディアがある。

僕がなぜ、この業界に来たのか。
全ては、必然だったと思えるような「偶然」の結果だ。

効率性が正しいわけではない。
いや、正しいのかもしれないけど、
効率性で人が幸せになれるわけではない。

世の中の人たちが幸せに生きるために、
もっとも大切なことは、
「当事者を増やすこと」だと僕は思う。

消費を増やしても、
人が幸せになれなかったのは、
本当に消費したくて消費したのではなく、
周りの人が消費しているから、自分も消費しようかな、
と思うくらいのモチベーションだったからだ。

堀部店長が言っていた。
「消費者ではなく、お客さんを相手にすることだ」

店がお客さんをつくり、
お客さんが店をつくり、
店が街をつくる。

そのとき。
お客さんは店の、街の当事者となっている。

小さなお店をするということは、
街の当事者を生んでいく、というアート
をさりげなく創っているのかもしれない。


絵本「せかいでいちばんつよい国」のように、
気がついたら、街に当事者が増え、世界が変わっていた。

きっとそういうことをしていくために、
小さなお店である必要があるのかもしれない。

行政やまちづくりNPOが声高に
「街の当事者を増やせ」と叫ぶのではなく、

小さなお店が、
お客さんたちと一緒に、
お店をつくっていくこと。

非効率的なようで、もっとも近道がそこにあるのかもしれない。

いや。
近道を行く必要などないのだ。

非効率的な、美しい道を、進んでいこうじゃないか。  

Posted by ニシダタクジ at 07:19Comments(0)日記