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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年01月31日

ラボラトリーだという自覚

さらに昨日のつづき。


「面白法人カヤック 会社案内」(柳澤大輔 プレジデント社)

面白いですね。
さすが、面白法人と名乗るだけのことはあります。
伸びている会社というのはその理由があります。

カヤックの主力事業であるウェブ事業は、
You Tubeやmixi、twitterなどもそうですが、
そのようなサービスは大ヒットしたものは
記憶に残りますが、サービスを開始されては消えていくものもたくさんあります。

企業における戦略とは、競争優位性のこと。
事業領域において、経営戦略に沿った形で
優位性を考えていかなければなりません。
カヤックの優位性は「新しいものを生み続ける」ということ。

そのために、カヤック内には、
「BM11」ブッコミイレブンという
新規事業開発のラボラトリーがあります。

ブッコミイレブンの3か条はこちら。

ひとつ、Ultimate Positiveであれ!
    =究極のポジティブシンキング

ひとつ、納期は常にAs soon As Possible
             =今すぐ

ひとつ、Give&Giveの精神であれ。
   =とことん与え続けよ

ラボラトリーで大切にされているのは、
「とにかく数を打つ」ということ。

次から次へと新しいものが
生まれてくるこの世界では、
誰かのちょっとした思いつきを
いかに早く、数多く具現化するかが勝負です。
2007年の初年度から77個の新規事業を生み出しました。

カヤックは、
毎年どれくらい新規事業を生み出すことができたか、
「数」にこだわるインキュベーション組織を目指しています。

まるでシナリオのない即興芝居「インプロ」のような。

カヤックは「計画性を持たない」ことを大切にしています。
即興演劇という場においては、
計画性のない状態をリラックスして楽しめば楽しむほど、
面白いものが生まれるそうです。

インプロの第一人者、今井純さんの
「自由になるのは大変なのだ インプロ・マニュアル」(論創社)
には、即興を楽しむためには2つの条件が必要なのだと書かれています。

ひとつ目は、
自分で壁をつくらないということ。
自分を信じて、自由になる、恥ずかしがらない、失敗を恐れない。

ふたつ目は、
周囲の協力です。お互いを信頼し、周囲がその人の出したアイデアに対して、
どれだけのっていけるか?
つまらなそうだと思ったアイデアにものり、ともに高めていく。

この2つは即興演劇をつくるための要素ですが、
柳澤さんは面白い会社をつくるために方法論と言えるといいます。

カヤックは
ブレスト(=ブレーンストーミング)が得意な会社です。

ブレストのルールは、一般的には
相手の意見を否定しないこと。
しかし、このルールが意外と守られていないと言います。
これは否定の言葉を口にしない、ということではなくて、
心の中でも否定せず、心のそこからアイデアを歓迎するということが大切です。

そんな場づくりをしていれば、
意見を出せない人もだんだんアイデアを出すようになる、と言います。

カヤックの案内は、
ホント、遊び心にあふれていて、
楽しんで仕事をしているなあと思います。

「名刺」も「社名」もすべてが作品
という文字通りに、いろんなことを楽しんでいます。

これ、きっと大学生が地域と何かやるときに
とても必要な感覚だと思います。

ラボラトリーだという自覚。
数を打つ、意見を言う。
ということ。

それを大学生のうちにやっとかないと、
どうなっちゃうんだろうって思います。

大学内に、地域にラボラトリーを作っちゃいましょう。  

Posted by ニシダタクジ at 06:27Comments(0)

2015年01月30日

未来は対話による会議から創られる

昨日のつづき

水曜日に大学で行われたアクティブラーニング講習会に参加。

PBLとは、「問題解決」ではない。
というところから始まって、非常に興味深かった。

PBL vs 問題解決 vs 講義 
例:車の修理
講義:車のどういう部分が壊れるとどうなるかを説明し、理解する
問題解決:とりあえず、問題個所を探して修理する。それで終わる。
PBL:修理をすることを通して、車の仕組みや車の故障・修理について、学習する

重要なのは、いかにして学びたい!というスイッチを入れるか、
というところになってくるだろうと思う。

特に重要だと思うのは、
やはりグループワークになってくる。
高校までと違って、
グループ、チームで何かをやることが多くなる。

そこで大切になってくるのが「ダイアログ=対話」だ。

「こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?」(森田英一 PHP)

僕は森田さんの講座を
高知大学で聞いているのだけど、
そのときに聞いて、非常に重要だと思ったのはここ。

会話・雑談と
議論・討議と
対話
の違いについて。

ここを理解する必要がある。
161ページにわかりやすい表が載っているので、
もし、興味がある方は本を買っていただきたい。
(残念ながら絶版になっている模様なので古書店で)

1 カンバセーション(会話・雑談)と
2 ディスカッション(議論・討議)と
3 ダイアログ(対話)の違い。

前提は、
1 いつ、だれが何をいっても構わない。ルールはない
2 正しい答えがある(それは自分の答えである)
3 誰もがよいアイデアを持っているはず。それらを持ち寄れば良い解決策が見つかる。

目的は、
1 社交・関係性の維持
2 判断・結論を出すこと、または議論に勝つこと
3 共通の基盤を探すこと、個人や集団に気づきをもたらすこと

聞き方や態度の特徴
1 話題はあちこちに飛ぶ。あまり探究的に聞いていない。
場の空気を重んじる。話題が途切れないようにする。
断定的に話すこともよくある

2 相手の欠点・弱点を探しながら反論を組み立てつつ話を聞く。
判断が行われる。相手が間違っていることを証明しようとしたり、
自説の正しさを主張する。相手との妥協点を探すこともある。

3 理解しよう、意見を引き出そうとして相手の主張を探求する。
相手の強みと価値を探す。時に沈黙も歓迎する。対立を恐れない。

評価
1 対立はできる限り避ける。本音は言わない。
2 相手の立場を批判(することが多い)自説を肯定的に扱う
3 すべての立場をさまざまな視点から再評価する。

結論
1 結論はない
2 自分の立場を是認する結論に誘導しようとする。投票を求める
3 打ち切りを求めず、新しい選択肢を見出そうとする

と、こんな感じ。
新しいアイデアや柔軟な発想が出る会議は
当然そこに「ダイアログ=対話」が起こっている会議。

多くの会議は、
議論・討議あるいは、空気を読んだ会話・雑談
になっていないだろうか?

質の高い会議をするために、
「対話」を心掛けなければならない。

そのためのポイントが本書では書いてある。
この本は会社組織を前提に書かれているので、
大学生と地域という観点から、いくつかを抜粋する。

事前準備編
1 「考えていること」だけではなく、「今、感じていること」を話す。
2 参加者全員が話す
3 評価や判断をいったん手放して、聴く
4 ムズムズ、モヤモヤを奨励する
5 沈黙の時間を活用する
6 自分自身や自分たちのチームを見つめなおす
7 環境を整える

当日プロセス編
1 これから起こりうる未来を直視する
2 もっとも扱うべき問題は何か考える
3 共通の基盤を探る
4 自分たちが創り出したい未来を描く
5 自分や自分たちの未来のために、本当にするべきことを考える

と、こんな風に会議ができたらすごく楽しそうだと
思えることが満載。

こういうのをやれる人を
会議ファシリテーターと呼ぶのだろうと思う。

そんな場に大学生が同席できたら、

「未来は対話による会議によって創られる」と
実感できるのかもしれない。  

Posted by ニシダタクジ at 06:46Comments(0)

2015年01月29日

大学生は「場のチカラ」に貢献する

若い人の新鮮な発想で。
大学生の柔軟なアイデアを。

よく地域の中に大学生が
入っていくときに発せられる言葉だ。

しかし。
2004年から大学生に関わってきて、
それを期待してはいけないということを強く思う。

発想やアイデアというアウトプットは、
それ相応のインプットした人でないと
生み出せないと思うからだ。

だからもし、アウトプットを出せる大学生がいるとしたら、
高校の時からめちゃめちゃ本を読んでいるか、
あるいは活動的にいろんなものを経験しているかのどちらかだ。

では、
地域・あるいは企業にとって、大学生が入り込む価値とは何か?

僕は、
「行動力」と「イノセンス(先入観の無さ)」だと思う。

したがって、
膨大な時間と若さを背景にした圧倒的な「行動力」と
「イノセンス(先入観の無さ)」をどう生かせるか?
がプログラムづくりの基礎になっていくだろう。

冒頭の発言に戻ると、
そもそも、いまの世の中は、すさまじく速く動いていて、
「若者の新鮮な発想で」
などと上司が言っているような組織は危ない。

こういう人は、
長年の経験の積み重ねの結果、
「誰か偉い人や知恵のある人が発想したアイデアを形にすること」
で新商品や新事業が生まれると思っている。

そして、そのアイデアが出ないために、
会社からは新商品や新事業が生まれないと思っている。

しかし。

「こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?」(森田英一 PHP)

に書かれているように、
こうした会社はコミュニケーションの機能不全に陥っていて、
新しい事業が起こらない構造的な問題を抱えている。

そもそも。
この本にも書かれているが、
これからの時代は、
予測不可能で誰も答えを持っていない時代だ。

そうしたときに、
どうやって新商品や新事業の発想、アイデアを出していくのか?

「場のチカラ」しかない、と僕は思う。
会議やミーティング、あるいは社内の雑談の中で、
人々がコミュニケーションし、
その場の力で新しいものを生み出していくしかない。

森田さんがこの本の中で書いているが、

会議の中身を
あたりさわりのない発言を繰り返す
1 ダウンローディング
から互いの意見を主張する
2 ディベート(討議)
互いの意見を探求しあう
3 ダイアログ(対話)
を経て、「自分と他者の境界を越えて流れているもの」から話す
4 プレゼンシング
にまで高めていかなくてはならない。

おそらくは
対話からプレゼンシングにまで
場の空気を持っていけた時に、
新しい発想やアイデアが生まれてくるのだと思う。

「場のチカラ」が発想とアイデアを生むといってもいいだろう。

そんな会議をどのように作っていったらいいのか?
おそらくがそここそが大学生の出番になるのだろうと思う。

大学生の
「イノセンス(先入観の無さ)」を最大限に発揮し、質問する。

「この仕事をやっててよかったなあと思うことはなんですか?」

それいま、この会議に関係あるか?
と突っ込まれそうだけど、そこに対して真摯に向き合うことで、
討議から対話へと、場が進化していくかもしれない。

そう。
そうやって、大学生は、知識がないなりに、
発言をガンガンしていく。

それが場のチカラを高め、
いい発想やアイデアが出る空気をつくる。

実際に、発想やアイデアを出すのは、
個人個人の人ではなく、場のチカラだからだ。

その前提で、
地域や企業とのプログラムを作っていくことが
大切だなあと改めて感じた。  

Posted by ニシダタクジ at 07:33Comments(0)

2015年01月28日

新人であること。

新人であること。
若いこと。
まだなんの名声も、地位も、権利も得ていないこと。


「武器としての交渉思考」(瀧本哲史 星海社新書)

いいですね。
熱いです。
革命を起こしたくなります。
ラストにシビれます。

テクニック的な交渉論ではなく、
本質を突く内容に、
京都大学でこの授業を受けている人たちは
いいなあと思います。
大学生の時に知るべき1冊です。

「パラダイム・シフト」
という言葉を生み出したアメリカの科学哲学者、
トーマス・クーンは、科学の世界で大きな変革を成し遂げる人をこのように表現する。

「変革者はふつう非常に若いか、危機に陥っている分野に
新しく登場した新人であって、古いパラダイムで決定される
世界観やルールの中に、ほかの人たちほど深く埋没されてはいない」

つまり、
あらゆる組織、集団、社会で、
大きな変革を成し遂げることができるのは、
その組織の古いしがらみやルールに
とらわれていない人だけだ。
ということ。

冒頭の

新人であること。
若いこと。
まだなんの名声も、地位も、権利も得ていないこと。

それこそが大胆なチャレンジの条件なのである。

なるほど。
そしてチャレンジするには、
交渉の力が不可欠で
その最大の武器は「言葉」であると
本書を通して一貫して著者は伝えています。

あと、地域活動をする上で、
特に重要だと思ったのは、
5時間目の「非合理的な人間」とどう向き合うか?
のところ。

地域で活動をしていると、
非合理的なことが日常的に起こります。
そのタイプを本書では6つのタイプに分けていますが
その中でも特に 
2 ラポール(信頼関係)を重視する人が大切だと思ったので抜粋します。

1 好きになる

好意の返報性という人間心理に働きかける。
つまり、まず「好きになる」ということ。
人は誰でも自分のことを好きだと思ってくれている人には
自然と行為を抱くものです。
これは地方で活動するときにもっとも大切だと思います。
地域を好きになることその人を好きになることから始まります。

2 スモールギフトをおくる

バレンタインデーの時には義理チョコをおくる、
あるいはもっているスキルに対して称賛する、
などの言葉をおくる。それによって、相手とのラポールを築くことができます。
ちょっとした手土産をもっていくことなどが使えるでしょうか。

3 共通点を見つける

血液型、居住地、出身地、出身校、食べ物の好みなど、
なんでもいいので、相手との共通点を見つけることです。
そういえば、新潟で異業種交流会に出ていたとき、
好きなラーメン店の話で盛り上がりました。

4 相手の好む話し方で付き合う

敬語は使わずにフレンドリーで話すことを好む人などがいます。
それらを判断して、その人に合った話し方をするという方法があります。
地方であれば、方言でしゃべる、みたいなことでしょうか。

5 共同作業の時間を持つ

講演会の配布チラシを組むのを一緒にやるとか、
あとは田植えや稲刈りをするとか、
近所の毎年恒例のドブさらいをやるとか、
そういうのを一緒にやるとかっていうのが
地域の人との関係性を作っていくのでしょう。

ちなみに共同作業で何をするかは重要ではなく
「共同作業をする」ことが大切なようです。

大学生は、地域にとっては、新人です。
新人そのものです。

だからこそ、変革者になれるのです。

以上5つのテクニックを駆使しながら、信頼関係をつくり、
地域に入り込んで行くことで、実社会に出たときに
役立つ「交渉思考」や「交渉スキル」が身に付くとしたら、
やってみたくはありませんか?  

Posted by ニシダタクジ at 07:08Comments(0)

2015年01月27日

直接的アプローチと仕組み的アプローチ

ツルハシブックスにやってくる、
悩める大学生高校生中学生たち。

その要因は、一言では表せないけど、
現状で生きている世の中では、
学校と家庭しか自己を表現する場所がなくて、

そこでは、
・他者評価を前提とした教育システム
・地域コミュニティの崩壊と核家族化による承認機会の減少
・他者との比較、目標不達成による自信の無さの上書き
などの原因により、
他者の目が気になり、自信を失っている若者がたくさんいる。

一方で
キャリア教育サイドの体系からすると、
夢・目標ありきのキャリアデザイン型のキャリア教育
が唯一の方法だといまだに思われている。

その社会背景にあったのは、
終身雇用、つまり同じ仕事を一生続けることで
生涯賃金が約束されるという「効率化」された社会経済システム
(その背景には、2000年の歴史を持つ稲作から来る「継続は力なり」思想がおそらくあった。)

そのシステムを前提とした
マッチング理論=うまくマッチングさせないから若者は3年で会社を辞める
⇒ミスマッチを減らすために、小さなころから「やりたい仕事、なりたい職業」を考えるべき
というキャリアデザイン型キャリア教育の低年齢化を引き起こした。

その結果。
大学生高校生中学生は、

・夢がないと行動できない
・夢破れると自信を失う
・失敗を恐れチャレンジできない

ということに実際なっている。

この現状に対して、
とるべきアプローチ方法は2つある。

ひとつは直接的アプローチ。
「地域の居場所をつくる」ということ。

その最も有効な方法が
本屋、それも新刊書店なのではないかと思う。
コミュニケーションする街の本屋。

そこは、
中学生高校生大学生にとって、
「第3の大人」に出会える「第3の場所」だ。

そこには、
・学校や家庭とは異なる多様な価値観を持つ大人
・ありのままの自分をある程度受け入れてくれる親和的承認の舞台
・他者評価をあまり伴わない小さなチャレンジを促す仕掛け

が存在している。
ツルハシブックスで野山塾の中学生高校生が
屋台をやるというのは、そういうことだ。

それによって、
「居場所」ができ、「親和的承認」が満たされ、
小さなチャレンジをすることで「自信」がついていく。

それがツルハシブックスという現場、なのではないかな。

これはすごく大切なこと。
地域の居場所として、機能する街の本屋が
増えていくことが願われる。

このような直接的アプローチの一方で、
現在の教育の仕組み(社会システム)を放置していては、

・夢がないと行動できない
・夢破れると自信を失う
・失敗を恐れチャレンジできない

が量産されていってしまう。
それを仕組み的になんとかするためには、
どうしたらよいか?

「キャリアドリフト理論」の実践と研究なのではないか。
「キャリアデザイン」、つまり目標設定・達成のみが
夢の叶え方ではなく、違う方法もあるよ、ということ。

目の前に来た人、もの、ことを大切にしていくと、
いつかたどりつく天職という瞬間がある。


「ホスピタルクラウン」(大棟耕介 サンクチュアリ出版)
というような生き方が、まさにそれを表している。

子どものころに、
病院で入院中の子どものためにクラウンをしたい、なんて、
自分自身が入院していなければ思わないだろう。
しかも、それは本職ではない。
(13歳のハローワークにはおそらく載っていない。)

そんなキャリアのつくり方が必要になってきている。

では、いまなぜキャリアドリフトなのか?

・予測不可能な時代に入っていて、会社の寿命が分からない。
・急速に進む高齢化には「効率化」では対処できず、「創造力・デザイン思考」が求められる。
・終身雇用制度も崩れ、マッチング理論ではなく、仕事に合わせて自分を開花させ続ける必要がある。

つまり、「やってみる」しかないのである。

このようなキャリア・ドリフト理論を確立するには、
研究・実践を続けるしかない。

残念ながら今の日本の教育システムでは、
自分が現場の教師になるか、
大学の研究の現場に入るか、しか実践の場はない。

大学の現場で、
1年次から地域に出て、地域の人と一緒に活動をする。

・異なる価値観を持つ多様な大人に出会い
・親和的承認が得られる現場で
・小さなチャレンジを繰り返す

そのことが、地域に役立つだけではなく、
何よりも本人のキャリア形成にとって、
大切な経験になることを実証する。

「実証する」には、残念ながら、
現在の日本では、「就職率」と「就職先」と「就職満足度」
しかないから、その言語に合わせて、実証するしかない。

その結果。
「やっぱり地域で多様な大人と関わって、
いろんなことをやるのは、キャリア形成にとって大事だよね。」

という結論になれば、
「だったら、高校生、中学生の時にもやればいいじゃん。」

というように世の中は仕組み的に変わっていくのではないか。

そんな将来を描いて、実際にやってみようと思う。

僕はいま、仕組み的アプローチの現場に立ち、
それをデザインしているところです。

一方で直接的アプローチである
「ツルハシブックス」は、
よりたくさんの多様な大人が関わることで、
さらに魅力を増していくし、

全国の地域に、
そのような場所がどんどん増えていき、
行動範囲が狭い中学生や高校生たちが
「第3の大人」と「第3の場所」に出会える空間を提供したいと思っています。

地域教育の現場としてのツルハシブックスを
伝えていきたいと思います。
あなたもそのひとりになりませんか?

ツルハシブックスでは、
寄付侍名刺100枚を作り、いろんな人に
取り組みを広報する「寄付侍」を募集しています。

あなたも寄付侍2015になりませんか?
寄付侍2015は、一口3,000円でオリジナルの寄付侍認定名刺100枚をお送りします。
あなたも僕と一緒にツルハシブックスを広報しましょう。

☆寄付侍への申し込み方法
1 店頭寄付
ツルハシブックス店頭で受け付け用紙がありますので、そちらにご記入の上、お申し出ください。

2 直接振込で寄付
事前にメール等で、氏名、住所、連絡先電話、メールを記入の上、

名刺記載用の以下のフォーマットに記入し、
【氏名】
【ローマ字】
【電話】
【メール】
【twitter】
【facebook】

第四(ダイシ)銀行内野(ウチノ)支店(普)1858245
口座名義 NPO法人ヒーローズファーム 代表理事 西田卓司 へお振込みください。
または、郵便振替口座 00580-2-92404 加入者名 NPO法人ヒーローズファーム までお願いします。
メール宛先 nishidatakuji@gmail.com 西田卓司まで

3 カード決済での寄付
http://tsuruhashi.theshop.jp/items/1008731
こちらの寄付侍認定名刺の申し込みからお願いします。  

Posted by ニシダタクジ at 07:34Comments(0)日記

2015年01月26日

「効率化」はもう、豊かさを生まない

小豆島、ヤマロク醤油。

木桶で仕込んだ醤油をつくっている。

かつて、
お醤油だけでなく、酒、味噌、みりん、酢といった
日本の食卓に欠かせない発酵調味料は、
全て木桶で仕込まれていました。

それは
桶に、発酵に欠かせない微生物、
酵母や乳酸菌が棲みついていたから。

タンクが登場し、
衛生的にも効率的にも優れていたので
多くのメーカーは
タンクでの醸造に切り替えました。

今では、
木桶をつくるメーカーは
大阪府堺市にただひとつ。
それも2020年に廃業が決まっているそうです。

ヤマロク醤油は、
2010年、新しく、木桶を作りました。

醤油の木桶には、
100種類以上の微生物が棲みついていると言います。
人工的にそれらを再現することは不可能なんだそうです。

「効率化」
という言葉を考えなければならない、
と思いました。

かつて、「効率化」が豊かさを生んだ時代がありました。
それは、人口が急速に増えていったから。

「効率化」しなければ、それを賄えない。
そういう事実も確かにあったと思います。

しかし。
いま。
時代は変わりました。
歴史上初めての人口減少時代。

「効率化」はもはや、豊かさを生みません。

ヤマロク醤油のような、
100種類の微生物と共に作られる醤油。

一般家庭における
醤油の買い替えはどのくらいのスパンでしょうか?

500mlで1,000円
おそらくはスーパーで買う大手メーカーのものの5倍ほどの
価格がするでしょう。

醤油を使うとき、
木桶と100種類以上の微生物のチカラに
思いを馳せることができる。

あるいは作り手の想いに触れるような気がする。

そんな暮らしこそ、
求められているのではないかなあと思います。

「効率化」から「多様性」へ、
さらには、「手間をかける」「時間をかける」

そんな暮らしこそ、
みんな本当はしたいと思っているのではないかなあ。
  

Posted by ニシダタクジ at 07:56Comments(0)日記

2015年01月25日

さがしもの

「人は何のために生きているのか?」

テレビドラマ「スクールウォーズ」で、
死を目前にした少年が問う。

あれを小学校5年生(たぶん)で見ちゃったからなあ。
それで中1と中3で再放送見ちゃったからなあ。

それは、
「何のために生きるんだ?」って
問いが生まれちゃうよね。

人生はそんな答えのない旅の
途中にあるのかもしれないね。

畑はコミュニティの拠点になりうると
「まきどき村」を始めたのが1999年。
そこから僕はそんな旅に出ていた。

2002年に不登校の中学生に出会い、
どうやったら、悩める子ひとりひとりに
いろんな大人が出会えるような仕組みがつくれるんだろうか?

2004年10月、玉川大学通信教育学部入学。
直後、中越地震発生。
川口町で子どもと遊ぶボランティアに携わり、
一緒にやっていた大学生たちと、旧巻町で
子どもの遊び場「虹のひろば」を開始。

2006年、NEC社会起業塾に「地域のコミュニティと共にある学習塾」
で応募するが2次審査落ち。
直後にチャレコミ(大学生のインターンシップ事業)に誘われる。

2007年、川口中で教育実習。
直後、中越沖地震発生。
1か月、刈羽村に通い詰めて、大学レポートまとまらず、
結局大学は中退。

2007年10月に中村憲和さんを大阪から呼び寄せて、
長期インターンの事業化へ向けて動き出し、
2008年から「起業家留学」をサービスイン。

2010年から商店街をフィールドにしたインターンに魅力を感じ、
2011年、地域拠点としてツルハシブックスをスタート。

それまでの約10年は、
サンクチュアリ出版の営業で地方出張に行っていたので
なんとか暮らすことができた。

さがしていたものは、
悩める中学生高校生大学生に
「機会を提供する」という自分自身のミッション。
ミッション=人は何のために生きているのか?
という少年の問いに対する答え。

僕のミッションは機会を提供すること。

「機会を提供する」ために、「場」をどう作るか?
「機会を提供する」ために、どんな「コミュニケーションデザイン」をつくっていくか?
「機会を提供する」ということは、その若者の「キャリア」にとってどんな意味があるのか?

きっとそれが、僕のさがしものだったのだと、
今なら思う。

やっと、ここまでこれた。

昨日は水戸の寒空の星を見上げて、
ただただ、感謝の気持ちでいっぱいでした。

サンクチュアリ出版のおかげ、
そして周りのみんなのおかげです。
ただただ、感謝。
ありがとう。  

Posted by ニシダタクジ at 06:44Comments(0)日記

2015年01月24日

思考停止させないカリスマ

昨日は、サンクチュアリ出版の送別会でした。
2001年2月に名刺を持たせてもらって、14年間営業してきました。
ツルハシブックスが始まってからはほとんど営業回れなかったのだけど、
今回、茨城に来る機会に区切りをつけて、退職という形になりました。

スゲー、いい会社でした。
2次会になっても、新しい本の企画について
目を輝かせて語る営業部長と営業部のみんなの熱い感じ。

ああ、出版っていいなあって。
誰かに、誰か1人に届くかもしれないから
日々、働いているんだなあって。

まさに工藤直子さんの詩
「あいたくて」の世界がここにあるなあと。

みんなの前で
何か語ろうとしたけど
うまく語れない僕に、

市川さんと高山くんが
ズバリダメ出ししてくれました。

「照れないでもっと熱く語れ」
「泣かせる鉄板ネタが必要」
これはすごく、今の自分に足りないものだなあと。

「人に何かを伝える」というのは、
ある意味、宗教家のような、
信念と語るチカラが必要になるのだなあと思いました。

世界を変えるためには、
それ相応の思いとカリスマが必要なんだなあと。

僕は、大学生のころ、
とある全国組織の環境NPOに
出入りしていたのだけど、
そのときの代表がすごいカリスマで、

そのときに、
「カリスマ」に対する嫌悪感ができちゃったのだよなあと。

世界を変えるためには、
ひとりひとりが自分で考えて、
全力で実行する、という
「自然農」的な生き方が必要なのだけど、

リーダーのカリスマ度が高すぎると、
メンバーは思考停止して、
リーダーに従うようになる。

「それじゃ、世界は変わんないじゃん」
って思ったのが始まりだった。

でも、昨日、送別会で
2人に言われたことで、
僕は、第3の道が見えた。

「思考停止させないカリスマ」
それを目指せるのではないかと。
本屋をやるっていうのは、
実はそういうことなのだろうって。

無数にある答えの中で、ヒントを与え続けること。
キャリアドリフトの最前線を作るということ。

それが僕の志だし、
それを大真面目に語っていかなければいけないなと。

新しいビジョンが見えた送別会でした。
ありがとうございました。  

Posted by ニシダタクジ at 07:27Comments(0)日記

2015年01月23日

ハックツ東京、始動しました。



昨年8月のNHKの放送を見て頂いた
サンクチュアリ出版金子さんと
ブックスタマ加藤さん
の2人は劇団員になっていただいてます。

そして、「ハックツ東京」(仮)
が動き出しました。

ツルハシブックスの地下古本コーナー、
「HAKKUTSU」が東京に進出します。

これまでよりも
よりメッセージ性の高い企画になると思います。

営業日は土日、
運営はツルハシブックス劇団員が行います。
若者にメッセージと共に本を届ける、
そんな空間を作りたいと思います。

ツルハシブックス劇団員は3月1日からの
受付開始です。

その前に、あなたも寄付侍2015になりませんか?

寄付侍2015は、一口3,000円でオリジナルの寄付侍認定名刺100枚をお送りします。
100名の寄付侍の誕生を目指して、お声掛けしています。

☆寄付侍への申し込み方法
1 店頭寄付
ツルハシブックス店頭で受け付け用紙がありますので、そちらにご記入の上、お申し出ください。

2 直接振込で寄付
事前にメール等で、氏名、住所、連絡先電話、メールを記入の上

名刺記載用の以下のフォーマットに記入し、

【氏名】
【ローマ字】
【電話】
【メール】
【twitter】
【facebook】

第四(ダイシ)銀行内野(ウチノ)支店(普)1858245
口座名義 NPO法人ヒーローズファーム 代表理事 西田卓司 へお振込みください。

または、郵便振替口座 00580-2-92404 加入者名 NPO法人ヒーローズファーム までお願いします。

メール宛先 nishidatakuji@gmail.com 西田卓司まで

3 カード決済・コンビニ支払での寄付
http://tsuruhashi.theshop.jp/items/1008731
こちらの寄付侍認定名刺の申し込みからお願いします。   

Posted by ニシダタクジ at 07:45Comments(0)

2015年01月22日

「学びたい」に火を灯す

先週に引き続き、
学生ヒアリング2日目。

テーマは
大洗女子大生移住計画。
太平洋に面した
茨城県随一の観光地、大洗。

そこに大学生が
住みながら大学に通うためには
どうしたらいいのか?
を考えた。

バスの送迎?
家賃がタダ?
温泉に入れる?
たしかにそれもいいだろう。

ついつい。
僕たちは、誰かを呼びたいと考えるときに、
その人たちにどんな経済的利益があるか?
を考えてしまう。

たとえば、「商店街に若者を呼びたい」
と言ったテーマで話し合うとき。
議論するとき。

「オシャレな服を買える店があったいい」
「駐車場を整備してほしい」
「休憩ができて、おいしい料理を出すカフェがあったらいい。」

もちろんそれらは
ニーズのひとつではあるだろう。

しかし、もし仮に、
オシャレな服を買えるお店があって
駐車場を完備し、
休憩ができておいしい料理を出すカフェもある
商店街があったとしたら、

ほぼ同距離にあるイオンモールよりも、
商店街が選ばれるだろうか?
否である。

若者は、マーケティングの限りを尽くして
建てられたイオンを選ぶだろう。

だから、勝負はそこではない。

もし、「大学生」が対象者であるとしたら、
僕はもうひとつ、方法がる。

彼ら、彼女たちの「学びたい」意欲に
火を灯すことだ。

人はなぜ、大学に行くのだろうか?

就職のためだろうか?
みんなが行っているから、であろうか?

そうじゃない。
「学びたい」からだ。
心の奥から湧いてくる
「学びたい」という願望に応えたいからではないか。

だとしたら、
コーディネーターの役割は、
「学びたい」に火を灯すこと。
「学びたい」のスイッチを押すこと。

だから、
大洗に住むと、こんなことを学べます。

地域コミュニティのつながり
商店街の活性化の取り組みの実際
観光事業のプロデュース

さまざまなことが学べます。
「学びたい」なら、大洗に。

大洗留学、始まります。

みたいな感じで募集をしたらいいんじゃないかなと感じました。

あらためて、コーディネーターという
仕事を考えさせられた学生ヒアリングでした。  

Posted by ニシダタクジ at 08:12Comments(0)思い

2015年01月21日

「失敗」を「機会」に換えていく

「失敗」のない人生はおそらくはないだろう。

だから、時間をかけて、
「失敗」を「機会」に換えていくこと
それしかないのだろうなあ。

大学受験を失敗して、
新潟の地を踏んだ時、
同級生と会話がかみ合わなかった時。

ああ、僕は失敗したんだ、って思った。

今思えば、
僕は新潟に行ってよかったと思うし、
それ以外の人生はなかったなあと思う。

まきどき村を始めたかったので、
就職しなかったのだけど、
友達の結婚式に呼ばれたとき、
なんだかつらかった自分がいた。

「好きなことしていていいね」
って言われても、世間的にはプータローなわけで。

「もうひとつの人生があったんじゃないか」、と思って、
なんだか寂しい気持ちになったこともあった。

28歳くらいだったか、きっかけは分からないけど、
世間の価値観から解放されて、
「この人生しかなかったんだ」って思えるようになった。

29歳で吉田松陰先生に出会い、
先生が「野山獄」の中で実践した、
「学びあいの場づくりで希望を生んでいく」
ということに感銘し、それをライフワークにしようと思った。

若者はなぜ、生きづらさを感じているのだろうか?

その2年前、不登校の中学3年生に出会ったときから
ずっとあった問いは、

クランボルツ博士の「計画された偶発性理論」、
いわゆるキャリアドリフト理論との出会いによって、
一筋の光が見えてきました。

偶然を起こし、偶然をつかむ。
これこそがキャリア形成の方法だとクランボルツ博士は言います。

「失敗」とは、「チャレンジの結果」です。
中谷彰宏さんの言葉
「何も失敗しなかった1日は、何もチャレンジしなかった1日だ」

「失敗」ではなく、そこには広大な「機会」が
広がっているだけだ。

と若者たちに僕は言っています。
そういう僕自身が、
「失敗」を「機会」に換えていく「機会」をもらっているのかもしれません。

ツルハシブックス存続のため、
「寄付侍」を募集するという機会をもらっている。
今はこの役を演じ切りたいと思います。

あなたも寄付侍になって頂けませんか?

寄付侍2015は、一口3,000円でオリジナルの寄付侍認定名刺100枚をお送りします。
100名の寄付侍の誕生によって、新体制移行の3月まで、なんとかつながる計算です。
僕自身も寄付侍になりますので、みなさんも新しいツルハシブックスを応援しませんか?

☆寄付侍への申し込み方法
1 店頭寄付
ツルハシブックス店頭で受け付け用紙がありますので、そちらにご記入の上、お申し出ください。

2 直接振込で寄付
事前にメール等で、氏名、住所、連絡先電話、メールを記入の上、
第四(ダイシ)銀行内野(ウチノ)支店(普)1858245
口座名義 NPO法人ヒーローズファーム 代表理事 西田卓司 へお振込みください。
または、郵便振替口座 00580-2-92404 加入者名 NPO法人ヒーローズファーム までお願いします。
メール宛先 nishidatakuji@gmail.com 西田卓司まで

3 カード決済での寄付
http://tsuruhashi.theshop.jp/items/1008731
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Posted by ニシダタクジ at 07:59Comments(0)日記

2015年01月20日

【僕が茨城に来た3つの理由~近況報告と寄付侍2015ご協力のお願い】

12月20日の転居のお知らせから1か月が過ぎました。
ここで、あらためて近況報告と寄付侍のご協力のお願いです。

☆近況報告
1月3日に茨城県水戸市に転居し、1月5日から
茨城大学・社会連携センターでコーディネーターとして、
「地域をフィールドにした大学教育」というテーマで、
自治体や企業との連携、学生の地域参画を促進していく
いった業務をしています。

茨城大学は、平成17年度から、
学生が地域の人たちとプロジェクトに取り組む、
「学生地域参画プロジェクト」の公募を始めるなど、
「地域」志向が強く、地域と大学の連携について、
大学が一体となって推進しています。

今後数年間、
「地域と大学」というテーマで学びながら、
キャリアドリフトと地域をフィールドにした学びの有効性
あるいは、ツルハシブックスの仕組みなどを
言語化していきたいと考えています。

☆僕が茨城に来た3つの理由

12月20日のブログで書きましたが、
もっとも大きな理由は

理由 その1:「キャリアドリフト型」キャリア形成の実践と研究

「地域」をフィールドに1年次から様々なことに取り組むことは、
「将来どんな職業に就くか?」というキャリアデザイン型の観点ではなく、
経験を積み重ねて「偶然」をつかみ、キャリアにつなげていく、という
「キャリア・ドリフト」型のキャリア形成の入り口にあると考えます。

ツルハシブックスにやってくる大学生、高校生、中学生に話を聞いていると、
「夢や目標を持たなければならない」といった、
「キャリアデザインの呪縛」とも言えるような心理的不安を抱えていると思い、
その解消には、もうひとつのキャリア理論を確立・普及する必要があると思ったからです。

これについては、何度も書いてきていますので、
詳しくはこちらで。
http://hero.niiblo.jp/e461471.html

理由 その2:ツルハシブックス存続のため

昨年3月21日。3周年記念イベントの初日に「ツルハシブックス公開経営会議」を開催しました。
ツルハシブックスは、オープン時、新潟市の商店街活性化の補助金により、
家賃の3分の2が補助されていました。

僕は、結構楽天家なので、オープン時には、「3年もあれば何とかなるだろう」と思っていました。
しかしながら、あっという間に期限の3年は過ぎてしまい、お店は経営難に陥りました。
それを打開するために行ったのが、「ツルハシブックス公開経営会議」です。

このときに集まってくれた主体性の高いお客さんたちの会議によって、
ファンクラブのような会員制度が誕生しました。

月額10,000円の一口オーナー「ヒーローズ」、月額1,000円の「ツルハシブックス劇団員」制度です。
「ヒーローズ」が10人、「劇団員」が100人集まれば、存続していける、という計算でした。
この、経営をどうするか?という議論から、
「劇団員」という参加型の仕組みが生まれたことは本当によかったと思っています。

しかしながら、現在、「ヒーローズ」4人、「劇団員」は35人です。
現状のところ、厳しい結果であると言わざるを得ません。
毎月、ギリギリのところで、運営をしているというのが正直なところです。
このままでは、時間の問題で存続は不可能になる。

僕はファンドレイザー(資金調達人)になると決めました。
ツルハシブックスは素晴らしいお店です。
中学生・高校生・大学生が第3の大人に出会える、
魅力的なサードプレイス、プラットフォームです。

それをなんとか存続させたい。
そのためには、関わる人が才能を開花させていかなければなりません。
僕は、若者を応援するのが得意です。それに気づいたのは、
今から6年ほど前、2009年のことでした。

現在、京都と新潟で活躍する笑顔写真家、
かとうゆういちくんが新潟大学を卒業する間際に出会い、
彼を応援したいと思い、ブログに彼の紹介分と寄付のお願いを書きました。
すると、わずか3日で応援者9名(=10口)が集まったのです。

僕は経営者としては、失敗者です。
小さなお店を経営的に軌道に載せることができませんでした。

しかし、ファンドレイザーになら、なれるかもしれない。
その力を最大限に発揮するには、かとうゆういちくんのときのように、
自分自身も応援者のひとりになることが大切だと思ったのです。
そのためには、僕自身とツルハシブックス本体を切り離す必要があると思い、茨城にやってきました。

3月、ツルハシブックスは4周年を迎えます。
そのタイミングに合わせるように、
現在、法人名称の変更を新潟市役所に申請中です。

ヒーローズファーム改め、NPO法人ツルハシブックスとして再出発していきます。
ツルハシブックスは、コワーキングスペースやマイクロライブラリーの多くがそうであるように、
有志による運営スタイルに切り替え、ひとりひとりのプラットフォームとして運営していく予定です。

「ヒーローズ」「劇団員」そして店員である「サムライ」がつくる本屋としての新たなスタート。
そこまで、なんとかつなぎたい。なので、
今回は日ごろからお世話になっている皆様に「寄付侍2015」のご協力をお願いしたいのです。

寄付侍2015は、一口3,000円でオリジナルの寄付侍認定名刺100枚をお送りします。
100名の寄付侍の誕生によって、なんとかつながる計算です。
僕自身も寄付侍になりますので、みなさんも新しいツルハシブックスを応援しませんか?

☆寄付侍への申し込み方法
1 店頭寄付
ツルハシブックス店頭で受け付け用紙がありますので、そちらにご記入の上、お申し出ください。

2 直接振込で寄付
事前にメール等で、氏名、住所、連絡先電話、メールを記入の上、
第四(ダイシ)銀行内野(ウチノ)支店(普)1858245
口座名義 NPO法人ヒーローズファーム 代表理事 西田卓司 へお振込みください。
または、郵便振替口座 00580-2-92404 加入者名 NPO法人ヒーローズファーム までお願いします。
メール宛先 nishidatakuji@gmail.com 西田卓司まで

3 カード決済での寄付
http://tsuruhashi.theshop.jp/items/1008731
こちらの寄付侍認定名刺の申し込みからお願いします。

理由 その3 その先のツルハシブックスへ

昨年8月。四万十の迫田さんと慶応大学の坂倉さんという2名の話を新潟と塩尻で聞きました。
共通するテーマは「つくらないデザイン」。
ともに、最後まで作りきらない、参加型のデザインを語っていました。
全部を作らないことで、参加の余地ができて、集まってくる人たちの主体性を増していく。

ああ。ツルハシブックスのその先があるとしたら、きっとそういうことだなあと。
誰かが作るのではなく、僕が作るのではなく、集まるひとりひとりが作っていく店。
そういう店はきっと今よりももっと素敵な店になるのだろうなあと思いました。
僕もそのひとりになりたい、と心底思いました。

出来上がっていない、これからできていくツルハシブックス。
そこには僕の姿はないかもしれないけど、それを見てみたいと思いました。
その先のツルハシブックスを見てみたい。
それこそが僕が茨城に来た最後の理由です。

☆これからのニシダタクジ

1月17日(土)に、長野県松本市のブックカフェ「栞日」において、
企画展「天空HAKKUTSU」の設営をしてきました。
直筆メッセージ付きのブックカバーが宙に浮いている、そんな空間が誕生しています。
ほしい本は買うことができます。そして、自分の本をそこに置くこともできます。

ツルハシブックスの地下にある古本コーナーを地上でやったら、
きっとそういう感じなのだろうと思いました。

HAKKUTSUのメッセージ付きの古本は、手紙。
まだ見ぬ誰かを思い浮かべて、メッセージを添えて、本を置いておく。
そのメッセージに込められたオーラを感じて、人は本を手に取り、購入し、そして読む。
そんな関係性を作っていくんだと思います。

2015年がスタートしました。
僕はこれから、3つのニシダタクジを作っていきます。

「職業人」としては、地域をフィールドにしてキャリア・ドリフトを実践し、
新たなキャリア形成支援を行う研究人に。

「芸術家」としては、主に中学生・高校生・大学生たちとの
コミュニケーションをデザインするコミュニケーション・デザイナーに。

そして、「宗教家」としては、
その日1日を、その瞬間、その舞台を燃焼して演じ切る劇団員という生き方を伝える伝道師に。

40歳にして、何一つ定まっていない未熟者ではありますが、
皆様の力を借りながらなんとかここまで来れましたことを心から感謝申し上げます。
ありがとうございます。  

Posted by ニシダタクジ at 07:36Comments(0)思い

2015年01月19日

僕が茨城に来た3つの理由 その1:キャリアドリフト型キャリア形成の実践と研究

1月11日(日)。
僕が劇作家、岸井大輔さんに言われた言葉。

「西田さんは圧倒的にコミュニケーション重視型ですね。」
「西田さんからは世界はそのように見えてるんですね。」
「そういう世界観をお持ちなんですね。」

そんなふうに言われたことは今までなかったので、
新鮮でした。

そして、
僕だけがそういうふうに世界を見ているのかもしれないのか?
と。

本も、本屋も、
僕にとってはコミュニケーションの道具に
しか見えません。

いや。
昨日の栞日さんとのトークでも言っていたけど、
フリーペーパーではなく、
リトルプレスで、お金を払って手に入れる、からこそ
生まれるコミュニケーションやコミュニティがあるのではないかと思うのです。

それはその通りだと思います。
そう。
経済はコミュニケーション力の結果ではなく、
コミュニケーションの手段として経済があるのではないか。

僕は、大学1年生の時から塾講師のアルバイトをしていて、
それ以来、家庭教師や自分で塾をやったり、
子どもの遊び場を作ったりしているので、
大学生高校生中学生と接する機会が多くありました。

何が課題で、何を解決すればいいのか?
いや、自分にはどんなアプローチが可能で、
どんなことが可能なのか?

そして何より、
「若者」というだけではなくて、
どんな若者がサービス対象者で、
そこに対してどのようにアプローチするのか?

そのひとつの結果が、
ツルハシブックスという本屋でした。

ツルハシブックスは今やってきている
中学生、高校生、大学生のとっては、
居心地のいいサードプレイスであり、
地域の大人や世界との接点でもあります。

それはひとつの世の中とのコミュニケーション方法ということになるでしょう。

そしてもうひとつ。
やはり学校で教わっているキャリア教育
をなんとかしないことには、
根本的には解決しない。

フローレンスの駒崎さんが言うように、
「川で溺れる赤ん坊を拾い上げているだけではなく、
上流で赤ん坊を投げ込んでいる人を止めなければならない」
のだと思います。

本屋を3年半やってきて、悩める大学生、高校生、中学生のために何ができるのか?
を考えたときに、「キャリア・ドリフト」という考え方が必要だと思ったからです。

現在多くの学校で取り入れられているいわゆる「キャリア教育」は
「キャリア・デザイン型」であり、日本語にすると、
目標設定・達成型のキャリア形成方法ということになります。

つまり、「早く目標(なりたい職業)を決めて、そこに向かってどのように学び、
スキルを身に付けていったらいいのか?」を考えて計画的にそれを歩んでいく方法です。
しかしながら、この方法論は、現在のような変化の激しい世の中においては、
医者や看護師、あるいは教師といったような資格が必要な職業や、
プロスポーツ選手、あるいは超がつく一流企業に入社するような人にしか適用されないと僕は思っています。

もちろん、夢や目標を持つことは大切なことだと思いますが、
「いい働き方」「充実した人生」をするために、それが唯一の方法ではないと僕は強く思うからです。

「キャリア・ドリフト」という考え方があります。
アメリカ・スタンフォード大学のクランボルツ博士の研究によると、
キャリアは「偶然の積み重ねの結果」だと言います。
予測不可能な時代を生きているからこそ、
なんでも「やってみる」ところから始まる「キャリア・ドリフト」型の
キャリア形成が必要なのではないかと考えるからです。

たとえば、ツルハシブックスの屋台で、自分で作ったお菓子やおにぎりを売ってみる。
そんなところからキャリアへの旅は始まっていくのではないかと僕は考えます。

では、それをどのように伝えていったらいいのか?
僕は大学教育に携わる方法が世間とのコミュニケーションの方法であると思いました。
大学1年次から地域での様々な活動に参加し、自分を磨きながら、
人間関係を作っていく。そのような実践活動によって、いい就職活動につながっていくと思っているからです。

残念ながら、キャリア教育の世界において、
世間とコミュニケーションする言語は、
「就職率」と「学生の就職満足度」しかありません。

本来は中学生・高校生に直接アプローチをして、キャリア形成のお手伝いをしたい。
しかしそのためには、現場の教師になるか、民間人校長になるか、方法は限られてきています。

大学で地域活動を行うことが、キャリア形成にいい影響を与える(納得できる就職ができる)。
ということを、実践しながら証明することで、
「だったら、中学生高校生のときにもそういうことやったほうがいいよね。」
となることで、「キャリア・ドリフト型」のキャリア形成が広まっていくのではないかと思うのです。

これが僕が茨城に来た1つ目の理由です。

つづきはコチラから
http://hero.niiblo.jp/e461469.html  

Posted by ニシダタクジ at 05:10Comments(0)日記

2015年01月18日

天空HAKKUTSU、はじまりました。

アエラの
新春特集号「やさしくなりたい」
巻頭特集「やさしさや人をつなぐ」の冒頭、
「リレーショナルアート」が紹介されている。

リー・ミンウェイさんのアートプロジェクト
「ひろがる花園」

会場となった六本木ヒルズの森美術館に
展示された色とりどりのガーベラの花は
来場者へのギフト。

来場者は一輪持って帰ることができるが、
ひとつの課題を出される。
「美術館に来たときとは違う道を帰り、
途中で見知らぬ人にその花を渡すこと。」

簡単そうに聞こえるが、
想像をはるかに超えて、難しいのだ記者は語る。

ひとりひとりを観察し、
誰に渡したらいいのか?
迷惑ではないだろうか?
どこに行くのだろうか?

普段シャットアウトしていた
周りの風景が違って見える。

そんな「関係性」を現代アートに取り入れたのが
「リレーショナルアート」なのだという。

1月17日(土)
長野県松本市のブックカフェ「栞日」
期せずして僕は、現代アート作家になった。

「天空HAKKUTSU」
と名付けられたプロジェクトは、

栞日さんの4Fのカフェスペースと3F展示スペースに
寄贈者のメッセージが付いたブックカバーをクリップ止めして
天井から糸で吊るし、お客さんがほしいと思った本のカバーを
外して1Fでお会計をするというもの。

いわゆるジャケ買いを進化させたものだ。
メッセージとジャケットで直感で本を買う。

そして、自分も、この本を、という本を
持ってきて、メッセージをつけて、
空から吊るすことができる。







設営作業はものすごく楽しかった。
新しいコミュニケーションデザインの現場に
立ち会っている気がした。

重要視したのは、
色と高さのバランス。
でもそれも、参加者がもってきたカバーによって、
その姿を変えていく。

本の代金として、ではなくて、
アートプロジェクトの参加費として払うような感じ。

見知らぬ誰かに届けたいメッセージがある。
それを本のカバーに載せて、宙に浮かばせる。

HAKKUTSUとは、手紙。
思いを本に託し、必要としている誰かに届くように祈る。

これは、アエラで読んだ「リレーショナル・アート」なのではないかな。

1月17日(土)、「栞日」の菊地さんともども、僕たちは現代アート作家としてデビューしました。  

Posted by ニシダタクジ at 07:21Comments(0)日記

2015年01月17日

生きる意味って勘違いなのかもしれない

もし、「生きる意味」があるとすれば、
それは、「手紙を預かっている」から
なのだろうと思う。

まだ見ぬ誰かに
渡さなければならない、
手紙(ことづけ)を手の中に握りしめている。

そんな気がするのだ。
ただ「気がする」だけだ。

生きる意味って意外と勘違い
なのかもしれないな。
「気がする」だけだもんね。

地下古本コーナー「HAKKUTSU」は
そんな勘違いをカタチにする場所です。

あなたの大切な1冊に、
小さな手紙を付けて、
まだ見ぬ誰かに届けませんか?

寄贈本、募集しています。
http://tsuruhashi.skr.jp/kifu

そして本日1月17日(土)より3月21日(土)まで
長野県松本市「栞日」さんにて、
天空HAKKUTSUが開催されます。
http://sioribi.jp/info/event_20150104_01/

それでは始発にて松本に向かいます。
今日はどんな出会いが待っているのでしょうか?

以下、工藤直子さんの詩をお届けします。



あいたくて(工藤直子)
 
あいたくて
だれかに あいたくて
なにかに あいたくて
生まれてきた──
そんな気がするのだけれど

それが だれなのか なになのか
あえるのは いつなのか──
おつかいの とちゅうで
迷ってしまった子どもみたい
とほうに くれている

それでも 手のなかに
みえないことづけを
にぎりしめているような気がするから
それを手わたさなくちゃ
だから

あいたくて  

Posted by ニシダタクジ at 03:23Comments(0)日記

2015年01月16日

B-1グランプリとは、B級グルメの祭典ではない


「ソーシャル・エコノミー」 (阿久津聡他著 翔泳社 2012.9発行)

少しずつ読み進めています。
いよいよ佳境に入ってきた感があります。

ここで富士宮焼きそばを中心とする
B-1グランプリの考察。
これは面白い。
著者がインタビューをしてショックだったことが3つある。

1 B-1グランプリとは、B級グルメの祭典ではない
2 B-1グランプリには、飲食店だけでは参加できない
3 B-1グランプリとは、順位を競うことが主目的ではない

「だったらなんでB-1グランプリっていうのよ!?」
と言いたくなるくらい、思い込みは否定された。

最初は、富士宮焼きそばを「再発見・再評価」するところから始まった。
「焼きそばG麺」というコミュニティをつくり、おらが町の焼きそばの情報を集めた。
そしてそれは飲食店が主導したのではなく、「建築屋」さんや「保険屋」さんが
「勝手に」がんばっていたそうだ。
そしてだんだんとコミュニティが広がっていった。そこまで6年かかった。

それを八戸のせんべい汁を売り出そうとする木村さんがフォローする。
富士宮市同様に、「じる研(八戸せんべい汁研究所)」を立ち上げ、
コミュニティの輪をつくりあげた。

富士宮市で築かれたフォーマットとは、
次のようなものである。

1 もともとその地域で親しまれていた地元食を「再発見」する
2 地元食を通じて狙うべきは、「町の活性化」であって、「地元食の活性化」ではない
3 だから直接の利益享受者(飲食店)が牽引する形ではなく、町の有志が牽引する

これが、ここ数年で作られては消えていった
飲食店や自治体が「新しいメニュー」を考えるというような、
「新しいご当地B級グルメ」とは圧倒的に違う。

1~3によって次の効果が期待できる

ア もともと地元にあったものなので、みんなが食べてきたとい「共通体験」を持てる
イ だいたい日常的なものだから、たいていの人が自分たちでもつくれる
ウ だいたい日常的なものだから、安くて何度でも食べたくなる

という構造により、富士宮市では6~7割が地元で消費される。
地元客⇒近隣住民⇒観光客という順で消費される構造に
なってなければならない。
地元になじみがないものを新名物だといっても、なかなかそれを共有できない。

エ 地元の人が地元で消費するから地元が潤う
オ 飲食店だけでない、地元のみんなで応援するから、地元愛が高まる。

2006年。
八戸の木村さんの発案で、B-1グランプリが始まる。
場所は八戸市。参加団体は10団体。来場者は1万7千人。
その翌年、富士宮市開催で一気にブレイクした。
参加21団体で来場者は25万人を超えた。
2011年には、63団体51万5000人が来場している。

これだけ規模が大きくなっても、B-1グランプリの基本姿勢は変わらない。

1 B-1グランプリとは、各地域で再発見された地元食による「和の力」のコンテスト
2 B-1グランプリとは、直接樹液を目論む飲食店だけでの参加は認められない
3 B-1グランプリで利益より大切なものは、参加全地域の「共益の場」となること

徹底的に貫かれているのは、町そのものとして、お客さんと向き合うということである。

なるほど。
ご当地B級グルメ作りブームを
新潟県も経験してひと段落しているが、
その前に読んでほしい文章であった。

どこかの飲食店数軒が急に「B級グルメ」を開発して、新名物を名乗っても、
その店が儲かるだけだから、ご当地の子どもからお年寄りまでが
愛せるものにはならなくて、ビジネスとしては仮に成り立っていても、
みんなから愛されないブランドになってしまう。

愛Bリーグの俵慎一さんは言う。

「誰かひとりではなく、
みんなが次から次へと主役になり出すんですよ。
今回のあいつのアイデアがおもしろかったとか、
だったら次自分はこうやろうとか。

自分たちで勝手に、
主体的に考えられる人間が出てくる。
その感じが「人おこし」であり、「人づくり」なんですよ。」

いいなあ。
場があるってことはきっとそういうことなんだろうなあと思った。
そしてそれがソーシャルエコノミーを回していくことにつながっていく。
ツルハシブックスの運営に役立つ素敵なヒントを頂きました。

これについて、みんなと話してみたいなあ。  

Posted by ニシダタクジ at 07:52Comments(0)学び

2015年01月15日

敗北ではなく、機会が広がっているだけだ。

敗北感は必要だと思う。
特に男性にとっては、新しい自分になる
チャンスだったように思う。

しかし。
そもそも敗北など存在するのだろうか?

多くの学校では、
キャリアデザイン(目標設定・達成)型のキャリア教育
を行っている。

つまり、将来の目標を決めて、
そこに向かって努力をしなさい、というものだ。

そのモチベーションはすごく大切だとは思うけど、
方法論としては、メリットだけではないだろう。

重要なのは、
それが唯一のキャリア形成方法ではない、ということだと思う。

目標設定・達成だけがキャリアの形成方法だとしたら、
その目標を達成できなかったときは、
どのようにすればいいのか、
あらたな目標を再設定するのか?
それとも、自分は目標を達成できない、努力のできない人間だと自分を卑下すればいいのか。

そう。
大学入試や就職活動で、目標を達成できなかったときに、
自分はダメだと敗北感を感じてしまう。

そこにどんな意味があるのだろうか?

そして、そもそも、それは本当に敗北なのだろうか?

僕は大学生の時に、
小林正観さんの講演を聞いた。
今でも印象に残っているのは、
般若心経の「色即是空 空即是色」の解釈についてのこと。

「出来事はすべて「空」であり、そこに「色」をつけるのは自分だ」
つまり、
「物事にプラスもマイナスもない、そう思う自分がいるだけ。」
な、なるほど、と思った。

その前に、福島正伸さんのところにいた
宇治川一清さんの講演を聞いていて、
「プラス受信~なるほど、チャンスだ、ありがたい」

自分の前にピンチが来たとき、まずは、
「なるほど」:受容的・客観的にとらえる。
「チャンスだ」:機会的にとらえる。
「ありがたい」:感謝的にとらえる。

というのが経営者の姿勢だと聞いていたので、
何とも言えない納得感があった。

いま。
15年の時を経て、
その言葉は熱く蘇る。

敗北ではなく、機会が広がっているだけだ。

受験失敗も、
就職が決まらないことも、
3年持たずに退職することも、
単なる機会に過ぎない。

なぜなら、僕たちは予測不可能な社会を生きていて、
内定していた一流(だと言われていた)証券会社が突然倒産した
山一證券の話を出すまでもなく、
そのことが、プラスに働くか、マイナスに働くか、は
長い目でみないと分からない。

ただひとつ。
言えることは、そこには機会が広がっているということだ。

大学受験に失敗して、
考えてもいなかった土地にいま、住むことになった。

そこには大きな可能性が広がっている。
同級生との出会い、地域の人との出会い。
新しいプロジェクトとの出会い。
そんな貴重な機会をつかまなくて、本当にいいんですか?

敗北などない。
そこには広大な機会が広がっているだけだ。  

Posted by ニシダタクジ at 07:09Comments(0)日記

2015年01月14日

デザインでしか解決しない

世の中の課題は山積している。
そして、予算も限られている。

ひとつひとつに対して、
正面から取り組んでも解決しない。
デザインの力が必要だ。

組み合わせて、解決する。
組み合わせることでワクワクする。

この商売を通じて、
このイベントを通じて、
どんな課題が「思いがけず」解決するのかどうか?

そこにデザインの魅力がある。

デザイン思考。
大学生の時に身についているといいなあ。  

Posted by ニシダタクジ at 07:58Comments(0)日記

2015年01月13日

文化を創る、というのはひとりを幸せにすること

「もし、僕たちが文化を創っているとしたら?」

これは、これからの働き方を考える上での
もっとも重要な質問のうちのひとつだろうと思う。




昨日は
サンクチュアリ出版金子さんとのトークライブ。

めちゃめちゃ面白くて、
13人もお客さんが入り、本屋はあふれた。

金子さんは、
話題作「遺書」の出版の話を通じて、
出版の醍醐味を語ってくれた。

誰かが、この本を必要としている。

そんな信念で作った本。
それはたったひとりに届いたとき、
2年間の苦労がすべて報われた気がした。

そう。
きっと「文化を創る」ってそういうこと。
たったひとりに伝わるっていうこと。

それは、
出版社という一見文化度が高そうな仕事に
限られることではなく、

本屋でも、米屋でも同じだ。

なぜなら、昨日のブログのように、
世の中は劇場だから。
ひとりひとりは観客であり、共演者であるのだから。

たったひとりの心を動かす。

きっとその積み重ねが
「文化を創る」ということになるのだろう。

そこで重要になってくるのは、やはり、
「誰のために頑張りたいのか?」
というお客の設定だ。

金子さんが、大学生のとき、
僕たちの本を読んで、自殺を考えている人が
少しでも踏みとどまってくれたら。
と「遺書」という本をつくったように。

届けたい誰かのために、
全力で目の前の仕事に向き合うということ。

そういうことなんだろうなあ。
昨日は南須原芽衣ちゃんと友達の屋台の日でもありました。


部活を辞めて、これからどうしようって
思っていた時に入った、ちょっと変わった小さな本屋。

「屋台で何か売ってみないか?」
と声を掛けられて、やってみた。
これが楽しかった。

そして屋台をやることで知り合いができ、
学校以外の「第三の空間」を手に入れる。

そうそう。
僕は芽衣ちゃんのために、本屋を始めたんです。
って思える誰かに出会えるということ。

きっとそこから、
新しい「文化」と呼べるような何かが始まっていくと思う。

3連休は、
たくさんのイベントがありましたら、
その裏で米屋チームのミーティングも
やっていました。

東京、茨城、鹿児島から
集まった3人の大学生たち。

新しい米屋とはなんだろう?
ひとりを幸せにする米屋とはなんだろう?

もし、僕たちが文化を創っているとしたら、
それはどんな文化なのだろう?


3ショットがなくて残念ですが、2人の書初めをどうぞ。

ツルハシブックスを応援したい!と思う
あなたの参画をお待ちしています。
http://tsuruhashi.skr.jp/kifu  

Posted by ニシダタクジ at 07:52Comments(0)日記

2015年01月12日

日常と演劇のあいだ~予測不可能という自由


劇作家の岸井大輔さんがツルハシブックスに登場。

非常に面白い話をたくさん聞いた。
以下メモ。

・江戸時代に演出家はいない。
・明治以降に、書物を劇化するときに初めて演出家が登場する。
・ヨーロッパの演劇と日本の能では主人公の性格が違う。
・ヨーロッパでは主体をもった人が出来事に巻き込まれて責任を取る(死ぬ)お芝居が多い
・日本では主人公は不満を持ったクレーマーで、それを言うだけ言って、成仏するみたいな感じ。
・ワークショップ、ファシリテーションはもともと演劇用語
・会社を評価するときに、「カッコイイ、おもしろい」とか言うのは、演劇的に見ているということ。
・舞台に立つ=好きなことをやる。俳優とは、好きなことをやっている人のこと。
・世の中を演劇的に見る。⇒田舎の会議でクレームを言う人に、演劇的にツッコミを入れてみる。「マジメか!」
・「ものをつくる」「コミュニケーションする」「食う」が人間の基本なのだが、今は「食う」だけが大切な社会
・おいしい食べ物を人にあげたくなるのは、人間だけ。
・人は目的を達成する(=死ぬ)ために生きているのではなく、始めるために生きている。
・だから、無目的にいる場所が大切。
・演劇はインスピレーション。
・いい演劇は思いついてすぐに動く即興演劇。
・予測不可能という自由
・みせ=見世(世間とコミュニケーションする)≠店(屋根の下に占い師がいる)
・なんで演劇は不自由なのか?
・絵画や音楽は自由になった。平面に色を落としたものが絵画である。音はすべて音楽である。
・否定が起こらない「ブレーンストーミング」がずっと続いている状態=いい演劇

と。
もうキリがないほどメモをとったわけですけど。
一番感じたことは、
「ツルハシブックス劇団員」っていうのは、
すごいネーミングだな、と。

岸井さんの言う、いい演劇の条件を
すべて満たしていた。

いい演劇とは、
ひとりひとりがやりたいことをやっていて、
しかも、それをやれているのは、まわりのみんなのおかげだと思っている状態のこと
それを外から見ると、いい演劇に見えるのだという。

ツルハシブックスは、
本屋として最前線にいると思っていたけれど、(思い込み)
実は、演劇としても最前線にいるんだなあと。

そして僕自身は、世界を
「コミュニケーション」の場だととらえていて、
だからそのコミュニケーションをデザインしようとしていて、

今井さんはそれをものをつくることで
表現しようとしているのだなあ。

なんか、すごい夜でした。
自分自身がなぜ、こんな足跡を残してきたのか、
そして、これからどこへ向かっていくのか?
に自信が持てた夜となりました。

ツルハシブックスが目指しているのは、
日常と演劇のあいだ。

予測不可能という自由の中で、
ひとりひとりが即興で演じている。

そんな空間を
ツルハシブックス店内だけではなく、
自分のまわりに実現していく人たち。
それをツルハシブックス劇団員と呼ぶのだと思いました。

ひとりひとりが劇団員であるような社会は
とっても楽しい社会だなあと思います。

ツルハシブックスでは、
一緒に劇場をつくってくれるみんなを募集しています。

「本の寄贈・寄付をする」
http://tsuruhashi.skr.jp/kifu

「劇団員募集」(2015年3月1日から第2期募集します)
http://tsuruhashi.skr.jp/boshu

みなさんがこの即興劇の舞台づくりに参画することを
心からお待ちしています。  

Posted by ニシダタクジ at 06:27Comments(0)学び