プロフィール
ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 105人
オーナーへメッセージ

2015年02月02日

「コミュニケーション・デザイン」で地域が動く

昨日は茨城県水戸生涯学習センター主催の
ネットワークフォーラム2015に参加。

あの「つくらないデザイン」坂倉さんが来ていたので、
第一分科会「成長する『仕掛け』を創る~学びを地域に活かす講座にするには?」に
参加してきました。



坂倉さんの発表は、
慶応大学と港区芝地区総合支所の連携による
コミュニティ活性化のための人財育成事業。
「ご近所イノベータ養成講座」のこと。

わずか10分の発表でしたが、
エッセンス満載。
やっぱりすごいや。

まず、受講生は20名限定。
57名の応募があり、書類選考だけではなく
面接選考も行う。

約4か月、13回の講座。(合宿もある)
参加者は20歳代から60歳代まで。

講座の特徴
・やりたいことを地域につなげる:その人の想いから出発する
・あたりまえのものはつまらない:システム×デザイン思考による発明的思考
・受講者の選考とケア:ひとりひとりが生き生きとすることが地域の活性化
・ネーミングなどのコミュニケーションデザイン:どんな人を巻き込みたいのか?
・事務局の遊び心:真剣に遊ぶ事務局がグループに作用する

「ご近所イノベーション」
イノベーション:新たな要素の結合や技術活用により、
社会に大きな変化をもたらす価値創造

ご近所イノベーション:
「自分のやりたいこと」を「地域につなげる」ことで、
暮らし方やコミュニティの関係、幸せのかたちが
少しずつ変革していく活動を「ご近所イノベーション」と名付ける。

「東京」なのに、「ローカル」:人口3万人の小さな地域づくり。
「課題解決」から「価値創造」:やりたいことをまちにつなげる。
「実践」を通じたつながりの創出:地域に信頼できる仲間を増やす

ご近所イノベータとは?
「自分の想いを実現しながら、地域生活に豊かさと幸せを生み出す次世代のまちの担い手。
まちに暮らす一人の人間として主体的な活動を起こし、地域のネットワークや
創造的課題解決の風土を育む、地域の〈人財〉」

学習テーマ:やりたいことをまちにつなげる
1 自分の〈持ち味〉を知る:自分に向き合う機会
2 地域に〈仲間〉を増やす:ネットワークづくり
3 〈経験〉と〈スキル〉を育む:プロジェクト型講座
4 地域の〈見方〉を養う:徹底したディスカッション

プログラム
1 導入:受講者同士のチームビルディング
2 講義とディスカッションによる地域課題の理解
3 「芝の家」などによるコミュニティ体験
4 グループによる地域活動の企画と実践
5 まとめ:シンポジウムでの発表と修了式

とまあ、こんな感じ。

いちばんすごいと思ったのは、
行政の企画で、20名限定を徹底していること。

57名も応募されたら、ふつうは
30名くらいにしますか?
みたいな妥協が起こる。

しかし。
20名と30名では、場の空気が大きく変わってくる。

よく陥りがちではあるのだが、
この講座の成果は、
ネットワークを築きながら主体的に行動する個人を生むことであって、
講座の受講人数と、その成果物(レポートや発表会)ではない。

ついつい、行政マンマインドとして、「よい報告書が書きたい」
と思ってしまうが、そこで目的や成果を見失わないこと。

これは言われてみれば当たり前のことなのだが、
すごく難しいことだと思う。
(新潟でそんな現場を大量に見てきた)

だから、ご近所イノベータ講座は新しいのである。

想いをカタチにしていくには、
実現させるためのデザインと実効力が必要。

ソーシャルイノベーション生起の条件
・自らの関心と想い(マインド)
・独創的な事業手法(ツール)
・具体的展開を通じた人と社会への働きかけ(スキル)

これまでになかったアイデアが
これまでと違う巻き込み力を生む。

・やりたいこと×社会によいことを考える!
・手段を具体的にデザインする!
・想いを話す!
・場や仲間とつながる!
・常識にとらわれない!
・とにかくやってみる!

を通じて、現在からこうなったらいいな、を実現する。

「あたりまえのことは、人の心を動かさない。
つまり、あたりまえのことだけでは、社会は変わらない。」

最後にご近所イノベータ養成講座のポイントを整理する。

まずは上にも書いたけど
受講者を選考していること。

選考基準は基本ポイントとして
・活動力・・・主体的にやりたいことに取り組める人か
・地域性・・・港区/芝地区にメリットをもたらしてくれそうか
・協調性・・・多様性や協調性などグループに貢献してくれそうか

あとおもしろかったのが予感ポイント
・人生・・・この講座に参加することで、人生が変わりそうか
・出会い・・・誰かに出会うことで、その人の持ち味が花開きそうか
・共感・・・やりたいことに共感できるか、応援したいと感じられるか

これら6つのポイントで選考されたそうだ。

そして何よりも重要だと思ったのは、
やはり坂倉先生から生み出される
「コミュニケーション・デザイン」マジックだなあと。

まず募集方法

1 メディアの再考
通常やっている「区報」ばかりではなく、
フェイスブックページなどのSNSを活用したこと。
ほかのワークショップなどでの告知をした。
潜在的に関心を持つ方法にアプローチする方法を考えた。

そして

2 ネーミングやデザイン
しかも「イノベータ」ですからね。ちょっと年配の人には難しい。
漢字の〇〇講座で、「区報」でばかりアナウンスしているから、
「ちょっと暇なので学ぼうか?」みたいな年配の方(失礼)ばかり来ちゃう。
区役所内でのウケは悪かったという。(笑)。でも誰に届けたいのか?が重要。

最後に

3 学びの場としての人財育成事業
「地域のために人を育てる」ではなくて、
「講座に参加すると、人生が豊かになる学びが期待できますよ」
という価値のつくり方、伝え方が重要

さらに

4 ウェブで申し込み受付
あとからつながっていけるためにも
ウェブを使える人を集めたい。
これは結構大変だったようで、港区は通常NGで慶応大学のプライバシーポリシーを
適用することで承認されたという。

このような講座の設計になっていたのだという。
いやあ、面白い。

最後のスライドは、
忘れがちだがもっとも重要なのは、
「事務局の遊びごころ」だということを強調されていた。

真剣に遊ぶ事務局がグループ、参加者に影響を与える。
「遊べる大人」が地域に風を通し、新しい価値や感性を吹き込んでいく。

ご近所イノベーション学校は、
これからも受講者と一緒に遊べる学校であり続けたい。

いやあ、熱い。
熱いっす。

あり続けたいっていいなあ。
「ゆふいんの森」以来のフレーズ。
素晴らしい講座でした。

講座内での僕のメモを最後につけておきます。

・2か月はコミュニケーションデザインに徹する
・まずは聞く練習。Yes,andをひたすらやる
・当事者を増やすこと、そこに向かって講座はどうあるべきか
・アイデア:外国人ガイドによる港区まち歩き
・やりたいこと×地域に役立つこと
・通常の呼称ではない呼び名をつけることで意識のイノベーションの入り口になる
・企画が実現するとしたら、それはいいアイデアや企画が出たからではなく、心を開いて話し合う関係性を築いたから。
・なんちゃってプレーパークから始めてみる。
・ちゃんとやろうとしないこと。
・ユニークな子どもほど遊び場では重宝される。
・冒険遊び場での遊びには、目標はない。だから楽しい。感性を大切に、やりたいことをやるのです。

こんな感じで
2月は熱い学びの場からスタートしました。  

Posted by ニシダタクジ at 08:01Comments(0)学び