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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年02月07日

世界観を売る

高校の同級生、吉川くん(東京在住)のリクエストに応えて、
【今月の1冊】とか【今月の3冊】とか
セレクト本を売るのを始めてみようかと思っています。

もちろん、アマゾンで買えば送料無料で、
ツルハシブックスで買うと、送料300円がかかってしまいますけど。
そこを経済合理性で動く人だけじゃないでしょう。
ツルハシブックスで買うほうが圧倒的にパワーがありますよ。

アマゾンで買うなんて。。。
ダサい。
効率が最も大切なんて・・・
(うそです。ごめんなさい。)

【今月の1冊】

「心の時代にモノを売る方法」(小阪裕司 角川oneテーマ21)

通販サイトはこちらから。
http://tsuruhashi.theshop.jp/items/1120166

2012年11月に発売された1冊。
まったく色褪せることなく、胸に迫る1冊。

山崎亮さんにも
ツルハシブックスでお買い求めいただきました。


(写真は山崎亮、寄付侍になる、の図。)

ホントは前半の経済の起源のところ。
「生産と分配の経済」と「贈与と交換の経済」
という経済の系統の話を読んでほしいのですが、

http://hero.niiblo.jp/e386148.html
「200年隠れていた贈与と交換の経済」

今日は、このエッセンスを言っちゃっていいのかな、
っていうくらいの予言のところ。

第5章 ビジネスの姿が変わる三つの潮流

潮流1「業種分類は消滅する」

従来のビジネスの分類から見て、(お客さんから見ても)
何屋かわからない店や会社がこれから続々と現れることだ。

レストランに間違えられる美容院、
カフェと間違われる寝具店、などだ。

小阪先生はとある美容院向けの業界誌のプロジェクトでこう言った。
「おそらく十年後、もしかすると五年後ぐらいには
『そういえば、昔、美容院と呼ばれた業種があってね』
という時代になるでしょう。」
そしてこう続ける。やや大げさな物言いではあるが、本気だ。

いいねえ。おもしろい。

ビジネスを、主に取り扱っている商品・サービスの種類で
分類する発想は、工業社会のものである。
酒を売っているので「酒屋」美容サービスを提供するので美容院・・・
こうした分類は徐々に過去のものとなるだろう。

たとえばヴィレッジヴァンガードのように、
本屋のようでなんでも売っているような、
「ヴィレッジヴァンガード屋」というようなものになっていくだろう。

その基軸は、「世界観」を売るということだ。
作り手や売り手が自分なりの考え、哲学、大切にしているものを
表現するということだ。

かつて、小阪先生自身が
「ライフスタイル提案型」とした、
布団や雑貨を売るのではない、新しい暮らしを提案する、
というよりももっと強くて、
「これこそが心の豊かな生き方、暮らし方です」
と伝えたい・教えたい世界を伝えるというのが真意なのだ。

その世界がきちんと表現されるように構成物を揃え、
具現化する。その姿・形が店なのだ。

したがって、そこで販売されるものは、
たとえそれを営む方々が寝具店であれ、
寝具だけに限らず、目に優しい照明器具や、
心を鎮めるCDを売ることになる。

しかし、それを多くの人は、
それを、「いろんな雑貨が売っている寝具店」
だと認識するし、同業者は、「じゃあ、雑貨も一緒に売ったらいいのか?」
とか、CDも置いてみようかな、みたいな真似をしてみる。

しかし、そこには世界観はない。
だから、継続しないのだと小阪先生は言う。

世界観を売ろうとするとき、
なぜ、そういう世界観になったのか?と問えば、
そこには作り手や売り手の物語が存在する。

そのような物語が顧客の心を動かし、
リピーターとなり、ファンをつくるのだ。
「物語があると売れる」といって、
物語をねつ造すればいいというものではない。

潮流2 「多くは教育産業となる」

小阪さんは小売業を営む人に
「月謝をとることを考えてはどうか?」
と投げかける。

たとえば、ワインを売っている人に
ワインの販売をやめて、月謝制にする、
つまり、毎月5,000円を払って、
1本のワインが届くというようなサービスをしてはどうか?

と投げかける。
そこでは表面的にはワインならワインが届き、
対価が支払われるのだが、実際に売っているものは、
心の豊かさ、その体験なのだ。

ひとつ、事例で取り上げられているのが、
新聞販売店が焼きたてのパンを届ける、というコトリ・カフェ。

「優雅な朝を届ける」をコンセプトにした
同サービスは細部にもとことんこだわり、
配達車両や配達員のユニフォームまで気を配っている。

信念をもって、「こういう朝が優雅だよ」と
教えているということであり、
それを顧客らが体験できるようデザインし、
商品やサービスで具現化しているということでもある。

その代わりに月謝を取っていると見ることも
できるのである。

潮流3 「社交サロンは隆盛する。」

三つ目は少なからぬビジネスが社交サロン化していく
であろうことである。

社交サロンに必要なのは遊び心だ。
堅苦しくないことが大切だ。
そして、作法があるということも大切だ。

そのサロンが嬉しさに満ち溢れていればいるほど、
顧客は繰り返しそこに通い、
そこにコミュニティが生まれる。
そしてそれこそが顧客の求めているものだったりするのだ。

と、
こんな感じで、第5章だけ取り出しても、
書くことがいっぱいで、溢れてしまう。

あらためて、ツルハシブックスは
いい線いっているなあと思う。

どんな世界観を売っていくのだろうか?
まずはそこから再出発してみようと思う。

ということで今月の1冊でした。  

Posted by ニシダタクジ at 08:59Comments(0)

2015年02月06日

人は常に天職とともにある。

買い戻してしまいました。
小阪裕司先生の傑作。


「天職の作法」「冒険の作法」(小阪裕司 大和書房 絶版)

ちょっと時代的には
早すぎたのかもしれません。

今こそ、熱い感動を持って
読み進められる1冊です。
熱いですよ、2冊とも。
まったく科学的ではないところが好きです。

僕はこの本を読んで、
それを解明したいと思います。

クランボルツ博士の
「計画された偶発性理論」と
ドゥエック博士の
「Growth Mindset と Fixed Mindset理論」

を合わせれば、説明できるような気がするんですよね。

「人は常に、自分を開花させるエネルギーとともにある。
そしてそのエネルギーとともに、開花の道を歩くことが、
天職を生きるということなのです。
つまり人は常に、天職とともにあると。
だから天職は探してはならないのです。」

「天職はあなたの外に、どこか他のところに「ある」ものではない。
天職への道、開花の道は、いつもあなたとともに「ある」のです。」

「開花のエネルギー、これはありとあらゆる人に備わっている、
根源的なものでいて、なおかつ、止めることはできない。」

素敵ですね。
素敵です。

そんな人生を歩みたいと心から思うし、
そんな人生がいいなあと思います。

人は常に天職とともにある。

小阪先生、僕の職業人としての原点です。
ありがとうございます。  

Posted by ニシダタクジ at 09:10Comments(0)

2015年02月05日

キャリアは運命ではなく習慣がつくる

ツルハシブックスのない暮らし。

というか、
セレクト本屋のない暮らしはさびしい。

ああ。
家の近くに往来堂書店か井戸書店かブックスキューブリックか
nabo.かスタンダードブックストアがあったらなあ。(欲張り)
バリューブックスと連携して古本屋を始めたいなあ。
とまあ、そんな感じ。

仕方ないので、ブックオフに行きます。
今週は2店舗も行ってしまいました。

でも買うのはやっぱりこっち系なんですよね。


「働くひとのためのキャリア・デザイン」(金井壽宏 PHP新書)


「キャリア常識の嘘」(高橋俊介・金井壽宏 朝日新聞社)

そんなんばっかりだ。
あと、小阪裕司先生の「天職の作法」をGET。
アマゾンで「冒険の作法」も買ったので。
ロマンチックなやつもいいなあと思って。

さて。
高橋・金井コンビは日本のキャリア論に
敢然と異を唱えているのだけど、
どうして、世の中はそんな風に変わっていかないのでしょうか。

僕は、
教育システム上の問題が大きいと思います。

目標設定・達成のプロセスじゃないと
「他者評価」ができない。
つまり、教育的な指導ができないからじゃないかなあと思います。
「いろいろやって、キャリア・ドリフトしてるんで、大丈夫です。」
じゃ、評価不能ですからねえ。

あとは、家電を売るためですね。
夢を持たないと、東京や都会に出て行かなくて、
一人暮らししなくて、家電が売れないから。
これも大きな要因だと思います。
日本社会の工業化と一体となったキャリア教育だったような。

高橋さんの所属していた(この本を書いた当時)
慶應義塾大学キャリア・リソース・ラボラトリーの調査によると、
キャリアの充実感や仕事のやりがいと強い相関関係がある
10の思考・行動特性は以下のようだと言います。

1 自分の価値観やポリシーを持って仕事に取り組む
2 社会の変化やビジネスの動向に対し、自分なりの見解を持つ
3 部署・チームの枠に囚われず、積極的に周囲の人を巻き込む
4 従来の延長上ではなく、常に新しい発想で取り組む
5 仕事の満足度を高めることを意識する
6 新しいネットワークづくりを怠らない
7 ネットワークの構成員のニーズを把握し、応える
8 自分の問題意識や考えを、社内外のキーパーソンと共有する
9 スキル開発のアクションプランを持つ
10 スキル・能力開発のための自己投資をする。

これらを高橋さんは
「キャリアコンピタンシー」と呼ぶ。
これらを無意識にやる状態にもっていくことが
とても重要なのだという。

このほうが5年後10年後の目標を設定して
合目的的に逆算して行動することにこだわるより
キャリア形成によほど効果的なのである。

スタンフォード大学のクランボルツ博士は、
「計画された偶発性理論」、
つまりキャリアは予期せぬ出来事(偶然)の連続によって形成されると
言っているが、

それは、行き当たりばったりでいいということではなくて、
ふだんから、このようなキャリアコンピテンシーを
習慣づけておくことも同時に大切なのだと言う。

たしかに
自分の問題意識を社内外の人に話したりするのは
すごく大切なように思う。

「働くひとのためのキャリア・デザイン」
の中では、金井先生が「キャリアドリフト」という
言葉を使っている。

そしてドリフト(=漂流)には、
推進力や威力というパワーにかかわる意味や、
話の骨子・趣旨という意味もあるそうだ。

キャリアデザイン・キャリアドリフト
それぞれにパワーがあり、
表裏一体となって、キャリアを形成していくのが
望ましいという。

僕もまったくの同意見だ。
そしてとくに、大学の1年次2年次においては、
思いっきりドリフトしてみるのがいいと僕は思っている。

ドリフトしながら感性や直感を磨く。
それが将来にわたっての財産にきっとなっていくと思う。

いろいろと読み進めてみたい本がたくさんで幸せです。  

Posted by ニシダタクジ at 05:20Comments(0)

2015年02月04日

「就職」活動より「就社」活動

「就社ではなく就職である」
就職活動中の学生に送る定番メッセージ。

大企業やCMで聞いたことのあるような、
会社名で決めるんじゃなくて、
ちゃんと自分の将来キャリアを考えて、
仕事選びをしろ、という意味で使われることが多い。


「自分らしいキャリアのつくり方」(高橋俊介 PHP新書)

の高橋さんによれば、
これは明らかな誤解だという。

~~~ここから一部引用

もちろん、
自分がどんな職業に向いているかを
考えるのは、学生の場合、
それが思い込みの域を出ないとしても、
自分自身を理解する意味では十分に意味があると言えるだろう。

しかし、同一業界であっても、会社によって
企業風土や文化、あるいは事業ビジョンや戦略
などは決して同じではない。

つまり、働く環境やそこで築けるキャリアも、
会社ごとに違ってくると考えたほうがいいのである。

アメリカのサウスウエスト航空は
ユニークな会社として知られているが、
この会社では、お客さんを楽しませる能力が
もっとも重要視されているのである。

サウスウエスト航空では、
いまやっている仕事が合わないと
思えば、同じ社内で別の職場に異動することができる。

しかも会社は「1日体験デー」という、ほかの職場の
業務を実際に体験できる日を設けて、
積極的に支援しているのである。

なぜならば、
サウスウエスト航空では、
職種適性よりも会社適性が大事なので
誰かを楽しませたいという会社の求める能力を
もっているなら、働きやすい職場で長く頑張ってもらったほうがいいとの
考え方に立っているからだ。

(中略)

このように会社は千差万別なので、
単純に業界や業種だけで会社選びをするのは
実はたいへん危険なのだ。

むしろ就職活動で大事なのは、
足で稼ぐ定性情報のほうである。

興味のある会社があれば、
実際にその会社を訪問し、自分の目で職場を見る。
あるいはそこで働いている人に話を聞いてみる。
同業他社の人にヒアリングしてみる。
ネットで評判を検索してみる。
その会社で働く自分をイメージし、どんな気分になるかで判断するのだ。

また、こういうことは
感情予測機能が優れている人ほどうまくできるので、
学生時代は役に立ちそうな資格を取得してリスク回避をしようと
考えるより、さまざまな経験をして教養を高め、
感情や直感を磨いていくことが大切なのである。

~~~ここまで一部引用

うーん、いいねえ。
高橋先生。
おっしゃる通りですなあ。

終身雇用の時代が終わった。

おそらくは特殊な技能や資格を必要とする仕事や
プロスポーツ選手や芸能人などのエンターテイメント系、
もしくは財閥系などの超一流企業に入社する人以外は、

「どうせ転職する」と考えていたほうがいいし、
本人だってそう感じているだろう。

「一生を御社のために尽くします。」
などと口では言っているかもしれないけど、
その「御社」はあと何年存在し続けるか定かではない。

つまり、「どうせ転職」するのである。
転職する前提で考えてみると、

特に文系の仕事’(オフィスワーク)の場合、
問題となってくるのが、
「スキルがたまっていかない」ということだ。

もちろん知識は増えていくだろうが、
同じ業界だとしても、会社によってやり方が違うので、
必要とされるスキルは変わってくるのがふつうである。

そうだとすれば、自分の適性を考え、適職を探り、
その後、業界研究をして、
自分の受かりそうな会社とチャレンジしたい会社を受けていく、
みたいな受験勉強の延長線上のような就職活動で
本当にいい就職ができるのだろうか。

高橋さんの言うように、
「就職」活動より「就社」活動、
つまり、この会社の雰囲気は私に会いそうだ、とか
この社長の理念には賛同できる、とか、
コーヒーの趣味が一緒だ、とか(それは極端かも)

そういう相性で就職を決めたほうが
かえって、充実した仕事ライフになるのではないか。

そのためには、
高橋さんも言っているように、
感性と直感力を磨いていくことがとても大切だ。

そうそう。
そのためには、たくさんの人に会い、
たくさんの活動をして、
場数を踏んでいくことが何よりも必要だと思う。

1年生のときから
地域で何かチャレンジしてみる、
何かNPOに所属してみる、
インターンシップをしてみる、

というような「やってみる」ことが
とても大切になっていく。

そうやって、感性と
「やればできるかもしれない」という
成長思考を手に入れることが
大学生の就職にとって、もっとも大切なことなのではないかと僕は思います。
  

Posted by ニシダタクジ at 06:54Comments(0)就職

2015年02月03日

美味しい魚料理をつくるには?

「夢を持て」というメッセージが
仮に子どもたちの心にダメージを
与えているとしたら、
それはいったい何のためのメッセージなのだろうか?

「将来のため」に必要なダメージ
なのだろうか?

テレビニュースがこんなにも絶望に
満ち溢れているのに、
「あなたの夢はなんですか?」
とシレッと聞ける大人って大丈夫か?と思う。

その前にあなたは自分の夢は何か、
明確に答えられるのか?と問いたくなる。

そしてさらに不思議なことに、
この「夢を持て」のときに、
題材に出されるのが、プロスポーツ選手の
超一流の選手、いまで言えば本田圭佑なのである。
(昔で言えばイチローや石川遼)

それは科学的なのだろうか?
本田圭佑の再現性はどのくらいなのだろうか?

小学生の早い段階で夢を決定して、
そこに向かってひたむきに努力していくと、
何%の人がワールドカップ日本代表に選ばれるのだろうか?

おそらくは天文学的に(大袈裟。宝くじほどはあると思う。)
低いはずだ。

それなのに、
「だから、あなたも夢を持ちましょう」
と画一的な指導が行われる。

しかも、昔と違って、
その夢の対象となるような職業モデル
(商店街にあるような花屋さんやお菓子屋さんや地域のおじさんおばさん)
に接する機会があまりにも少ない。

そんな中で憧れの対象も持っていない子どもたちに、
「あなたの夢はなんですか?」
と問うことに、どれほどの意味があるのだろうか?

そしてそれはそもそもなんのために
行われるのか?

教育が子どもの幸せを願って、行われているとしたら、
「夢を持つ」という行為はどれほど子どもたちを幸せにしているのか?

あるいは「(いまのところ)夢を持てない」という子どもたちを
どれほど苦しめているのだろうか?
あるいは、その苦しみが成長過程に必要なプロセスなのだろうか?

昨日のブログにも書いたけど、
手段と目的は逆転しやすい。

人財を育成することが目的の講座を作ったはずなのに、
いつの間にか講座の参加人数と報告書が目的となっている。

夢もそうだ。
夢を持つことで、今よりも充実した生活や将来に
なることが目的だったはずなのに、
いつの間にか「夢を持つこと」そのものが目的化している。


高橋俊介さんの「自分らしいキャリアのつくり方」(PHP新書)に、
面白いたとえ話があった。

~~~ここから一部引用

「魚は対面販売で買え」

与えられた知識や情報をベースに計画を立てて、
しかるのちに、その通りに行動を起こすことを「計画と実行の分離」と呼ぶ。
変化が少なく定型化された世界では、このやり方は合理的であり、
効果を発揮することも多い。
工業化社会、産業化社会ではこの方法は有効であった。

たとえるなら鉄道がそうだ。
乗降客、駅のキャパなど、要素を適切に組み合わせて
ダイヤを組み、その通りに動かさなければならない。

一方で航空機や船の場合は違う。
運行計画はもちろんたてるのだが、天候や他の機や船舶の都合もあり、
パイロットや船長の判断で、柔軟に計画を変更することが求められる。

魚料理もそうだ。
肉屋やスーパーにいけば必ず売っているであろう肉を
素材にするのと違い、
季節や、海の時化などによって、予定していた
魚がないことも多い。

そのときに、
商店街の魚屋で、今が旬な魚や料理方法を
聞いたほうが美味しい魚料理ができるはずだ。

ところが今は、魚屋が減り、
一年中スーパーに売っているような
養殖や冷凍の魚ばかりが売れるというような状況になっている。

たしかに、いつでも必ず手に入る魚なら、
事前の計画通り料理をつくることは可能だ。
だが、それは逆に、これだけ水産資源に恵まれている
日本にいながら、市場で流通する魚種が減少し、
特定の魚しか味わうことができないことを意味するのである。

このように「計画と実行の分離」が
その人の可能性を狭めてしまうのは、
キャリアにも当てはまると高橋さんは言う。

日本語には「用意」に対して「卒意」という言葉がある。
お茶の世界では、季節に合わせて、どんな趣のお茶会にするか
を設定し、周到な準備をする。

ところが、当日、春の暖かい日を想定していたのに
季節外れの雪が降ってしまうことがある。
そのときには、庭に積もった雪が見えるような工夫をしたりして
雪をプラスの要素に変えてしまう。それを卒意という。

そんなふうに日本人はその時々の変化に
応じて、柔軟に対応することをよしとする文化を持っているのである。

ならば、
就職や転職においても、
計画どおり実行することにこだわるより、
卒意で対応したらどうだろう?

~~~ここまで一部引用

おもしろい。
美味しい魚料理をつくるには、
計画を立てずに、魚屋で魚を買って、
オススメの調理法で調理すること。
いいなあ。

そしてこの後に続くところに、もうひとつ、
興味深い実験が載っていた。

~~~ここからも一部引用

「意思決定を無理に論理的にしようとすると裏目にでることが多い」

イチゴジャムの実験という有名な実験がある。
高級品から安モノまで、グレードの異なるイチゴジャムを
用意して一般の人にどれがいちばん高級品かを
選んでもらうブラインドテストをしたところ、
かなりの確率で実際の高級品が選ばれたという。

そこでもう一度同じ実験をやってもらうのだが、
今度はなぜそれが最高級品だと思ったのか、
理由も合わせて発表してもらうという条件をつける。
するとまるっきり直感で選んだ1回目よりも
高級品を選ぶ確率が明らかに下がるのだという。

これは論理的に意思決定しなければならないという
プレッシャーが直感に蓋をして、精度を落としてしまうからだと説明できる。

~~~ここまでも一部引用

なるほど。
なので、キャリアも直感を磨いたほうが有効なのではないか
と高橋さんはいう。

だから、「夢を持て」というフレーズは
多く言われている割には、あまり科学的な根拠が
少ないのではないか?と思われる。

何よりも、
日々や将来を充実させる、
という目的のための手段であったはずの夢が、
いつの間にか目的に替わっているという
事態は、なんとかしなきゃなあと思います。  

Posted by ニシダタクジ at 06:39Comments(0)思い

2015年02月02日

「コミュニケーション・デザイン」で地域が動く

昨日は茨城県水戸生涯学習センター主催の
ネットワークフォーラム2015に参加。

あの「つくらないデザイン」坂倉さんが来ていたので、
第一分科会「成長する『仕掛け』を創る~学びを地域に活かす講座にするには?」に
参加してきました。



坂倉さんの発表は、
慶応大学と港区芝地区総合支所の連携による
コミュニティ活性化のための人財育成事業。
「ご近所イノベータ養成講座」のこと。

わずか10分の発表でしたが、
エッセンス満載。
やっぱりすごいや。

まず、受講生は20名限定。
57名の応募があり、書類選考だけではなく
面接選考も行う。

約4か月、13回の講座。(合宿もある)
参加者は20歳代から60歳代まで。

講座の特徴
・やりたいことを地域につなげる:その人の想いから出発する
・あたりまえのものはつまらない:システム×デザイン思考による発明的思考
・受講者の選考とケア:ひとりひとりが生き生きとすることが地域の活性化
・ネーミングなどのコミュニケーションデザイン:どんな人を巻き込みたいのか?
・事務局の遊び心:真剣に遊ぶ事務局がグループに作用する

「ご近所イノベーション」
イノベーション:新たな要素の結合や技術活用により、
社会に大きな変化をもたらす価値創造

ご近所イノベーション:
「自分のやりたいこと」を「地域につなげる」ことで、
暮らし方やコミュニティの関係、幸せのかたちが
少しずつ変革していく活動を「ご近所イノベーション」と名付ける。

「東京」なのに、「ローカル」:人口3万人の小さな地域づくり。
「課題解決」から「価値創造」:やりたいことをまちにつなげる。
「実践」を通じたつながりの創出:地域に信頼できる仲間を増やす

ご近所イノベータとは?
「自分の想いを実現しながら、地域生活に豊かさと幸せを生み出す次世代のまちの担い手。
まちに暮らす一人の人間として主体的な活動を起こし、地域のネットワークや
創造的課題解決の風土を育む、地域の〈人財〉」

学習テーマ:やりたいことをまちにつなげる
1 自分の〈持ち味〉を知る:自分に向き合う機会
2 地域に〈仲間〉を増やす:ネットワークづくり
3 〈経験〉と〈スキル〉を育む:プロジェクト型講座
4 地域の〈見方〉を養う:徹底したディスカッション

プログラム
1 導入:受講者同士のチームビルディング
2 講義とディスカッションによる地域課題の理解
3 「芝の家」などによるコミュニティ体験
4 グループによる地域活動の企画と実践
5 まとめ:シンポジウムでの発表と修了式

とまあ、こんな感じ。

いちばんすごいと思ったのは、
行政の企画で、20名限定を徹底していること。

57名も応募されたら、ふつうは
30名くらいにしますか?
みたいな妥協が起こる。

しかし。
20名と30名では、場の空気が大きく変わってくる。

よく陥りがちではあるのだが、
この講座の成果は、
ネットワークを築きながら主体的に行動する個人を生むことであって、
講座の受講人数と、その成果物(レポートや発表会)ではない。

ついつい、行政マンマインドとして、「よい報告書が書きたい」
と思ってしまうが、そこで目的や成果を見失わないこと。

これは言われてみれば当たり前のことなのだが、
すごく難しいことだと思う。
(新潟でそんな現場を大量に見てきた)

だから、ご近所イノベータ講座は新しいのである。

想いをカタチにしていくには、
実現させるためのデザインと実効力が必要。

ソーシャルイノベーション生起の条件
・自らの関心と想い(マインド)
・独創的な事業手法(ツール)
・具体的展開を通じた人と社会への働きかけ(スキル)

これまでになかったアイデアが
これまでと違う巻き込み力を生む。

・やりたいこと×社会によいことを考える!
・手段を具体的にデザインする!
・想いを話す!
・場や仲間とつながる!
・常識にとらわれない!
・とにかくやってみる!

を通じて、現在からこうなったらいいな、を実現する。

「あたりまえのことは、人の心を動かさない。
つまり、あたりまえのことだけでは、社会は変わらない。」

最後にご近所イノベータ養成講座のポイントを整理する。

まずは上にも書いたけど
受講者を選考していること。

選考基準は基本ポイントとして
・活動力・・・主体的にやりたいことに取り組める人か
・地域性・・・港区/芝地区にメリットをもたらしてくれそうか
・協調性・・・多様性や協調性などグループに貢献してくれそうか

あとおもしろかったのが予感ポイント
・人生・・・この講座に参加することで、人生が変わりそうか
・出会い・・・誰かに出会うことで、その人の持ち味が花開きそうか
・共感・・・やりたいことに共感できるか、応援したいと感じられるか

これら6つのポイントで選考されたそうだ。

そして何よりも重要だと思ったのは、
やはり坂倉先生から生み出される
「コミュニケーション・デザイン」マジックだなあと。

まず募集方法

1 メディアの再考
通常やっている「区報」ばかりではなく、
フェイスブックページなどのSNSを活用したこと。
ほかのワークショップなどでの告知をした。
潜在的に関心を持つ方法にアプローチする方法を考えた。

そして

2 ネーミングやデザイン
しかも「イノベータ」ですからね。ちょっと年配の人には難しい。
漢字の〇〇講座で、「区報」でばかりアナウンスしているから、
「ちょっと暇なので学ぼうか?」みたいな年配の方(失礼)ばかり来ちゃう。
区役所内でのウケは悪かったという。(笑)。でも誰に届けたいのか?が重要。

最後に

3 学びの場としての人財育成事業
「地域のために人を育てる」ではなくて、
「講座に参加すると、人生が豊かになる学びが期待できますよ」
という価値のつくり方、伝え方が重要

さらに

4 ウェブで申し込み受付
あとからつながっていけるためにも
ウェブを使える人を集めたい。
これは結構大変だったようで、港区は通常NGで慶応大学のプライバシーポリシーを
適用することで承認されたという。

このような講座の設計になっていたのだという。
いやあ、面白い。

最後のスライドは、
忘れがちだがもっとも重要なのは、
「事務局の遊びごころ」だということを強調されていた。

真剣に遊ぶ事務局がグループ、参加者に影響を与える。
「遊べる大人」が地域に風を通し、新しい価値や感性を吹き込んでいく。

ご近所イノベーション学校は、
これからも受講者と一緒に遊べる学校であり続けたい。

いやあ、熱い。
熱いっす。

あり続けたいっていいなあ。
「ゆふいんの森」以来のフレーズ。
素晴らしい講座でした。

講座内での僕のメモを最後につけておきます。

・2か月はコミュニケーションデザインに徹する
・まずは聞く練習。Yes,andをひたすらやる
・当事者を増やすこと、そこに向かって講座はどうあるべきか
・アイデア:外国人ガイドによる港区まち歩き
・やりたいこと×地域に役立つこと
・通常の呼称ではない呼び名をつけることで意識のイノベーションの入り口になる
・企画が実現するとしたら、それはいいアイデアや企画が出たからではなく、心を開いて話し合う関係性を築いたから。
・なんちゃってプレーパークから始めてみる。
・ちゃんとやろうとしないこと。
・ユニークな子どもほど遊び場では重宝される。
・冒険遊び場での遊びには、目標はない。だから楽しい。感性を大切に、やりたいことをやるのです。

こんな感じで
2月は熱い学びの場からスタートしました。  

Posted by ニシダタクジ at 08:01Comments(0)学び

2015年02月01日

冒険は巻き込まれることから始まる

世の中のロングセラーと呼ばれる冒険の物語の
スタートの多くは自分の意思とは無関係に
巻き込まれるところから始まっているのだという。

ドラゴンクエスト。
生まれ育った町が何者かに襲われる。
王様に呼ばれる。
「君は勇者だ。」

え?
おれ?
勇者?
なの?

と言っているあいだに
冒険は始まっている。

戦いに次ぐ戦い。
気がついたら、本当に勇者になって、
仲間ができて、旅を続けている。

きっと。
人生ってそんなもんじゃないかなって思う。

巻き込まれることから、
冒険が始まる。

だから、冒険をしたければ、
巻き込まれることだ。

もしかしたら、
大学生にとって、必要なのは、
挑戦ではなく、冒険なのかもね。

あまりにもみんな、
目標設定・達成モデルに
洗脳されているから、

挑戦=チャレンジっていうのは、
高い目標を立てて、
それを達成することだと思っているんじゃないかな。

いや、そもそも
挑戦ってそういうものか。

キャリア・ドリフトは
挑戦よりも冒険を推奨する。

とりあえず飛び込む。
やってみる。
巻き込まれてみる。
冒険のパーティーの一員になってみる。

途中で、やっぱ違うわ。
と思うこともあるだろう。

それはまだ自分の感性が未熟だから。

大丈夫。だんだんと磨かれていく。

「たまたま、学食で隣に座っちゃって。」
みたいにして始まった冒険が、
いつのまにか。

「導かれし者たち」(ドラクエⅣのテーマ)
だと思えるようになってきて、
冒険そのものが楽しくなってくるときがあるかもしれない。

そういう人生って楽しいなあと思う。

だから、もし、若者にきっかけを与えたいのなら、
「巻き込まれちゃう」ような仕掛け、仕組みを
作らなければならない。

挑戦より、冒険。

冒険したいあなたにオススメ書籍2点


「毎日が冒険」(高橋歩 サンクチュアリ出版)


「冒険の作法」(小阪裕司 大和書房 絶版)  

Posted by ニシダタクジ at 08:04Comments(0)日記