プロフィール
ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年04月30日

フォロワーに転換する時

東京・練馬・上石神井の
「暗やみ本屋 ハックツ」
のクラウドファンディングが
1日を残して、目標額に到達しました。
本当にありがとうございます。

今回は本当に厳しい戦いで、
READY FOR?のキュレーターの方から
「残り9日からカウントダウンを開始してください。」と言われ、
達成率13%の段階でカウントダウンを開始しました。

先週末にいろいろなミラクルが起き、
昨日のお昼ごろに目標額に到達しました。

30日間の期間中、
ひたすらなぜやるのか?を
考え、綴ってきました。

と、同時に支援が伸びない原因を
探っていました。

もう、プレイヤーでは無いのかもしれない。
プレイヤーとして世の中から求められていないのかもしれない。
もしかしたら、自分自身が特技を生かして、
サポーターに転換する時を迎えているのかもしれません。

もし、今回のプロジェクトがハックツ企画会議に来ていた
20代の女性3名が立ち上げたものだったとしたら、
おそらくはもっと支援が伸びていたと思われるのです。

僕は「コミュニケーション・デザイナー」として
大きな失敗をしたなあと思ってます。

サポーターに転換する。
そのために使うべき僕の特技は人を巻き込んでいけるところです。
さらにそのためにコンセプトを絞るところです。

このふたつをリーダーとして使うのではなく、
フォロワーとして発揮していくこと。
これが次のステージなのかなあと実感しています。

あるいは、
そういう「フォロワー」がたくさんいる
プロジェクトを作りたいのだと思います。

頼りないけど魅力的なリーダーを立て、
旗となるコンセプトを明確化して、
多数の当事者意識の高いフォロワーを生んでいく。

そんなプロジェクトを作っていくことが
これからのステージなのかもしれません。

自分自身がフォロワーに転換すること。
当事者意識の高いフォロワーを生んでいくこと。
そんなプロジェクト・デザインができるようになりたいと
心から感じた1か月でした。

応援、本当にありがとうございました。  

Posted by ニシダタクジ at 06:20Comments(0)学び

2015年04月29日

ゆるい松下村塾

1か月間の
クラウドファンディング期間。
なぜ、やるのか?
なんのためにやるのか?
誰のためにやるのか?

そんな問いだらけの日々でした。

最後にまた原点に返る。
「ゆるい松下村塾」をやりたいなあと思う。

「日本を変えよう」とか、
「未来を創ろう」とかもいいんだけど、

それよりも、

気がついたら日本が変わっていたような、
未来が創られていたような
そんな空間を作れたらいいなあと思う。

それを仮に
「ゆるい松下村塾」と名付けてみよう。







松下村塾ファンの人はそんなの違うと言うかもしれない。
しかし、僕が松陰先生に学んだ一番大きいことは、
「学びあうことで希望は生み出せる」ということだった。
「希望」とは学びあいの中にある。

そして、その「希望」を必要としているのが
もし中学生高校生だとしたら、
だから、その入り口のハードルを下げることが必要だ。

だから、
「熱い松下村塾」じゃなくて「ゆるい松下村塾」
が必要なんだと思う。

「ツルハシブックス」や「暗やみ本屋ハックツ」は
そんな「ゆるい松下村塾」を目指したいと思います。

クラウドファンディングあと2日です。
https://readyfor.jp/projects/hakkutsu  

Posted by ニシダタクジ at 07:32Comments(0)思い

2015年04月28日

「センス」を育む読書

仕事をするためには、
いや、人生を生きていくためには、
「スキル」と「センス」が必要だ。

これは、働いている人なら、
いや、人生を生きている人なら
誰もがわかっていることだ。

そして、重要なのは、
「センス」は、非言語領域にあるということ。

センスとは、
「考える力」「コミュニケーション力」
など、数値化しにくい領域にある。

他方、スキルは、
「ワードを何分で何文字打てる」
「簿記3級」
「TOEIC何点」
のような数値化が可能だ。

この「スキル」と「センス」のバランスは
とても大切なことなのだが、

「効率化」が最優先された社会の教育では、
「スキル」が重要視されてきた。

それはきっと必然だったのだろう。
短期間に一定レベル以上の人材を
数多く輩出することが必要だった。
そしてそれを測定する必要があった。

ところが。
「スキル」だけを伸ばすということは、
その人個人にとっては、両刃の剣だ。

なぜなら、
「スキル」(言語領域・測定可能領域)を伸ばし、
それが採用の決め手となるということは、
「交換可能な」部品になると同義語だからだ。

おそらく、就職活動をしている、
あるいはこれから就職に向かっていく人の中での
大きな違和感の原因のひとつはここにあるのではないか?

つまり、
企業は「コミュニケーション力」が欲しいと言っている。
しかし、その「コミュニケーション力」は数値化できない。
だから何をどう鍛えたらよいのか分からない。
つまり「非言語領域・測定不可能領域」の力を
どうやって伸ばしたらよいのかわからない。

仕方なく、言語領域の資格(公務員試験含む)や
英語の勉強をすることになる。

しかし。
企業が必要としているのはおそらくは「センス」(=非言語領域)だ。

だからこそ、就職試験は面接を何度も繰り返すのだ。
面接の中で、非言語領域の何かを測ろうとしているのだ。

もし、言語領域のことだけで就職が決まるのなら
筆記試験だけをすればよいのだから。

では問題は、
どうやって言語化・数値化できない「センス」を磨くのか?
ということ。

僕は次の3つだと考えている。

1 本を読むこと
2 人に会うこと
3 旅をすること

本を読み、人に会い、旅をする。
そんな大学生活を送ってほしいなあと思います。





なんじょう地域デザインセンターの秋本さん、
素敵な時間をありがとうございました!

秋本さんも
READY FOR?の支援者になっていただきました!
あと3日。もう少しで達成です!

https://readyfor.jp/projects/hakkutsu  

Posted by ニシダタクジ at 07:26Comments(0)日記

2015年04月27日

生きるということ、それは営むということ







生きるということ。

それは、営むということ。

いま、目の前に全力を尽くす。

ということ。

生きるということ。

それは生きるとは何か?問いかけること

豊かさとは何か?

問いかけること。

問い続けること。  

Posted by ニシダタクジ at 07:09Comments(0)学び

2015年04月25日

第2の顧客をデザインする

10代に学校以外で教育サービスを提供する。
これがビジネスとして成り立っているのは塾産業だけだ。

ビジネスの基本である、
「受益者負担の原則」
が通用しない世界。

中学生高校生に
地域の大人とのつながりを提供する。
そんな本屋がツルハシブックスだった。

「1円も払わないで居続けることができて、
多様性の中で自分が受け入れられ、
しかも知的で前向きな会話ができる。」

それは、地域(特にある程度田舎の)
の中の商店街の本屋にしかできなくて、
きっとそういう場所を必要としている。

古本コーナーHAKKUTSUは
本を贈ることだけが目的ではない。
ちょっと変わった本との出会いをきっかけに、
新たな出会いが始まっていく。

東京で作ろうとしている
暗やみ本屋ハックツも、きっとそういう場所を
目指していくのだと思う。

しかし。
それを聞くと、
シビアな大人はこう尋ねるだろう?

それはどのような収益モデルなのだ?
と。

1円も払わずに(あるいは少額で)
居続けられる場所を作らなければ、
中学生は来てくれない。
しかし、売上を確保しなければ続けてはいけない。

そこで、第2の顧客という存在が必要になる。
ツルハシブックスで言えば、劇団員。

中高生の居場所をつくるために、月額1,000円を払う。
劇団員証(パスポート)を手に入れる。
手づくりハンコを作り、劇団員同士がそれを交換する。
新しい出会いが生まれる。

これは寄付ではなく、月額1,000円の商品ではないか。

中高生の居場所づくりに参画している、という気持ちと
思いを同じくする友人たちに出会えるために、
月額1,000円を支払う。
それは決して高くはないと思う。

さらに、ツルハシブックスと違い、
10代限定に設定している「暗やみ本屋ハックツ」は、
より多くの賛同者による寄贈本と、
運営のお手伝いが必要になってくる。

現在チャレンジしている
READY FOR?のクラウドファンディングの目的は、
改装費を集めることだけでなく、
多くの賛同者、参画者を集めるということ。

寄付することで、人は応援者になる。
寄付することで、人は参画者になる。
寄付することで、人は当事者になる。

そんな物語の始まりが寄付であると僕は思っている。

中学生高校生に本と地域の大人を届ける。
そんな本屋を一緒につくりませんか?

クラウドファンディング、あと6日です。  

Posted by ニシダタクジ at 07:24Comments(0)日記

2015年04月23日

学びの場のデザイン

「学びたい」と思うのは、
人間の根源的欲求である。
と僕は思っている。

他の動物と比較して、
巨大な頭脳の持ってしまったヒトという種は、
「学ばなければ生きられない」
宿命を負っているといってもいいのかもしれない。

大学時代に、
「いかに楽をして単位を取得するか?」
という思考を持った人は多いだろう。

先輩に単位を取りやすい授業を聞いたり、
誰かに代返(代わりに返事をすること)を頼んだり、
テスト前にノートをコピーさせてもらったり。

「要領よく単位を取る」ほうが
「毎日授業を一番前の席で聞いてノートをカリカリ取る」
よりもスマートなような気がしてしまう。

しかも、専門科目に直結していないような
文系であれば理科系科目とか
理系であれば歴史系科目とか、であればなおさらだ。

「ラクをして単位を取る」ことを
内田樹氏は、「教育がお買いものと同じになった」と言う。

※参考「大学時代の宿題は消費者マインドから卒業すること」
http://hero.niiblo.jp/e296335.html

消費者マインド。
それは、いかにコストをかけずに価値あるものを手に入れるか?
という価値観が重要視される。


「大人のいない国」(内田樹 鷲田清一 文春文庫)
の中に、内田氏のこんな発言がある。

~~~ここから引用

消費によってしか自己表現ができないと信じているからこそこういうメンタリティが生まれるんです。
彼らやあらゆるものを「商品」としてとらえようとしますから、あらゆるものについて「費用対効果」を吟味する。

でも、このマインドは「学び」を動機づけることができない。

「学び」というのは、、
自分がこれから学ぶものの意味や価値がまだわからない。、
だから「学び」を通じて、自分が学んだことの意味と価値を事後的に知る、
という時間の順逆が逆転したかたちの営みだからです。

消費者マインドにはこれが理解できない。
自分がこれから買おうとする商品の価値や有用性を知らないで、
商品を買うという消費者は存在しませんから。

~~~ここまで引用

これが、消費者マインドの怖さだ。
「なんのためにこれを学ぶのか?」
「これを学んで自分にどんなメリットがあるのか?」

を先に考えるとすると、
大学生をたとえにすれば、大学入学時点の段階で、
「自分には有用である」か「有用ではないので単位だけ取れればいい」
という判断をしていることになる。

それはもはや、
「学ぶ人(=学生)」ではなく、「教育サーヴィスを買っている消費者」
となっていることを意味する。

「学びたい。」
その根源的欲求を、育めるような学びの場を
つくっていくことが大切だ。

そこには、
対象者が必要なのかもしれない。
対象地域が必要なのかもしれない。
自分のためではなく、誰かの笑顔が見たいから、学ぶ。

そんな学びのスタートを作ることで、
自分にとってのテーマが見つかるのかもしれない。

「本」や「地域」や「地域の大人」は
そんな学びのスタートのヒントをくれるのかをしれない。
そんな「学びの場」と「学びのきっかけ」をつくっていきたい。  

Posted by ニシダタクジ at 07:44Comments(0)日記

2015年04月22日

自信がなくても行動する方法

「自信がない」

これはちっぽけなように見えて、
大学生や若者世代にとって、
とても深刻な問題だ。

しかしながら、
将来がこれだけ未確定な世の中に生きているのだから、
「自分の将来に自信がある」というほうが特殊だと
と思ったほうがよいのかもしれない。

「自分の将来」というより
「世の中の未来」のほうが未確定すぎて、
その中で自分だけが安定していることなどあり得ない。(笑)

と、まあよく考えればそうなのけど。
それにしても若者世代にとっての
「自信がない」問題は深刻だ。

それが大きく影響するのは、
やはり「就職活動」=就活になってくる。

このときに、
自分にある程度の自信がないと、
「自分がどれだけ会社の役にたてるか?」
を表現できないので、
会社側から見ても当然低い評価になってしまう。

だから、少なくとも、
就活の前までに、
(それは決して就活のためではないけれども)
ある程度の自信をつけておく、というのが大切である。

では、「自信をつける」を本人の立場ではなく、
教育者サイドから見ると、
「自信をつけさせる」ということになる。

そして、現在の教育において、
「自信をつけさせる」方法は、

自己効力感(自信)研究の第一人者
アルバート・バンデューラ博士によると

「制御体験」(≒何かにチャレンジすること)
「代理体験」(≒成功者を見る、話を聞くこと)
「社会的説得」(≒周囲からの励まし)
「生理的感情的コントロール」(≒体の状態をよくすること)

などから自己効力感は向上するという。
そして、主に教育現場においては、
「小さなチャレンジ(制御体験)を繰り返すことで自信がついていく」
という理論が採用されている場合が多い。

ここで。
僕は2006年から大学生と関わってきて、
この理論には、重大な欠陥があることを実感している。

「自信がない人は行動(=チャレンジ)できない」

のである。
したがって、「小さなチャレンジを繰り返すことで、自信をつける」という手法は、
自信のない人には適用不能なのである。

おとといのブログに書いたように、
「自己評価を下げたくないからチャレンジしない」
というのも、これと同じことになるだろう。
だとすると、その若者に自信がつくことはない。

なので、
「自信がなくても行動(=チャレンジ)する方法」を考える。

現時点で僕が思う方法論は2つある。

1つ目が「巻き込まれる」ということ。
今年、新潟大学を卒業して、
福島県庁に入ったHさんは、
1年生の秋に友達に誘われてツルハシブックスにやってきた。

誘われるままに、インターンシップに参加し、
店員サムライになり、多くの時間を過ごした。

そう。
「巻き込まれる」空間が必要なのだ。

ツルハシブックスのテーマは

「気がついたら私も
本屋という舞台の
共演者になっていました」

というもの。
たまたま、本屋に来ただけなのに、
いつの間にか巻き込まれていた。
そんな空間。

「自分には自信がない」と自覚する間もなく、
いつの間にか巻き込まれているような場。

それは、まちの本屋さんで
可能になるのではないか?

そういえば、
これまで屋台を2回やった中学校2年の(現在3年)のメイちゃんも
お姉さんの塾のお迎えにきたときに少し寄っただけだった。

気がついたら巻き込まれている。

それこそが冒険の始まりだと小阪さんも
「冒険の作法」で言っている。


2つ目の方法は、
「愛を受ける」ということだ。

大学生が新潟県の離島・粟島で
ツアープログラムを企画するという3泊4日の合宿をしたとき
ヒアリングしている最中に、たくさん話しかけられ、
そしてたくさんの差し入れをもらった。

すると、
何かお返しをしなきゃいけないという気持ちが生まれた。

人は、無償の愛を受けた時
(それは、単に「声をかけられる」というのも含まれる)、
何かお返しをしたいと本能で思うのではないだろうか?

それがモチベーションとなり、
なにか行動の源泉となるのではないか?

そしてそれは、
高齢化した商店街でも起こりうるのではないか?
と僕は思っている。

商店街を歩いて買い物していると、
だんだんと顔なじみになってきて、
声をかけてもらえる。
あいさつをするようになる。
時にはちょっとしたおまけをしてくれることがある。

そんなときに、
何かお返しをしたい、という気持ちが芽生えて、
小さな行動が起こるきっかけとなるのではないか、と思う。

そして、地域という舞台は
チャレンジすることにやさしい。
なぜなら、高齢化していて、
あまりチャレンジが起こらないからだ。

民間企業というフィールドでは、
常にチャレンジが繰り返されていて、
そのチャレンジが成功したか失敗したか、
が大きく社運を左右する。

しかし。
地域では、チャレンジそのものが歓迎される。

そして、やること自体に価値があるので、
もちろん成否は地域にとっても大きいのだけど、
それを温かく受け入れる土壌は企業よりもずっとある。

だからこそ、まず、大学生高校生中学生は、
地域でのチャレンジをしてみるのはどうだろうか?
と思う。

巻き込まれて、無償の愛を受けて、
他者評価を前提としない小さなチャレンジを行うこと。

そんな拠点となるような場所を
地域に無数に作っていくこと。
それがこれからの僕のミッションだろうと思っています。

「暗やみ本屋ハックツ」、上石神井にオープン準備中です。
皆様の参加・参画をお待ちしています。
https://readyfor.jp/projects/hakkutsu

本の寄贈・古本による寄付はこちらからお願いします。
http://tsuruhashi.skr.jp/kifu  

Posted by ニシダタクジ at 06:43Comments(0)アイデア

2015年04月21日

ほめる教育の根本は「効率化」

昨日の続き。
「ほめる」で自信は育たない。

他者評価に依存した子どもを
育てることになり、
それは真の自信とは言えない。

ではなぜ、これほどまでに
ほめる教育が行われているのだろうか?

現在の教育を表すキーワードは、3つ。
「他者評価」
「短期目標」
「効率化」

教育は評価を前提としている。
その教育がよかったかどうか?
検証しなければいけないからだ。

だから、教育内容が何を目的としているか、
その成果はどのように測るのか?
というのを指導案に書いて、授業が行われる。

そこに立てられる目標は
非常に短期的で「Aができるようになる」
といったようなものだ。

そしてそれはおそらく、
「ほめること」によって促進される
(達成しやすくなる)のだろうと思われる。

この小さな
目標達成を繰り返すことで、
教育は行われてきた。

その根っこにあるのは、
おそらくは「効率化」の思想だ。
「効率化」は長らく日本の産業の
中心的価値観だった。

よいものをより安く、より大量に生み出すことで、利益を上げる。
そういうビジネスモデルを日本株式会社は採用してきた。

このモデルは、
生活家電などのモノが足りないとき、そして
人口が増え続けているときは、うまくいった。

そして不運にも、というか幸運にも、というか、
その時代は50年も続いてしまった。
かくして「効率化」というのは、日本人の基本宗教となった。

学校というのは、
「効率化」という日本株式会社の社是に
合う人材を輩出することが大きな目的となった。
「効率的に、一定の学力の人材を多数輩出すること。」

そのためには、
短期の目標を立て、それを評価・改善していくこと。

「効率化」⇒「短期目標」⇒「他者評価」
の流れがこれでできていく。

短期目標達成のため、
「ほめる教育」が有効だったのかもしれない。

しかしながら、
現代の社会は、大きく変わってしまった。

人口が減少し、田舎での過疎化が進んだ。
地方と都市の格差が増大した。

求められるのは、
「効率化」ではなく、「独自性」であり、
イノベーションが生み出せる人材である。

だとすると、
現在の教育を支えている根本が
揺らいでいるのではないか?

「効率化」ではもはや価値は生み出せないとすると、
「短期目標」や「他者評価」に依存した
教育システムを変えていかなければならないのではないか?

イノベーションを起こせる人材を育むために、
多様性を認め、長期的視野に立ち、
人を育む「場」が必要なのではないか?

短期的な他者評価を前提としない
「学びの場」が必要なのではないか?

そんな場所を無数につくる必要があるのではないか。
そんな教育を作っていかなきゃならないのではないか。

そんなときに見直されるのが、
「効率化」されていない場所なのかもしれない。

離島や中山間地、そして高齢化した商店街は、
教育の場として、魅力的なのではないか?

そして身近なところでは、
「まちの本屋」はそういう場所になり得るのではないか?
明日に続きます。

  

Posted by ニシダタクジ at 07:33Comments(0)アイデア

2015年04月20日

「ほめる」で自信は育たない


「ほめるな」(伊藤進 講談社現代新書)

ここ数年、新潟の引きこもり・ニート支援の現場で思っていたこと。
共感無くテクニック的にほめる行為にプラスの要素はなく、
ただ、立場を固定する効果しかない。

「ほめて自信を育てる」
などと言うが、それは本当だろうか?

現場で若者たちを見ている限り、
ほめることで自信が育っているようには思わない。

北海道教育大で教育心理学を専攻している著者の
お話は、まさにこれを言語化したものだった。

「教育の根本目的は自立を支援すること」
「ほめる教育は動物に芸を仕込む方法と一緒」
「他者評価に依存する子どもを育てる」
「ほめることで自立から遠ざかる」

「外発的動機付けによる学習を習慣づける」
「内発的動機付けを失っていく。」
「自然にほめるVS意図的にほめる」
「自然にほめるであっても、場合によっては危険」

などなど、
キーワードがつづく。
共感する部分が多い。

僕は2006年から、大学生に関わり、
学生の「地域でのチャレンジ」をどうプログラムするか?
というお題に対して向き合ってきたが、

もっとも深刻なのは、
「自信がない」ということである。

そしてそのひとつの原因が、
「他者評価をベースにした学習」
であると感じてきたからだ。

「他者評価」を重視すると、チャレンジするのは難しい。
チャレンジするということは
超一流の野球選手でさえ、7割くらいは失敗するということを意味するからだ。

失敗⇒他者評価が下がる。
これを極度に恐れてしまうからだ。

このひとつの要因が
「ほめる教育」にあるのかもしれないと思った。

とある国立大学の先生が言うには、
インターンなど、挑戦的なプログラムに参加しない
大学生の理由で挙げられるのが、

「途中でやめると、ほかの人に迷惑がかかるから」
と言うが、その本心は、
「途中でやめることで、他者評価が下がり、
それによって自己評価が下がるのが怖いから」

そう。
国立大学に合格したという
「自己評価」をなるべく下げないように、
維持していくこと。
果たして、それを「自信」と呼べるのだろうか?

本当に身に付けるべき自信とは、

「自分はできる」ということではなくて、
「とりあえずやってみたら、できるかもしれないし、
できないからもしれないけど、まあそこから学ぶことはあるだろう」
という自信なのではないか。

そして、それを体感させることこそ、
自立への支援なのではないか。

やってみて、結果が出て、
失敗だとしても、そこから振り返って、
何を学んだか?を考える。
そして「やらないよりもやってよかった」
と思えるかどうか?

それを繰り返していくことこそ、
自立への支援になるのではないか?と感じた。

この本の著者の熱い気持ちが伝わってくる箇所は以下。

子どもや若者への真の愛情とは
1 無償の愛であること
2 やさしさと厳しさをかねそなえた愛情であること
3 子どもや若者をひとりの人間として尊重する愛情であること。

そして彼らの自立のためにインタラクティブ型支援が必要で
その三条件
1 ひとりの人間として尊重する
2 コミュニケーションが双方向的
3 コミュニケーションが創造的

これがこれからの「学びの場」のカタチになっていくと思う。
そしてそれは無数につくる必要があり、
まちの本屋や商店街でも可能になると思う。

まちを学校に、ではなく、
まちに無数の秘密基地をつくる。

大人の入った「秘密基地」とは、
きっとインタラクティブ型支援が
おこるような場所のこと。

入ってくる中学生をひとりの人間として尊重し、
双方向的で創造的なコミュニケーションを行う場であること。

「暗やみ本屋ハックツ」や「ツルハシブックス」も
そういう場所でありたい。  

Posted by ニシダタクジ at 07:45Comments(0)

2015年04月19日

「中高生の居場所づくり」という大人の部活動

「暗やみ本屋ハックツ企画会議vol2」でした。
今回も12名の参加。

イベント前のまちあるきでは、
喫茶ベルと丸信肉店へ。


ナポリタンを食べました。
なんと450円!!

またこの喫茶店が
すごく雰囲気があるところで、
映画のワンシーンのような会話が
繰り広げられています。

しかも美味しいの。
思わずイベント後にも行っちゃいました。
全メニュー制覇したい。

つづいて、丸信肉店



人柄ですね。
ご夫婦でやられているお店。
とても素敵な雰囲気。

コロッケ80円
ハムカツ80円
を購入して食べ歩き。

ほかにも気になるだんご屋やケーキ屋、
オシャレカフェなどがあって、
上石神井の奥は深いです。

さて、そして企画会議。
今回のトークテーマは、「メディアとしての本屋」

元書店員の
島袋さんから、メディアとしての本の醍醐味を
ブックスタマ加藤社長がまちの本屋の役割を
語ります。

僕もヴィレッジヴァンガード郡山店や
恵文社一乗寺店堀部さんのエピソードを語りつつ、
メディアとしての本屋について語った。

そして、古本の寄贈。
「自分が中学や高校のときに出会っていたらよかった」
と思える本がたくさん並んだ。

それは、一言でいえば、
「図書館で(本屋で)手に取らない本」
が多いのかもしれない。

僕が持っていったのは、
鴻上尚史さんの孤独と不安のレッスンだけど、
それってなかなか恥ずかしくて、借りられないのかもしれないなと。

なに?
孤独に悩んでいるの?
みたいなのってあるよね。

だからこそ、「暗やみ本屋ハックツ」のような
場所が必要なんだと思いました。

そしてもうひとつの側面は「大人の部活動」
「暗やみ本屋ハックツ」は
「本屋というコミュニケーションツールを創造する」
という大人の部活なのかもしれないなと思った。

上石神井の街はなかなか魅力的だ。
なんていうか、東京っぽくないというか、
いい感じのお店がたくさんあるというか。

しかもそのお店も
当たり前だけど、地元の人がやっているんだよね。
それらのお店と対話しながら、
ひとつの本屋をつくっていくこと。
これは非常にクリエイティブな部活動なのかもしれないなあと思った。

自分たちも街を発掘しながら、
食べ歩きながら、街の人たちと対話し、
本屋というコミュニケーションツールをつくっていくこと。

それがふたたび中学生高校生が
街にかかわるきっかけになって、
それが循環していったらいいなあと思った。

「中高生の居場所づくり」という大人の部活動を
始めようとしているのだなあと実感した
第2回企画会議でした。


今後は
5月9日(土)にまちあるきイベントを。
5月30日(土)と6月13日(土)に企画会議を。
6月27日(土)と28日(日)はついに着工予定となっております。

※「暗やみ本屋ハックツ」はクラウドファンディングに挑戦しています。
皆様の告知ご協力・参画をお待ちしています。
https://readyfor.jp/projects/hakkutsu  

Posted by ニシダタクジ at 07:37Comments(0)日記

2015年04月18日

つながる市場

金曜日の夜。
石岡市の「青春畑きくち農園」
菊地くん家にお世話になり、
土曜日の朝4時に起きて、3時間のドライブ。

たどり着いたのは「すみだ青空市ヤッチャバ」。


スカイツリーが見える、曳舟駅前で毎週土曜日に(日曜日は両国駅前)
行われている「すみだ青空市ヤッチャバ」

近隣の農家さんが
集まって、直売をしている
いわゆる「朝市」的なものだ。

しかし、何かが違う。
東京じゃないみたいだ。

「日常挨拶のある市場」だ。

「いらっしゃいませ」
「ありがとうございました」
以外の言葉がたくさん飛び交っている。

いわゆる「ファーマーズマーケット」
のようなシャレた感じではなく、
あくまで「市場」だった。
コミュニケーションのある市場だ。

もともとは墨田区役所の
声掛けから始まったこのプロジェクト。
立ち上げたのは、友廣裕一さんと松浦伸也さん。

今回は松浦さんに少し話を聞いた。


僕がヤッチャバに興味を持ったのは、
出店している菊地くんの話だった。
菊地くんは主に栗を生産している農家なのだが、
栗のシーズンになると、ヤッチャバにも栗が並ぶ。

そして近所のおばちゃんが買っていく。

その翌週。
なんと、栗を買っていったおばちゃんが
「栗ごはん」を菊地くんに差し入れしてくれる、というのだ。

なんだそれ?
と衝撃を受けた。

そのおばちゃんが買ったものは、
本当に栗なのか?

と思った。

ほかにも運営している松浦さんによると、
イチゴを買っていった翌週にジャムが差し入れされたり、
冬場になるとホッカイロが差し入れされたりするのだという。

そう。
ヤッチャバはつながる市場だ。

売っているものは、
もしかしたら野菜だけではなく、
コミュニケーション機会なのかもしれない。

経済とは循環すること。
すみだ青空市ヤッチャバには、
これからの経済のカタチの匂いがした。

菊池くん、松浦さんありがとうございました。
次回はシェアハウスに遊びに行きます。


きくち農園のやきぐり。
午後からのブックスタマイベントに買っていきました。
大好評!  

Posted by ニシダタクジ at 16:17Comments(0)日記

2015年04月17日

クックパッドという本来のメディア


「600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス」(上阪徹 角川SSC新書)

いい本はどこに眠っているか、分からない。
某大型古本屋さんで出会った1冊。

これは、並河さんの
「コミュニケーションシフト」


「ビジネスは非言語で動く」

と合わせて読むと、さらに魅力倍増。

これからのメディアはどうあるべきか?
というか、自分自身がメディアを作りたい人には
は必読の1冊。

クックパッドはサービス開始以来、
順調にユーザーが増えていく。
あっという間に100万人のユーザーを抱えるようになった。

普通なら、ここで
「ネット広告」を出してみようと思う。
しかし、佐野社長はそうしなかった。

「クックパッドは料理が楽しくなるサイト。
女性が多いから女性向け商品を、と広告を出されても納得がいきません。
料理とまったく関係のない広告はユーザーのためにいれてはいけない。
広告も、ユーザー一人ひとりとコミュニケーションを取ることを意識して
作るべきだと思っていたんです。」

このこだわりによって、
クックパッドの業績はどんどん厳しくなる。
ユーザーは増える(=負荷がかかる)
のに収入は増えないからだ。

転機になったのは、
広告代理店から転職した森下さんの加入だった。

もともと食や農業に関心があり、起業も検討していた森下さんは、
クックパッドの弱さは、
広告主の立場をイメージしていないことだと読み解き、

「料理を楽しくする」というクックパッドの思いと
広告主やその課題を理解してプランニングしている
広告代理店の思いとを合わせ、
クックパッドの広告の方向性を作っていった。

こうして、
「レシピコンテスト」などが生まれていく。

「レシピコンテスト」は
家庭を守る主婦の
「他者から評価される」というコミュニケーションの機会を
生むことになった。

特にクックパッドが強みを発揮するのは、
「焼肉のたれ」のようなロングテール商品だと言う。

エバラ焼肉のたれを使ったレシピや
パナソニックの「電気圧力なべ」を使ったレシピなどで
大きな成果が出ていく。

クックパッドは、「本来の」メディアだ。
メディアの語源は、媒介という意味。

まさに
クックパッドはサイトを通していろんなものを「媒介」をしている。

テレビのようなマスメディアの広告のような、
「アクセス数が何十万とあるから、バナー広告を出しませんか?」
という話と根本的に異なっている。

クックパッドを見て、買う行為は
モノを買う動機づけを変えたと推察される。

それは、世の中の潮流である、
テレビが言っていたから、ではなく、
友人がおススメしていたから、という動機。

そしてさらに、
料理を投稿するユーザーであれば、
「自分もおいしい料理をつくってレシピを投稿したい」
というのが商品を買う動機づけになっている。

そしてその根本には、
「社会にスカッとした笑顔を増やしたい」という原点がある。

誰のために事業を展開しているのか?
自分は誰のために仕事をしているのか?
そこに立ち返るということ。
それこそがすべての商売人が求められていることなのだろうと思う。

「インターネットはコミュニケーションのツールである」
という当たり前のことと、
メディアとしての役割とは、
メディアの原点である媒介者になるとは、どういうことか?

といういろんな問いが生まれた、
素敵な本でした。
ありがとうございました。  

Posted by ニシダタクジ at 08:08Comments(0)

2015年04月16日

まちの本屋というメディアをつくる

商店街の中のまちの本屋とは、
いったいなんだろうか?
どんな機能を期待されているのだろうか?

僕の本屋さん観=本屋の機能、役割
は3つある。

ひとつめは「居場所」機能、
コミュニティの拠点となり得る本屋
本屋という誰もがフラットな立場であり、
たくさんの本に囲まれているという空間には、
多様性が受け入れられるという雰囲気がある。

それは、
もともとまきどき村という畑をやる動機付けにもなった
「畑はコミュニティの拠点となり得る」
という直感から出発している。

ふたつめは「教育(学びの機会提供)」機能

これは、暗やみ本屋ハックツなどの動機づけとなった
不登校の中学校3年生との出会いから、
中高生にとって、地域の大人と偶然出会える仕組みが必要だ
と思ったこと。

もちろん本を通して、
いろんな世界が広がっていくというのも
本屋ならではの機能だと思う。

そして最後、みっつめが「メディア」機能だ。

これはサンクチュアリ出版の営業時代に
とあるヴィレッジヴァンガードの店長が言った一言
「郡山にカフェを作ろうと思っているんです。」
この一言から始まった旅だ。

半年後に本当にカフェが2か所もできて、
「本屋は自由自在に、まちをつくれるんだ!」
と感動し、いつか自分も本屋をやろうと思っていた。

実際に本屋をやってみて、
そしてそのあともいろんな本屋をめぐり、
また本屋さんの話を聞いて、感じていることは
「本屋」そのものがメディアであるということ。

メディアとは「媒介」という語源からわかるとおり、
対話をする装置のこと。
恵文社一乗寺店の堀部さんが言っていたけど、
「まちの人と対話しながら本棚を作っています」

というように、
本屋とはまちの人との対話装置である。
そして、郡山のヴィレッジヴァンガードで起こったことは、
まさに対話の結果、人の行動が起こることだった。

そして何より、
カフェを始めた人が
そのヴィレッジヴァンガードで本を買ったかどうか?は
あまり重要ではないということ。

店長が「カフェをつくりたい」と思い、
お菓子作りの本を選び、マグカップやランチョンマットを
置いたコーナーをつくった。

その波動というか意思が誰かから誰かを通して伝わり、
実際にはカフェができたのではないか?
本屋というのは、実はそういう場所なのだと、
いまとなっては思う。

僕にとっての本屋観は、
「コミュニティの拠点」であり、「教育機会提供の場」であり、
そして「メディア」という3つの機能を備えた場所のこと。

これから動き出す「暗やみ本屋ハックツ」も、
上石神井の街や人と対話しながら
ひとつのメディアを作り上げていけたらと思う。

そんなメディアづくりの機会を、
あなたもご一緒しませんか?

「暗やみ本屋ハックツ」は現在クラウドファンディング挑戦中です。
https://readyfor.jp/projects/hakkutsu

4月30日まで、
ツルハシブックスでは劇団員を募集しています。
http://tsuruhashi.skr.jp/boshu  

Posted by ニシダタクジ at 06:31Comments(0)日記

2015年04月15日

毎日の料理を楽しみにすることで心からの笑顔を増やす


「600万人の女性に支持されるクックパッドというビジネス」(上阪徹 角川SSC新書)

いつ読んでも
上阪さんの文章は読みやすい。

最近の僕のキーワードは
「非言語領域」なので、
その一環として買いました、こちらの本。

熱い。
意外に熱いんです、クックパッド。

支持しているのは圧倒的に女性。
この本が発売されたのは2009年であるが、
ユーザーはほぼ女性であり、

その特徴を実際に聞いてみると、
「単一の野菜をいっぱい食べたいときに、
クックパッドで検索する」
と帰ってきた。

なるほど。
農家さんからとか畑やっている人とかって
ダイコンとかキュウリとか、
同じ野菜が大量に収穫されて
食べきれない、とかあるよね。

クックパッドの理念は、
創業者である、佐野社長の言葉によれば

「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」

である。
だからクックパッドは
「料理が楽しくなる」ことだけをして、
それ以外はしない。

広告なども、
すべてこの理念に基づいたものしか掲載しない。
それによって、女性からの圧倒的な支持を受けている。

佐野社長は慶応大学SFCの出身。
学生時代に起業を志し、
起業した先輩のところを訪ねていくと、

就職してから後に独立した先輩は、
半分の人が「就職しないで早くやればよかった」と言い、
半分の人が「社会の基本を学ぶ上で就職したことはプラスだった」と言った。

一方、就職せずにいきなり起業した先輩も意見は真っ二つに割れ、
半分の人が「一度は就職してから起業しないと苦労する」と言い、
半分の人が「すぐに起業したほうがいい、そのほうが楽しい」と言ったという。

つまり確率論的には、(慶応SFC出身で、ある程度成功している起業家としては)
どちらでも同じなのだということだった。

加えて佐野社長は、
「お金の保証」を会社に預けてしまうことの怖さを感じていた。
それは年齢や給与が上がっていくほど増していくので
絶対に辞められなくなると思ったという。

佐野さんはその時に思った。
世の中を動かす要素は
「テクノロジー」と「個人の認識が変わること」と「政策」

そして「政策」というのはよくわからなかったので、
国際NGOに参加し、国際会議に出ることになる。

そこで出会ったカリブ海の小さな島から来た
50歳くらいの男の笑顔にノックアウトされる。

どうしてそんな笑顔になれるのか?
佐野さんは本人に直接尋ねた。

しかし、聞けば聞くほど、
農業政策の失敗や政治の腐敗など、
その国の現状はひどい状態だった。

そのときに気が付いた。
お金やモノ、経済の豊かさは
この人の笑顔とはまったく関係なかった。
自分自身が培ってきた価値観が
完全に崩れ去っていた。

そこから佐野社長は、
アメリカ留学を終えて日本に帰ってきたときの
野菜のおいしさを思い出し、
「料理」をテーマにした事業を構築していく。

つくった料理に「おいしい」と
言ってもらえるということは、
すごくうれしいのに、
実はその機会は意外に少ない。

それは、家族一緒にご飯を食べる機会がなかったり、
そもそも一人暮らしだったりすることだ。

そして「クックパッド」が生まれる。

その理念は
冒頭に書いた通り、
「毎日の料理を楽しみにすることで心からの笑顔を増やす。」
だ。
クックパッドとは、そんな熱い理念のもとからできている。

以下僕の雑感。

ひとつはクックパッドの活用について、

これ、新潟とか茨城だと、農家がいっぱいいて、
日常的に野菜をもらったりするのだろうから、
それを「リアル版クックパッド」みたいにして、
農家さんとやり取りできたら楽しいかもしれない。
米屋さんがその拠点になりうるかも、と思った。
だってネギとかもらうと大量なんですもの。

もうひとつは、心からの笑顔について、

なんというか、
この文章の中の佐野社長が出会った
カリブ海の50歳くらいの男性の笑顔
みたいなのって、人生においてすごく大切だと思った。

自分の培ってきた価値観が崩れ去るほどの衝撃。

それをいつ、味わえるか、というのが大切だと思った。
できれば大学生時代より前に、って思う。
しかも1回だけとは限らずに、何度でも。

そういう意味では、
人との出会い、本との出会い、
というのはとても大切になってくるのだなあと思った。

そんな出会いの機会をどう作っていくか?
これが僕のライフワークになっていくと思う。

「暗やみ本屋 ハックツ」は、
その第1歩です。

「暗やみ本屋 ハックツ」現在準備中。
寄贈本・参画者を募集しています。
http://tsuruhashi.skr.jp/hakkutsu  

Posted by ニシダタクジ at 06:40Comments(0)

2015年04月14日

無数の秘密基地をつくる

スターバックスコーヒーののコンセプトでもある
「第3の場所」とは、職場でも家庭でもない場所のこと。

日頃の人間関係を離れ、
違う人間関係やひとりで過ごす場所。

これを中学生高校生に
置き換えてみると、

「部活」(これは学校の中にあるかもしれない)
「塾」(これは結構ありうると思う)
もしくは、
「駄菓子屋」(今はあんまりないのかな?)
といったものになるのかもしれない。

社会人とは違い、
子どもたちに「第3の場所」が必要だと
言ったときに、
それは、「秘密基地」に近いものに
なるのではないか?
と考えた。

それでは、秘密基地とは何か?

「秘密」であるから、
大人には(少なくとも関係する大人、つまり先生や親、親戚)会わず、
「基地」であるから、
何かを企んだり、つくったり、実行したりする拠点

ということになるのだろう。

ほとんどの中学生高校生には、
普段は自転車の範囲内でしか
行動することができない。

だからこそ、「秘密基地」が必要になってくる。

現代社会は、
「秘密基地」をネット上に作ることしかできなくなっているのではないか?

ツルハシブックスを「第3の場所」として
使っている中学生高校生がいる。

中学2年のYくんなどは
春休みのほぼ毎日、来てゲームをしながら
たまに入ってくる大学生と話をしていた。

この春から中学生に上がる女の子たちは、
定期的に来て、2Fのカフェイロハニ堂で
お茶を飲んでいる。

大学生の中にも
「大学の学科の友達には話していない」
という幅っち(今春卒業)のような人もいた。

そう。
ツルハシブックスは「第3の場所」であり、
「第3の大人」に出会える空間だ。

しかしながら、
ツルハシブックスは少しばかりメジャーに
なりすぎた。(本当は売上が上がってほしい)
もはや、「第3の場所」であっても、「秘密基地」としては
少し機能が落ちてきた。

子どもたちには、「秘密基地」が必要だ。

と断言することにする。
そうすると、商店街とは、
無数の「秘密基地候補地」に
見えてこないだろうか?

もしかしたら
まちの本屋は、
その無数の秘密基地づくりの
きっかけを担えるのではないか?

「ツルハシブックス」や「暗やみ本屋ハックツ」は
中学生高校生に本を贈ることを
入り口として、地域の大人たちをつなげる
コミュニケーションデザインのひとつの方法論ではないか。

それを継続していくことで、
地域の中に無数の秘密基地ができていくことこそが
価値があるのではないか?

中学生高校生に必要なのは、
本との出会い、そして秘密基地。
そんな文化が始まっていく場所に、
ふたつの本屋をしていければいいと思う。

まずは地元の人に会いに行かなきゃ。

まずはここから。
喫茶ベル


なつかしい昭和の薫りがする店内で
ナポリタン450円(安っ!)を食べました。


まずは僕たちが秘密基地探しから始めてみましょうか?  

Posted by ニシダタクジ at 08:27Comments(0)日記

2015年04月13日

専門家になってはいけない


「努力する人間になってはいけない~学校と仕事と社会の新人論」(芦田宏直 ロゼッタストーン)

非常に面白いですね。

「学校とは何か?」
を問いかけてきます。

~~~ここから一部引用

学生時代と社会人になってからの
勉強の一番の違いは「必要かどうか?」です。

社会人になると毎日毎日
「必要な」勉強に迫られます。
勉強しないと上司から怒られるし、
仲間にも迷惑をかけるし、お客様にも満足してもらえません。

「必要」「必要」の連続を「経験を積む」と言います。
経験を積みながらその道の「専門家」になる。
これが職業人の学習の傾向です。

それに反して、学校での勉強は、
そういった意味で誰かに迷惑をかけるわけではありません。
赤点をとって落第したら親には迷惑をかけるかもしれませんが、
ほとんどが自業自得です。

これが学校教育の甘さのように見えますが、
そうではありません。

慶応大学の高橋俊介先生は
企業人材マネジメントの第一人者と
呼ばれている人ですが、

高橋先生が言うには、
企業の人材を配置する上で重要なことは、
その人が学んだ専門よりも少しずれた部署に
その人を置くことだ、と言っていたそうです。

専門的な仕事、得意な仕事は常に同じやりかたでやってしまう。
好きなことであっても同じです。
ある意味で「発見」がない。
そして専門家であるがゆえに素人の意見は聞かない。

日本の携帯業界(パソコン業界も)を劇的に変えた
iモードをつくった松永真理さんも
インターネットをやったことがない、
携帯電話を持ったこともない人だったそうです。

企業の活動は利益を追求する。
「利益の追求」というのは
無駄を省き、合理性を追求するということです。

1つ成功モデルをつくると
より時間をかけずに短時間で実現する。
すると、割り算の発想になっていく。

「ブランド」というのは、
その会社が割り算だけで成り立つようになった状態のことです。

ブランドという「城壁」のような内部に専門家が増えていく。
専門家とは、「城壁」の内部に存在する人材のことです。
新しいことを考えなくなる人、壁の外で起こっている変化に目を向けない人のことです。

~~~ここまで一部引用

芦田さんはだからこそ
掛け算の発想で「城壁」を飛び越えろと言います。

そしてそのためには、
「必要」とは無縁の勉強をすることが大切だと言います。
知ったかぶりをしないで、
好奇心を信じ、子どものように純粋で無垢な勉強をすることです。

だからこそ、読書が大切なのだと芦田さんは言います。

学校を卒業して出ていく社会は
高度に効率化された「分業」の世界です。
それこそ「専門家」だらけです。

しかし、部分だけを見て、
価値を生み出すことは難しいのです。
「全体」を見る、あるいは「心」を見る
ことがイノベーション、あるいは価値を生み出すのです。

「心」を学ぶのは読書によっても
鍛えられます。

「効率的」に読むのではなく、
「心」を読む。
それはじっくりと時間がかけなければできませんし、
成果が分かりにくいものです。

そう。
だからこそ読書習慣が大切なのです。

という本を昨日の朝読んだので、
思わず買ってしまった本はこちら。


「大きなかぶはなぜ抜けた?」(講談社現代新書)

いいですね。気になります。
こういう本を読むようにしないと、
どんどん専門家(≒専門バカ)
になってしまいます。

そんな「非効率的」だけど「全体」や「心」を学ぶ
読書の世界を中高生にも伝えたいなあと思って、
「暗やみ本屋ハックツ」があるのではないかなと
思います。  

Posted by ニシダタクジ at 07:18Comments(0)学び

2015年04月12日

「本屋」が求められているのではなく

ツルハシブックスという
「本屋」が求められているわけではない。
と仮定してみる。

そうすると、
地下古本コーナー「HAKKUTSU」
それ自体が求められているわけではなく、

駅前の「本屋」という空間が
求められているのかもしれない。

「本屋」だと言ってしまえば、
それで終わってしまうが、

「本屋」という概念がない国の人(あるいは古代の人)が
ツルハシブックスにやってきたら、
あの空間はどんな場だと表現するのだろうか?

本はたしかに置いてある。
お菓子もたまに置いてある。
知らないおじさんもけっこう置いてある。(笑)

店に入ると、
「近くからですか?」
と聞かれる。

遠くから来たというと、商店街にある
魚屋で「アジフライ」を買ったほうがいいと薦められる。
お菓子屋で「ティラミス大福」を買ったほうがいいと
ゴリ押しされる。

そういう「場」が求められている。

「そういう」っていうのを言語化するのが難しい。
非言語領域にあるような気もする。

「地域」という世界への入り口を
果たしていく場所、
それが本屋さんなのかもしれない。

「地域」
を構成しているのは、

地域の商店街

地域に住む人たち、そして自分。

大学生は「地域」を構成しているメンバーのはずなのだが、
その認識は少ない。

練馬で準備中の「暗やみ本屋 ハックツ」。

本屋の一角の事務室を
改装して、古本コーナーができる。
思い切って10代限定だ。

もし、中学生・高校生が来るとしたら
比較的近くに住んでいる人たちだ。

彼らに必要なのは、
おそらくは「本」そのものというよりも

「地域の大人」や「地域の商店街」
の入り口なのではないか。

いま、見えている世界(学校社会)が唯一の世界ではないことを伝えたい。
そして一緒に考えたい。
何か一緒にアクションしたい。

そんな場をつくっていくことなのではないか。

~~~

「暗やみ本屋 ハックツ」への
寄付、および寄贈本の提供をお願いしています。

寄付は現在(4月30日まで)
クラウドファンディングサイト「Ready for」で挑戦中です。
お店の改装費などで50万円を目標に動いています。

寄付・告知・シェアにご協力をお願い申し上げます。

「暗やみ本屋 ハックツ」は
私にとって、原点に返る取り組みです。

2002年、プータローだった私が不登校の中学3年生の家庭教師をして、
「15歳に、学校・家庭だけではなく、地域とのつながりが必要だ」と思い、
その方法論を探してすでに13年が経過しました。

ツルハシブックスはそのひとつの方法論でした。

地下古本コーナー「HAKKUTSU」は、
大人から若者へのメッセージを伝える仕組みでした。

しかし、29歳以下限定にしたことで、
20代にフォーカスされた取り組みとなり、
全国から大学生や20代が来店することとなりました。
寄贈本も集まりました。

しかし、僕が本当に本をきっかけにして「地域」を
届けたいのは、10代であり、中学生高校生です。

学校だけが唯一の世界ではありません。
不登校に限らず、現在の学校や社会に違和感を
感じながらもなんとか生きている中学生高校生に、
「地域」や「世界」という多様性を伝える場をつくりたい。

それが「暗やみ本屋 ハックツ」の目指すところです。

3月14日に行われた「暗やみ本屋ハックツ企画会議」では、
10代へ贈る本ということで、
新潟・ツルハシブックスに集まってくる本よりも
さらに思いのこもった本が集まりました。


https://readyfor.jp/projects/hakkutsu/announcements/22849

15歳が自分と地域と社会を好きになり、
自分と地域と社会の未来創造へ歩き出している地域社会を
東京・練馬・上石神井の
一緒に創り上げていきませんか?

皆様の参加・参画をお待ちしています。

ツルハシブックス店主 
暗やみ本屋ハックツ発起人
西田卓司

「本を通して中高生に手紙を届ける暗やみ本屋ハックツを創りたい」
https://readyfor.jp/projects/hakkutsu  

Posted by ニシダタクジ at 09:08Comments(0)日記

2015年04月11日

やりたいことの95%は非言語領域に転がっている


「ビジネスは非言語で動く~合理主義思考が見落としたもの」(博報堂ブランドデザイン アスキー新書)

アスキー新書の博報堂ブランドデザインのラインナップは素晴らしい。
うなる本ばかり。
さすが最先端。(3年前の本だけど)

今回はこの本。

ビジネスは非言語で動く。

いや、ビジネスばかりじゃなくて、
非言語領域って大切だなあと。

まだ全部読んでないのだけど、
合理主義思考によって、
「わかりやすい」ことが最重要視され、
本質が伝わらないことがすごく多くなっている気がする。

この前長岡の「ブックスはせがわ」で購入した

「たったひとつの真実なんてない」(森達也 ちくまプリマー新書)

には、
テレビによる主観的な編集について書かれていて、
それはNHKであっても大きく主観に左右されてしまうと
書かれていて、その通りだなあと思った。

そして戻って最初の本の冒頭に
ハーバード・ビジネススクールの
ジェラルド・ザルトマン教授が説く
「95対5の法則」

~~~ここから引用

「すべての認識の少なくとも95%は心の陰にあたる
認識外で起こり、多くともたった5%だけが
高位意識で起こるのである。
このことは多くの研究分野において確認されている。」

彼によれば、通常、意識できる思考は
5%に過ぎず、背景では95%を占める無意識の
思考プロセスが働いている。
さらに、これらの無意識の思考プロセスは、
意識的な経験をつくったり、形づくることに
根本的な役割を果たしているのだそうだ。

~~~ここまで引用

なるほど。

たとえば、
子どもに「勉強しなさい」と言ったときに、
「なんで?」と返ってきたとする。

そのときに、子どもは
「なぜ、勉強しなきゃいけないのか?」
の合理的な理由が必要だと言っているわけではなく、
「勉強したくない」という意思を表しているのだ。

子どもだけじゃなく、大人だって、
「なんで?」って返す時は、
「気分がノらないなあ」という意味だったりすることが多いだろう。

非言語領域に大切なことがころがっている。

だから、
子どもや大学生に対して、
「将来やりたいことは?」
とか聞くことはほとんど無意味だ。

やりたいことの95%は
非言語領域に転がっているのだから。

だから非言語領域を引き出すために
ワークショップやインターンシップなどの
プログラムがあるのだろう。

そうしてだんだんと非言語領域を
つかんでいくプロセス。

それが大学でのキャリア教育のカタチなのかもしれない。  

Posted by ニシダタクジ at 08:35Comments(0)

2015年04月10日

自立してはいけない

「学校」を「当事者意識」という視点から再び考えてみる。

「学校」はきちんとしている。

教育目的。
カリキュラム。
先生の資格。

一定期間に、一定の成果
(=人材育成目標の達成)を
果たすために、きちんとしている。


「努力する人間になってはいけない~学校と仕事と社会の新人論」(芦田宏直 ロゼッタストーン)

第2章の冒頭「自立してはいけない」

動物学者アドルフ・ポルトマンの仮説である、
人間はもともと早産で生まれてきて、
社会によって育てられる。

それは脳だけが過剰に大きくなったため、
母体の骨盤がその大きさに耐えられない(通過できない)ので、
1年くらい早産で生まれてくる。

したがって、他の哺乳類が
生まれたらすぐに立てるのだが、
人間だけが1年経ってから立ち上がる。

したがって、
人間は様々なことを生理的にではなく、社会的に学ぶ。
だからこそ、ポルトマンは、人間は環境を変え、
文明や文化を持っていくのだと言います。

人間は放っておけば、
すぐに死んでしまうほど自立できない。
しかし、メダカの子は生まれて何日かもすれば、
親と区別つかないほどに生長している。

独り立ち(=自立)するということは
一般的にはよいことだと思われているが、
著者はよいことだとは思わないという。

多くの企業は、
銀行からお金を借りて経営している。
あるいは株主から資本を調達している。

こういったことはポルトマン的に言えば、
早産状態であり、
企業はまさに他者の力を借りてこそ
大きな力を発揮する。

自立するということよりも、
人の力を借りるということのほうが大きなことができる。


「リブセンス~生きる意味」(上阪徹 日経BP)

の村上社長の言葉
「そもそもなぜ会社を立ち上げたのかというと、
たくさんの人々に喜んでもらいたい、
世の中にいい影響を与えていきたいからです。
自分のやりたいことが最大化できるのは会社だと
改めて気づきました。」

にもあるように、
会社とは、自分のやりたいことを最大化する手段なのだ。


「努力をする人間になってはいけない」の本文に戻るが、

~~~ここから引用

銀行にお金を借りれば、
銀行の言うことにも耳を傾けなければならない。
同じように株主の言うことも聞かなければならない。

親に生活させてもらっていれば、
たまには親の小言にも付き合わねばならない。

こういったことは一見不自由なことに見えますが
そうではない。
そういった交流が物事を考えたり、
考え直したり、そして深く考えたりするチャンスを生んでいるのです。

~~~ここまで引用

なるほど、
自立をしない、一部依存をするというのは、
他者の意見を聞くということ。

そういう意味では、
現在の学校はきっちりと「自立」しすぎているのではないか。

「学校がきちんとやってくれる」
という考えは、
地域と家庭の子どもの教育に対する
当事者意識を減少させる。

長野県伊那市に
伊那谷まあるい学校を立ち上げた濱ちゃんは28歳。

若いのに大丈夫なのか?
と思っている人もいるかもしれない。
いや、濱ちゃん自身も
自分ひとりではできないと思っているだろう。

しかし、だからこそ、
地域の人や親の当事者意識を高め、
その学校へのかかわりを継続していくことによって、
学校自身が成長・進化するチャンスを得ているのではないだろうか。

芦田さんは、
こうも語る。

~~~ここから一部引用

最近は「生涯学習時代」と言います。
もはや人間は死ぬまで早産状態であるほどに、
文明を高度化してきているとも言えます。

真の自立は死ぬまで延期されているように
高度化しているということです。

子供が親や家族や近所の人、
つまり血縁、地縁を越えて
《先生》や《学校》に学びながら成長すること、
これこそが高度な文明や社会そして
また高度な人材を築く基礎です。

教科書や教材、そしてカリキュラムは、
まだまだ社会に出るにはたくさんの勉強があるということ、
あなた方がどこまでも早産の未熟児であることを
告げる役割を果たしています。

というよりは《学校》というところは、
未熟児のまま生まれた人間の
社会的な母胎なのです。
この場合、“母胎”というのは比喩でも何でもなく、
まさに母胎なのです。

~~~ここまで引用

素敵ですね。
芦田さんの学校観。

この《学校》を「本屋」に置き換えてみると、
本屋の可能性が見えてくる。
「本屋」は地域の母胎になり得るのではないか。

そのためには、
地域の人が当事者意識を持って、
そこにかかわっていく仕組みがあること。

地域と関係(相互にある程度の依存を)しながら、
作り上げていく新しい《学校》、それが本屋さん
なのではないか。
あらたな時代の「松下村塾」なのではないか。

きちんと自立せず、対話し、意見を聞き、取り入れ、
そうやって新しい学びの場をつくっていくこと。

それがこれからの
学校の、そして本屋の作り方なのではないだろうか。  

Posted by ニシダタクジ at 06:31Comments(0)日記

2015年04月09日

ともに学ぼう、ともに創ろう

3月30日、東京・麹町。

「東北オープンアカデミー」
のダイアログウィークに参加。
「オープンアカデミー」のweb

http://open-academy.jp/

僕が参加した理由は
このwebに書かれているキーワード「パラレルキャリア」
を前面に押し出しているところ。

「震災」「復興」「支援」
ではなく、「パラレルキャリア」

地域とはじめる・もうひとつの働き方
わらじは二足以上履いたほうが良い

がダイアログウィークのテーマ
だったからだ。

これからの働き方は、
僕の予想では、パラレルキャリアの時代を経て、
伊藤洋志さんの提唱する「ナリワイ」に
近づいていくと考えられる。

31日月曜日の登壇者は、
岩佐大輝さん(株式会社GRA 代表取締役CEO)
高橋博之さん(NPO法人東北開墾 代表理事)
中島淳さん(株式会社カルチャーアットフォーシーズンス 代表取締役)
真鍋邦大さん(四国食べる通信)

テーマは、一次産業が変わろうとしている』~生産者と消費者の関係性を変える新たなモデル
だった。

そして何より気になったのは、
このテーマ、そしてパラレルキャリアという
キーワードにヒットして参加するのは、
どんな人たちなんだろう?
ということ。

会場に入ると、
思っていたよりも年齢層が高めだった。
ボリュームゾーンは40代くらい。
20代はおそらく数えるほどしかいなかった。

「パラレルキャリア」にヒットするのは
40代だった。

そして、話を聞いている中でも
気になるキーワードが続出。

・承認欲求
・0(関わらない)か100(移住する)ではない関わり方
・漁師も農家も何足もワラジを履いていた
・好きになる⇒みんなでつくっちゃう
・都市に拠点を置きながら、地域にかかわる仕組みをつくる
・インフラとしての東北オープンアカデミー
・20年後も同じものを食べ続けられるのか?
・変えていかなきゃいけないものと守っていかなきゃいけないもの
・AKBの農業版が「東北食べる通信」
・どういう生い立ちでどんなプロセスを経てきたか?
・ファンをコミュニティに発展させ、継続させる。
・平成の逆参勤交代
・ぎりぎり顔が見えるコミュニティ=1500名の上限=最適なサイズは地域によって違う
・四国食べる通信⇔四国食べるキッチン⇔四国食べるツアー
・読者になる⇒SNSでつながる⇒会いに行く⇒現地に行く⇒ファンになり経営に参画している
・都市の完成された消費社会=すべてが予定調和=一方向
・生きる実感=生存実感を求めている。生命がよろこぶ=双方向
・カッコイイ農業をつくる
・カッコイイ⇒スクール⇒コミュニティ⇒分業
・効率性(株式会社)と創造性(NPO)
・遠い⇒来れるもんなら来てみろ
・海賊団マーケティング(ワンピース、山田さんに絞った広報)

などなど。
メモが取りきれないほど。

「自分の仕事を生かして」みたいな話も数多く出た模様。

もしかしたら20代ではなく、40代こそが
人生に迷っているのではないか。

15年以上勤めあげてきた会社で
それなりのポジションに就き、仕事も充実している。

でも、
こういう生き方じゃない生き方もあるんじゃないか?
という問いが心の中で生まれている。

若いときは
「なんでもやってみよう」とチャレンジしてきた。

40代は
「やってきたことを還元しよう」と思える
役割・舞台・場・フィールドを必要としているのではないか。

東北オープンアカデミーは
きっとそんなプラットフォームを目指しているのだろう。

「ともに学ぼう、ともに創ろう」
これを40代を含め、全世代を巻き込みながら
つくっていくこと。

これこそがこれからの松下村塾の作り方
なのではないだろうか。

「地域」というテーマ、「仕事」というテーマ、
そして「教育」というテーマ。
この3つが重なるところに
プラットフォームを作っていくこと。

ツルハシブックスはそんな場でありたいし、
暗やみ本屋ハックツも、そんな場にしたい。  

Posted by ニシダタクジ at 08:07Comments(0)学び