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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年11月20日

「あいまいさ」と「偶然性」を売る


「まわしよみ新聞のすゝめ」(陸奥賢 まわしよみ新聞実行委員会)

日本の書店では、
大阪のスタンダードブックスと
新潟のツルハシブックスにしか売っていないという幻の本。
(で、よかったですよね?陸奥さん?)

これからのメディアとか、
コミュニケーションを考える人には、必読の1冊。

「まわしよみ新聞」
http://www.mawashiyomishinbun.info/

僕も8月に読んで衝撃を受けた。
「まわしよみ新聞という入会地(コモンズ)をつくる」
http://hero.niiblo.jp/e472208.html
(「20代の宿題」:2015.8.20)

入会地。
かつて日本の集落に存在した
共有財産としての山や草刈り場のこと。

そこから人々は
薪用の木や屋根葺き用の萱を調達した。
共有財産、共有地としての場所。
誰の土地でもなかった。

しかしそれは、
明治6年の地租改正によって失われる。
国有地か私有地に分けられることになる。

そう。
この日から我が国の制度は、急速に
「あいまいさ」を失っていった。

「効率的であること」に大きな価値が置かれ、
そのためには、「わかりやすさ」が重視された。

「計画的であること」に大きな価値が置かれ、
「偶然」という不確定なものに価値は無くなっていった。

2014年の1月に発売された
「ソトコト2014年2月号~なじみの本屋特集」
http://www.sotokoto.net/jp/latest/?ym=201402

の冒頭で特集されているツルハシブックスの記事の中で、
当時新潟県立大学3年生だった野島さんは
インタビューに答えてこういっている。

「ツルハシブックスに行くと、誰かに会えるから」

ツルハシブックスという本屋は、
本ではなくて「偶然」を売っているのだと、
彼女は明言していた。

「偶然が起こるという価値」
http://hero.niiblo.jp/e307594.html
(20代の宿題 2013.11.27)

おそらくはこの「あいまいさ」と「偶然」に
人は、特に若者は惹かれるのではないか。

そういう意味では、
「まわしよみ新聞」というメディアと
ツルハシブックス、あるいは暗やみ本屋ハックツは、

メディアとして同じような機能を持っていると言えるだろう。

ところで、
「新聞」というのは、webと違い、非常に偶然性の高いメディアである。

twitterやfacebookなどのSNSもそのような機能があるから、
人は惹かれるのだろうが、あくまであれは自分で選抜した
知り合いの興味関心のある分野のことしか流れてこない。

「新聞」をまわしよむことで、
「偶然」に出会い、「感性」が発動する。
それをプレゼンテーションすることで「共感」が生まれ、
「何か」が生まれる。

その「何か」は人によって違う。
その「あいまいさ」と「偶然性」が価値なのだろうと思う。

そして、予測不可能な時代を生きている私たちにとって、
「あいまいさ」と「偶然」をつかみ、活かしていくことは
これからの時代必要となってくるスキルと言えるのではないか。

マスメディア時代から個人メディア時代に移りつつある今、
価値を持つのは、「わかりやすさ」だけではなく、
むしろ「あいまいさ」や「偶然性」にあるのではないだろうか。  

Posted by ニシダタクジ at 07:10Comments(0)