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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2016年05月24日

「気づき」を自ら企画する



日曜日明治学院大学白金キャンパスで
行われたサービス・ラーニング・ネットワーク
「2016年度サービス・ラーニング全国フォーラム」に
に行ってきました。

現在の大学教育改革で注目されているサービス・ラーニング。
これは従来はボランティアや課外活動として
学生が独自にやっていたものを、
単位付きの授業として、学びとしてカリキュラムに位置づけ
体系的に検討していくことである。

~~~以下メモ

基調講演:筑波大学唐木清志先生

サービスラーニングとは?
・学校カリキュラムに明確に位置付けられていること。
・社会問題の解決を目指した社会的活動が保証されていること。
・市民性(シチズンシップ)の育成を目指していること。

ポートランド州立大学(PSU)におけるサービス・ラーニングのレポート。
アメリカ・オレゴン州・ポートランド市
にあるPSUは全米ランキングで上位に位置する人気大学。
学部生22,495名、大学院生5,581名。

ポートランド市:
コンパクト、ローカルファースト

PSUに学ぶ
1:まちづくりとサービスラーニング
まちを学習の場とするのがサービス・ラーニング、
まちが市民参加で満たされていれば、
サービスラーニングのパートナーを見つける可能性は高くなる。

PSUの使命
・われわれは、われわれの有する創造力、集合的な知、
そして、専門的技術を活用しながら、活気に満ちた都市に貢献する
とともに、その維持に尽力する。
・われわれは、協働的な学習、革新的な研究、持続可能性、
そして、地域参画に専念する。
・われわれは、多くの生涯学習者から構成される多様なコミュニティを
守り育てる。
・われわれは、すべてのものが誠実さを尊敬をもって対処されることを
信じて疑わない。

PSUのモットー
Let knowledge serve the city

PSUに学ぶ
2 大学の地域貢献に基づくサービス・ラーニング
大学の地を地域に還元するプロセスで、
大学と地域の連携が図られ、そこにサービス・ラーニングが誕生する。

PSUの学部カリキュラム
卒業要件180単位中、45単位が
University Studies(NUST 地域系科目)

NUSTの目標
・探求と批判的思考
・コミュニケーション
・人間経験の多様性
・倫理と社会的責任
1年(探究)2年(コミュニケーション)3年(個性化)4年(協力)

PSUに学ぶ
3 系統的・体系的なサービス・ラーニング
明確な目標観、そして、学生による4年間の学びを見通して、
体系的・系統的にサービス・ラーニングのカリキュラムを構築する。

★自分のメジャー(専攻・専門)とは異なるクラスター(領域)
を選択することが条件

★1,2年次は先輩の支援がつくが、3年次はつかない

PSUに学ぶ
4 学際的な学びに基づくサービス・ラーニング
専門的な知識・技能を習得し、その活用を通して社会的活動
を展開するのがサービス・ラーニングの基本だが、
その知識・技能は学際的であった方が、
社会課題の解決時における活用度は高い。

4年次:シニア・キャップストーン
いわゆるサービス・ラーニング
週2回の学校での授業と週数回のサービスサイト(地域)
で実施される。

事例:ファームエデュケーション
小学生と一緒に農作業をする教育活動を行う団体を
60時間以上サポートする。
授業後半は、飢餓や食の安全保障などの課題について考える。

PSUに学ぶ
5 地域とのパートナーシップに基づくサービス・ラーニング
PSUのシニアキャップストーンでは、コミュニティ・パートナーと授業者が
協力して授業を作ることが前提とされている。

授業目標:
批判的思考、コミュニケーション、多様性などが入った
目標が設定されている。

パウロ・フレイレの言葉
「世界と対峙することを恐れないこと。
世界で起こっていることに耳を澄ますことを恐れないこと。
世界で表面的に生起していることのばけの皮を剥がすことを恐れないこと。
人々と出会うことを恐れないこと。対話することを恐れないこと。

対話によって双方がより成長することができること。
自分が歴史を動かしていると考えたり、人間を支配できると考えたり、
あるいは逆の意味で自分こそが抑圧されている人たちの解放者になれる、
と考えたりしないこと。歴史のうちにあると感じ、コミットメントをもち、
人々と共に闘う。そういうことだけだと思う。

PSUに学べる点
6 サービス・ラーニングにおける批判的思考の役割

サービス・ラーニングでは、体験を通して、
自らの在り方・生き方を見つめ直すことを大切にするが、
同時に、批判的思考などの育成を通して、
市民性(シチズンシップ)を高めることも重視する。

日本の大学教育におけるサービス・ラーニングのこれから
・大学教育改革の大きな枠組みでサービス・ラーニングを考える
サービスラーニングは、「アクティブ・ラーニング」の1つであるし、
「地域創生」にも役立つ理論であり方法である。
また課外活動だけでなく、専門教育の充実にとっても、
十分に役立つものであろう

・今ある取り組みを、サービス・ラーニングの観点から振り返る
ある基準を設け、サービスラーニングとそうでないものを
明確に区別しながら前者の優位性を際立たせることは必ずしも生産的とは言えない。
いまある取り組みをサービス・ラーニングの理論と方法に照らしながら振り返り、
改良・発展するための道具としてサービス・ラーニングを役立てるほうが賢明である

・大学のグローバル展開にサービスラーニングを位置づける
国内のネットワークに留まらず海外とのネットワークも模索すべきである。

・教員あるいは職員の研修に力を注ぐ
多くの教員あるいは職員が授業などにサービスラーニングを
取り入れるにはそれなりの研修が必要になるだろう。

マーガレット・ミードの言葉
われわれは誰も、次の考えを疑うことはできない。
それは小さいが非常に凝縮された一つの集団が
世界を変えることができるといういうことを。
歴史を紐解いてみれば、それが唯一の方法であることが、よくわかる。

基調講演につづいては、パネルディスカッション。
まずはパネリストの3名からの事例発表

最初に、日本福祉大の原田正樹先生。
こちらは2年次に特化したサービスラーニングを行っている。

こちらもコンセプトが熱い。
福祉系の専門人材になる学びをする3年次より前に
ひとりの市民として、どう生きていくか?
を学ぶためにサービス・ラーニングを導入。

まなぶ力(学習意欲)、つながる力(対人関係能力)、やりとげる力(問題解決能力)

ボランティアとソーシャルワーク実習とサービス・ラーニングとの違い
・ボランティアは主体的な活動であり、評価はされない。
・サービス・ラーニングは、
1 授業として評価を伴い、単位として認定される
2 教育活動として事前・事後学習を重視する

・ソーシャルワーク実習は、国家資格として標準化された目標に向かっていく実習
・サービス・ラーニングは
1 社会活動を通しての個人の「気づき」からスタート
2 「気づき」を自ら企画する提案型のプログラム

ソーシャルワーク教育の基盤として、
・「市民性」を土台とした社会福祉の専門職を要請したい
・社会福祉の多様性、制度の範囲を知る。
・市民として地域福祉にかかわるリーダーから学ぶ
⇒地域社会を構成する一人として自分は地域に何ができるか考えさせたい。
★狭い意味での専門職養成ではなく、地域社会を作っていく人材を育みたい。

学習プロセスの「リフレクション」を重視して
・やりっぱなしの活動ではなく、リフレクション(振り返り)を繰り返す
「活動前」「活動中」「活動後」⇒ポートフォリオの活用
・「自己形成力」を高めるために、体験の意味や背景の意味を考えて気づきを促す。
リフレクションの重視
・活動を通して、自分自身のこと、利用者や地域のことに関心をよせ、
社会の問題意識を育む⇒地域貢献活動を通して市民性を育む

★トライアングル・リフレクションの導入
「学生:自己形成評価の重視」
「NPO:各団体の活動の活性化の評価」
「教員:学習効果の評価」
・学生の学びを多面的に評価すること
・本プログラムの有効性を相互評価すること
・三者が相互に企画から評価まで共有する「協同実践」の展開

知多半島の多様なNPOが実践の場

1年間の流れ
「前期」
ステップ1「活動先について学ぶ」
ステップ2「活動の原案を練る」
ステップ3「企画と準備、スケジュールを立てる」

年間
3月:NPOバスツアー(見学・訪問)
4月:事前学習、NPOの実態把握
6月:プランニングシート立案
7月:活動前事前訪問:プログラムすりあわせ
8・9月:プラインニングシートに基づいた6日間の活動
10・11月:活動プログラムの評価、レポート作成
12月:活動報告会
1月:学習のまとめ

~~~ここまでメモ

いちばん熱かったのは、
ICUの黒沼先生が言った
「一般的なサービスラーニング」なんて存在しない。
担当する人が個人として、どういう価値観を持って、
どんな学びを得たいのか、どんな世界をつくりたいのか?
という世界観が影響する。

なるほど。
そうだよね。
そういう個人の集合体がつくっていくのだろうなあと。

サービス・ラーニングは
ポートランド州立大学の事例を見ても、
日本福祉大学の取り組みを見ても、

大学と地域がともに学ぶ。
学生と教員と地域が、トライアングルで学んでいく。

それによってよりよい学びと
よりよい地域が実現していくのだと。

大学教育にサービスラーニングを導入していくには、
大学改革の流れの中で、
「アクティブラーニング」「課題解決型学習」
のひとつの方法論としてアクティブラーニングがあるということ、

だからすでにある科目で「サービスラーニング」的な
授業をそのように位置づけたり、

やってみた後で振り返ると
サービスラーニングだった、みたいなプログラムを
つくっていくことだろうと。

大切なのは、サービスラーニングは、
学びの方法論の1つの方法にすぎないということ。

うまいことデザインしていく必要があるなあと。

印象に残った言葉はたくさんあるのだけど、
その中でも原田先生のスライドにあった

「気づき」を自ら企画する。っていうのが、
クランボルツ博士の「計画された偶発性理論」に
通じるものがあって、シビれました。

気づきと偶然を企画する。
そんな時代になったのかなあと。

まだまだ、奥が深そうで、可能性がありそうです。
もう少し学びたいなあと。  

Posted by ニシダタクジ at 08:49Comments(0)日記