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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2016年11月07日

居場所のジレンマ



ツルハシブックス閉店。
5年半という期間、たくさんの人に支えていただいた。

ふりかえると、
山田店長の名言
「これがツルハシブックスの日常です」が出た
2015年12月のテレビ放送の時が最高値で、
ラストの1年は、「居場所のジレンマ」に苦しむ日々だった。

「居場所のジレンマ」

それは、居心地のいい場所は、
誰かにとっての「居場所」になる。

そしてその「居場所」を享受する人が増えすぎると、
その場所は、初めて来店する人にとっては、
「居心地の悪い場所」に感じられる。

「常連さん」
と呼ばれる人が増えてきたら、注意が必要だ。

ツルハシブックスの店員サムライには
わずかな決め事があった。

・レジに必ず1人は立っている。
・来店したお客さん全てに話しかける。
・「こんにちは」「近くからですか?遠くからですか?」
そのあと、話の流れは個々に委ねられる。

この会話が成立するには、
本屋という空間に人が多すぎてはいけない。

せいぜい、3人。
いや、8人いてもいいけど、その8人は
1人で本を見ている人が3人、
2人で話している人と3人で話している人が1組ずつ
というように、なっていなければならない。

ソファ席を廃止したのは、
大人数で集まることを防ぐためだ。

「お客はだれか?」
ツルハシブックスの店員サムライが
合宿で問われる重要な問い。

ツルハシブックスにとって、「お客」とは
自動ドアに見えるけど実は手動の、
あの重い扉を勇気を出して開けてきた
中学生高校生大学生のことだった。

だから、彼らが来た時に、
店員サムライだけではなく、
その場にいるお客さんも、
みな、その瞬間、「演じ」なければならない。

店員役を、
そして、お客の役を。

それを目指し、「劇団員」という制度をつくり、
それはツルハシブックスという場所でなくても、
「日常」を「劇場」に変えていく、という思いを込めた。

常連さんたちのためには「三階」をつくった。
「居場所」は三階で、一階の空間はツルハシブックスとして残したかった。

しかし、その試みは、失敗した。
「居場所のジレンマ」の壁は超えられなかった。

11月3日も、同じことが起こった。
ツルハシブックスで知り合ったお客さん同士で
遊びに行った後の午後6時前に、
ふたたび「ただいま」ともどってきた。

10人ほどのお客さんが、テーブル席に集まっていた。

そうなると、もう、
その空間は「劇場」としての緊張感を失う。
初めて来店したお客さんへの対応も、
まずは「うるさくってすみません」という言葉から入るようになる。

それが決して悪いわけではないという人もいるかもしれない。

でも、僕がツルハシブックスで創りたかったのは、
劇場としての本屋であって、「居場所」ではない。

「コミュニティ難民のススメ」(アサダワタル 木楽舎)を読んで、
「居場所とは瞬間のことだ」という言葉にインスパイアされた。

ツルハシブックスは、アートプロジェクトだった。
「アートとデザインとビジネスのあいだ」というアートを
目指す活動だった。

「中高生のための本屋づくり」
をコンテンツとして集まった、
「サムライ」と呼ばれる人たちによる
アートプロジェクトだった。

アートプロジェクトで大切にすべきは
当然、「美しさ」である。

「居場所のジレンマ」をどうやって超えるのか?

本屋、あるいはブックカフェという具体的な「場」を
持ってしまったら、それは避けられないのか。

何十年も続いている喫茶店やショットバーのような空間
が「居場所のジレンマ」をどのように超えているのか?
については、「お客を育てる」というところがポイントらしいが、
それができていなかったのか。

スターバックスコーヒーで朝活を続ける土屋さんの
つくる「場」のようなものは、固定した場所ではできないのか。

そんな大きな問いが残ったツルハシブックス閉店だった。

山田店長がいうように、
ツルハシブックスはこれから、「ハード」ではなく、「ソフト」として
活動していくことになる。

「居場所のジレンマ」をどう超えるか?

これを一緒に考えてくれる方、
あなたも「ツルハシブックス」劇団員になりませんか?

「ツルハシブックス劇団員」募集
http://www.tsuruhashibooks.com/gekidan.html  

Posted by ニシダタクジ at 07:13Comments(0)学び