2016年12月12日
伴走者であり、伴奏者であるような店づくり
「そして、暮らしは共同体になる。」(佐々木俊尚 アノニマ・スタジオ)
ラスト、シビれるほどの感動があった1冊になりました。
「文化をつくる」企業っていうのは、どういうことなのか?
に関して、たくさんの問いをもらいました。
この本では、
野菜の通販会社「オイシックス」
都心立地型スーパー「成城石井」
セレクト通販「北欧暮らしの道具店」
などを取り上げ、説明されています。
オイシックスのオムニチャネルを
担当する奥谷さんの一言。
「ここにきて思うようになったのは、
企業が価値を提供するのではなく、
企業とお客さんが価値をともに創る時代になるということです」
なるほど。
佐々木さんは、これからの企業は
「ネットか、リアルか」ではなく、
「文化なのか、大規模インフラ」か
というように分かれていくと言います。
文化に大切なのは「らしさ」であり、
そこは大規模インフラにはできないこと。
そうして、企業とお客さんの関係も変わりつつあります。
~~~ここから引用
「文化である」ということこそが、
お客さんを受動的な存在におとしめず、
ともに文化をつくり、共感できる仲間としての
能動的なつながりへと高めていくカギなのだと思います。
だからこれからの消費は、
わたしは単に個人のお客さんを相手に商売する、
モノを売るというだけではない。
そのお客さんと仲間となり、さらにお客さんの周囲にいる
家族や恋人、友人たちとのあいだでつくられる
文化の空間を支えていくものでなければなりません。
なにかを売るという行為は、
あるひとりの人に向けてではなく、
文化全体に向けて届けられるのです。
その人の向こう側にいるたくさんの人たちに向けても
伝えられるのです。
(中略)
企業は見えないところで人々を支え、
文化空間が維持されるように心砕いていく。
そういう「伴走者」になっていくのです。
~~~ここまで引用
ツルハシブックスが
「劇団員」という仕組みで目指したかったのは
きっとそういうことなのだろう。
暗やみ本屋ハックツをやって、
ハックツとは、「手紙」だと思ったし、
仕事の本質は手紙にあると思った。
誰かのために書く「手紙」。
それが商品だとしたら、
お店というのは、
文化、地域、その向こう側にあるものに向けての
手紙なのだろう、祈りなのだろう。
その手紙を携えて、
歩くお客さんと伴走し、
お客さんの歌う歌を伴奏する、
そんな存在がこれからのお店になっていくのだという予感がした、
素敵な1冊でした。