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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2019年06月27日

「30年の経験があります。」というウソ


「劣化するオッサン社会の処方箋~なぜ一流は三流に牛耳られるのか?」(山口周 光文社新書)

昨日にひきつづき、この本。
昨日はなぜ50代の親世代と就活・転職世代が対立してしまうのか。
今日は「実践編」というか、じゃあ、どうすればいいのか、について。

「大きなモノガタリ」への適応が
圧倒的な便益(簡単に言えばお金)を生み出したので
教養が死んだという話でした。

しかし、すでにその「大きなモノガタリ」は消えうせ、
「新しいモノガタリ」(グローバル資本主義)が始まっています。

そこへの「適応」が
英語をバリバリしゃべれて、論理的にプレゼンテーションができて、
ディスカッションでも負けない人材になる、ということだったのではないでしょうか。
外資系企業に入っても即戦力でバリバリやれます、みたいな。

「モノガタリ」への同化・適応っていうのは、キーワードとしては非常に重要だと思います。

僕が最近感じていた、
30代の「ソーシャル起業」世代と20代の「シェアライフ」世代の差は
もしかしたら、そこにあるのかもしれないと思いました。

さて。
本文から引用します。

~~~ここから引用

経営というものは、「アート」と「サイエンス」と「クラフト」が渾然一体となったものであり、「アート」は、ステークホルダーがワクワクするようなビジョンを生み出し、組織の創造性を後押しします。(ヘンリー・ミンツバーグ)

「サイエンス」は、体系的な評価や分析を通じて、「アート」が生み出したビジョンや直感に現実的な裏付けを与えます。「クラフト」は、地に足のついた経験や知識をもとに、「アート」が生み出したビジョン、「サイエンス」が裏打ちした計画を現実化するための実行力を生み出します。

まず、二流の人間は、自分は本当は二流であり、誰が一流なのかを知っています。一流の人間はそもそも人を格付けする、あるいは人を押しのけて権力を握ることにあまり興味がないので、自分や他人が何流かということをはなから考えません。三流の人間は、往々にして周囲にいる二流の人間のことを一流だと勘違いしており、自分も「いまは二流だが頑張ればいつかはああなれる」と考えて、二流の周りをヨイショしながらウロチョロする一方で、本物の一流については、自分のモノサシでは測れない、よくわからない人たちだと考えています。

社会で権力を握っている権力者に圧力をかけるとき、そのやり方には大きく「オピニオン」と「エグジット」の2つがあります。オピニオンというのは、おかしいと思うことについてはおかしいと意見するということであり、エグジットというのは権力者の影響下から脱出する、ということです。劣化するオッサンのもとで納得できない理不尽な仕事を押し付けられている立場にある人であれば、まずオピニオンとエグジットという武器を意識してほしい

「フィードバックの欠如」が、システムにとって致命的な問題をもたらします。オピニオンやエグジットというのは、もっともわかりやすく、有効なフィードバックなのです。オピニオンもエグジットも行使できないのはなぜか?「美意識の欠如」と「モビリティの低さ」にあります。汎用性の高いスキルや知識などの「人的資本」と信用や評判といった「社会資本」を厚くすることで、自分の「モビリティ」を高めるしかありません。

「年長者の価値を毀損する3つの理由」
1 社会変化のスピード
向き合う問題が年長者にとっても若者にとっても新しい問題なのであれば、問題解決の能力はむしろ若者のほうが優れている。
2 情報の普遍化
データベースとしての年長者の価値の低下が起こっている。
3 寿命の増進
寿命が延びた結果、年長者そのものの数が増えているので、相対的に価値が低下する。

~~~ここまで引用

なるほどなるほど。
組織でオッサンたちとズレがあるのはまさにここだなあと。
でも、オッサンたちもつらいだなあと。

そして、今日のメインはこちらです。
学ぶとは?経験とは何か?

~~~ここから引用

人間の成長は学習という概念と深く関連しており、学習は「経験の質」に関わっています。

「成長」にとって「経験の量」はそれほど重要ではありません。すでにできるようになったことをいくら繰り返しても脳内のニューロンの連結は変わらないから。

「わかるということは、それによって自分が変わることだ」(阿部勤也 元一橋大学学長)

情報は劣化しない:「壊れるもの」は時間を経過するごとに老いていきますが、「壊れないもの」は時間を経過するごとに若返っていく、ということです。長いこと有用な知識や情報を学びたければ、その知識や情報が活用されてきた期間に着目しろということです。それをまさしく「教養」と呼んできた。

同じ仕事を30年続けているという人は「30年の経験がある」と主張したがるかも知れませんが、脳神経科学の文脈で「経験」という言葉を厳密に用いれば、実際には「1年の経験から学び、あとは同じことを29年繰り返した」というべきです。

なぜなら「経験」とは常に、新しい気づきへの契機をもたらすものだからです。同じような仕事を同じような仲間と同じようなやり方でやり続ける、というのは、「経験の多様性」を減殺させることになります。いろんな仕事を、いろんな人たちと、いろんなやり方でやったという「経験の多様性」が、良質な体験をもたらし、学習を駆動することになるのです。

セカンドステージにおける学びの量は失敗の回数にそのまま正相関する。

「アマゾンは創業以来70以上の事業に新規参入していますがおよそ3分の1は失敗して撤退しています」チャレンジして失敗してその学びを次のチャレンジに活かす、というサイクルを高速で回しているからこそ、新規事業の成功確率をどんどん高めることができるのです。

これは個人でも同様に言えることです。セカンドステージにおける失敗の経験が「どうすると失敗するのか」「失敗するときのポイントはなにか」という学びにつながり、これはチャレンジするときの心理的な抵抗感、つまり「失敗してしまうのではないか」という恐れを低減させる要素となります。

何度も繰り返して失敗すれば、「こういうときはヤバい」という失敗の勘所が身につきます。この勘所をセカンドステージでつかむことが重要なのです。なぜならサードステージに入ると、失敗のダメージが非常に大きくなってしまうからです。

失敗のダメージが小さいセカンドステージでたくさんチャレンジし、自分なりの「失敗マニュアル」を作ってしまうことで、サードステージにおいて、大胆なチャレンジができる、つまり「自分はどこでもやっていける」という自信の形成につながるのです。

「なにかにチャレンジする、ということは、それまでにやってきたなにかを止める、ということでもあります。今までにやってきたことをやり続けながら片手間でやる、というのは「チャレンジ」とは呼びません。」

「チャレンジ」には「時間や能力の集中」という要素が付きものであり、したがって「それまでにやっていたことを一旦止める」ということが必然的に求められます。つまり「なにかを止めないと、なにかにチャレンジできない」、チャレンジの難しさの本質は、チャレンジそのものよりも、それ以前に横たわる「なにかを止めること」にある、ということです。

~~~ここまで引用

「経験」「挑戦」「失敗」
の意味が変わりますね。

一番衝撃だったのはやはりこれですね。

同じ仕事を30年続けているという人は「30年の経験がある」と主張したがるかも知れませんが、脳神経科学の文脈で「経験」という言葉を厳密に用いれば、実際には「1年の経験から学び、あとは同じことを29年繰り返した」というべきです。

なぜなら「経験」とは常に、新しい気づきへの契機をもたらすものだからです。同じような仕事を同じような仲間と同じようなやり方でやり続ける、というのは、「経験の多様性」を減殺させることになります。いろんな仕事を、いろんな人たちと、いろんなやり方でやったという「経験の多様性」が、良質な体験をもたらし、学習を駆動することになるのです。

~~~

大学生に例えて言えば、

「4年間部活ひとすじでやってきました。」

っていうよりは、

「10個のプロジェクトを回して、成果はこれで、失敗はこれで、これを学びました。」

っていうほうが「経験」と呼べるってことですよね。

そのために、いちばん大切なのはやっぱり「ふりかえり」ということになるのではないかなと思います。
たくさんのプロジェクトに手を出して、どんどん忙しくなって、振り返れなくなって、学びが少ない。

これは活動的な人あるある
だと思いますけど、

もったいないなと。

たくさんのチームで、たくさんのプロジェクトを回しているのだから。
そのひとつひとつを自分なりにふりかえること。そこから学ぶこと。
何より「自分を知る」こと。

僕がかかわっている、茨城・えぽっくの企業取材型インターン「チームひきだし」と
新潟・「にいがたイナカレッジ」のプログラムは、ふりかえりを重視したプロジェクト設計となってます。

興味がある方は私までお問い合わせください。  

Posted by ニシダタクジ at 07:29Comments(0)