2021年05月02日
そうして「人生」は創造される
「顧客消滅」時代のマーケティング(小阪裕司 PHPビジネス新書)
ひさしぶりの小阪さんの1冊。
相変わらずシビれる本を書いてくれる。
この本で特に重要なのは「フロー」と「ストック」
「フロー」
・流れていくもの
・新規客、一見客
・人通りの多い場所、目立つ場所への立地が重要
・広告、SEOなどで集客。1日当たりの利用者数や売り上げを重視
・景気変動の影響大
「ストック」
・貯蓄されたもの
・常連客、リピーター、会員、ファン
・立地はあまり関係なく、継続的なコミュニケーションが重要
・「顧客数」や顧客リストを重視
・景気変動の影響少
コロナ禍において伸びた店のうちの多くが
顧客リストなどのストックのお客さんへのアプローチをかけて、成果を上げた。
「フロー」と「ストック」という視点、切り口、面白いなと。
「関係人口」的に言えば、地域おこし協力隊とか、地域みらい留学への参加生徒は、
彼らはフローとストックのあいだ、「期間限定ストック」とでも呼ぼうかを行き来している。
この本の僕的なハイライトは以下のところ
~~~ここから引用
そうして「市場」は創造される。「市場」とは、まるで元からあったもののようによく語られるが、その本質は、こういうものだ。誰かが「価値」を具現化し、世に送り出す。受け手の感性と響きあって「買う」という行動が生まれる。そこに生み出されたものが「市場」だ。
ビジネスとは、「自分のミッションとは何か」という創造活動と、日々の商売によって売り上げを上げていくという問題解決行動を同時並行で進めていくべきものである。
そしてミッションとは、自分が顧客に価値を提供しているうちに、「あ、自分はこういう部分が評価されるのか」と気づいていく中で見つかっていくものだ。それはどんな小さなサービスでも、何億円、何百億円のビジネスでも同じだ。
さらに言えば、そうして決まったミッションも不変というわけではない。ミッションは毎日変わってもいい。
アートとしてのビジネスでは、判断基準は「儲かるか/儲からないか」ではない。「好きか/好きじゃないか」、「楽しいか/楽しくないか」、「美しいか/美しくないか」、そういう基準である。
~~~ここまで引用
そうそう!それそれ!
みたいな。
ツルハシブックス閉店の最大の理由もまさにこれ。常連さん的な人が店を占有する姿を見て、美しくないと感じてしまったからだもんなあ。
逆にスタッフで企画して不用品のバザーまでやった「家賃フェス」や「To you(灯油)フェス」は、僕的には創造的な美しい活動だった。
「美しいか/美しくないか」、それが一番大事だと思う。
そしてこの一節、
ビジネスとは、「自分のミッションとは何か」という創造活動と、日々の商売によって売り上げを上げていくという問題解決行動を同時並行で進めていくべきものである。
これさ、まさに「探究的学び」と同じじゃないか。
「自分のミッションとは何か?」という創造活動と、「出された課題をどう解決するか?」という問題解決行動を同時並行で進めていくもの、ではないのか?
そしてこれ。
そしてミッションとは、自分が顧客に価値を提供しているうちに、「あ、自分はこういう部分が評価されるのか」と気づいていく中で見つかっていくものだ。それはどんな小さなサービスでも、何億円、何百億円のビジネスでも同じだ。
これはまさに、イベントなどの「場」に巻き込まれて、場やチームに溶け込んでいく中で、「あ、自分はこういう部分が評価されるのか」と気づいていく中で見つかっていく、ということなのではないか?
そしてその「ミッション」こそが高校生大学生が抱えている最大の悩みである「やりたいことは何か?」に対応するものなのではないか?
「ミッション」も「やりたいこと」も毎日変わってもいい。とっとと行動を始めることだ。
さらにこれ。
アートとしてのビジネスでは、判断基準は「儲かるか/儲からないか」ではない。「好きか/好きじゃないか」、「楽しいか/楽しくないか」、「美しいか/美しくないか」、そういう基準である。
これを「人生」に置き換える。
「アートとしての人生」では、判断基準は「効率的に稼げるか/稼げないか」ではない。「好きか/好きじゃないか」、「楽しいか/楽しくないか」、「美しいか/美しくないか」、そういう基準である。
これだよ、これ。探究的学びも同じだ。「美しいか/美しくないか」を基準に、やってみて、ふりかえり、進んでいくこと。そういうことなんじゃないかと。
ラストはこれ。
そうして「市場」は創造される。「市場」とは、まるで元からあったもののようによく語られるが、その本質は、こういうものだ。誰かが「価値」を具現化し、世に送り出す。受け手の感性と響きあって「買う」という行動が生まれる。そこに生み出されたものが「市場」だ。
これだ。
そうして「人生」は創造される。「人生」とは、まるで元からそれがあったもののように語られるが、その本質は、こういうものだ。自分が感じた「価値」を具現化し、世に送り出す。受け手の感性と響き合って、「共創」という場が生まれる。そこから生み出されたものが「人生」だ。
僕がつくりたいのは、そういう活動であり、「場」なんだなと、あらためて思い出させてくれた1冊でした。