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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2022年06月12日

「デバッグ」のマインドを持ち、「違和感」をキャッチし、主体をも「創造」する


「クリエイティブ・ラーニング~創造社会の学びと教育」(井庭崇 編著 慶応義塾大学出版会)

ひとり「クリエイティブ・ラーニング」ゼミ。
今回は第4章 創造的な学びをつくる より
「ジェネレーター」を出版した元になった対談たと思います。

今日のキーワードは「違和感」と「デバッグ」

その前に、第3章で出てきた「知識=事実ではない」という話も少し復習。
「知識=事実」ではなく、常に暫定的なシステムであり、ネットワークである。
ということで。

~~~以下メモ
プラグマティズムの特徴は、行動と思考の関係に注目することと実験主義にあります。

パースは、私たち一人ひとりが、いくつもの知識―「信念」(belief)が関係し合っているネットワークをもっていることから考えるべきと言いました。その信念のネットワークは未熟だし、誤りをたくさん含んでいるかもしれない。でも、この信念のネットワークを持っているからこそ、疑うことが可能になるのです。

いま持っている信念のネットワークと異なることが現実に起きたとしましょう。そうすると、その気づきから「なぜこの問題が生じたんだろう」という「疑念(doubt)」が生じます。そこから「探究(inquity)」が始まります。そこから思考を進めて、問題が理解可能になったら、そのとき新たな信念が獲得できるわけです、ここでひとまず一段落です。ただ、この信念もそれほど確実なものではありません。別の状況においては、これまでの信念のネットワークでは説明できない事象がまた生じるかもしれませんからね。このように、信念のネットワークの綻びから疑念が生じ、疑念から探究が生じる。これがパースの考える「探究」です。
~~~

このあとパパートの「コンストラクショニズム」、つまり自分の中の理解(第3章の話でいえばシステム)のモデルはひとりひとり違っているんだという話から「デバッグ(バグを取り除く)」の思想へとつながっていきます。

デバッグの思想はまさに上に出てきた信念のネットワークの修正・改善の話で、つまり破壊と創造なわけです。

一回つくったものを壊すのってなんか嫌だし、勇気が要ります。にもかかわらず、臆することなく破壊と創造を繰り返すマインドセットを身に付けるには、実際に自分が創造したものを壊してまたつくるという経験を積み重ねるしかない。

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これまでの教育実践では、こういう活動をしましたとか、こんなものをつくりましたとか、一回一回の取り組みの「出来」に注目が集まりがちでした。しかし、プラグマティズムの議論からもわかるように、「出来」がよい活動を目指すことが探究だというわけではありません。そうではなく、地味なことであっても、子どもたちが自分なりに「ここが気になる」「もっとよくしたい」という気持ちを持ってひたすら探究を続ける「プロセス」が重要なんです。こういうマインドは一朝一夕では育たない。何度も工夫しながら、つくる行為をひたすら続けることで初めて生まれてくるものです。
~~~

自分が「つくっている」のか「つくらされている」のかわからなくなる。自分がそうしたいからそうするのではなく、そのものが「あるべきかたち」になろうとするのを一生懸命追いかけている感じです。

川喜田二郎氏は「創造と伝統」の中で言いました。

「創造的行為は、まずその対象となるもの、つまり「客体」を創造するが、同時に、その創造を行うことによって自らをも脱皮変容させる。つまり「主体」も創造されるのであって、一方的に対象を作り出すだけというのは、本当の創造的行為ではないのである。そして創造的であればあるほど、その主体である人間の脱皮変容には目を瞠るものがある。
~~~

創造的行為は客体だけでなく主体をも創造する(変容させる)。
それを個人ではなく「場」を主語にできるんじゃないか?
「自分を変えたい」と思うなら、まずは創造的な場に身を置くことかもしれませんね。

昨日は、新潟県・大学・私学振興課の「くらす・はたらく編集室」でした。
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/daigaku/gakuseijohohasshin01.html
(カタカナ表記ってアーティストっぽいですね。笑)



「場のチカラ」「魔法をかける編集」「ふるさとを創る」というキーワードで説明したのだけど、たぶん、お伝えしたいことは、こういうことかもしれません。

「デバッグ」のマインドを持つからこそ、「違和感」のキャッチ(とそれを場に共有すること)をプラスに捉えることができる。

さらに活動主体を個人ではなく「場」に移すことで、「場」を主語にして客体を創造するプロセスの中で主体としての「場」が変容する。

「自分を変えたい」という意志のチカラを信じるのではなく、「場のチカラ」と「創造のチカラ」に委ねてみると、結果的に自分(信念のネットワーク)が変わっていた。

そして変わった自分も暫定的なものであり、ひたすらに「デバッグ」していくプロセスにあるのだということ。

これ、うまくパワーポイントで伝えたいなあと。  

Posted by ニシダタクジ at 07:09Comments(0)学び日記