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ニシダタクジ
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 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2011年09月22日

請われれば、一差し舞える人物になれ

自立すると独立するはどう違うのか?

そんな問いを頂いた
全国社会教育研究大会の
基調講演、鷲田清一先生だった。
僕なりの感想を以下に書いてみる。

人々は幸せを求めた。
もっとも重要な安心・安全を求めた。

だから、「プロに任せる」ことにした。

国家免許を受けたものしか
医療行為を行ってはいけないことにした。

公務員試験に合格したものしか、
けんかの仲裁や火事のときに、
かけつけてはならないことにした。

それによって、
安心・安全度は飛躍的に向上した。
そして長寿社会は実現した。

しかし、それが不幸への始まりだった。
民間の力はどんどん失われていった。

赤ちゃんを取り上げられる人は近所にはいなくなった。
病気になったとき、この草を煎じて飲めば、なんていうばあちゃんは笑いものにされた。
いまでは、料理をする人さえ少なくなっている。

安心・安全の代わりに自分たちの能力を
どんどん失っていった。

私たちは賢い消費者になった。
自分たちの正当な権利を主張し、
サービスの質を向上させるための助言を
行うことにした。

つまり。
わたしたちに残されたのは
クレームをつけることだけだった。

すると、負のスパイラルが始まっていく。

プロは、文句を言われないように、
なるべくクローズにする。
ますます閉じていく。
民衆はますます無知で能力がなくなっていく。

いま、まさにそのらせん階段を降り続けている。

いま。
私たちが取り戻すのは、「生きる力」であり、
そしてインターディペンデントな生き方である。

自立は独立とは違う。

独立=インディペンデンスとは
他社に一切依存しないで生きていくことだ。

しかし。
それは不可能である。

いま、あなたが着ている服は
あなた自身が作ったものだろうか、
いや、万が一布を買ってきて作ったものだとしても
その布は、あなたが繊維を1本1本紡いで作ったものではないだろう。

自立。
そして相互依存。

藤原和博先生の言葉を借りれば、
「自立貢献」。

まさにこれこそが、地域の力、生きる力を
取り戻していくキーワードになるだろう、と鷲田先生が言っていた。

新しい公共。
それは、ひとりひとりが
ひとりの住民として、役割を果たしていく社会。

顧客としては成長してきたが、
市民としては劣化してきた私たちが
役割を果たしていくということ。

らせんを逆まわりにしていく。
そのためには参加型の地域コミュニティが
不可欠であり、ツルハシブックスはその核になりうる
と改めて思った。

最後に講演はこの言葉で締めくくられた。

「請われれば、一差し舞える人物になれ」

グイグイ引っ張っていくリーダーシップではなく
フォロワーシップ。

普段はのほほんとしているけど、
頼まれれば、舞いのひとつも舞いますよ、
というような人。

戦国時代にたとえるならば
退却戦のしんがりを務められる人物。

ダウンサイジングの時代に、
新たなる時代への退却戦を戦っているのが
今の時代なのだ。

そのしんがりを私は務められるだろうか?
そんな問いが胸に残った。

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Posted by ニシダタクジ at 04:52│Comments(0)日記
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