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ニシダタクジ
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 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2013年04月03日

喋らないという表現、教えない勇気

喋らないという表現、教えない勇気
「わかりあえないことから」(平田オリザ 講談社現代新書)

これ、いいね。
なんか、根源的な問いが詰まっている気がする。

平田オリザさんが学校で行う国語の授業。
そこでは、簡単な演劇をつくるワークショップが行われる。

たとえば、朝の教室でみんなが登校後、
ワイワイガヤガヤやっている中に、先生が入ってくる。
という芝居。

セリフや配役を自分たちで考え、やってみる。
そのときの柔軟性がおもしろい。

セリフがない人がいてもいいのだ。

「話さない」と言った子に対して、
「じゃあ、君は話さない役にしようか?」
と平田さんが聞くと、

意外にみんな
「えー、じゃあ、なんか言う」
といって自分のセリフを書き始める。

「話さない、寝てるから」という子に対しては、
「おぉ、いいね、いいね、じゃあ君は寝てる役にしようか」

「いない、いつも遅刻ギリギリだから」と言う子がいたら、
「おぉ、いいね、いいね、じゃあ遅刻してくる生徒の役も作ろう」

とくるわけだ。
なんだかこの授業とても楽しそう。

演劇という舞台での「役」としては、
別に話す人ばっかりじゃなくてもいいのだ。

このときに子どもたちは
「話さない」というのも表現だと知る。

あるいは「その場にいない」ことさえ、
表現かもしれないと感じる。

平田さんは言う。
子どもたちのなかで「表現」という概念が大きく広がっていく瞬間がある。

いいね。こういうの。
しゃべらないという表現。
こういうのもあるんだって知る。

だから先生だって、
「教えない」というのもあることを知ること。

平田さんは公教育の世界に入って一番驚いたのは実はこの点だと言う。

先生はついつい
「ほら、先生が入ってきたんだから、そんな言葉づかいじゃダメでしょう」
ということを一方的にすり込んでしまう。

少し、本文から引用する

~~~ここから引用

私が公教育の世界に入って一番に驚いたのも、実はこの点だった。
教師が教え過ぎるのだ。もうすぐ子どもたちが、素晴らしいアイデアにたどり着こうとする、
その直前で、教師が結論を出してしまう。
おそらくその方が、教師としては教えた気になれるし、体面も保てるからであろう。
だいたいその教え方というのも全国共通で、「ヒント出そうか?」と言うのだが、
その「ヒント」はたいていの場合、その教師のやりたいことなのだ。

表現教育には、子どもたちから表現が出て来るのを「待つ勇気」が必要だ。
しかし、この勇気を培うことは難しい。
ただの勇気では、蛮勇になってしまう。経験に裏打ちされた自身が「待つ勇気」「教えない勇気」
を支える。

~~~ここまで引用「わかりあえないことから」より

場の持つチカラ。
表現するという自由。
なんか、人生や世の中の基礎が学べそうな授業。
こういうの、楽しいかもしれませんね。

わが塾でもできないかしら。

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Posted by ニシダタクジ at 07:21│Comments(0)学び
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