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ニシダタクジ
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 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2013年08月17日

お金はあらゆるものを無機化する

お金はあらゆるものを無機化する

お盆休み中の課題図書
「ナリワイをつくる」(伊藤洋志 東京書籍)と
「なぜゴッホは貧乏でピカソは金持ちだったのか?」(山口揚平 ダイヤモンド社)
を読みました。

いや。
この順番で読むのがまたよかった。

「ナリワイをつくる」は痛快そのもの。
言葉づかいも面白いし、伊藤さんの
生き方そのものが歓びにあふれているので、
ステキです。

13歳のハローワークの対極に位置する1冊です。

中学生は
「図解 ナリワイをつくる」
みたいな本を読むべきだと思います。
専業の時代は終わりを告げつつあるのはないかと感じさせるに
充分な1冊でした。

そして
「なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?」
はそのナリワイ理論を強化してくれる
またその先の未来を示してくれる
素晴らしい1冊でした。

・お金はコミュニケーションツールのひとつ
・私欲(ノイズ)を削ることでミッションが見えてくる
・資本主義から信用主義に変わっていくので信用を大切にする
・与え、与えられる関係を3者以上のつながりの中でつくっていくこと

と著者のまとめによるとこんな感じ。

面白かったのは、
お金ピラミッド理論
お金はあらゆるものを無機化する

お金は価値と信用によって生み出される。
使命と覚悟が価値をつくり、それがお金を生み出す。
そして何より、価値と信用があれば、
お金を介在することなく取引が成立する。

うーむ。
深いぞ、これは。

僕がもっとも感銘を受けたのは、
次の一節だ。

~~~ここから引用

考えてみれば当たり前だが、モノやサービスは、
本来、そのモノが存在する背景や必然性、
あるいは物語、意味と言ったものを包み込んで持っている。

しかし、そのモノに値段がついたとき、お金は
そのモノが持つ言語化できない価値を、
数字という一点でばっさり表現しきってしまうことで、
物事の価値を「一般化」し、「匿名化」し、「無機化」してしまう。

まるで強力な漂白剤でよごれたシャツを洗うと色や模様までが
溶けてしまうように、お金は、
そこに何もなかったかのような真っ白で無菌なものに仕上げてしまう。

同じ1億円でも、画家が一生をかけてその魂を描ききった
傑作についた価格と、株式公開によって1日で増えた
時価総額とでは、背景にある意味や物語、
言語化できない価値がまるで違う。

だがそれらを値づけしたとき、
絵画と株式は同じ土俵で評価され、
比較できるようになり、人びとの意識はそれらの「生」の価値
からお金の額=数字へとスライドさせられる。
こうして、あらゆるものは無機化してしまう。

~~~ここまで引用

うう。
唸るね、これは。

農業が失ったものはまさにこれだと思うよ。

「有機野菜 150円」というラベルが貼られると、
その「有機」という言葉と「150円」という価格に
価値が置かれ、それを150円に値すると思った人が買うのだ。

どこで、誰が、
土づくりに何年の月日がかかって、
毎朝何時に起きて水をやって、
やっと採れた野菜なのかどうかは分からずに、

「無機化」された「有機野菜」
を買っているのだ。

しかし。
そんな時代はだんだん変わると著者は言う。

価値のコミュニケーション市場における、
貨幣(ハードマネー)のシェアは2015年を境に下落し、
物々交換や贈与経済など、非貨幣経済のシャアが拡大していくと予測する。

そのときに大切になってくるのが
「信用」である。

こう考えると、
「ナリワイをつくる」の伊藤さんが積み重ねているのは
まさしく「信用」なのではないだろうか、と感じる。

2015年以降の歩き方。

それは、ナリワイを生きながら、
「信用」を積み上げて、
それを少しずつ貨幣に変えながらも、
そうではない非貨幣な取引を増やしていくことなのではないかと
この2冊から学べた。

お盆休みの素敵な読書時間をありがとう。

人生と世の中を読み解く2冊。
強くオススメします。

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