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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2014年12月24日

サンクチュアリ出版と僕 5 第4走者になる

2009年4月。
「ホスピタルクラウン」の著者、大棟耕介さんの
講演会が新潟で開催された。

主催者の今井さんから電話がかかる。
「本を売ってくれませんか?」

しかし、引き受けてくれる書店がなかった。
そこでサンクチュアリ出版に電話。
営業部長の市川さんに相談。

「クラウン売りたいんですけど、書店には断られちゃって。」
「じゃあ西田くん、自分で売る?」
「ええ!いいんですか。売りたいです。」
「何冊にする?それで、委託にする?買い切りにする?」

当日の入場者は250名程度だと言われていた。
大棟さんの講演を聞けば、
きっとみんな本を買いたくなるだろう。
半分くらいの100冊くらいはいけるんじゃないか?

「100冊、買い切りでお願いします。」

代金を振り込み、
僕は100冊のホスピタルクラウンを手に入れた。

当日。
大棟さんの講演会。
本は、売れに売れた。

はずだった。
38冊の売れだった。

やってしまった。
僕は62冊の「ホスピタルクラウン」の在庫を
抱えることになった。

2009年8月。
僕は小さな本屋さんになった。

その頃知り合った新潟活版所の渋谷さんに頼んで名刺を作った。
屋号は、「本屋には小さな人生が転がっている」
オフハウスで1575円の小さなトランクを買った。

名刺交換の時、その名刺を出した。
「本屋さん始めたんです。」

「ええ?どこにお店あるんですか?」

「ココです。」
と後部座席から小さなトランクを出して、
パカっと開けた。

そこには8冊の「ホスピタルクラウン」と
直筆のPOPが貼ってあった。
「天職とは選ぶものではなくたどり着くものだと教えてくれる。」

「その本、そんなにオススメなんですか?」
「もちろんですよ。人生にインパクトあります。
もし面白くなかったら返金しますので。」
と言っていたら、意外に売れた。

笑顔写真家のかとうゆういちくんも
買ってくれたひとりだ。

もしかしたら、
「本屋はじめました。」と言い続けていたことが、
僕を本当に本屋さんにしてしまったのかもしれない。

もうひとつは、福島県郡山駅前にあった
ヴィレッジヴァンガード郡山アティ店の
店長さんとの出会い。

カフェ開業したい人のためのコーナー
のキレイなディスプレイを見て、
何気なく「このコーナー、いいっすね。」
と営業トークをしたことがきっかけだった。

「郡山にカフェをつくろうと思っているんです。」

「えっ?」

「僕がこのコーナーをキレイにつくることによって、
カフェを始める人がいるんじゃないか、と思って。
僕異動して来たんですけど、行きたいカフェがないんですよね~。」

「そんなことできるんですか!?」

衝撃。
郡山にカフェをつくりたいと思って、
カフェコーナーを作る本屋さんなんて。

半年後。
ふたたび営業で行ったとき、
店長さんは笑顔で言った。

「西田さん、カフェできましたよ。」

実際、2件のカフェが新規オープンしたと言うのだ。

衝撃だった。

本屋さんは、人の未来を創るだけじゃなくて、
まちの未来も創るんだって。

いつか自分もそんな本屋をやろうと心から思った。
「人の未来と、まちの未来を創る本屋さん。」

きっとその延長上に、
いまのツルハシブックスがあるのだろうと思う。

出版社の営業という
駅伝の第3走者だった僕は、
書店員(本屋さん)という第4走者になった。

「地域と人生の小田原中継所」という
肩書は辞めてしまったけど、
今日も本屋さんでタスキを渡したいと思っている。

1冊の本で、人生は変わる。
本屋には新しい人生が転がっている。

そのひとつひとつの人生が、そして本が、
本屋という空間をつくる。

出版は素晴らしい仕事だと心から思う。

スポンサー企業の意向を受けることなく、
著者が自分の思いをストレートに紙に綴り、
編集者がそれを伝わりやすくように編集し、
営業が書店員にその思いを伝え、
書店員がそれを目立つところに置く。

「ああ、こんな本あったんだ」
と手に取ったお客さんに何かが伝わったとき、
1冊の本が売れる。

そして今日も、本屋さんでは、
誰かの人生がちょっとずつ動いている。

やっぱり出版は最高です。

日本一ていねいに作り、日本一ていねいに売る。
サンクチュアリ出版の営業として名刺を出せていたことを
僕は心から誇りに思います。

14年間、ありがとうございました。

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Posted by ニシダタクジ at 06:53│Comments(0)足跡
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