2015年08月06日
ウルトラマン農家
「青春畑 きくち農園」の菊地章雄さん。
人はきっと、彼を栗農家だというだろう。
栗を生産している。
メインの栗畑4.7ヘクタールを見せてもらった。
茨城高専を卒業後、
長岡技術科学大学に編入。
4年の秋から2年間休学した後に退学し、
茨城大学農学部3年時に編入していま4年生在学中。
だから、学年で言えば大学8年生だ。
いまは、大学生をやりながら、
毎週土曜日に墨田区の市場「ヤッチャバ」
に近隣の農家さんの野菜を集めて、
持って行っている。
「ヤッチャバ」は震災後に始まった取り組み。
震災後、東京都内の流通がストップし、
スーパーやコンビニに食べ物がない状態が続いていた。
墨田区も同じだった。
家にある缶詰などを食べてしのいだ。
そんな中で始まったのが
農家とつながる仕組み、ヤッチャバ。
ここに菊地くんは毎週出店している。
驚くべきは、そこのお客さんとの関係性だ。
前の週に売った栗が、翌週には栗ごはんになって差し入れられるのだ。
それは、もはや、栗を売っているのではない、と思った。
そう。
菊地くんは言う。
「野菜を売りたいわけではない。」
目指しているのは、ウルトラマン農家だ。
子どものころの夢、ウルトラマン。
しかし、それは、「ウルトラマン」という職業に
なりたかったわけではなかった。
世界の平和を守りたかったのだ。
いま。
菊池くんは、外見上は「農家」をしている。
卒業したら専業になる。
しかし、彼が育てているのは、栗ではない。
彼が売っているのは近隣の農家がつくった野菜ではない。
彼が墨田区まで売りに行くから、
隣のじいちゃんに
「おっちゃん、もうちょっと頑張ろうよ。売る野菜なくなると困るからさ~」
「年寄りをあんまり働かすんじゃねえ。(笑)」
と会話を交わし、農業が続いていくのだ。
菊地くんによると、
栗農家は高齢化のため、栗栽培を続けられなくなるケースが
最近増えているという。
耕作放棄地にしないためには誰かに委託に出すしかない。
菊地くんが作っている4.7ヘクタールも
そうやって借りたものだ。
ここで、新しい栗栽培のビジネスモデルをつくる。
そうすれば栗畑の耕作放棄地化を防ぐことができる。
現在も栗の収穫期には、
たくさんの大学生が手伝いに来てくれるのだそうだ。
ウルトラマン農家。
そんな言葉が浮かんだ。
菊地さんは言う。
「自分の周りの人たちがみんな笑顔になっていくこと、
それが僕にできる世界平和へのアプローチなんです。」
栗の栽培を通じて、
墨田区に野菜を売りに行くことを通じて、
周りに笑顔を増やしていく。
それは、もしかしたら、子どものころの夢を
叶えているのかもしれない。
カッコいい栗農家が石岡市にいました。
Posted by ニシダタクジ at 05:53│Comments(0)
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