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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年08月24日

健全な負債感を持つという豊かさ

今年1番の衝撃。
この圧倒的敗北感は、駒崎さんの「社会を変えるを仕事にする」以来かな。


「ゆっくりいそげ~カフェからはじめる人を手段化しない経済」(影山知明 大和書房)

西国分寺にあるカフェ「クルミドコーヒー」
コーヒー1杯650円。
オープン7年。
多くの人の支持を集めるこのお店の秘密に迫る。

読むほどに、うならずにはいられない。
まあ、僕の場合は読みながらつぶやくのだけど。

この言語化はすごいなあといたるところに感じた。
「豊かさとは何か?」という問いを持っている人には
非常に示唆に富んだ1冊です。

この本を買うなら、絶対にツルハシブックスです。
9月19日(土)に10冊用意してツルハシで待っていようかなと。
10冊じゃ足りないかな?
読みたい人、ご予約ください。

今日は少しだけ紹介。

~~~ここから一部引用

クルミドコーヒーには、ポイントカードがない。
それはひとこと言うなら、
お店に来てくださる方の「消費者的な人格」を
刺激したくないと考えたからだ。

「消費者的人格」とは、
「できるだけ少ないコストで、できるだけ多くのものを手に入れようとする」人格
つまりは「おトクな買い物」を求める人間の性向だ。

しかしそもそも
クルミドコーヒーの出店の理由は
「まちのお座敷をつくりたい」という思いだ。
お店に来る人が来た時よりもいい表情になってお店から出ていく。
そんなことを続けていきたいという思い。

そのためにはまず「ギブ」をすることだと影山さんは言う。
クルミドコーヒーでいえば、「クルミおはぎ」を
作るために、スタッフがひたすらにクルミを剥いていく。
この作業がハンパなく大変なのだという。

そんなクルミおはぎをお客さんが食べる。
人は、いい「贈り物」を受け取ったとき、
「ああ、いいものを受け取っちゃったな。
もらったもの以上のもので何かお返ししたいな」と
考える人格をも秘めている(と思う)

これを前述の「消費者的な人格」に対して
「受贈者(贈り物を受け取った人)的な人格」
と呼ぶことにする。

このクルミおはぎを食べた人が
「ああ、いいものを受け取っちゃったな」と
感じてもらえたら、レジで支払うとき、
「ああ、1000円なんて価値じゃないな。もっと払ってもいいな。」
とすら感じてもらえるかもしれない。

僕が新潟のラーメン「いっとうや」で感じていた感覚だ(笑)

そうするとそのお客さんの「受贈者的な人格」が喚起され、
またそのお店に来てくれたり、あるいは周りに
「いいお店があってね」と紹介してくれるかもしれない。

そして注目すべきはココの文だ。


もしくはお店に返ってこなかったとしても、
その「受け取った」ことによる「健全な負債感」は、
その人をして帰り道に路上のゴミを拾わせるかもしれないし、
電車ではおばあさんに席を譲る気持ちにさせるかもしれない。
つまり、「いいものを受け取る」ことは、その人を次の贈り主にすることなのだ。


うわあ!って。
「健全な負債感」ってスゲーなって。

ここでいう負債感は、
相手との関係の中で
「受け取っているもののほうが多いな」「返さなきゃな」
という気持ちを背負うこと。

だから、クルミドコーヒーはポイントカードをしない。
10%オフのクーポンを配らない。
フラットに出会いたいから。
そして、ぼくらからの「贈り物」を受け取ってもらいたいから。

そしてもうひとつ。
この章には、素敵なエピソードが存在する。
「音の葉コンサート」という音楽ライブの話。

始まった当初、
このコンサートは「投げ銭システム」を採用。

参加費を決めずに
「実際に聞いてみて、一人ひとりのお気持ちで払う金額を決めてください」
とお客さんに委ねた。
実際には目安となる金額を決めて、多くの人はそれ以上に払ってくれたという。

ところがこれが失敗だったと影山さんは言う。
繰り返しコンサートを開催しても、定員いっぱいにならない。

そこで気がついた。
「ああ、毎回毎回“精算”されてしまっているのだ」

コンサートで一定額を払い、
そこに定価以上の価値をお客さんが感じていれば、
それは帰り道の余韻につながり、前向きな「負債感」となって
次回の参加動機や口コミにつながる。

そこでたとえば毎回プラス500円を支払ってしまうとすれば、
そうした気持ちは都度、精算される。
つまり、お客さんはお店に対して負債ゼロという状態だ。
それではお客さんの次へと贈る気持ちは呼び起されない。

交換を「等価」にしてしまってはダメなのだ。
「不等価」な交換だからこそ、
より多くを受け取ったと感じる側(両方が感じる場合もきっとある)
がその負債感を解消すべく次なる「贈る」行為への動機を抱く。

こうした「健全な負債感」こそが財務諸表にのることのない看板の価値になる。
こうしてコンサートの参加費は定額になった。

アメリカやヨーロッパでは、
ホテルやレストランなどのサービスを受けると、チップを払う習慣がある。

それは、広大な土地の中で、二度と会わないかもしれない
サービスマンに対して、都度精算したい(自分は負債を負っていないと思いたい)
からではないだろうか、日本の狭い国土では、何度も会うので、
逆に精算しないからこそ継続していく関係が生まれるのではないか、と影山さんは言う。

~~~ここまで一部引用

繁盛するお店というのは、
お客さんとのあいだで、「健全な負債感」が連鎖しているお店のこと。

1回ずつで精算不可能な価値を
提供し続けているお店のこと。

その店は、まちに「贈り主」を生み続けている。
素敵だなあと思った。

ツルハシブックスも、世の中に、
「贈り主」を生み続けるお店になりたい。

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Posted by ニシダタクジ at 07:03│Comments(0)
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