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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年08月30日

公開審査が生み出すもの

公開審査が生み出すもの
公開審査が生み出すもの

地域若者チャレンジ大賞2015
北信越ブロック予選でした。

今回は
地域づくり団体全国研修交流会石川大会
の中で実施。

全国から来られた主に自治体の方たちも
参加者に加わりました。

今回の北信越ブロック予選は
審査員室での審査員による審査ではなく、
会場のみんなで決めようという初の試み。
私は審査委員長と司会・進行を担当しました。

投票によって代表に選ばれたのは
長野・塩尻代表の三浦希枝さんの
酒井産業株式会社のプロジェクト。

木を使った森を感じる教育「木育」の普及
というところにスポットを当てたプレゼン。
保育士向けの木育講座など、
さまざまな仕組みを生み出していきました。

「自分の子どもは塩尻で育てたい」
という言葉も印象的でした。

「木育」というコンセプトで
仕事と同時に文化を生み出している、
そこに価値があると僕は感じました。

5プロジェクトの発表はとても刺激的で、
また感動的なものでありました。

価値とはなんだろうか?
という問いに正面から向き合ういい機会になりました。

七尾市のフィットネスクラブでインターンした富樫龍司さんのプロジェクト。
会員とのコミュニケーションをひたすら繰り返し、
自分には何ができるか?
と問い続ける姿勢に、胸を打たれました。

社員とのコミュニケーションもコツコツとやっていきました。
プロジェクトに反対する社員には、なぜ反対なのか?
と理由を聞きました。

そして会員さんとウォーキングを重ねて
気が付いたこと。
「60代以上の女性は季節の草花の話題で盛り上がる」
それからコースを草花がよく見えるコースに変えました。

観察し、ヒアリングし、実行する。
これからの仕事づくりにとても価値があるものになったかと思います。

志賀町の農家民宿こずえでインターンした
松山未来さん、斉藤真梨乃さんのプロジェクト。
プレゼン中に2度も泣いてしまいました。

ああ。
地域に学生が入るってきっとこういうことなんだなあと。
僕が実現したいプログラムはこれだなあと思いました。

高齢化が進んでいればいるほど、
若者が地域に溶け込むことで「承認」が得られます。

それは地域にとっても同じことで、
若者がヒアリングすることで、
地域のじいちゃんばあちゃんたちも
自分たちの存在を承認されます。
そこから「誇り」が始まっていくのだと思いました。

印象的だったのは、
受け入れ先の梢さんの
「よそ者、わか者、ばか者がまちづくりに必要だとしたら、
私がばか者になろう」と決意したところ。

周りのみんなの
「あそこのヨメが何かはじめよった」
という視線を超えて、よそ若者を受け入れ、
地域の人たちが少しずつ変わっていく体感。

そう。
地域はガラッと変わらない。
地域を構成する人たちの気持ちがだんだんと変わっていく。

プレゼンターの二人はそれを
「兆し」を表現していた。
「兆し」、素敵な言葉だと思った。

すべては兆しから始まる。
それは希望と呼べるほど、確信を持てるものではなく、
ちょっとした地域の人ひとりひとりの小さな変化。

すべては「兆し」から始まっていくのだろうなと思った。
そういう意味で、過疎地域に大学生が入るというのは、
双方にとって大きな価値があると実感したプロジェクトだった。

次に、前川有香さんの上田の新聞屋さん東郷堂のプロジェクト。
「新しいメディアをつくる」というお題を与えられ、
前川さんがひたすらヒアリング調査に行く。
300件を超えるヒアリング。
まさにインターン生こそができるプロジェクトだった。

インターン生の最大の価値を考えた。
それは「対話の機会の提供」なのではないだろうか。

効率化された世の中には
「対話」の機会はほとんどない。
そこにあるのは伝達としての会話や
決定するための討論の場だ。

こうして前川さんは
ママ記者の取材による子育て世代向けの情報誌の発行
というところにたどり着く。
実は記者をしたいという人って意外に多くいるのだろうって思った。
そこに機会を提供し続けることで、情報誌としての魅力もアップする。

僕はここに、
ビジネスの本質を見た気がした。

売り上げというのは、
もちろんモノを売ることによってできるのだけど、
その中身(動機づけ)は信頼なのだろうなあと思った。

とくに地方都市では、
信頼しているところから買いたいという人が多いだろう。
信頼というのが大袈裟だとしたら、
好きなところから買いたいと言い換えてもいいだろう。

自分の「好き」を表現するために、
その店で買いたい。
その商品を買いたい。

そのために、インターン生のヒアリングが
大きく影響するのだろうと思った。

話を聞いてもらう。
コミュニケーションの機会が増える。
七尾のフィットネスクラブの富樫くんのもそうだけど、
ヒアリングすることで、「信頼」が増していくのではないか?と感じた。

最後に、又木実信さんの取り組んだ「Nプロジェクト」。
これはインターンではないのだけど、
能登の休耕田を再び農地化してお米を作り、
地元の酒蔵と一緒に若者向けの日本酒をつくるというもの。

特に広報活動に学生がやったことが
大きく影響した。

これは学生自身がつなぎ手
となって地域の人たち、酒蔵の人たちをつないでいるなあと思った。

「学生」というバリューを活かして、
世の中の課題を解決する、という意味では、
非常に魅力的で新しいプロジェクトだったと思う。

このようなプロジェクトは、
日本酒に限らず、多くの商品でできるだろうと思った。

同時に、現在、大学等で行われている、
単なる商品開発にとどまる企業と大学のコラボレーション
に足りないものを実感させられた。

「商品開発」がゴールになっているプロジェクトは浅い。

地域の課題解決
地域の仕事づくり

そういったものを含めて、
大学生が自らの価値を生かせるプロジェクトを
生んでいくことが必要だなあと強く感じた。

非常に先駆的取り組みであり、
他地域のモデルとなりうるものだと感じた。

このように5プロジェクトすべてが
素晴らしいプレゼンであり、
感動しっぱなしであった。

反省すべきは自分たち運営側だった。

今回、公開審査という新しい取り組みにチャレンジして、大きな学びがあったし、
実際にこういう審査会自体をコンテンツ化して、
一般参加者ともプロジェクトの価値を語り合うという時間は
たいへん貴重な機会となった。

以下、自分の中での公開審査の振り返りをメモする。

~~~ここから公開審査ふりかえり

参加者からのコメントにもあったが、
審査基準を示してほしいというもの。

これは確かにもっともである。
公開審査といっておきながら、審査基準が事前には明確ではなく、
今回のイベントでは徐々にそれが出来上がっていくという方法をとった。

それはひとつに、観客を審査員化すると、
それ以外の純粋な感動や気づきが損なわれるのではないかと思ったからだ。

しかし、イベント後の振り返りを通して、
審査基準について、いくつかのヒントは
もっていたほうがプレゼン中に学びが増えるということだった。

現在、考えている改善後プランは、

1 事前にプロジェクトの要約を全員分配布する。
(共通フォーマットをつくる)

2 若者、受け入れ先、地域、モデル性など基本的な評価ポイントを示し、
それ以外の評価の視点をグループワークによって議論する。
※この際に、評価ポイントは絶対的なものではなく、プレゼンを聞きながら進化や
新しいポイントが生まれてくることを強調する

3 プレゼンテーション

4 第1回投票

5 感想シェア
新たな評価ポイントについてもういちど議論する。

6 ポスターセッション
もっと聞きたいと思うプロジェクトの元に行って、
ポスターセッションで質疑応答を行う。

7 全体でシェア

8 投票

9 代表決定・講評

~~~ここまでメモ。

こんな感じにすることで、
参加者には単なる事例を学ぶことではなく、
そこに審査員という当事者で参加し、
評価ポイントを自分なりに検討するということは、
自分にとって「まちづくりにとって価値」をとらえなおす
ことになるなあと思いました。

何よりも、発表したプレゼンターにとって、
学びとフィードバックがあり、
成長につながっていくのではと思いました。

素晴らしい機会をいただきました。
ありがとうございました。

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Posted by ニシダタクジ at 07:17│Comments(0)日記
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