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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年10月16日

これからのキャリアと縄文と弥生の関係

キャリアを考える前に、
歴史を考えなきゃいけないのではないか。
そんなふうに思った昨日でした。

後期の公開講座が始まりました。
日本の重層文化について、イントロダクションは
お寿司の話から。

お寿司は
米=稲作
醤油=穀醤=畑作、醗酵
生魚
を食べるそれぞれの文化が重なり合ったもの。

つまり、
「日本文化」というのは、
さまざまな起源の文化が重なり合って、形成されてきたということ。

それらを説明するのに3つの理論がある

1 雪だるま文化論
=異質な文化が雪だるまのように何層にもなっていて
切れ込みを入れるとちょっと前の日本文化が現れる

2 緩衝体論
A,B,C,Dという異なる文化が
入ってきたときに、対立しないようにショックをやわらげるように
緩衝体がいっぱいあった。

3 住み分け理論
日本の気候の豊かさから異質な文化がすみ分けている。
関東⇔関西 海側⇔山側

と。
こんなふうにして、日本は対立することなく、
さまざまな文化が何層にもなってきたのではないか?
という話です。

さあ。
歴史をさかのぼりましょう。
ヘリコプターにでも乗ったようなつもりで、旅をしてみます。
(坂口恭平「隅田川のエジソン」風になりきってみます)

~~~ここから公開講座より

移住した5つの集団(ボートピープル)

1 北方縄文系の文化(ナラバヤシ文化)
2 大陸系縄文人の文化(照葉樹林文化)
3 黒潮海流系の文化(海民文化)
4 大陸系稲作民の文化(弥生文化)
5 大陸系狩猟文化(騎馬民族文化)

1 北方縄文系の文化(ナラバヤシ文化)
12000年前。
北から縄文人がやってきます。
いわゆる「北方縄文人」です。

当時の地球は寒冷化が進み、
オホーツク海は凍っていました。
食糧を求めて、北の国(いまのロシア)からやってきました。

住み着いたのは関東以北、東北地方です。
そこには豊かな山が広がっていました。
落葉広葉樹林です。

冬になると葉を落とす落葉広葉樹林には、
ドングリをはじめとする木の実が豊富にありました。
そこで、北方系縄文人は狩猟・採集の暮らしをはじめていくのです。

2 大陸系縄文人の文化(照葉樹林文化)
8000年前。
少しずつ温暖化してくると、今度は大陸(いまの中国)から縄文人が
移住してきます。

彼らは、照葉樹林の茂る関東より西に住みつきます。
(当時、落葉樹林と照葉樹林の境目が温暖化にともなって少し上がる)

照葉樹林=常緑広葉樹は冬でも青々としていて、
森が豊かになりません。

木の実が十分に取れない彼らは、畑作を始めます。
この「はた」という文字と音に、
秘密が隠されています。

はたというのは、まず機のこと。
つまり織物のことです。
彼らは文化として、織物という技術をもって日本にやってきました。

このときの名残が常陸太田市の静神社にも残っています。
機初(はたそめ)という地名も残っています。
このあたりまで大陸系縄文人は来たのではないかと考えられます。

もうひとつ畑
畑という文字は火へんです。
それはすなわち、
焼き畑農業をしていた、ということです。

肥料というものがなかった時代に
畑作で食糧を得るには、焼き畑をして、
土を豊かにする必要があったのです。

3 黒潮海流系の文化(海民文化)
5000年前、黒潮に乗って、海民がやってきました。
彼らは生魚を食べるという文化を持っていました。
このころになると、だいぶ温暖化が進み、
船での行き来がしやすくなりました。

南の島(いまのメラネシア・ポリネシア・インドネシア)
から船に乗ってやってきます。
太平洋側と日本海側に分かれて進みます。

彼らも宗教を持ってやってきます。
それが常陸太田市の金砂神社です。
その大礼(2003年に実施)は
72年に1度という非常に長いスパンで開催されます。
それは海民たちの祭りの名残だと言われています。

4 大陸系稲作民の文化(弥生文化)

2500年前、ついに大陸(いまの中国)から
稲作文化を持った民がやってきました。
彼らは非常に組織的に動き、
またたくまに日本を席巻していきます。
東海道の端(久慈川)まで、彼らはやってきます。

茨城県にある「東海村」はその名残だと言われます。
東海道の先は東山道であり、東山道の奥のことを陸奥といいます。
その金砂神社はそのぎりぎりのところに立っています。

「弥生式」は非常に効率的です。

縄文式土器が「火焔式土器」と言って、
非常に芸術性の高いものを作ったのと対照的に、
使いやすい、規格化された効率的なものが弥生式土器になります。

これは、まさに生活様式(ライフスタイル)の差を表しています。

縄文時代(正確に言うと、縄文式ライフスタイル)は、
働かなくても豊かでした。
秋が来ればたくさんの恵みがありました。

ところが
弥生時代(弥生式ライフスタイル)は、
来年、再来年のことまで考えて、計画的に、効率よく、
農事歴をはじめ、いろんなものを組み立てなければなりませんでした。

5 大陸系狩猟文化(騎馬民族文化)
1800年前、朝鮮半島から騎馬民族がやってきました。
のちに大和朝廷をつくっていく民です。

こうして、日本には5種類の人たちが
神と文化を持って入ってきました。
しかし、大きな対立をすることなく、混在していました。
そして重なり合って、寿司が生まれます。

特に茨城県はその混ざり合う場所として、
たくさんの文化が集まっています。

このあと、講座では、
古事記の神話の話で神社の様々な言われが
あったのだが、そこは省略します。

最後に坂上田村麻呂の話。
歴史の授業で習ったのは、
坂上田村麻呂が東北の蝦夷と戦争して
最初は完敗だったが、徐々に戦力を整え、ようやく日本を制圧した、ということ。
征夷大将軍の征夷とはそういう意味だったのです。

その戦いとはなんだったのでしょうか?

そう。
それは縄文人たちとの争いでした。

米をつくらない人たち(統制されない人たち)を
なんとか支配下におきたいと思った故の討伐でした。

ということは、
紀元800年、つまり今から1200年前までは、
縄文の子孫たちが今の岩手県には住んでいたのでした。

宮崎駿アニメ「もののけ姫」では、
大和朝廷の指示に従わない縄文人たちの価値観が
見事に描かれているのだといいます。

~~~ここまで公開講座より

ということで、日本人の源流は、
弥生文化だけではなく、縄文文化をはじめ、
5つの民族の宗教と文化が混ざり合ったところにあるのだと。
数々の神社の存在の違いというのは、それを証明しているのだと。

ということは、
我々が自らのキャリアを考えていくうえで、
必ずしも、「弥生文化」的に捉える必要がないのではないか?
という問いが生まれます。

来年のこと、再来年のこと、
あるいは20年後、30年後のことを考え、
いま、計画的に何をやるか?

もちろん、弥生文化を色濃く受け継いでいる人には
それのほうがしっくりくる人もいるのだろうが(おそらく圧倒的多数)
中には、縄文式の働き方・生き方のほうが合っている人もいるのかもしれません。

これからのキャリアと縄文と弥生の関係
「東京0円ハウス0円生活」(坂口恭平 河出文庫)

これに出てくる鈴木さんは、
まさに東京のど真ん中で縄文人のように
暮らしを生きています。

かつて、稲作文化は日本を席巻しました。
それは「効率化」「計画性」の勝利だったのかもしれません。

いま、もしかしたら世の中は、
大きな変化のときを迎えているのかもしれません。

稲作伝来以来、2500年ぶり、
坂上田村麻呂以来、1200年ぶりの
縄文文化の小さな息吹が、
すでに隅田川には吹いているように、

全国各地で吹いていくのではないでしょうか。

その一つが、このあいだの
これからのキャリアと縄文と弥生の関係
「地域ではたらく風の人という新しい選択」(田中輝美×法政大学藤代研究室 ハーベスト出版)

これも、もしかしたら、新しい選択ではなくて、
2000年の時を超えた、古い選択なのかもしれません。

縄文文化と弥生文化のあいだに、
新たな仕事、新たな日本ができていく、そんな予兆なのかもしれません。

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Posted by ニシダタクジ at 07:15│Comments(0)学び
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