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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2016年02月23日

ツルハシブックスという「ワークショップ」

2月20日の「ワークショップ3.0」の中のミニ講座
「そもそもワークショップって何ですか?」
は、何度も噛み直したくなるような、素敵な時間だった。

昨日も書いたけど、ふたたび考え直してみる。

~~~ここからプレゼン書き起こし

・ワークショップとは、「講義などの一方的な知識伝達のスタイルではなく、
参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学び合ったり、創り出したりする
学びと創造のスタイル」(中野民夫『ワークショップ』2001年)

・参加体験学習とワークショップは切り離して議論したほうが建設的であろう。
本書ではワークショップを『創ることで学ぶ活動を主軸にしたノンフォーマルな
経験学習の様式』と定義し、学校教育で行われる問題解決型学習や、
日常生活の中での経験的学習とは異なる、『一定の構造を持ちながらも
自主的に展開されている経験学習プログラム』として議論を進めていく
(山内祐平、森玲奈、安斎勇樹『ワークショップデザイン論』2013年)

それを踏まえて、
荒木先生の再定義。

ワークショップを、「一方的な講義形式ではなく、
社会的存在としての自己が他社との関わりの中で、
所与の目的を達成するために参加体験的な活動を通じて
協働的・創造的にアプローチし、『生』を豊かにするプロセス」と再定義。

・ワークショップの源流は、アメリカの教育学者デューイの思想に基づいている。
・もっとも古い記録によれば、1905年の演劇ワークショップ
・その後「まちづくり」「アート系」「社会変革系」などと分類

★デューイ

・教育(の営み)とは、経験の絶えざる(連続的な)再構成、再構築である
=成長=人間と環境との相互作用
・単なる活動は経験を意味しない!意味付けられて「経験」となる
・経験から学ぶ=こうすればこうなるという予想から、意図を持って働きかけていくこと。
経験の意味を増し、未来への働きかけを行うこと。過去の経験を分析し、未来の経験へ向かっていくこと
・そのために必要な熟慮(リフレクション)

★生産的失敗

・Manu Kapur(「生産的失敗 productive failure」の提唱者)
・私達が間違いから学ぶことがあるのであれば、
失敗を引き起こすような意図的に失敗をつくりだす授業のデザインができないか
・複雑な課題を提示し、生徒による生成と探索(第一段階)
・教師による知識の定着と構築を目指す(第二段階)

★ワークショップを展開するにあたって

・ワークショップは、ある意味つくられた、準備された「場」であるので、
参加する人にとっては、多くの失敗が「公式に」許される「場」でなければならない。
失敗したことを含めて、現実の世界でどのようにそれを活かしていくかを視野に入れることが大事。

・参加者にはプランナーとしてプロトタイプをどんどん出して、試してバージョンを上げていく
=「ワークショップの再構成」を試みてほしいです。
・現実の「生」を豊かにするという視点が大切

・Uの谷を降りて上がってくる。

★ワークショップの三要素

・まなび(learning):
認知的要素、意味の付与、深い理解、
不均衡、発見、リフレクション、メタ認知

・活動(activity):
モノ、他者、自分との関わり、対話、ものづくり、協働

・関与(engagement)
情意的要素、フロー、没入、楽しさ(プレイフル)

★工学的アプローチと羅生門的アプローチ

  工学的アプローチ      羅生門的アプローチ

一般的目標         一般的目標
↓                ↓
行動的目標        創造的教授・学習活動
↓                ↓
教材              記述 
↓                ↓
教授・学習課程    一般的目標に照らした診断評価

行動的目標に照らした評価


目標   行動的目標を          非行動的目標を
      特殊的であれ          一般的であれ
 
教材   教材のプールからサンプルし、教授学習過程の中で 
      計画的に配置せよ        教材の価値を発見せよ

教授学習過程 既定のコースをたどる 即興を重視する

強調点 教材の精選、配列      教員育成

・学びの手段としてのワークショップ・・・
つまり何かしらの課題解決をするために
ワークショップが用いられる場合(明示的カリキュラム)

・ワークショップそのものが学びとして存在する、
目的としてのワークショップ・・・
コンテンツはひとまずおいておいて、
ワークショップに参加すること自体が、
結果的に創造力やコミュニケーション力、批判力などの
能力を育成する場合(隠れたカリキュラム)

★問題解決学習における「問題」の意味

・狭義の「問題」・・・
教育内容を予め固定しないで、子どもの社会的な
経験の組織を編成の基本的な枠組みとするもの
→問題の発見から解決まで

・広義の「問題」・・・
あらゆる教科の基本的な知識を学んでいく際の、
問題把握→問題追求→問題解決という学習過程のこと
→問題の解決のみ
(清水毅四郎 1995)

★ワークショップ1.0
・到達目標が予め決定しており、その到達点に
参加者が至るべく、ファシリテーターが具体的な
ワークショップスケジュールを準備できるもの。
最初に何をやって、次に何をやるか、構造化されているワークショップ

・明示的なカリキュラム
・伝えたいことと、結果として参加者が学ぶことの相違が比較的少ない

例:
・世界がもし100人の村だったら(開発教育協会)
・ひょうたん島問題(藤原孝章)

利点と問題点:
・ワークショップが構造化されているので、
あまりファシリテーションに慣れていない人でも、
進めることが可能である。

・体験的に活動しながら、具体的なことを学ぶことができる。

・比較的短時間で行うことができる。

・到達目標が決まっているために、参加者に応じて
途中で流れを組み替えることが難しく、参加者の自由な
発想が活かしにくい。

★ワークショップ2.0
・一般的な目標は、決まっているものの、結果として
具体的に何が生じてくるのかは予想出来にくく、
参加者がその場で「答え」となるもんを紡ぎ出していくワークショップ。

・全体の流れは明示的であるが、結果として
現れてくる成果は、ワークショップが始まった段階ではわからない。

例:
・ワールドカフェ
・演劇系ワークショップ

利点と問題点:
・何についてのワークショップを行うのか、何について語る(行為する)のか、
どういう手順で進めていくのかがある程度はっきりしているので、参加者が見取りをしやすい。
・その場で、ある程度の即興性や創造性が求められる。
・ワールドカフェの場合、提示したテーマと参加者のニーズが
あっていない場合は、対話(会話)が成り立ちにくい。
・結果として何を学ぶか、参加者に委ねられている(学びの保証が難しい)
・何かについて知識を得ることと、創造的な活動をするバランスをとることが難しい。

★ワークショップ
・参加者の興味や関心に応じて、その場で何をするか決定し(文脈に応じた目標設定)、
比較的長時間かけて目標の達成を図ろうとするもの。
・OSTの場合、問いの真正性(リアルさ)があり、当事者としての参加者が課題解決に向かう。
・ファシリテーター側の予想以外の学びが生じる場合が多い(隠れたカリキュラム)
・参加者とファシリテーター双方に、即興性と創造性が重要視され、求められる。

例:
・OST(オープンスペーステクノロジー)
・完全即興型のワークショップ

利点と問題点:
・強制されることがない(その場から離れることも許される)
・その場で関心が出てきたことや新たな価値について取り上げることが可能。
・参加者がワークショップに慣れていることが大前提。
・何が起きるかわからないので、何が起こってもいいようなモノの準備が必要になる。
・ワークショップを展開するにあたって、参加者にはある程度の前提知識があることが望ましい場合がある。
・ファシリテーターは、参加者が何を要求しているのか、何が必要になってくるのか、
鑑識眼を持たなければならない。

この三類型に基づけば
・学校教育で、特に教科教育の枠組みで展開されるものは、ワークショップ1.0と位置づけることが可能
・「まちづくり」のワークショップにおいても、参加者レベルに応じて、
1.0~3.0の中で組み立てることが可能になる。
・総合的な学習の時間で、導入においては興味関心を引き出すために、
そして一定の知識を伝えるために1.0でおこない、個人のテーマを決定していく際には、
ワールドカフェでアイデア出しをおこない、まとめが終わった後の振り返りとしてOSTを行うなど。

・ファシリテーションは、(おそらく)誰でもできます!
・ただし練習(実践を積む)さえすればですが。
・でも、上手下手はありますし(プロサッカー選手でもそうですもんね)、
好みもあります(R&Bが好きな人もいれば、ロックが好きな人もいます)
・前に出るファシリが好きな人もいれば、存在を消したがるファシリもいます
(FW型、ボランチ型、監督型と呼んでいます)

・ビバ「失敗」!
・ワークショップの三要素とUの谷
・1.0、2.0、3.0のどれに当てはまるのがいいのか(あるいは組み合わせるがいいのか)
・活動の「意味」を捉えてみましょう

~~~ここまで書き起こし。

なるほどなあ。
ワークショップ3.0か。

これを日常化するのは、
もしかしたら本屋なのかもしれないなあと。

気づかずにチャレンジしている。
気が付いたらチャレンジしていた。
そんな状況を生み出すのは、
本屋なのかもしれないと、

しかも、ツルハシブックスのような
コミュニケーションする本屋さんなのではないかと。

ツルハシブックスという「ワークショップ」
があの空間ではつねに開催されているのかもしれない。

店員サムライはファシリテーターなのかもしれないなあ。

うーむ。
これを文章化していかないと。

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Posted by ニシダタクジ at 07:48│Comments(0)学び
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