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ニシダタクジ
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 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2016年06月06日

「ふりかえりの文化」をつくる

「ふりかえりの文化」をつくる
第37回 異文化間教育学会 公開シンポジウム
「サービス・ラーニングにおける異文化間教育の視点」@桜美林大学
に行ってきました。

「サービス・ラーニング」が最近のキーワードです。

桜美林大学の林先生の最初のダイジェストの説明が
めちゃわかりやすくてよかった。
今回のシンポジウムの目的から。

1 文化の多様性・複合性
2 価値観の問い直し・視点の転換
3 相互作用・相互変容
4 関係性の組み換えと構築

異文化間教育のこのような視点でサービスラーニング(以下SL)を
とらえなおすシンポジウム。

・サービスラーニングとは?
アメリカの
「National and Community Service Act of 1990
(国家およびコミュニティ・サービス法)」

目的:市民的責任の倫理の復活
定義:
・コミュニティのニーズに対応している
・学校教育をはじめとするさまざまな教育プログラムに
統合されている。
・市民的責任を育てることを目的としている
・学問的なカリキュラムに統合されている
・サービスをふりかえる時間が確保されている。

日本の大学では、
サービス(社会貢献活動:良き市民としての態度・行動)と
ラーニング(学び:学術的な経験・知識・技能)
を相互にやりとりすることによって、
実際に現場で起こっていることと学びを接続し、
学習意欲も活動意欲も上がっていくという取り組み。

桜美林大学牧田先生からは、「カンボジア・ボランティア研修」、
同じく桜美林大学林先生からは、「地域社会参加」、
明治学院大学市川先生からは「岩手県大槌町での震災復興プロジェクト」
筑波学院大学武田先生から「オフキャンパスプログラム(OCP)」の
事例紹介があり、そのあと、それぞれの先生から
異文化間教育の4つの視点から活動をとらえなおす、という時間だった。

~~~以下第1部メモ

(カンボジア・ボランティア研修)
私たちはこれまで世界の何を見て、
何を知っていたのだろう?

目的
・カンボジアという異なる文化や価値観の存在を知り、
そうした人たちと交流する。
・実態を知ることで「構造的暴力」の存在を知る
・NGO活動を通して、「子どもの権利」について学ぶ
・「意味のある支援」について理解する
・「持たない人と分け合う」精神を身につける

50名近く説明会に来たが、参加者は3名。
親の反対(危険である)により断念した例も。

12コマの事前学習と3コマの事後学習
現地では毎日夜に1~2時間振り返りの時間をもつ。

事後学習では帰国1週間後に
到達目標に関する質問や問いかけを行った。

とくに「自分たちに何ができるのか」、
という点について話し合い、「まわりに伝えること」という
結論に達し、報告書の作成と報告会の実施を行った。
30分間でパワーポイントを用いた報告会(参加者12名)を実施。

学生のコメント
・異文化を知ることで、自分たちの文化を知ることができた
・すべての問題が「構造的」にあり、子どもの権利が守られていない
・NGOは財源が不十分だったり、日本の場合はどこまでやるのか?という課題を抱えている。
・一時的なものではなく子どもが大人になるまでの長期的な支援が必要

SLでは、学生の学びの充実化(体験と知識の融合、自ら働きかける能動性)、
地域・現場への貢献、さらには市民教育という3点が重要視される。

(地域社会参加)
野宿者支援/生活保護世帯への学習支援
を選択して行う。

20時間のボランティア活動と
週1回の授業(講義、ディスカッション、シェアリング、活動記録)
⇒ふりかえる、つなぐ、深める
現場での気づき・学びと講義での気づき・学びをつなげる

「多様な」他者との関係性の構築
・状況から学ぶ力の育成
・学術的知識と思考方法の獲得
・市民意識の醸成

構造的に考えることによる「批判的思考」
支援者‐被支援者から人間‐人間へ

(大槌町での実践から)
サービスラーニングが目指していること、
「高等教育改革」「社会変革」「地域貢献」
の重なり合う部分にSLをつくる

デューイ・経験学習論
・「経験を省察し、再構成することで
より高度な創造的な知が生成される。
・経験と学習を連続的なものと捉える。

PDSA
Plan Do Study Action
を繰り返す。

あるとき「視点の転換」が起こった。
外部的視点⇒内部的視点。
震災後のヒーローではなく震災前の日常。

おばあちゃんに郷土芸能の話を聞いたら、
急に声のトーンが高くなった。

方言で吉里吉里カルタをつくる
精神の復興はアイデンティティの復活。

問いかけ
・サービスラーニングは
誰が問題を発見するか、
達成は誰が判断するか、
どこにむかっていくのか?

(OCP)
「社会力」の育成
多様な他者との相互行為により
様々な人と協力しながら、
より良い社会を創り上げる力

実践科目A(必修)「体験型」「ふれあい型」
地域でのイベントに「体験参加」し、
社会で必要な能力について知る
(1日体験~)

実践科目B(必修)「中長期型」「一定タスク達成型」
地域活動に市民の一員として「中長期的に参画」し、
社会で必要な能力を高める
(30時間以上)

実践科目C(選択必修)「プロジェクト型」「自己実現型」
自分の取り組みたいプロジェクトを「計画」し、
実際に「社会に飛び出して実践」する
(60時間以上)

・地域協働の実践
・地域リーダーの育成

OCPの役割
大学が培ってきた文化(大学資源)を「地域文化の発展に寄与」
を「大学と地域の協働による文化創造」によって
地域が培ってきた文化(地域資源)を「大学文化の発展に寄与」
すること

~~~ここまで第1部メモ

ここまでが事例発表。
このあと、質疑応答を挟んで、
異文化間教育の視点について、ディスカッション

~~~以下、質疑応答・ディスカッション時のメモ

・キャリアに乗る、というより、キャリアをつくる。
・「なぜ、そう思うのか?」を問い続ける。
⇒批判的思考を得る。
・遠近法で問う

・「ふりかえりの文化」をつくる
・気づき・学びの共有を行う

・どういう視点で振り返らなきゃいけないのか?
を関係者に問う。

・俯瞰的=構造的に見る
・長期的に見る
・価値観の問い直し、視点の転換

・「地域」「大学」「学生」3者の交流によって
発見されていく価値

・創造的リフレクション
・最終的に「文化」に着目した

・「地域活動」⇔「大学の学び」
すべてがサービスラーニング化できる。

・市民性の養成と学びのバランス
気づきから学問的知識を用いて、解決へつなげる。
協働するという働きかけ

・自己効力感が高まる。

まとめ
・リフレクション(ふりかえり)の大切さ
・協働で得られることを大切にする
・気づきのために、事前に知識を入れすぎない
・傾聴する
・永続的変容を目指す

~~~ここまで質疑応答以降のメモ。

いちばんヒットしたのは、
「ふりかえりの文化」をつくる
という明治学院大市川先生の言葉。

これ、サービスラーニングではもちろん、
すべての事業において必要なのだろうなと。

試作の時代を迎えているいま、
やってみて、振り返ること。
そこから始まっていくのだろうと。

やる前にばっちり計画と目的を立てて、
「これを学びにいく」と決めて、
そこから成果を測っていくのではなく、

「予想できなかった学び」を大切にして、
ふりかえり、仮説を立て、ふたたび次の試作へと
向かっていくことが、
これからの世の中の生き方であるのだろうと思う。

そのためにも、
まずは「ふりかえりの文化」をつくっていくこと。

それが一番カギになるのだなと感じた1日でした。
お誘い、ありがとうございます。

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Posted by ニシダタクジ at 07:46│Comments(0)学び
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