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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2016年08月16日

世の中に「やってみる」を増やす

世の中に「やってみる」を増やす

8月15日(月)伊那市にカリカリ(仮)が仮オープンした。(笑)
11月にはプレオープン予定だ。

お店をオープンしたのは
信州大学農学部2年生の千晶さん。
ツルハシブックス店員侍だった葉月さんを姉に持つ。

出会ったのは昨年8月のアルプスブックキャンプ。
その後、まつもと空き家プロジェクトで空き家を改装して
「ロッピキ」をオープンさせた。

この春先に突然メッセージで、
「ツルハシブックスを伊那につくってもいいですか?」
と来た。

よくわからないけど、ぜひやりましょう、と返信したら、
わずか半年後に、仮オープン。
これから内装費用と家賃を集めるための
クラウドファンディングやイベントを行う。

ツルハシブックスとは、いったい何か。
そのミッションの僕なりの言語化をしてみようと思った。

ツルハシブックスに来るお客さんは大学生・20代が多い。
「本の処方箋」をやっているときもあるけど、
時に、悩み相談にのることがある。

そんな若者の
三大悩みは、
「承認(存在)不安」
「自信がない」
「やりたいことがわからない」
である。

3つとも持っている若者も多いので、
この3つは関連していると僕は考えている。

この悩みを読み解く3冊が
「認められたいの正体」(山竹伸二 講談社現代新書)
http://hero.niiblo.jp/e470668.html

「やればできる!の研究」(キャロル・S・ドゥエック 草思社)
http://hero.niiblo.jp/e262963.html

「評価経済社会」(岡田斗司夫 ダイヤモンド社)
http://hero.niiblo.jp/e479716.html

まず、現状で起こっている3つの悩みの原因と対処法を考えてみる。

「承認(存在)不安」は、
核家族化や地域のつながりの希薄化など、
ありのままの自分の承認機会の減少が
その根本原因としてあるのだろうと思う。

昔であれば祖父母や地域のおっちゃんおばちゃんが
果たしてくれた承認機会を得ることなく、子どもは成長していく。

これには、家庭環境がかなり大きく影響しているが
参加・参画型の「祭り」のある地域で育った子は、
「承認(存在)不安」は小さいように感じる。

そして、学校ではどうか。
学校では、「承認(存在)不安」に対しては、
一般的に「褒める」という手法が使われている
ところが、これはほとんど機能していない。

「褒める」という行為は、アドラーも言っているが、
「あなたより私は優位にある」という証明にしかならず、
褒める、つまり他者から承認を求めるようになってしまう。

大切なのは、自分で自分を承認してやることであるが、
それには、存在に対する圧倒的な承認が必要となる。

そこで注目したいのが、「高齢者地域」への滞在である。
たとえば、新潟県の佐渡島の北に浮かぶ小さな島、粟島。

海水浴シーズンではない9月などに島に行くと、
その辺を歩いているだけで、
「どこから来たんだ?今日は何するんだ?」
と話しかけてくる。

この「関心を持ってもらう」というのが、
すごく重要であると思う。
気づかずに承認欲求が満たされていくのである。

次に、「自信がない」という課題であるが、
この原因は、やはり学校生活における
他者との比較による自己不能感(自分には能力がない)

という刷り込みを、学校が、あるいは本人自らが
自分にしてしまったことだろうと思う。

これに対して現在の学校では、
「小さな挑戦を繰り返し、達成することによって自信をつける」
とある。
心理学者アルバート・バンデューラの「自己効力感」理論である。

しかし、話を聞いていると、
そもそも、自信の無い(といっている)子は、
最初の小さな挑戦のドミノが倒れないのである。

「やればできる!の研究」のドゥエック博士によれば、
これはマインドセットの問題で、

「自分の能力は生まれつき固定されている」(固定的知能観)

「自分の能力はやればやるほど開花していく」(成長的知能観)

の問題であると説明し、チャレンジするのに自信は要らないと説く。

だから、「自信がない」に対する対処法は、
あとから振り返った時に、
「実は小さなチャレンジだったんだ」と気づくような
挑戦の設計を行うことだと思う。

最後に、「やりたいことがわからない」への対応。

このとき、ありがちなのが、
「なんでも好きなことをやってみたらいい」
という謎のアドバイスだ。

しかし、「頭痛である」という課題に対し、
「頭痛薬(鎮痛薬)を飲んだらいい」というアドバイスくらい、
何の解決にもなっていない。

頭痛の原因が学校や家庭でのストレスかもしれないし、
寝不足かもしれない。
その原因を探らなければならない。

そして「やりたいことがわからない」の解決策は、
つい、「やりたいことが見つかっている」ことのような気がするけど
実は、本当の課題は「やりたいことがわからなくてつらい」
ということであり、解決策は「やりたいことはわからないけどつらくない」
ということかもしれない。

この場合の対処法は、
「やってみる」を増やすことだ。
そして、そのときに、個人戦じゃなく団体戦、チーム戦にすること。

誰かの手伝いをやってみる。
少しだけ役割を果たしてみる。
それを振り返った時に、自分も小さな役割を果たせたと思えること。
実現可能なんだという小さな自信を手に入れること。

その中から「やりたいこと」や「お客」(大切にしたい人、この人のために頑張りたいと思える人)
に出会えることから、人生は開けていくのだと思う。

その時に越えなければいけない壁が
「挑戦しろ。でも途中でやめるな」というダブルバインドと、
「効率化」という工業社会の呪縛だ。

「継続は力なり」や「石の上にも3年」
というのは、稲作や工業のときの話だ。

「評価経済社会」によれば、
すでに第3の革命が起こりつつある。

そのときに、価値を持つのは、
継続ではなく、はじめること、「やってみる」ことだ。

すでに産業社会は変わっている。

冷蔵庫やテレビ、自動車を売っていた時代から
ポータブルCDプレイヤー、ケータイやスマホに変わり、
いまや、ソフト系IT企業全盛の時代だ。

彼らのビジネスモデルは、
試作版をリリースして、使ってもらいながら改善してのちに有料化するか、
あるいはプラットフォームを提供して広告やアイテムなどの課金ポイントをつくるか、
というものだ。

そこで価値を持つのは、
「試作版」でもいいから創り、リリースする力である。
つまり、「やってみる」ということだ。

「継続は力なり」はある意味真実だろうが、
新しく何かを始めるということは、
何かを途中で辞めることと同時に起こる。

だから、途中で辞めることを恐れずに、
「やってみる」ことが大切だ。

「途中で辞める」ことに対して、世間の目は厳しい。

それは、ここ2000年間、「稲作」を生活の中心として
生きてきたからだろうと思う。

稲作は一度田んぼを作ってしまえば、
半永久的に米を生産することができる。

昨年と同じようにやれば、天候不順もときにはあるかもしれないが
ほぼ、昨年度同様に収穫がある。

そんな生活を続けてきたら、
「継続は力なり」を信じ切るのも無理はない。

しかし。
時代は動いている。

米は食べているかもしれないが、
稲作で生計を立てている人は、ごくわずかだ。

ツルハシブックスは、
世の中に「やってみる」を増やすことがミッションであるのかもしれない。

「気がついたら私も、本屋という舞台の 共演者になっていました」
というキャッチコピーの通り、

本屋という舞台で偶然に出会い、語り、
何かをやってみること。

屋台をしたり、音楽ライブに参加したり、
店員になってみたり。
そういう場なんだろうと思う。

そんな場所が、この国に、もっと増えたらいい。

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Posted by ニシダタクジ at 10:07│Comments(0)思い
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