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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2016年10月07日

「生きる」を体感する

「生きる」を体感する
「都市と地方をかきまぜる~食べる通信の奇跡」(高橋博之 光文社新書)

1次産業と都市生活者をつなぎ、
全国的な広がりを見せる「食べる通信」
の発祥であるNPO法人東北開墾の高橋さんの本。

「場づくり」志向の人は読んだほうがいいかも。

花巻出身の高橋さんはまるで、
現代の宮澤賢治のようだ。

印象に残ったキーワードは
「無常観」
「リアリティ」
「当事者意識」
といったところか。

この本は、時代の本質をとらえているなあと。

特にコトラーのマーケティング3.0を
AKB48を題材に、少ない文字数で端的に表現している。

~~~ここから一部引用

ただ物とお金を交換するのではなく、
人々はその物の背景にある価値観に「共感」したり、
その物の価値を高める物語づくりに「参加」したり
することを求めている。

これまでのアイドルは、
舞台裏を徹底的にベールに包んで、見せなかった。
見せるときは、
周到に演出されたフィクションとして提示していた。

ところがAKB48は、
このグループに加わった新人が
どのような動機で芸能界を目指しているのか。
どのように成長していくか、あるいは挫折しているか、
をドキュメンタリーで「リアル」にファンに見せる

そのうえで「総選挙」という
参加型のイベントを開催する。

つまりファンたちは、「投票」という行動を通して、
AKB48の物語に参加していく。

その臨場感と達成感、充実感こそが
AKB48というビジネスモデルの魅力になっている。

このことから考えると、
現代の日本でひとつのビジネスを成功させるためには、
ユーザーの「共感と参加」が得られるような仕組みを考えればいい、
ということになる。

そういう「回路」をつくることで、これまでにはなかった
共感と参加が生まれて、新しい価値のコミュニティが生まれる。

~~~ここまで引用

ふ~。
なるほど。

なんか、いいな。

これを読んで、
ツルハシブックスはいい線行っているんだけど、
なんか惜しい、そんな風に思う。
もう一歩なんだな、きっと。

高橋さんのビジョンには、
人を惹きつける魅力がある。

そのひとつが、
「二枚目の名刺」と「CSA=Community Supported Agriculture」だ

CSAはコミュニティに支えれられた農業のことで、
アメリカで広がりつつあるという。

「食べる通信」を通じて、
1次産業のサポーターとなり、
その上で、今度はコミュニティを維持する立場になり、
「二枚目の名刺」を手に入れる。

東日本大震災で多くの人が感じていたのは、
「無常観」ではないか、と高橋さんは言う。

すぐそこにある「死」と隣り合わせの「生」。
それを実感できるのが1次産業の現場であり、
実感を継続、きっかけを与えるのが「食べる通信」である。

「食べる通信」で、
生産者のリアルを知り、実際に現場に行くことで、
「食」というリアリティを知る。

そこで、人は「食」の当事者であることに気付く。
そして、農漁村の疲弊、都市と農村の隔たりに対して、
スーパーマーケットやコンビニエンスストアで買う生活をしている
自らも「共犯者」であることに気付く。

そして自分ができることは何かと考え、行動する。
そういう人が増えれば、問題解決に近づいていくだろう。

なるほど。
素敵だなあ。

「食べる通信」は
ここまで、物語の詰まったプロジェクトなのだ、と。

「生きる」を体感することから始まる、
ひとりひとりの未来が、世の中の未来になっていく。

ツルハシブックスやコメタクのこれからへ向けて、
ヒントの多い1冊でした。

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Posted by ニシダタクジ at 08:04│Comments(0)
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