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ニシダタクジ
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 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2016年12月20日

自分を「多層化」して生きる

自分を「多層化」して生きる
「レイヤー化する世界~テクノロジーとの共犯関係が始まる」(佐々木俊尚 NHK出版新書)

おもしろかったです。
レイヤー(層)化しているのですね。

ソーシャルネットワークのような
プラットフォームによって、
多層化した人を、生きられるというか、生きていかざるを得ない
そういう時代に突入しているのだそうです。

なるほど、と思ったのは、
国民国家というシステムに関する記述。

「国民国家」というシステムが
生まれたのは、ヨーロッパでした。

それまでのヨーロッパは辺境の地で、
世界の中心はユーラシア大陸でした。
「帝国」が東西の交易路を築き、栄えていました。
「陸の時代」です。
そこでは、多民族が、共存していました。

ヨーロッパは、
天候も温暖ではなく、農作物も取れず、
その仲間にさえいれてもらえませんでした。

それが、コロンブスによる「新大陸の発見」で
事態は急変します。

まずは大量の銀を得て、交易に参加し、
そこで「産業革命」が起こり、
原料の調達と販売のために
大量の植民地を必要としました。

その頃は、教会の力も衰え、
人々が「よりどころ」を無くしていった時代と重なり、
そんな中で「国民国家」は発明されました。

「国民国家」は戦争を生み出しやすいシステムでした。
常に境界について争っていました。

佐々木さんは、
国民国家の神髄は、「ウチとソトを分ける」
というところにあると言っています。

自国と他国を分ける。
その中で、「最大多数の最大幸福」を目指す。

これは今も行われているような
途上国での過酷な商品(換金)作物の栽培
なども含まれます。

しかし、
そんな時代も22世紀まではもたないだろうと
佐々木さんは言います。

テクノロジーと
それを基盤にした超国家企業が、
プラットフォームという<場>をつくることによって、

国家のように「上から」支配するのではなく、
超国家企業は「下から」ひとりひとりを支え、また支配するのです。
もはや国家には税金を納めません。

レイヤー化された世の中。
それは、さまざまなレイヤー(居住地、出身校、趣味・・・)
における要素を持つ個人と個人の時代です。

この本の一番の希望は、そこにありました。

「場は、マジョリティとマイノリティを逆転させる。」

そうなんです。
マイノリティのほうが<場>では、
(特にSNSのような場)
価値を持ちます。

強くつながることができるからです。

なるほどなあ、と。

国民国家が終わり、レイヤー化された世界がやってくる、
というか、すでにやってきている。
そんな中で、個人はどう生きていけばいいのか。

佐々木さんは、このように言います。

第一に、レイヤーを重ねたプリズムの光の帯として自分をとらえること。
第二に、<場>と共犯しながらいきていくということ。

たとえば、グーグルやフェイスブックを利用しながら、
私たちは日々、情報を提供しています。
それがビッグデータとなって、彼らのビジネスを
より儲けさせます。

一方で、そのようなテクノロジーは
複数のレイヤーにまたがる私たちをつなげてくれます。

そのように、
多数の層の集合体として自分をとらえ、
そのそれぞれの集合体として生きていくということです。

これは、平野啓一郎さんの「私とはなにか?」

「本当の自分」という幻想
http://hero.niiblo.jp/e405109.html
(2014.4.5 20代の宿題)

の分人主義と合わせて読むと、
なんか、とらえやすくなるように思います。

自分を多層化して生きる。

きっとそういう時代に突入しているのだろうなあと実感できる1冊でした。

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Posted by ニシダタクジ at 08:40│Comments(0)
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