2016年12月26日
好きだけど理由のわからないもの
「自分の仕事をつくる」(西村佳哲 ちくま文庫)
読む本がなくなったので、古本屋さんに行き、
処方箋用に「見つけたら買う」ことにしている
「自分の仕事をつくる」を購入。
帰りの電車の中で読み進める。
改めて読み直すと、
キーワードがいっぱいで、
つぶやきたくなるけど、
トンネルがいっぱいで、電波が届かない。
特に
第2章他人事の仕事と「自分の仕事」
の冒頭からシビれまくる。
やっぱ、この本ですよ。
「○○歳のハローワーク」読んでる場合じゃないっす。(笑)
19歳に贈りたい本、
僕はやっぱりこれにしようかな。
日本を代表するクリエイターの佐藤雅彦さんの話。
とっても素敵だった。
佐藤さんは、最初はクリエイティブ(制作)部門ではなく、
31歳までは販促部門で、スケジュールや見積り管理と
いった一般職の仕事に従事していたという。
思うところあって社内試験を受け、合格。
クリエイティブ部門に転配属されたが、
年齢が高いわりに実績も経験もない佐藤さんには
なかなか仕事の声がかからなかった。
そこで。
佐藤さんは何をしたか。
社内の資料室に通い、世界中のCMに目を通して、
その中から自分が面白いと思うものをビデオテープに
まとめはじめる。
じきに、自分が魅力を感じたCMには、
共通するいくつかの規則(ルール)が
あると気づくようになった。
この作業は3か月ほど続けられ、
結果として佐藤さんは、面白くて
印象に残るCMに共通する23種類の
ルールをまとめるに至ったという。
その後のヒットCMのほとんどすべてが、
この時にまとめたルールから作り出された
ものだと本人は語る。
「スコーン、スコーン、湖池屋スコーン」や「バザールでござーる」
は、その一例だという。
そして、佐藤さんは慶応大学の講義で、
次のように説明している。
魅力的な物事に共通するなんらかの法則を見出そうとするとき、
「好きだけど理由がわからないものを、いくつか並べてみる」
という方法をとるのだ。
~~~ここから一部引用
自分が感じた、言葉にできない魅力や違和感について、
「これはいったい何だろう?」と掘り下げる。
きっかけはあくまで、個人的な気づきに過ぎない。
だが、そこを掘って掘って掘って、
掘り下げていくと、深いところで
ほかの多くの人々の無意識とつながる層に達する。
人々に支持される表現は、多数の無意識を代弁している。
しかしその入り口は、あくまで個人的な気づきにある。
深度を極端に深めていくと、
自分という個性を通り越して、
人間は何が欲しいのか、
何を快く思い、何に喜びを見出す生き物なのか
といった本質に辿りつかざるを得ない。
歴代の芸術家や表現者が行ってきた創作活動は、
まさにこのくり返しだ。
~~~ここまで一部引用
いいなあ。
自分の「感性」を発動させ、
それを掘って掘って掘って、
深いところまで行くと、
素敵な仕事ができる。
それを「自分の仕事」
と呼ぶのだなあと。
職業名で「自分の仕事」を選ぶなんて、
こっけいに思えてきます。
まず、感性を発動させていくこと。
たとえば、好きだけど理由のわからないものを
いくつかピックアップすること。
それを深く掘っていくこと。
そこからしか「自分の仕事」は始まらない。
進路に悩む大学生のお正月休みに
ぴったりの1冊です。
Posted by ニシダタクジ at 08:25│Comments(0)
│本
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