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ニシダタクジ
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 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2017年12月18日

海図は必要だが、航路を決めすぎてはならない

海図は必要だが、航路を決めすぎてはならない
「結論は出さなくていい」(丸山俊一 光文社新書)

「ニッポンのジレンマ」をはじめ、
問いを放つ番組をつくるNHKプロデューサー
丸山俊一さんの最新刊を読み始めました。

実は、前著の「すべての仕事は肯定から始まる」(大和書房)
に感激して、去年の2月頃、時間を作ってもらい、
お話をさせてもらったことがある。

僕はこの本の中で、本屋である意味を確認させてもらった。
http://hero.niiblo.jp/e475347.html
(素直で謙虚でありながら権威を疑うこと 2015.12.16)

「僕たちは、ある時代ある場所に選択を許されることなく、生まれ落ちます。
そこには過去の歴史があり、その場所の制約の中での位置づけがあり、
ひとつの座標軸の中に立つわけです。
そうしたとき、時間の流れを把握し、空間の広がりを意識した上で、
その座標軸の中でものごとを捉え、考えなければならない。

つまり、そのとき大事なのは、どんな状況に置かれても、
自分の立っている場所を相対化して考えることができるような視野の広さと、バランス感覚、
何よりもそうした思考法、センスを身につけることこそが最大の武器になるのだと思います。」

そうそう。
それが本屋の使命のひとつですよね、と。

さて、今回のこの本。
冒頭から、シンプルに時代を表していて、
とってもドキドキさせられます。

~~~以下、まえがきより引用

「正解のない時代」と言われて久しい。
幸せの形を人々が共有することが難しくなったかに見える時代。

多様性が叫ばれ、叫ばれれば叫ばれるほどに、
現実にはそれが実現していないことを証明しているかに思える時代。
ひとつのレールから降りることがプレッシャーとなり、
多くの人々を縛っているかのごとく感じられる時代。

そんな時代に生きるからこそ、自らの心、意識、
そして無意識のあり方までを丁寧に見つめ、
自分自身と対話することが重要になる。

~~~以上、まえがきより引用

そうそう。
そうだわ。

「多様性」が叫ばれれば叫ばれるほどに
現実にはそれが実現していない。

無言のムラ社会的な同調圧力が
呪いのように多くの人を覆っているように見える。

丸山さんがつくってきた番組の多くが
「教養」と「笑い」の掛け算
なのだという。

そこには決まった結論は存在しない。
出演者の人たちが展開する話を、
見守っていくことだ。

「あるひとつの枠組みの中で自足してしまったり、
自分というものを固定化させてしまうことなく、
他者の声に耳を傾け、変化を楽しみ続ける、柔らかな思考だ」

「結論を出すという不自由さが逃れた時、
人は自由になれるのだ。
思考の運動に身を委ねていけるのだ。
生きていくということは、そうした発見の連続ではなかったか?」

「企画段階の文章は、徐々に書き換えられ、
台本は「捨てるべきハシゴ」となってしまう。」

なるほど。
そして言う。

企画の哲学からブレず、同時に、
多くの人々が関わって転がしていくうちに
成長していく番組の生命力を維持していくためには、
海図は必要だが、航路を決めすぎてはならない。

そうね。
これだね。
ホント、これ。

海図は必要だが、航路を決めすぎてはならない。

いまの世の中は、
高校3年生や大学3年生に
「航路を決めろ」と迫っているのではないか。

また、丸山さんは、この本のなかで、
大学生の安易な「インターンシップ」志向について
警鐘を鳴らす。

▽▽▽以下本文より引用

なんでも体験して、幅を広げて・・・とは、
耳ざわりはよいけれど、さしたる考えもないうちに、
あるひとつの特定の企業の風土、
仕事の流儀、さらには市場の論理に
どっぷりとつかってしまうことが、
むしろ視野狭窄を生んでしまう可能性もある。

「積極的」「体験主義」のプラスとマイナスは、
よく見極めたほうがいい。
インターンシップの間は、当然ながら、
大学生活はかなりの制約を受ける。

講義や、友だちとの交友、キャンパス内で
過ごして学問の基礎や原理を学び、
考える時間はかなり削られることになるだろう。

もちろん、夏休みなどを利用して短期で
さまざまな世界、ビジネスの現場などを垣間見ることには、
メリットもある。

しかし、それは自らの資質や、価値観を
見つけ出すためのものだ。
さまざまな企業の価値観を比較することが
できるような幅のある体験であってほしいし、
そのためにはキャンパスという
空間での思考の軸も失わないように注意したほうがいい。

(中略)

時代の激変期だからこそと焦る気持ちはよく分かるが、
やはり学生時代にこそ、自らの頭で考え、
自らの心と対話するゆとりを持ち続けたいものだ。

学問というものに耽溺すると、
「問い」続ける力が要請される。
原初的な「問い」を考え続ける力でもある。

△△△以上本文より引用

そうそう。
「インターンシップ」だけでなく、
「問い続ける力」をつけること。
これが大切なんだよね。

進路の検討・進路の選択とは、
単に乗る船を決めることではなく、

目的地や方向性を決め、
方角を指し示すコンパスを手に入れ。
そのための地図を描くことなのだろう。

目的地や方向性が決まっていれば、
航路や乗る船はいつでも変更できる。

2年前のブログと同じ結論になってしまうけど、

志向し続けること。
思考し続けること。
試行し続けること。

そうやって、自分の海図を手に入れること。

そのための「本屋じゃない、何か」になりたい。

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Posted by ニシダタクジ at 08:32│Comments(0)
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