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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2018年04月11日

他者評価の檻の中に入る前に


「暇と退屈の倫理学 増補新版」(國分功一郎 太田出版)

「かつては労働者の労働力が搾取されていると盛んに言われた。
いまでは、むしろ労働者の暇が搾取されている。」

観光・レジャー産業が
労働者の「暇」を争奪している。
たしかにその通りだなあと。

かつての貴族は、
暇を楽しむことができた。

現代は暇=退屈であるような錯覚に陥り、
積極的に「暇つぶし」を行わなければいけないような
脅迫にさらされている。

「休みの日は何をしているんですか?」と聞かれ、
インスタグラムやフェイスブックで
充実ぶりをアピールしなければならない。

その渦中にいると、
そのことにそのおかしさに気付かない。
いや、気づけないのか。

2008年2月から始めた
長期実践型インターンシップ「起業家留学」以来、
(事業準備は2006年12月から)
ツルハシブックスや新潟県内の大学連携事業の企画・運営、
茨城大学のコーディネーターまで、
11年くらい、「大学生」を目の前にして、やってきた。

常に、僕の問いの中にあったことは、
ドラッカー先生の

1 ミッションは何か

であり、
それを意味づける

2 顧客はだれか
3 顧客にとって価値は何か

だった。

4 成果は何か
5 計画は何か
と続いていくわけだけど。

長期実践型インターンシップ事業は、
構造的に優秀な学生しかチャレンジできないモデルだったため、
「彼らは僕のお客なのか?」
という問いが生まれた。

大学連携事業は、岩室温泉や粟島を舞台にした
プログラムによって、2泊3日、3泊4日であっても、
成果を生み出すことは可能な手ごたえがあった。

ツルハシブックスでは、
「やりたいことがわからない」「自分に自信がない」
という多数の学生を目の前にして、
「キャリア教育」に疑問を持ち、

ツルハシブックスで内野町といろいろ仕掛け、
僕なりに手ごたえがあった
「地域活動」の価値を実践したくなり、
現場を大学へと移した。

大学では授業をきっかけにした
地域プロジェクトへの参加・参画を
設計し、実践した。

しかし。
僕が立てた3年半前の仮説は、間違っていた。
「地域活動」そのものに価値があるのではなかった。

地域活動でもっとも大切なのは、
「学校化社会とは異なる価値観の中に身を置くこと。
そして、それを自らの価値観で評価すること。」
である。

そしてそれを大学の枠組みで行うことは非常に難しい。
たとえば、法政大学の長岡先生が
やっているゼミの方式はイメージにすごく近いのだと思う。

キーワードは「越境」。
大学外の様々な活動を経験してきて、
自分なりの言葉でまとめ、他者に発表する。
ブログやツイッターでアウトプットする。

そこから生まれる学び。
それこそが、学び続ける力を生んでくれるだろうと思う。

さて。
そんなのを踏まえて、12年目を迎えている今。

ふたたび本屋というか、本のある空間を軸に、
若者が地域に出ていくプラットフォームを
つくろうと思っている。

まず、最初にやることは、
仮説の検証。

思えば、
デザイン思考的に言えば、11年ものあいだ、
顧客のインサイト(内面)を掘ってきたのかもしれない。

顧客セグメントは、偏差値55前後の地方国立大学へ
不本意入学した学生たちだったのかもと。
何よりも、自分自身がそのひとりだった。

僕自身は、2002年の不登校の中学3年生に出会いが
「顧客」との出会いだった。

そこから16年間
「顧客」にとって価値は何か?
という問いが残り、
それが10代限定の「暗やみ本屋ハックツ」
につながっている。

大学生はどうだろうか。

それを考えたときに、
2017年に出てきたキーワードが
「他者評価の檻」だった。

この3年間は、東京周辺にいたこともあり、
インプットの機会が多かった。
いちばん力を入れたというか、
興味深かったのが、歴史、特に世界史だった。

「キャリア」を考える上で(当然、「学校」も同じだけど)、
近代社会という時代背景
を知ることは不可欠のように思えた。

あまりにも長くなってしまうので、
ここではキーワードだけ。

大学生が他者評価の檻に自ら入り込み、
そのスパイラルの中で自ら苦しくなってしまうのは、

1 時代・社会的背景 キーワード「効率化」
2 地域・家庭的背景 キーワード「価値観」
3 個人・内面的背景 キーワード「承認欲求」

がある。
当然これらは分けられるものではなくて、
密接に関係し合っているのだけど。

1 時代・社会的背景

近代工業社会においての絶対の価値は「効率化」である。
質のいいものをできるだけ早く安価で製造する。
フォードシステムに代表させるシステムの中で、
人々はサラリーマンとして働くことを強制されるようになる。

年功序列・終身雇用も
勤めた人が勤め続けるためのシステムである。
転職されたりすると効率が下がるからね。

学校は社会に適応できる人材を育てるために、
まわりと同じように、同じことをできる人を育てた。

「頭がよい」=「情報処理能力の高い」人を
管理職についてもらうことで、
さらなる「効率化」をはかった。

そして、学校にも会社にも適用できる
他者評価を前提にした評価システムが出来上がっていった。

それに適応する個人は当然
他者評価を前提とするようになる。

2 地域・家庭的背景

「子どもは、「学校・家庭・地域」の
トライアングルをまわすことで育っていく。
地域が弱体化して、家庭も機能しない。
だから、子どもが健全に育たないのだ。」

って。

僕も思っていた。
いわゆる「地域の教育力」である。

いや、それはそうなのだろうけど。
しかし。

「他者評価の檻」視点から見ると、
学校・家庭・地域のトライアングルの意味は、
「異なる価値観が支配する世界に身を置く」
ということではないだろうか。

かつての親父は言った。

「学校の先生の言うことなんか聞くな。
この家では俺がルールブックだ。」
(聞いたことないけど。)

かつての地域の長老は言った。

「祭りに帰ってこれない会社なんて辞めちまえ。」
(NHK朝ドラでありましたね。)

そう。
学校とは異なる価値観が
家庭にも地域にもあったのだ。

もっと言えば、
学校だって、資本主義・工業社会とは
異なる価値を価値として運営されてきただろう。

今や、世の中全体が
学校的価値=資本主義的価値に
一元化された。

「価値観の多様化」と
口では言いながら、それは学校においては
「職業選択の自由」と同義で、
「働かない」という選択肢はあまりない。

3 個人・内面的背景

これは、2013年に
山竹伸二さんの「認められたいの正体」(講談社現代新書)
を読んでから、大きくなってきたキーワード
「承認欲求」である。

本によれば、
「承認」には3段階があり、

1 「親和的承認:ありのままの自分を受け入れてもらう」
2 「集団的承認:集団の中で役割を果たすことで承認してもらう」
3 「一般的承認:社会一般でいいとされることをすることで承認してもらう」

このうち、特に2と3は、
他者からの評価によって得られることもある。

いや。
おそらくは、
この「承認欲求」なるものを
巧みに、「他者評価欲求」にすり替えてきた。

いや、
すり替えなければ、
みんなをサラリーマンにすることができなかったのではないか。

優秀な大学生が公務員を目指すのは、
「安定したい」からではなく、
他者からの承認、つまり評価がほしいから
ではないのか、と思う。

以上、3つの背景から、
大学生は他者評価の檻の中にいて、
その模範囚となるべく、訓練を受けている。

それがどうした?
と言われる人も多いかもしれない。
それが社会だし、それに適応してきたのが人間だろう、甘えんな。
という人もいるかもしれない。

その通りだと思う。

でも、それを知った上でその役を演じているのと、

自分が薄暗い他者評価の檻の中で
ずっと体育座りで苦しさを抱えているのと、
それはだいぶ違うと思うんだよね。

社会がそうなっている以上、
いずれは、他者評価にさらされなければならない。

現代の経済社会において
ビジネスとは、売り上げとは
他者評価とほとんど同義だからだ。

でも。
18歳、19歳の時に、もっと広い世界を知ってみてもいいし、
自分で自分を評価する機会を持ってもいいのではないか。

僕は、そしてツルハシブックスは、
「他者評価の檻から自分を脱出させる方法」を
一緒に考えていくような、
そんな本のある場づくりをしていこうと思います。

コンセプトは、
ローカル・リベラルアーツ・ラボラトリー
日本語訳は
「地域資源を活用した 自由のための学び 実験室」
です。

具体的には、
本を売り、旅に出るきっかけをつくったり
インターンや就職について考えたり、
自分や仲間でプロジェクトを立ち上げたり。

そのときに、
「チューニング」(音合わせ)と
「ミーティング」(や運営方法)と
「ふりかえり」の方法を授けられるような、

そんなプラットフォームをこれからつくります。

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Posted by ニシダタクジ at 07:53│Comments(0)日記
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