2018年12月04日
ロールモデルではなく、問いを見つけること
「これからの世界をつくる仲間たちへ」(落合陽一 小学館)
AIの時代って言われてるけど、何が起こっているのか?
わからないまま、怯えていないか。
それに対して、
図解を含めてわかりやすく教えてくれるこの本。
映像の世紀(20世紀)から魔法の世紀(21世紀)へ。
テレビ、映画、アニメなど「映像メディア」の中での表現から
映像的な表現が現実の物理空間で可能に。
リアルとバーチャルは区別されていたのが
境目がなくなる。
1対NだったのがN対Nになる
魔術化:コンピュータ、コードというブラックボックス
「コンピュータは電化製品ではなく、我々の第二の身体であり、脳であり、そして知的処理を行うもの、たんぱく質の遺伝子を持たない集合型の隣人です。」
「人は人らしさを自分の中に持つのではなく、対話の中で「人らしいな」と自覚するものだと思います。いま、人はコンピュータと向き合うことで自分を見直す時期に来ました。」
「シンギュラリティ(技術的特異点):それより先は人工知能が猛烈なスピードでテクノロジーを進化させていくので、人間は世界の将来を予測することすらできません」
そんな感じで前半からガンガンきます。
ここで大きな問いは、
「人間がやるべきこと」は何か?というもの。
~~~以下引用
ただ基本的には、コンピュータが不得意で人間がやるべきことは何なのか?を模索することは大事だと言えます。
それはおそらく「新奇性」や「オリジナリティ」を持つ仕事であるに違いありません。
少なくとも、処理能力のスピードや正確さで勝負する分野では、人間はコンピュータに太刀打ちできない。
ざっくり言うと、いまの世界で「ホワイトカラー」が担っているような仕事は、ほとんどコンピュータに持って行かれるのです。
それは、よく人工知能が職を奪うという恐怖を掻き立てる表現とともに語られますが、ほんとうの問題は、どのようにして人の良いところと人工知能の良いところを組み合わせて次の社会に行くのかということだと思います。
つまり、迎合や和解のために知らなくてはいけない隣人の性質について考えないといけません。コンピュータとの文化交流が必要なのです。
~~~以上引用
いまのホワイトカラーの仕事はコンピュータにもっていかれる。それなのに、ビジネス書、自己啓発書の類は、効率化など処理能力を高める、といったホワイトカラー教育を志向している。
「意識だけ高い系」:
専門性がないがゆえに、自慢することが人脈、評価されない活動歴、意味のない頑張り程度でしかない人たちのこと。
人間が持っていて、コンピュータが持っていないものは「根性」「ガッツ」「気合」ではなく、「モチベーション」。
モチベーションを持って、コンピュータをツールとして使う「魔法をかける人」になれるか、あるいは「魔法をかけられる人」のままになるのか。
落合さんが学生たちに問いかけるのは、
「その新しい価値がいまの世界にある価値を変えていく理由に、文脈がつくか」「それに対してどれくらい造詣が深いか。」が大切だということ。
ここでいう「文脈」は次の5つの問いに落とし込むことができる
・それによって誰が幸せになるのか。
・なぜいま、その問題なのか。なぜ先人たちはそれができなかったのか。
・過去の何を受け継いでそのアイディアに到達したのか。
・どこに行けばそれができるのか。
・実現のためのスキルはほかの人が到達しにくいものか。
この5つにまともに答えられれば、そのテーマには価値があります。これを説明できるということは文脈で語れる=有用性を言語化できるということであり、他人にも共有可能な価値になる可能性があります。
この「なぜいま」のところにコンピュータが入ってくるのだと言います。
そして、最後に、3つのキーワードを。
・クリエイティブ・クラスにはロールモデルは存在しない。
・何を研究し、どんな暗黙知を貯めていくのか。
・好きなことを見つけろ、やりたいことを探せ、ではなく、自分が解決したいと思う小さな問題を探せ。
コンピュータによってホワイトカラー的な仕事はなくなっていく。新しいものを生み出せる力が必要になる。
最初のクリエイティブを作った人だけが価値を持つので、あの人のようになりたい、というロールモデルは通用しない。
そのためには勉強ではなく「研究」しなきゃいけない。
その「研究」は他者がやっていないこと。
その出発点に立つのは、好きなこと、やりたいこと、ではなくて、小さな問題を発見し、それを深く掘り下げること。
そうそう。
だから、現場で、プロジェクトを設定・設計・実行する、
そういう力が必要なんですよね。
やっぱイナカレッジだな、と思いました。
Posted by ニシダタクジ at 06:47│Comments(0)
│本
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