プロフィール
ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 107人
オーナーへメッセージ

2023年01月14日

外向的なのは鈍感だから

外向的なのは鈍感だから
スピリチュアルズ 「わたし」の謎(橘玲 幻冬舎)

これでもか、というくらい、エビデンスベースで残酷な事実を突きつけてくる橘さんの本。
今回はこの1冊を紹介します。

大学生にまずおススメなのは、
文庫版「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」(橘玲 幻冬舎文庫)でしょうか。
http://hero.niiblo.jp/e485390.html
(参考:政治空間と貨幣空間のあいだ 17.7.20)

やればできる!努力は報われる!というのが実はウソであったことを解き明かした1冊。
本当に救いがなくてどうしようかと思うのだけど、ラストのあとがきでようやく救われます。
世の中に出ている「やればできる」「夢は叶う」系の「自己啓発本」を一刀両断する1冊。おススメです。

そして、その次に読みやすいのは
「人生は攻略できる~君たちはこれからどう生きるか?」(橘玲 ポプラ社)
橘さんの本の面白さは、いかにも自己啓発っぽいタイトルなのに、
本人はこの世から自己啓発書を消滅させたいと思っていること。
http://hero.niiblo.jp/e489952.html
(参考:伽藍を捨ててバザールに向かえ 19.11.1)

せっかくなので上記ブログより引用
~~~
最初から「好き」がわかっていて、夢に向かって一直線に進んでいける幸運なひとを除けば、「好きを仕事にする」方法はたぶんひとつしかない。それはトライ&エラーだ。その時に大事なのは「会社」ではなく「仕事」を選ぶことだ。

君が知らなくても、君のスピリチュアルは知っているから。

ジョブズが「探し続けてください」というのは、「天職」が見つかるまで何度も転職しろとか、「運命の相手」が見つかるまで恋人を取り替えろということではない。「スピリチュアルが拒絶するもので妥協するな」ということだ。

トライ&エラーをしていくうちに、君のスピリチュアルが「好きなこと」を(偶然に)見つけてくれる。そうなれば、あとはそれに全力投球するだけだ。
~~~
いいですね。好きを仕事にする方法。最後にはスピリチュアル(無意識)が見つけてくれる。

ということで、今回の1冊は、
まさにそのスピリチュアル(無意識)を追いかけた1冊。

心理学の進展によって、パーソナリティ(性格)5因子でできていることが分かってきた。
その5因子とは
1 外向的/内向的
2 神経症傾向(楽観的/悲観的)
3 協調性(同調性+共感力)
4 堅実性(自制力)
5 経験への開放性(新奇性)
である。これらは「ビッグファイブ」と言われる。
「人格(パーソナリティ)」とはあなたの内部にあるのではなく、身近な他者の評価がフィードバックされたものだからだ。パーソナリティとは「キャラ」のことだが、それは「観客」の評価を反映しているのだ。

ということで、この本ではビッグファイブそれぞれの因子について詳しく解説されている。

今日紹介するのは最初の「外向的/内向的」から。
~~~
生き物は、「快/不快」「覚醒/鎮静」という「感じ」を持つように進化した。感覚器官が快を感じると中枢神経は覚醒し、その方向に筋肉=身体を動かす指示を送る。逆に不快を感じると、逆の方向に身体を動かそうとする。これが「動く生き物」の基本だ。この覚醒の度合には、個体ごとに一定の範囲でばらつきがあるが、脳=中枢神経系が快適に感じる覚醒度はぼぼ決まっているようだ。するとこの「最適覚醒度」に対して、それぞれの個体の生得的な初期値がどうなっているかで2つのタイプの反応が生じるだろう。

1 刺激に対して鈍感な人は、覚醒度を上げようとして強い刺激を求める⇒外向的
2 刺激に対して敏感な人は、覚醒度を下げようとして強い刺激を避ける⇒内向的

最適覚醒度に対して、ふだんの覚醒度が低い個体は、そのことを「不快」と感じるから、覚醒度を上げようとする。逆にふだんの覚醒度が高い個体は、そのことが「不快」だから、覚醒度を下げようとするはずだ。このとき、「覚醒度を上げようとする傾向」を外向的、「覚醒度を下げようとする傾向」を内向的という。

なぜ、「外向的/内向的」にばらつきがあるのか。これは「身体のエネルギーは有限である」という制約から説明できる。外向的な個体は覚醒度を上げようとして刺激に向かって進んでいくから、食べ物や生殖の相手を獲得するなど、目的を実現する可能性が高まるが、エネルギーの消耗も激しい。それに対して内向的な個体は、強い刺激を避けようとするからエネルギーは保存できるが、目的を実現する機会は少なくなるだろう。

身体のエネルギーが無限にあるのなら外向的な戦略が最強だし、動かなくても食べ物がいくらでも手に入るなら内向的な戦略でこと足りる。しかし自然界にそんなウマい話があるわけがなく、生き物は「あちらを立てればこちらが立たず」のトレードオフの状況に置かれている。「外向的/内向的」は、このトレードオフ(ジレンマ)に対する適応なのだ・
~~~

なるほど。生物の進化の過程で、「外向的/内向的」が正規分布(ベルカーブ)しているんだ。だから、進路講演会で、「やりたいことがわからないのなら行動した方がいい」っていうのは、「外向的」な人つまり鈍感な人には最適な戦略なのだけど、「内向的」な人つまり敏感な人には採用できる戦略ではない。

キャリア教育の入り口。それは「個人」を単位として仕事を考えること。それこそが最大の間違いなのではないかと思う。

「やりたいことがわからない」の苦しさのひとつには、敏感な(内向的な)人たちが、「なんでもやってみよう」という戦略を性格的な理由(パーソナリティ)から採用できないことにある。

そもそも、仕事は個人戦なのだろうか?と問いかけたい。

「マイノリティ・デザイン」の話にも通じるけど、個人ではなく共同体(チーム)単位で見れば、「誰かの弱さは、誰かの強さを引き出す力」だと思う。

ひとりひとりが自分や相手のパーソナリティを理解し、社会(会社)でのポジショニングを考え、全体としてうまくいくようなデザインを必要としているのだと思う。

同じカテゴリー(学び)の記事画像
ベクトルの始点を合わせるというチューニング
アンサング・ヒーローの物語を紡ぐ
「自分とは何か?」に応えてくれる活動
演劇のような本屋、劇団のような会社、劇場のようなまち
子どもたちは「仕事」と「遊ぶという行為」を失った
「あそび」の復権
同じカテゴリー(学び)の記事
 ベクトルの始点を合わせるというチューニング (2024-04-10 09:51)
 アンサング・ヒーローの物語を紡ぐ (2024-04-08 07:16)
 SNSとアイデンティティ (2024-03-30 16:45)
 「相互評価」ゲームからの越境 (2024-03-27 07:28)
 「自分とは何か?」に応えてくれる活動 (2024-03-23 10:07)
 演劇のような本屋、劇団のような会社、劇場のようなまち (2024-03-23 08:10)

Posted by ニシダタクジ at 08:40│Comments(0)学び
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。