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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2024年03月23日

「自分とは何か?」に応えてくれる活動

「自分とは何か?」に応えてくれる活動
『ごちゃまぜで社会は変えられる』(濱野将行 クリエイツかもがわ)

読みました。シビれました。こんなすごい人いるんだなあって。
さっそく本書に出てくるユースサポーターズネットワークの岩井さんに連絡して、5月くらいに行きます、って言いました。

舞台は栃木県大田原市。
濱野さんが代表を務める一般社団法人えんがおは、「誰もが人とのつながりを感じられる社会」を目指して、高齢者の孤立問題を中心とした地域課題・社会課題に向き合っています。

えんがおHP
https://www.engawa-smile.org/

徒歩2分圏内の6軒の空き家を活用し、10の事業を展開しています。

もともと濱野さんは作業療法士を志す大学生でした、それが大学1年次3月東日本大震災で大きく動き出しました。高齢者の生活支援事業から始まり、いまではさまざまな事業を展開しています。

そんな濱野さんの本からの抜粋を
~~~
「生活のお手伝いをする」という「手段」を用いて、人とのつながりが希薄な高齢者の生活に「つながり」と「会話」をつくる。それが僕たちの生活支援事業です。

地域サロンの運営で大切なのは、「役割をつくる」です。お茶飲み場が居場所になるわけではないんです。人にとって居場所とは「役割」です。

介護予防=運動+役割なんです。
~~~

なるほどな~。役割をつくること。
畑をやり続けるっていうのもある意味「役割」だよなあと。
つづいて「関係人口の増やし方」

~~~
関係人口の増やし方は主に2つです。
1つめ「相談」のくせをつけること。2つ目「発信」。
課題解決の力と「人を巻き込む力」の両方が必要です。

他人に対しては結果を求めなくていいけど、何かを変えたければ、自分に対しては結果主義になること。
「結果」とは、テレビに出ることやSNSのフォロワーが増えることではなく「誰が幸せになったのか」です。

「人を幸せにした事実や想い」が「発信されて」生まれるものが「信用」だと思っています

どんな人が来たのか、どんなことで困っていたのか、自分たちの活動の結果、どう喜んでくれたのか。それを発信してください。

それを第三者がみて初めて「へー。いいことしてんじゃん」となるわけです。

目の前の人を喜ばせることが、何より大切です。順番で言えば間違いなく、1番は「人を幸せにした事実を積み重ねる」ことです。だけど、これからの時代、それとセットで「発信して信用を貯める」ことも大切なんです。
~~~

まさに、まさに。「発信」することは大切で、さらに「発信」すべきは、活動そのものではなく、「その活動によって誰がどのように幸せになったのか」ということなのです。

いや、まさに本質
さらに、濱野さんたちがひたすらやってきたこと

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・目の前のニーズを拾う。それが自分たちのもつ性質と合っているかを確認してできそうならやる。
・やるときはなるべく多くの人を巻き込む、つくる段階から巻き込む
・壁にぶつかって凹む
・とにかく相談する
・その活動で誰が喜ぶかを明確化して、発信する。
~~~

いいですね。シンプル。
つづいて、関わりやすさを示す「余白力」について

~~~
チーム運営において、もっとも大切なことは「メンバーのもっている強みを最大限に活かすこと」だと考えています。そのためにリーダーは「不完全」でいたほうがいいと考えています。

「意図的」に、自分の弱みをそのまま開放することで、「自然に発生する」余白。そこに人が集まる。

他者が入る余白があれば、一時的に混乱しても、リーダーである人の想像を超えた形で、チームは進化していきます。この「想像を超えた」もポイントです。予測できない変化(進化)が起きるチームです。
~~~

いいですね。
リーダー像。

さらに、この本のハイライトはP200からの若者の巻き込み方。
これは、授業の設計においてもまったくその通りなので、写経します。

1 活動の「体験価値」を高める
2 余白をつくる
3 存在を受け入れる(名前を呼ぶ、個人の物語を捉える・強みを見つけて言語化するなど)
4 信じる。活動に来ている時点で、もう最強。信じる。任せる。
5 放置する。失敗できる環境こそが価値。間違っていても正さない。失敗してもらう。常に、付かず離れずの距離で見ている。失敗して自分で気づき、学ぶ。その過程を見守る。相談には乗る。
6 本人の変化を本人より先に捉えて、言語化して手渡す。
7 参加者(学生)よりも自分が楽しむ。
8 活動の社会的意味を伝える。なぜ、その活動がなければいけないのか。それに対してどんな解決策を提示しているのか。
9 環境のせいにする時は声をかける(気づけるような問いを投げる)。自分で気づけないスパイラルに入っているのであれば、嫌われてもいいからそれを伝える。
10 10個もなかった。だめなところを見せる。2と被った
~~~

10。笑
すごいなあ、濱野さん。
文章からにじみ出る人間性。
そして、その前に書いてあることになるのですが、僕の研究領域であるアイデンティティ問題についての言及メモ

~~~
家族以外にも「自分の存在を心配してくれる人がいる」という感覚が、そういう日々の声かけで、潜在意識の中に刷り込まれていくのではないでしょうか。その小さな積み重ねで「自分はここにいていいんだ」と、言語化できない、心の深いところで感じていくのだと思うんです。

誰かに心配されているとか、気にかけられている、みたいな体験の積み重ねが、数年後の自分自身への「自信」につながるのではないかと考えているのです。

彼が変わったわけではなく、「もともとできる」ことが、いろいろなものに抑圧されて、それを「発揮できなくなって」いたんです。

それが、世代を超えた交流で認められたり、受け入れられたりして、徐々に発揮できるようになっただけなんです。自分らしさが戻ったんですね。この場合もえんがおがやったのは、もともと素敵な彼を受け入れて信じることだけでした。

今も昔も、「今時のワカモノ」自体は変わっていなくて、みんな超ステキですよ。優しいんです。彼らを取り巻き育てる「環境」が変わっているんですね。そうして自分を「発揮」しにくくなっているのだと思います。
~~~

いや、ホント、その通りだなあと思います。
「存在の承認」という出発点をどうデザインするか。
そこに若者との活動はかかっていると僕も思います。

介護予防は、運動+居場所(役割)だと濱野さんは言う。
その「役割」を感じられなくなった。

若者は本当は若いだけで価値があるのだ。
価値があるから、声をかけてくれるのだ。
話をするだけで元気もらえるからね。

「仕事でアイデンティティを形成せよ」とキャリア教育は言う。
でも、それができる人は一部の優秀な人だ。
その優秀な人だって、「経済社会」というフィクションの中における「役割」を果たしているに過ぎない。

「自分とは何か?」
その問いに応えてくれる活動を必要としている。
それは「生きる」に直結しているから。

それは若者であっても高齢者であっても私たちオジサンにとっても同じだ。

自分は、どんな共同体で、どんな役割を果たせるだろうか。どんな役を演じられるだろうか。

そんな根源的な問いを皆、かかえていて、
一般社団法人えんがおと濱野さんは、その問いに応え続けているのだと強く思った。

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Posted by ニシダタクジ at 10:07│Comments(0)日記学び
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