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ニシダタクジ
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 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2020年05月27日

「合理的」が「経済合理性」のみを指し示さなくなった

「合理的」が「経済合理性」のみを指し示さなくなった
「お金2.0」(佐藤航陽 幻冬舎)

これ、面白いです。まさに「就活」前に乗りたいヘリ、筆頭ですね。
それくらい上空から「就活」とか「働くこと」を眺めてみてもいいなあと思えました。

5月18日にも書きましたが、
昨日読み終わりましたので、追加したいと思います。

発展する経済システムの5つの要素
http://hero.niiblo.jp/e490677.html

「経済システム」という観点から、いろんな活動を分析したものとして
非常にわかりやすかったです。

そして、この本の最終局面で、「経済システム」そのものが
「お金」を媒介にした「国家に1つ」のものではなく、
複数のシステムが同時に共存しうるのだと。
つまり、「レイヤー(層)化」するのだと。

それってすごいな。
「チャレンジする」ってデザインだなあと思った。

「田舎ではチャレンジは起こりにくい」
っていうのはホントだと思っていて、
僕も新潟にきて大学生の時に畑を始めたのだけど
あれ、実家暮らしだったら絶対にできていないと思う。

それはコミュニティが1つだからであり、
失敗することのリスク(特に評判リスク)が高いからだ。

しかし、今は、移動が可能だ。
「東京はチャレンジできる街だ」というのは、チャンスがたくさんある、というのもそうだと思うけど、
そのチャレンジに一定の匿名性があるから、ではないか、と思う。

山岸俊男さん的に言えば、
「信用社会」では相手への信用(評判)がそのまま失敗リスクとなるためチャレンジが起こりにくく
「信頼社会」では、まずは信頼してみる、というところから始まるのでチャレンジが起こりやすい。

昨日、weekly ochiaiの録画を見ていて、
参考:【WEEKLY OCHIAI】“リモートワーク疲れ”の正体を解明せよ
https://newspicks.com/news/4933399/body/?ref=user_2250

社員700名がすべてリモートワークであるという、
キャスター取締役COOの石倉秀明の最後の一言にハッとしたのだけど、

~~~
・会ったことがない人と一緒に働く時代となる。
・リモートワークの最大の敵は疑心暗鬼
・この人は信頼する、とこちらが決める
・「無条件の信頼」から始める。
~~~

そういった意味ではリモートワークが信頼社会への移行を迫っている、とも言える。
学校文脈で語られる「その人は信用できるのか?」っていう言葉は、まさに「信用社会」の用語だと言えるだろう。

リモートワークが「信頼社会」へのシフトを進めてくれるとしたら、それは歓迎すべきことなのかもしれない。
オンライン本屋でも、「他者」と出会い、「信頼」するところから始まるのだ、と。
これは大きな時代の変わり目に差し掛かっているなあと。

さて。話は変わりまして。
「お金2.0」では、資本主義の替わりに「価値主義」を説きます。
少し引用します。

~~~ここから引用

この資本主義が考える価値あるものと、世の中の人の考える価値あるものの間に大きな溝ができており、それが多くの人が違和感を持つ原因です。

新しいテクノロジーが生まれると人間が作った概念は変化を余儀なくされます。それまでは文字の記録手段として主流だったのは紙ですが、ITの発達で文字を電子的に記録して自由に発信できるようになったので、紙は記録手段の1つの選択肢になりました。別の見方をすれば、紙はITの誕生でその影響力を大きく下げたとも言えます。同様に、ITは価値のやりとりも電子的にやってくれる技術ですから、既存の「お金」を価値媒介手段の1つの選択肢に変えてしまう力があります。

つまり、今起きていることは、お金が価値を媒介する唯一の手段であったという「独占」が終わりつつあるということです。価値を保存・交換・測定する手段は私たちがいつも使っているお金である必要はなくなっていきます。手段の多様化により人々が注力するポイントが「お金」という手段から、その根源である「価値」に変わることは予想できます。価値を最大化しておけば、色々な方法で好きなタイミングで他の価値と交換できるようになっていきます。

「価値」とは商品のようなものであり、「お金」とは商品の販売チャンネルの1つみたいなものです。今後は、可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に変わっていくことが予想できます。超一流企業にも就職できるエリートがその道を選ばずにNPOや社会起業家などに専念するのは、資本主義的には非合理的な選択に見えますが、価値主義的には合理的な意思決定とみなすことができます。

~~~

なるほど。
違和感の正体、まさに、という感じです。

西野亮廣さん的に言えば、
クラウドファンディングとは「信用」をお金に変える装置である
っていうのが、さらにちょっと高い位置から理解できた。

「合理的判断」っていうのがよく言われるけど、
その合理的っていのが「経済合理性」だけを示さなくなってきた時代。

これさ。
「やりたいことは何か?」から始まるキャリア教育を根本的に改めないといけないんじゃないか。

仕事とは何か?
お金を稼ぐとは何か?

っていう話をしないで、
何が好きか?何が得意か?

だけを聞いて、仕事を選ぶなんて。
それで今は「AIに奪われない仕事は?」みたいな話をしている場合じゃなくて。

「You Tuberとはなんだろうか?」
っていう話から社会の仕組み、資本主義の仕組み、
そしてそれが今変わりつつあるのだと。
いや、そもそもそれこそがキャリア教育の前提でなければならない。

「You Tuberとはなんだろうか?」
っていう話に必要なのが、「価値」の話だ。

この本の一番のハイライトはここ。P166。

~~~ここから引用

1 有用性としての価値
これはもっともなじみが深く、資本主義がメインに扱う価値です。経済、経営、金融、会計などで価値という言葉が出たらこの有用性・有益性・実用性としての価値を指しています。一言で言えば、「役に立つか?」という観点から考えた価値です。
現実世界で使用できる、利用できる、儲かる、といった実世界での「リターン」を前提にした価値です。なので、直接的に次のお金に繋がらない、現実世界で利用できないものは有用性としての価値はないということになります。

2 内面的な価値
実生活に役に立つか?という観点とは別に、個人の内面的な感情と結びつけても、価値という言葉は使われます。愛情・共感・興奮・好意・信頼など、実生活に役立つわけではないけれど、その個人の内面にとってポジティブな効果を及ぼす時に、価値があるという表現を使います。有用性としての観点で考えると、個人が心の中でどんなことを思っているのかは関係ありませんし、それらの感情が役に立つといったことはありません。感情は消費する、役に立つといった実用性とは無縁だからです。ただ、美しい景色を見た時、友達と過ごして楽しかった時、それらには価値があると表現しても特に違和感はないはずです。

3 社会的な価値
資本主義は個人の利益を追求していくことが全体の利益につながるという考え方です。一方で、慈善事業やNPOのように、個人でなく社会全体の持続性を高めるような活動も私たちは価値があると表現します。金融や経営の観点から考えると、社会全体の持続性を高めるような行動はただのコストに過ぎず、少なくとも価値があるとは言えませんでした。ただ、砂漠に木を植える人たちや、発展途上国に学校を作ったりする人の行動に価値を感じる人は多いと思います。

このように一言で「価値」と言っても、私たちは3つの異なる概念を区別せずに使っていることがわかります。そして、いずれも私たちの脳の報酬系を刺激する現象であり、脳からしたら等しく「報酬」ととらえることができます。

資本主義の問題点はまさに1の有用性のみを価値として認識して、その他の2つの価値を無視してきた点にあります。ただ、実際に1の価値のみを追求して2と3を無視すると崩壊します。例えば、自社の価値のみを追求し、ブラックな労働環境で社員を酷使して何の社会的意味も見出せないような企業は、優秀な人材も引き寄せられず、内部告発や社員の離反を招き、消費者からの共感も得られません。

価値主義で扱う価値とは、1も2も3もすべて価値として取り扱う仕組みです。そして1と比べて2や3は物質がなくあいまいであるがためにテクノロジーの活用が不可欠です。

裏を返せば、価値主義とは資本主義と全く違うパラダイムではなく、これまでの資本主義が認識できなかった領域もテクノロジーの力を使ってカバーする、資本主義の発展系と考えもらったほうがわかりやすいと思います。

~~~ここまで引用

「You Tuber」とは、
チャンネル登録し動画を見てくれるファンからの「興味・関心」という価値を最大化している人のことであり、
彼らが稼ぐ広告費などの「お金」とは、その「価値」の一部を変換したものに過ぎないのです。

つまり、「資本」を最大化するのではなく、「資本」の源泉である「価値」を最大化すること。
そしてその価値は上に挙げたように「有用性」だけではないということ。

そして2 内面的な価値と3 社会的な価値を
現金化(資本化)する手法が例えば九ラウンドファンディングなど
テクノロジーの発達によって訪れているということ。

そういう意味において、
キャリアを考える上での大切な質問は、

「あなたのやりたいことは何か?」
ではなく、
「あなたが感じる価値は何か?」
になってくるのだろう。

超一流企業に就職できるエリートが名もなきNPOに就職するということは、
自分が考える「価値」の言語化ができているのだろうと思う。
まさに「合理的」判断というときの「合理的」が経済合理性のみを指し示さなくなってきているのだ。

なるほどなあ。
この経済の話と「承認欲求」などの心理学的な話を
組み合わせて、読み解く、みたいなゼミをやろうかなあ、と。

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