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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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Posted by LOGPORT運営事務局 at

2022年11月20日

「魔法をかける」インタビュー

大学生が自分たちの視点で県内の「暮らす」と「働く」を取材する
「くらすはたらく編集室」の取材に行ってきました。
糸魚川市・能生。

長者温泉・ゆとり館を運営する屋村夫妻にインタビューしてきました。






僕は取材中は外して、能生が誇る名店「あさひ楼」に潜入してきたのですが。





1時間経過後、まだインタビューは続いていました。(90分を超える録音が)

最後の質問。
大学4年生Lさんからのメッセージが切実でよかった。

これから就職する不安、周りもみんな元気がない。
就職前の研修にいってぐったり疲れて帰ってくる。
「社会人になる」ってどういうことか。
そんな大学生にメッセージを

これはつまり、「いま、私にメッセージを」っていうのと同じだ。
あのとき、たしかに「場」が動いた。
切実な問いを「場」に置いてくる。

ああ、それって、朝電車の中で読んでいた「プレパタ」の本に書いてあったな。
インタビューの質問って、世界で最も短いプレゼンテーションなんじゃないかって。

終了後、Lさんは、「なんとかなるよ」って言ってほしかったんだとコメントした。

スラムダンクのあの名シーンを思い出した。



「場」に置いてくる、というか問いを置いてみる。
「ことばの焚き火」が、焚き火に向かって言葉を紡いでいくように、インタビューという場に、問いを置いてくる。
しかもその問いは、自分の存在をかけた切実な問いだ。

くらすはたらく編集室の事前研修で、「魔法をかける編集」の話をした。
いま、あなたにしか、このチームでしか書けない記事を書く。
プロではなく大学生だからこそ紡げる言葉があり文章があるんだと。
それが「魔法をかける」の意味だと。

それは「場」に差し出される切実な問いから始まるのだと。

「いま、私にメッセージを下さい」
あのメッセージがたしかに「場」を揺さぶった。

その回答がLさんがもらいたかったメッセージだった。
「なんとかなるよ」って言ってほしかったんだ。

それを記事化すること。
たぶんそれこそが読み手が読みたいメッセージになっていくのだろうと。

ああ、「魔法をかける」って、具体的に言うとそういうことか!
って大発見をした1日になりました。
くらすはたらく編集室の記事が楽しみになってきました。


空の雲がとてもきれいな晩秋の1日でした。  

Posted by ニシダタクジ at 05:52Comments(0)学び日記

2022年11月11日

「発見と変容」の物語を語れ





秋晴れの中、名古屋からキャリア教育コーディネーターの元祖、毛受さんに来てもらいました。無理ゲーから抜け出すには、ということで、刺さる、そしてまだまだやれるという気にさせられました。このタイミングで来てもらってよかったなあと。

こちらには、そのふりかえりメモを。
~~~

無理ゲー:難易度が高く、クリア不可能な無理なゲームのこと。派生して、難易度が高くて実現不可能な課題のこと。

⇒地方&中山間の高校が、都会の高校と比較して、偏差値低下・生徒減少の負のスパイラルをひっくり返し、学校として存続し、地域を存続
させること。

トランプゲーム「大富豪(大貧民)」ような格差固定⇒ゲームにヒントがある「革命」可能:価値観の転換

学力向上のジレンマ:学力を高くすると人口流出する。

★キーワード1「18歳成人」

大人とは?
1身体の大人
– 肉体の発育
– 性
2法律上の大人
– 契約に関する意思決定の責任
– 犯罪行為の責任
– 選挙権(18歳)
– 非選挙権(25歳)
3精神の大人
– 自分のことを自分で決められる(自己決定)。主体性。
– シチズンシップ(市民性)をもつ。

18歳成人とは、1に合わせて2が変わった。⇒じゃあ3の精神はどうなっている?
日本の18歳:国別比較で意思決定、社会参画意識はかなり低いレベル(18歳意識調査 日本財団2019)
スラムダンクなどの昔のマンガ=高校生だけど主体的で精神的に大人

そもそも18歳成人で進路指導のあり方を変えたのか?
18歳で大人にしていくためには、 18歳までの間に、学校教育のみならず、地域教育、家庭教育を通して、出会う「人・社会体験」を埋め込み、いわば必須栄養素のようなものを滋養しなければならないのでは?

ていねいに教えるほど受動的になる。
生きていくことのクオリア(質感、手触り感)を感じてもらうこと。

★キーワード2「いいキャリア教育には物語がある」

・か弱かった主人公が、ある日突然か事件に出会い・巻き込まれ、あるときの決断から、試練を乗り越え成長していく過程。
⇒千と千尋の神隠し:3日間のインターンシップ

・最初から主体的でやる気があるわけじゃない。
⇒「起承転結」、浮き沈みのある時系列の一連の事象(物語・エピソード)。多種多様な人との出会いのなかで、未来に向かって自ら主体的に変わる物語

物語の言語化とプレゼンテーション
〇体験(インターンシップ)中のモチベーショングラフ記入⇒1つ1つの項目(上がった瞬間)について聞いていく。
⇒ストーリーブランディングの手法でプレゼンする(ワークシート)
日報⇒ふりかえり⇒報告会

★キーワード3自己効力感(SELF-EFFICACY)

自信がない≒自己効力感(Self Efficacy)が低い
⇒大切なことだけど、「自分には難しそうだ」と思ったら人は行動しない。自分がどんなに価値あるものと認めていても、他者がどんなに期待しても、自分が「できそうだな」と思えなければ、人はなかなか行動しないし,それを避けてしまう。→自己効力感が低い。(アルバート・バンデューラ博士)

達成体験
1達成体験:最も重要な要因で、自分自身が何かを達成したり、成功したりした経験(プロジェクト・インターン)
2代理経験:自分以外の他人が何かを達成したり成功したりすることを観察すること(友人のプレゼン・地域講師による語り)
3言語的説得:自分に能力があることを言語的に説明されること、言語的な励まし(他者からの励まし・ほめること)
4生理的情緒的高揚:酒などの薬物やその他の要因で気分が高揚すること(エナジードリンクを飲むとか)
〇トークフォークダンスなどの社会人講師の役割⇒「ヒーローズ・ジャーニー」で語ること。⇒行動したくなる

大人も生徒も「物語」を語り、対話会と報告会で地域を「舞台」に変えていくこと。

★キーワード4計画された偶然性理論と偶然をつかめる力(プランドハプンスタンスセオリー&レディネス)

① どちらかといえば、いろんなことに興味や関心をもつほうだ。
② 目の前に出された課題には避けるよりも、チャレンジをするほうだ。
③ イベントなどに友達や先生から誘われたら、興味がなくても参加してみるほうだ。
④ やりはじめたことは、大変だったりつまらなくても、最後までやりとげるほうだ。
⑤ いろいろ大変な状況に遭遇しても、自分の力で、なんとかなる、と思えるほうだ。

人生を分ける習慣=レディネス(幸運を引き寄せる準備)
いろんなことにチャレンジしている。(好奇心・挑戦心)
友達や先生から誘われたら、めんどくさくても、なんとなく行く。(柔軟性)
自分が納得するまで、我慢強く続ける。なんとかできそうと考える。(持続性・楽観性)

ラッキーな人:あのとき、あの人の偶然の出会いがあって、夢・志を見つけられた。僕はとてもラッキー。
アンラッキーな人:毎日何も面白いことないし、夢も志もない。何やってもうまくいかないし、僕ははとても不幸。
出会いは、向こうから自然にやってくるように、その人が引き寄せている!そして、出会いから、人は仕事と出会い、仕事を決める。
(Planned happenstance theory by スタンフォード大学・ジョン・D・クランボルツ教授)
⇒ラッキーはスキル(技術)

育てるべきは、
夢や目標よりも、偶然をつかむ力=レディネス
と一歩の行動力(スモールステップ)

★キーワード5「早活」人材

高卒就職と大学進学率の歴史的変化
⇒60年間で大学進学率と高卒就職が逆転した。⇒親世代の常識は通用しない
奨学金頼み⇒借金を背負うということ

大学進学のコスト:1,300万円
〇生涯賃金のウソ:大卒で1000人以上の大企業に40年勤め上げた男子のデータをベースにしている
⇒しかも大卒で大企業に入れるのか?:高卒の方が入りやすい
高卒採用⇒早活人材:早く企業で活躍しているへと置き換える動き

〇アプレンティス(見習い)シップ:イギリス等で導入が進んでいる中間就労
⇒最終学歴ではなく最新学習歴を語る時代

高卒就職⇒早活人材
①高校におけるキャリア教育の充実と支援:仕事を主体的に選択するための動機づけと体験を提供する。
②高卒マッチングの改善・支援:情報不足をうめるための自分で動くためのサポート。
③高卒社員への社員研修の充実:早期離職を防ぎ、高卒向けの社員研修を提供する。

早活プロキャリ研修の提供
〇葉:専門性 など
・各企業での習得
〇幹:社会性
切磋琢磨しあえる同世代の仲間の存在、社会との繋がるための力
・社外同期作り 、コミュニケーション基礎、支えあい、助け合う仲間 、段取り・PDCA、社会人としての心得
〇根:人間性
社会や企業で活躍するための基礎の育成を、独自のプログラムで提供
・意欲の源泉となる動機を生み出すチカラ、柔軟性、メンタルヘルス

プロキャリ研修の内容
社外同期⇒合同研修⇒実践研修⇒伴走フォロー⇒多様な講師陣

★キーワード6「アプレンティスシップ」
① 明確な動機をもって進学や就職を選択する生徒以外で、決めきれない生徒(自信ない・やりたいことがない層)は、現在は「進学」を選択する傾向に。
② 家庭の収入の減少、大学等の高等教育の学費の高騰で奨学金依存へ。卒業時に多くの負債を若者に負わせる現状に。
③ 給付型制度も構築されたが、支給対象を拡大するのは高額な学費や公平性の観点からも問題。すべてを国立にすることへの批判も。
④ 明確な就職の動機がなくても、進学前の準備としての位置づけをもった、学びながら働いて収入を得る、いわば就職の中二階としての選択「アプレンティスシップ」の創出。
⑤ 高卒で就職する若者の価値を、社会的に高める「早活」の考えを国として位置づける。

18歳の進路選択を産業界と連携することで引き込み線としてのキャリアパスをつくり複線化。生徒・家庭の負担を減らし、産業人材へのスムーズな連結をめざす⇒ワークキャリアとアカデミックキャリアを併置し、行き来が可能(イギリスの事例)

愛知県:介拓奨学生プログラム:介護福祉の資格を高校生が取得して働きながら大学進学を実現していく
~~~

高校生に問うべきは、「時間という最大の資源をそこに投資していいのか?」そういう問いなのだと思う。大学4年間の1300万という投資。それは18歳~22歳というゴールデンエイジを賭けるに値するのか?

そして、アプレンティスシップについては、地域の人材不足や出て行ってしまうと嘆く市町村にも、本気で取り組む価値があると思った。介護福祉や建設業などの人材不足分野をもっと「学び」という文脈で捉えられないだろうか。それを地域を挙げて取り組むというのは、現在進行しているワークシェア型の協同組合へのひとつの提案になるのかもしれない。

まず、私たちがやれる1歩としては、
1 ふりかえり⇒報告会の改善:ライフチャート⇒ヒアリング⇒ストーリーの順
2 社会人講師を招いたときの話し方について:ヒーローズ・ジャーニー形式で語る
3 18歳成人、プランドハプンスタンスセオリーについて、あらためて考えてもらう機会をつくる

その先に、広い視野で
1 早活とアプレンティスシップ
を市町村や大学と連携した形で検討していくのはあり得るかなと思った。

いいタイミングで刺激的な話を聞けました。実装していきます。ありがとうございました。  

Posted by ニシダタクジ at 08:42Comments(0)学び

2022年11月07日

「ともにつくる」教育「的」活動

昨日は、高校魅力化プロジェクト合同説明会でした。

阿賀黎明高校魅力化プロジェクトの実験は
「暮らし・生活・仲間」にフォーカスしたプレゼン(たむたむ)と
「業務内容・地域状況・目指すビジョン」にフォーカスしたプレゼン(ぼく)と
どちらがヒットするのか、という実験。結果は半々くらいだったということですけども。

ひとつ、参加者がフィードバックしてくれたキーワードの1つが
「学校外で教育に関わることができる」でした。

「高校魅力化」という市町村が県立高校と取り組むプロジェクトは、
おそらくはその裾野を劇的に広げたのだろうと改めて思った。

僕自身もそうだったが、教育実習’(32歳で行きました)での、あの「学校じゃないかも」っていう感じ。
あのなんとも言えない違和感ってなんだったのだろうって。

学校外の教育「的」活動。
その最大の特徴は「機会提供」だと思う。

別の言い方をすれば、学校における「教育活動」には、目的・目標が必須だ。
もちろん、教育「的」活動に、目的や目標が不要なわけでは決してない。
ベクトル(方向感)が無ければ、その船は迷走するだけだ。

その、目的・目標(ゴール)と機会提供(偶然性・場)がうまく折り合っていくところに
教育「的」活動があるのだと思う。

育てたい資質・能力を明確に文章化するけれども、そこに直線的に工学的に向かっているのではなく、「機会提供」という「余白」をたくさん持つこと。

機会を提供し、高校生が、いや、その場にいる大人たちを含めて、場(中動態)の中で、ともに感じ、考え、学ぶこと。そのプロセスにこそ、高校魅力化を核にした地域活性化があるのだと思うし、それを作っていきたいと思う。

「教育」はその誕生の時から、目的・目標の設定を前提としている。

ところが世の中が直線的に進まなくなった今(VUCAの時代)、生徒も、町も、大人も、「目的・目標の設定と達成」という原理だけでは進んでいけなくなった。

一定のベクトル感を持った教育「的」活動が必要なのだと思う。

現時点での阿賀黎明高校魅力化プロジェクトは、
学校内外において、地域の人や資源、課題と、ともにまなぶ機会を提供し、生徒の地域の大人、この町のいまと未来をともにつくる教育「的」活動です。

「手段として学ぶ」ではなく「機会として学ぶ」を、目的・目標の設定と達成という近代教育の前提と折り合いながら、ともにつくっていきたいと思ってます。  

Posted by ニシダタクジ at 08:08Comments(0)学び日記