2020年08月01日
問いを研いで磨く
探究学習コミュニティの1回目。
ゲストは前大船渡高校「大船渡学」の梨子田先生。
わずか3年で、東大生まで輩出した大船渡学。
その秘密に迫る。
~~~以下メモ
「学力の氷山モデル」
見える学力⇒見えにくい学力⇒ほとんど見えない学力⇒見えない学力
ペーパーテスト学力⇒思考力⇒関心・意欲⇒感性・経験
センター試験⇒共通テスト⇒二次試験⇒推薦AO
★ここを授業や問題集で鍛える☆ここを探究やPBLで鍛える
コルブの経験学習のモデル:「問う力」と「言語化する力」が学力の根本にある。
☆目に見える☆
試行・実践⇒挑戦・経験
家庭学習、宿題、練習問題、質問⇒授業を聞く・ワークをする
★目に見えない・意識下★
⇒振り返り⇒抽象化・概念化
疑問点・わかったことなどを抽出⇒そういうことか!の発見。わからないことの焦点化
この「挑戦・経験⇒振り返り」のスイッチが「問う」で「抽象化・概念化⇒試行・実践」のスイッチが「言語化」
探究のサイクル
「経験」⇒「問う(探究)」⇒「アクティブラーニング(言語化)」
※授業改善のポイントは授業を「経験」に変えること。
・質問:問われる側が答えを知っている⇒情報を引き出すトリガー
・発問:問う側が答えを知っている⇒考えさせるためのトリガー
・問い:問う側も問われる側も答えを知らない⇒創造的対話を促すトリガー
「問い」ブレスト
90秒でお題⇒180秒で質問を10個以上出す
※質問には答えない。すべて質問の形に書き直す。細かい質問OK
「大船渡学」:地元を知ることがゴールなのか?
この違和感からのイノベーション。
⇒「地域のため」ではなく、生徒の「学びたいこと」を中心に
教育課程に入れる⇒生徒全員が取り組む
⇒全生徒・全職員が主体的に取り組めるように
⇒地域ベースではなく学びベースに
目的は地元の活性化ではなく、行動や考え方の変容、
課題設定力や課題解決力など自己実現に必要な力を養うこと。
「まなびたい」ことを真ん中においたマインドマップ。
地域と関係のないようなテーマも出てくる。⇒生徒の多様性
⇒総合的探究のテーマ「自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題」
⇒鉱脈を掘り当てる:対話を通して内発的な動機を探す。
⇒生徒がオーナーシップを持つようになる。
「双子の過ち」を乗り越える
×地元学習×調べ学習
⇒机上の探究ではなくフィールドへ。
ネットや本に答えを求めるのではなくリアルの世界で本気の思考を。
⇒考察のスイッチが入る⇒さらなる問いを得る。
アクションの条件:結果にコミットすること:1㎜でも動かす、1人でも変える。
「ポスターを貼る」「SNSで情報発信」だけでは課題の解決につながりません。
情報発信を行うときは、「誰がどのような行動を起こすためのものなのか」、
そして、その情報発信によって、「本当にその行動が起こせるか」を検証してください。
★この条件が本気の思考を促すスパイス
ロジャー・ハート「参画のはしご」
1「偽り参画」⇒4「与えられた役割の内容を認識した上での参画」⇒6「大人主導で意思決定に子どもも参画」⇒8「子ども主導の活動に大人を巻き込む」へ
大船渡を学ばない大船渡学
あなたにとって大船渡学とは?
・「学び」を学ぶもの
・問題を自力で見つける力
・姿勢と育てるレッスン
⇒コンピテンシーベースの学び
自宅の水を調べて、ニアウォーターをつくる。
⇒圧倒的にジブンごと。
北極星:まだ知らない化学の世界を見たい。⇒「好奇心」
周りからの「なんのためにやってるの?」「カッコ悪い」の目
⇒「好奇心」で突破していく
⇒「問い」というコンパス。
他校の生徒:外の世界を見ること⇒フレームを外して見つめてみる
「言葉を発することを怖がっている人はひとりもいない」
「探究」っていう世界に「第3の場所」が作れるのかもしれない。
「とりあえず驚くこと」「伴奏者:打てば響く人」
「おっ!」て思うことにリアクションする。
事象、行為に対する承認なのかもしれない。
問いをつくる⇒再設定を繰り返す。
問いみがき⇒問いが育つ⇒生徒が育つ
「新しいワクワクがもらえる」
目の前のワクワクに向かっていける。
⇒「面白いね(共感・承認)」って言ってもらえること。
評価⇔「面白いね」
紙飛行機はまっすぐ飛ばない
「テーマ」ではなく「問い」
肌感覚的な何か、感じる何かによって磨かれる
手触り感がある経験⇒「問いで研いで磨く」
磨くには接点が必要
「志望理由指導」⇒「主体的探究支援」
大学や社会は受験勉強ができる生徒を求めているのだろうか?
自ら問いを立て、主体的に学べる生徒、仮説検証プロセスを
体得している生徒を待っているのでは?
1 教材が提示した問題を生徒が考える
2 先生が提示した問いを生徒が考える
3 生徒が立てた問いを生徒同士で考える
4 生徒が立てた問いを生徒本人が考える
1・2は生徒は客体で3・4は生徒が主体
現状では3・4の時間はほとんどない。
⇒問いを立てると主体となる。
見通しがないことが大切。
先生もわからない、「指導」できない。
誰も踏んでいない雪道を歩く。
不安、だが、ワクワク、
失敗したらそれを次へ転がす
1 見通しがない
2 ワクワク。常識を覆す
3 生徒の中から生まれている
4 フィールドで検証できる
5 「気づき⇒発見」発展性
~~~
とまあ、そういう感じ。
探究学習とか、地域を題材に、とかって、地域ファーストになりがちだけど、
探究の本来は、「自己の在り方生き方と一体的で不可分な課題」に出会うこと。
地域サイドからしたら、地域のことをもっと知ってほしい。
ってなるんだろうけど、
それって、生徒のためなのか?って。
1月にコミュニティスクール立ち上げ準備をしたとき思ったこと。
「地域の良さを伝えていないから子どもたちは出て行ってしまう」は本当か?(20.1.21)
http://hero.niiblo.jp/e490223.html
まさに僕たちの「問い」の設定がそれでいいのかっていうこと。
「地元に残って(戻って)もらうにはどうするか?」
っていう問いじゃなくて、
「どんな生徒(若者)に地元に残って(戻ってきて)もらいたいか?」
って問いが必要なのではないか?
そして印象に残ったのは、鉱脈を掘り当てるっていう表現。
対話を通して、内発的な動機を探すことで生徒がオーナーシップを持つようになる。
三田愛さんが「種火」と表現していたもの。
ツルハシが掘るもの(17.10.15)
http://hero.niiblo.jp/e486023.html
ああ、そうか。
種火っていうのは、生徒の中にあるんだって。
かつて、ウイリアム・アーサー・ワード(William Arthur Ward, 1921-1994)は言った。
The mediocre teacher tells.
The good teacher explains.
The superior teacher demonstrates.
The great teacher inspires.
凡庸な教師はただしゃべる
よい教師は説明する
すぐれた教師は自らやってみせる
偉大な教師は心に火を灯す
ああ。
火を灯すための種火は、生徒の中にあるんだって。
支援者の役割は、その種火に、枯れ草を添えて、団扇で軽く仰いでやるだけなんだって。
そして問いを磨いていくこと。
リアルな、手触り感のある肌感覚で味わえるものに触れて、磨いていくこと。
その問いは研げば研ぐほど、鋭くなって、やがて、北極星になる。
北極星があれば、もう、そこへと進んでいけばいい。
そんな探究的学びができるまち、できる高校を実現したい。
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