2023年05月16日
「未知の良さ」を求めて旅に出る
「コンセプトのつくりかた」(玉樹真一郎 ダイヤモンド社)
読書メモ。
コンセプトのつくりかたをあらためて。
~~~以下メモ
1 あなたが世界に向けて「良いもの」を作る
2 世界に何か「良い変化」が起こる
3 世界からあなたに「良い報酬」が届く
4 あなたに「良い変化」が起こる
「世界」とはあなたの外側の世界、あなた以外のすべて
あなたが求めるもの⇒あなたに良い変化が起こる
そのための条件⇒世界に良い変化が起こる
※コンセプトのコンセプト「世界を良くする」
コンセプト⇒プレゼン⇒プロジェクト⇒アウトプット
※素直な心をそのまま表す「生きるあなた」が大切。
コンセプトは世界を良くすると同時に、あなたがしあわせに生きられる方法
コンセプトは、
1 覚えやすい 2 伝わりやすい 3 変わらない
数字を除く母国語の文字20時程度の言葉
「既知の良さ」:ユーザーも作り手も、その良さ自体や良い理由を直感的に理解できるが、実現するのは無限のリソースが必要になる。
「未知の良さ」:ユーザーはその良さ自体がうまく表現できず、他メーカーも追従できない。実現するには「リソース以外の何か」が必要になる。
この「リソース以外の何か」こそが「コンセプト」
「未知の良さ」は「間違いなくそれは良いものだ」と直感的に理解することはできません。
ビジョン=素直な願い。いっさい責任を取るつもりもなく、実現可能性にも触れられていない純然たる欲求でなければいけません。
「新しいゲーム機ってさ、どんな機能がついてたら良いと思う?」
この質問自体が、すでに「既知の良さ」を訊ねている点に注目してください。ビジョンを訊ねている質問ではありますが、その答えとして求めているのは、みんなが良いと直感的に感じられるもの・・・すなわち「既知の良さ」である点が大きな問題です。
未知の良さはユーザーにも作り手にとっても未知である。
既知の良さに囚われることなく、ユーザーにとっても、私たちにとっても未知となる良さを探し求め続けられるかどうか。そのためには、遊び人である「生きるあなた」の素直な思いに耳を傾けてみることが最大の近道になります。
コンセプト
1 何をしたいか?(ビジョンの集合体)
2 何を用いるのか?(アイテムの集合体)
〇〇で(’アイテム)〇〇したい(ビジョン)
ものづくり4つの原理
1 すきになる:生きるあなた
⇒ビジョンを生み出し共有するための原動力となる
2 かわる:コンセプトワークするあなた
⇒未知の良さを志し、ビジョンとアイテムを探し続ける
3 わかる:プレゼンするあなた
⇒ビジョンとアイテムを組み合わせた物語を紡ぎ出し、仲間の心に火をつける
4 できる:プロジェクトを行うあなた
⇒コンセプトを守りつつ、数々の試練を乗り越え「良いもの」をアウトプットする
どんな問題が目の前に立ちふさがったとしても、世界を良くしようとしていれば、「世界」と「あなた」が切り離されることはありません。コンセプトの奥底で、「世界」と「あなた」は1つにつながっています。
~~~
なんか、いいですね。
あたらしい舟旅に漕ぎ出したくなるような1冊です。
いちばん響いたのは「既知の良さ」と「未知の良さ」のところでしょうか。
「新しいゲーム機ってさ、どんな機能がついてたら良いと思う?」
この質問自体が、すでに「既知の良さ」を訊ねている点に注目してください。ビジョンを訊ねている質問ではありますが、その答えとして求めているのは、みんなが良いと直感的に感じられるもの・・・すなわち「既知の良さ」である点が大きな問題です。
これ「まちづくりワークショップ」に置き換えてもまったく同じだろうな。
小学生・中学生にこの町に何があったらいいと思う?と聞いたら、イオンやドンキホーテ、ラウンドワン、スターバックスなどが出てくるでしょう。まさにそれは既知の良さ。しかも小中学生の経験から来る「既知の良さ」なわけです。
「高校魅力化」にしたって同じです。
僕が高校魅力化に惹かれたのは、そこに答えが無かったからです。隠岐島前高校の真似をすればうまくいく、という話ではなかったからです。地域に入り込み、実践を通して、自分たちなりのビジョンを描き続け、実践して振り返り続け、いったりきたりする中で、ようやく仮説ができて、そこに向かって進んでいき、観察を怠らずに実践し、また振り返って改善し、つくっていく。そんな営みだからです。それをやってみたいと思いました。
価値そのものが固定されず流動化している今、「未知の良さ」を生み出すためにどうするのか。
たとえば、アンケート。答えの無い時代・社会における探究において、ビジョンを決めるために「アンケートを取る」という手法そのものへの違和感。アンケートで出てくるものは「既知の良さ」であり、それをやったところで、リソースが足りないし、大きなところ、先行している事例に、追いつくことはできない。
観察し、疑問を持ち、仮説を立て、インタビューし、その言葉の裏にある痛み、願い、祈りをつかみとること。
そのプロセスの中に「未知の良さ」につながる何かがあるのだろうと思う。
そんな「未知の良さ」に出会うために、今日も私たちは小さな舟旅に漕ぎ出していく。
そんな感じ。
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