2023年10月27日
世界は意味にあふれている
『才能をひらく編集工学』(安藤昭子 ディスカバートゥエンティワン)
いや、これいいですね。僕が追いかけてきた「リアルメディア」や「場のチカラ」っていう問いが言語化されていてドキドキします。
ということでメモメモ。
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生物の進化というのは、設計図に基づくエンジニアリングではなく、既存の系統を課題解決に応じて変更させてきたブリコラージュのプロセスである、ということです。
わたしたちの思考には連想力(跳躍に向かう力)と要約力(着地に向かう力)が元来備わっていて、そのいずれも動かさないとならない、ということです。
アナロジカル・シンキング
1 何かと何かが「似ている」と思う
2 (似ているものの構造を)「借りてくる」
3 (借りてきた構造を)「当てはめる」
似ているものを、借りてきて、当てはめる。じゃんけんのグーは石、チョキは鋏、パーは紙みたいな。
ビジネスの戦略立案においては、合理的な演繹的思考と実践的な試行錯誤の組み合わせが王道とされながら、実際にはそのどちらでもない「アナロジー」によって難局を突破したり、新たなビジネスを構想したりするケースが多く、先行き不透明な状況になるほどアナロジーに頼る傾向があったそうです。
ロジカル・シンキングのトレーニングを徹底して受けた組織ほど、アナロジーの発動力が乏しいのです。
落ちる林檎への驚きと疑問がなければ、ニュートンの探究は始まりません。自然界や目の前の現象に眼を凝らす中で、こうした閃きのようなしさあを得るために、探偵のような洞察力で、小さな異変や兆しや違和感をキャッチするところからアブダクションは起動します。
伝統的な知覚論は「意味」はいたってプライベートなもので、知覚者に「私有」されていると考えられてきました。これをギブソンは、どんな生き物にもアクセス可能な公共的な「リソース」と捉え直したのです。そして、生き物によって、人によって、異なるアフォーダンスが知覚される。だから、環境の中のすべてのものに、アフォーダンスは「無限」に存在し、行為を通して発見されていく。近くとはつまり、「変化」に埋め込まれている「不変」を知ることなのだと言います。
わたしたちを囲む世界は、文脈に応じて柔らかく形を変え、相互に意味を織りなし、幾重にも重なり合っているものです。少し視点をずらしてみれば、今見えている世界とはまったく違う世界がそこに存在することに気がつきます。
関係発見の原動力となる「アナロジー」、思い切った仮説にジャンプする「アブダクション」、世界と自分との関係をやわらかく捉え直す「アフォーダンス」、これらを編集工学では3Aと呼んで非常に重視しています。
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3Aと呼ばれる「アナロジー」「アブダクション」「アフォーダンス」。
これって「リアルメディア」だったり「場のチカラ」だったり「探究」の説明だったりするよね。
僕は編集工学を追いかけてきていたのか!と。
P115の一節がとてもアツかったので、ここの記録しておきます。
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突然の閃きや事態を急展開するアイデア、湧き出る好奇心や壁を突破する探究力。そうしたイマジネーションやクリエイティビティは、限られた人に授かったギフトであるかのように思われがちです。
そうではないのです。すべてわたしたちの中に潜んでいて、あるいは世界の中にすでに意味として存在していて、発見されるのを待っているのです。誰であれ、どこであれ、例外なく、です。
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いやー、すごい。僕が本屋という「リアルメディア」という場や、ワークショップという「場のチカラ」を体感する場を作ってきたのは、このことを伝えたかったのかもしれないなと。
イマジネーションやクリエイティビティは、個人の中にあるのではなく、「場」に見出される。
私たちの中や世界に意味として存在しているものを発見するプロセスにあるのだ。
そんな希望というか真実というかを伝えて、探究をスタートしていきたいな、と思いました。
さて、どうやって説明しようか。
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