2015年05月02日
ひとりのためのフェア
「本屋はサイコー」(安藤哲也 新潮OH!文庫)
千駄木にある
「往来堂書店」の初代店主のエッセイ。
読みました。
素敵。
本屋さんの素晴らしさを感じさせてくれた1冊でした。
もっとも印象に残ったのは、
「ひとりのためのフェア」
「殴る夫、逃げられない妻」を
熱心に読むひとりのお客さん。
サンダル履きで黒いサングラスをかけていた
彼女をチラッとのぞきこむと、
サングラスの隙間からドス黒いアザが見えていた。
安藤さんはショックを受け、
何かできないか、考えたが、とくに何もなかった。
できることと言えば、彼女がまた店に来た時のために、
彼女にとって役立つ本をたくさん用意しておくことだと思った。
そこで思いついたのが
「女性のための離婚本フェア」
法律書などを置いていた。
しかし、本当に必要なのは、
経済的自立だよと考え、
「主婦でも取れる資格ガイド」や
押さえとしてアニマルセラピーなども置いてみた。
こうして
「離婚本フェア」がスタートした。
こうして、
棚を介したコミュニケーションこそが
往来堂書店の魅力。
いや、書店の醍醐味というのはまさにここにある。
「ひとりのためのフェア」こそが心を捕らえる。