2017年07月07日
パスと敬意と委ねること

「呪いの時代」(内田樹 新潮社)
またしてもいい本に当たってしまった。
熱い。
教育とは?
学ぶとは?
そんな問いをたくさんもらえる本。
~~~キーワードを以下に
贈与経済のいうのは、要するに自分のところに来たものは
退蔵しないで、次に「パス」するといことです。それだけ。
贈り物を受け取ったときに、目にも止まらぬ速さで次の贈り先に
それがパスされるような人のところにしか、贈り物は届かない。
そういうものなのです。
私はあなたに贈り物をする。
それがどのような価値をもつものであるかを
贈与者である私は言うことができない。
そこに価値を見出すのは受け取り手であるあなたである。
この世に価値をもたらすのはあなたである。
あなたが価値の創造主である。そう告げるのが贈与の構造です。
人間が持つ能力は、能力それ自体によってではなく、
ましてやそこ能力が所有者にもたらした利益によってではなく、
その天賦の贈り物に対してどのような返礼をなしたかによって査定される。
最終的に人間がその言葉に聴き従うのは、
その言葉のうちに聴き手に対する深い敬意が含まれている場合だけだ。
人はどれほどわかりにくいメッセージであっても、
そこに自分に対する敬意が含まれているならば、
最大限の注意をそこに向け、聴き取り、理解しようと努める。
だから、もしあなたが飲み込むことの
むずかしいメッセージを誰かに届けようと願うなら、
深い敬意を込めてそれを発信しなさい。
それがコミュニケーションにかかわる
ユダヤ=キリスト教の太古的な叡智の一つではないかと僕は思います。
~~~ここまでキーワード
そっか~。
暗やみ本屋ハックツを構造的に説明すると
そういうことなのかもしれないな、と。
まず、誰かから、
影響を与えられた「本」という贈り物をもらう。
それを誰かにパスしないと
いけないという気持ちが芽生える。
そして、
受け取り手に敬意を込めて、
メッセージを書く。
しかし、最終的に、それが価値あるものか
判断するのは、ハックツした若者次第で
あって、そこには手が及ばない。
また、それを「贈り物だ」と思ったとして、
それを本人にお返しすることはなかなかできないので、
違う人に贈ることになる。
そうやって本と気持ちの贈り物の連鎖を生んでいくこと。
きっとそれがハックツに仕組みなのだろうなと
この本を読んでいて思いました。
「ハックツ」ってすげーな。
って思いました。
そこに「教育とは?」や「学びとは?」、大げさに言えば、「生きるとは?」
という問いに対しての原点的な何かがあるのではないかなと思いました。
パスと敬意と委ねること。
そんな贈与経済的なアートですよ、ハックツは。