2013年08月13日
プロフェッショナルからナリワイへ
ナリワイをつくる(伊藤洋志 東京書籍)
お盆休みにのんびり読んでみようかと思う1冊。
いいですね。
ナリワイ的発想。
いきなりパンチくらいます。
百姓とは、100の仕事を持つという意味である。
昔は畑で作物をつくるだけではなく、小屋を建てたり、
道具をつくったりなんでもやった。
お酒を造る杜氏だって、
冬はそうだったかもしれないが、夏は農業をやっていた。
つまり。
もともと大多数の日本人は1つの仕事じゃなくて複数の仕事を持っていた。
法隆寺の再建で有名な
宮大工、西岡常一さんもお寺の改修がない時は
農業をやっていたという。
~~~ここから一部引用
日本の働き方・暮らし方は、そもそもこんな感じで、
複数の仕事を組み合わせて営まれていたものだった。
ところが、わずか50年ちょっと前の1954年に始まった
高度経済成長期でふっとんだ。
小さい生業をやるより、皆で大きいビジネスをしようということで、
日本人総出で絞り込んだ業種、自動車や電機などの製造業で
勝負する「株式会社日本」が設立された。
私が生まれたころにはだいたいの人が会社員になっていたので、
わずか30年くらいでそれまでのやり方を一気に変えてしまった。
例えば、「日の丸半導体」ってすごい言葉だが、
これも絞り込んだ業種の一つだ。
その半導体メーカーが経営破たんする事態もちらほら起きている。
絞り込んだ業種はたくさんの人が関わってしまっているから変化に弱い
~~~ここまで一部引用
著者によると
大正時代の調査では、当時の職業は3万5000種類もあったそうだ。
現在の厚生労働省の「日本標準職業分類」によれば、いまや2167種類だという。
いかに職業を絞り込んでスケールで勝負したかがわかる。
そうなのだ。
会社員とか専業主婦
とかいう職業でやっていけたのは
ここ60年(というかおそらくは2000年代の前半だから50年)
の時期にたまたま出現した身分で、
誰もが家事もするし生産活動にも参加していた歴史の方がはるかに長い。
著者のいう「ナリワイ」とは、
この歴史を踏まえて、人間の性質に合った
健康的な仕事を再構築しようという試みである。
「プロフェッショナル」という言葉がもてはやされ、
「ナリワイ」なんて、なんだかダサい感じもするのだが、
「ナリワイ」を組み合わせて、
仕事にすることは可能であると著者はいう。
これは面白そうな本です。