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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2022年05月20日

散歩するように本を読む


「ジェネレーター まなびと活動の生成」(市川力+井庭崇 学事出版)

もうブログを書けなくなってしまうのが残念ですが読み終わってしまいました。
最後まで揺さぶられ続けました。

今日は阿賀黎明高校でフォトスゴロクの実践をするところだったのでタイムリーでした。

エピソード8は「歩き、つくる」

ここで出てくるのは「feel度 walk」。
なんとなく気になるモノ・コト・ヒトと出「遭」いながらあてもなく歩くこと。

あてもなく歩き、発見した物事を愛でてゆくと「歩き愛でスイッチ」がONになり、5Gシステムが作動する。

★5Gシステム
1 遭遇:いつでも遭遇しているというマインドセット
2 偶然:たまたまつながる偶然な発見
3 隅:隅っこから始まるのを厭わない
4 愚:まずは愚直に続ける
5 寓:追いかけた先に物語(寓話)が生まれる

ここで出てきたキーワードは、陸奥賢さんがポリフォニックミュージアム冊子で語っていたことと同じだ。

冊子:「歩くというのは字義通り、少し止まる」ことだと考えている
本書:「歩」という漢字は、「止」と「少」という漢字を組み合わせて構成されている

!!!
きたね、これ。シンクロニシティ。

そして、こっからですよ、こっから。
面白いのは。

1 feel度 walk でMy Discovery 「アイ(I)」
写真を撮るワークをするとき、ひとりひとりが撮ってきた写真にはほぼ同じものがない。
2 My Discoveryのシェアが生み出すYour Discovery 「アイ(相)」
お互いのMy Discoveryをシェアすると他者のMy Discoveryに関心が向き始める。
3 発見がひとつに合わさるOur Discovery 「アイ(合い)」
場によってMy Discoveryを元に別の発見をする。
※発見の拡張はアイの拡張でもある。

そして、ココもよかった P224
~~~
関心の低い子は自身のない子も多く、「どうせ私の発見なんて大したことない、面白くない、誰かにバカにされたら嫌だ」と思っている。このときに普段から教師自身がfeel度walkを積み重ねていると、君も世の中のあちこちに転がっているささやかな発見を共有する仲間になったね!という思いのこもった「面白いね!」という言葉が口をついて出てしまう。この思いが相手をゆさぶり、どの発見にも「意味」を見出すことができ、優劣はないという気持ちが開く。たかが「なんとなくの発見」と侮ることができない、自己効力感を取り戻す場になる。

feel度walkは、効率性と画一化からの「逸脱」を許す。みんなが足並みをそろえて反応しなくてもよい。個々の発見するまでの時間差も個々の発見の多様さも当たり前。何かがみつかるのを待てる余白。それを受け止める寛容さ=generosityがジェネレーターの持ち味だ。励まそうとか、支援しようとかいうようなアプローチで「動機づける」のではなく、お互いのDiscoveryを素直に認め合うことで、どの瞬間でも何かしらみつけてしまうfeel度が高まり、歩き愛でスイッチがONになるのである。
~~~

いやあ、これです。僕が「場のチカラ」にフォーカスし続けた理由。「自分」ていう境目をなくすために、まずはアイデアを出すところ、そして「場」を体感するところから始めてほしいと思っていたんです。なんだかうれしいなあ。

さらに、feel度walk Focus walk Ferment walkで探索・試行・表現のサイクルを回していくことが大切だと言います。feel度walkすると気になるものが生まれそれに焦点を当てたFocus walkが始まる。すると自ずと気になった物を追いかけ続け、仮説が発酵して現れるFerment walkへと移行する。

この3つのwalkを続けていると自ずと独創的仮説が生成され、それを追究する「プロジェクト」が始まる。

なるほど。walk(観察) ⇒仮説⇒プロジェクトか。
そうだよね。

「プロモート」のために観察し、感じること(21.9.20)
http://hero.niiblo.jp/e492042.html

昨年の探究学習の勉強会で「プロモート」のための観察力っていうキーワードがあったけど。
これってそのまま探究の授業、特に地域の魅力発信のプロジェクトには使えるだろうなと。

workの時もwalkと同じように、最初はfeel度workを行う。

直観の赴くままにあちこちさまよいながら思考を進めて、発見感度を研ぎ澄ますworkがfeel度workであり、そこからFusion workへと発展する。Fusionとは2つのものが合わさること。似ている二つを比べて違いを見つけたり、全く違うものに共通点を見いだしたりすること。さらに発展して、Fantasy workへとつながる。これはFusionによって仮説が更新され続けて見えてきたことを作品化しようとする動きのことだ。

ここで読書の話も出てきます。

「私たちはFision workやFantasy workにつながる「仮説」の芽を伸ばすために読んでいる。だから自分の仮説にヒットする部分がないかどうかを探しながらパラパラと読み進める。直接仮説を後押ししている部分があればよし。仮説の反例でもよし。新たな発想を刺激してくれる部分があってもよい。流し読み、斜め読みで気になる部分を探すのは、まさに「散策して発見する」のと同じ感覚だ。
~~~

なるほどなあ。
プロジェクトとか探究のカギは、feel度walk=観察し、感じる散歩なのかもしれないなあと。
それは読書でも同じだ。

感性と好奇心を発揮しながら、町を歩き、観察し、発見する。本を読み、感じ、発見する。
その身体的な解放と、精神的なオープンマインドがカギを握るのだろう。

昨日は友人と「スターバックスエクスペリエンス」の話をしていた。「レシピはあるけどマニュアルがない」スターバックスの研修。「スターバックスはコーヒーを売っているのではなく、サードプレイスを提供している」お店という「舞台」を、つくり続けているのだろう。「舞台」をつくること、それは「舞台」を構成する要素にアプローチするということ。

その話の中で一番!!と来たのが「外へのブランディングと内なるブランディング」。

「スターバックスエクスペリエンス」を支える最大のものは、空間を共に構成するスタッフの「誇り」「誇らしさ」なのだろうと。その「誇り」が同じ空間を共にするお客様に伝わることが最大のブランディングになっているのだろう。

外に対するブランディングには、お金がかかるプロの助けが必要だ。もちろんそれも、スターバックスはやっているのだろうけど。大切なのは「内なるブランディング」でスタッフの誇りを生み出すことだ。

外なるブランディングは空間を共にしていない分、洗練された言葉やデザインが必要になる。しかし、内なるブランディングは目に見えない「誇り」そのものの勝負だから、今すぐにできるし、工夫次第でお金はかからない。そんな風に場づくり、組織づくりをしていくほうがいいんだろうな。それは1本の授業だとしても同じだなあと。

高校の探究の授業の話で言えば、地域の大人も、生徒本人たちも、先生たちも、「ジェネレーター」になっていくこと。生成の場に身を置くこと。それを繰り返した先に、お互いにいい授業だと思える「舞台」が整っていくこと。その授業に参加できることを嬉しく思うこと。

そんな「エクスペリエンス」を生んでいく授業が次々と連鎖させていきたいなと。  

Posted by ニシダタクジ at 06:42Comments(0)学び日記