2024年03月17日
地域と伴奏する探究学習
福島県立只見高等学校「総合的な探究の時間」。令和3年に黎明学舎の丹羽さんが移籍してコーディネーターとなり、一緒に進めてきた授業。3月15日5・6限に2年次に行うプロジェクト顔合わせと、その後、令和6年度授業に向けた地域と教員の打ち合わせが行われました。
なんか、空気違うな、と。
先生方も、地域の方々も前のめりだ。
伏線があった。授業が始まる前の地域協力者キックオフ(打ち合わせ)で、新國農園の新國さんが言った。「具体的になにをするか?よりも、自分たちがなぜこの授業に関わって、どんな未来を描いているのか?を話したほうがいいんじゃないの?」
昨年度のキックオフは、1時間しか授業がなかったので、自己紹介⇒アイデア出し⇒年間計画づくりとあわただしくなってしまった反省もあり、今年はじっくりを時間をかけることにした。
1 授業の概要説明:個人⇒場(プロジェクト)、発見と変容、伴奏者としての地域の大人、
2 4マス自己紹介(名前・出身・私の好きな〇〇・只見町の〇〇がすごい)
⇒熱血自己紹介(郡山駅に降り立った人が行く場所決めていない時にプレゼンするとしたら)
3 この授業(プロジェクト)を通して、私が、只見町が、世の中が、〇〇になったらいい
4 3を実現するためにできること、アイデア30個出してみる(ブレスト)
(休み時間)
5 アイデアの中で、他人が言ったことで、あ、それいいな、と思ったものはどれか?印をつける
6 5を軸にして、年間計画に落とし込んでいく
7 春休みリサーチシートの記入
8 連絡先交換
こんな流れ。なかなかよかったなと。
想いの確認。WHYから始めよ。まさにそんな感じ。地域の人だけじゃなく、生徒も個人としての想いを語り、それをベースにアイデア出しをする。その「想い」には正解がないから。ひとりひとりに思いがある。これ、学期ごとにやってもいいなと思う。
春休みのリサーチは、その個人の想いや、5の他人が言ったアイデアでそれいいなって思ったものをリサーチしてみるのもいいのかもしれない。
感性が先にくるプロジェクト。それって、いわゆる「課題解決」とは違うアプローチなのだろうなと思った。
https://goodpatch.com/blog/product-value-solve-problem
検索すると、こんなページが。
課題解決型:ユーザーが認識し、顕在化している課題(Needs)を解決するためのアプローチ
価値提案型:ユーザーがまだ認識していない、顕在化する前の課題(Seeds)に対して、新たな価値や価値観を提案し、欲しいと思えるモノやコト(Wants)に変えるアプローチ
こちらも
https://www.daisuketsutsumi.com/entry/two-ways-of-NPO-strategic-thinking
課題解決型:
課題解決型とは字の通りですが「社会に存在する課題を解決する」ことを目的としたマイナスの状態を±0の状態に近づけることを目指す活動
価値創造型:
価値創造型とは、「社会に対して新しい価値を創造し、提供する活動」です。±0の状態から5にも10にも増やす活動
こちらに掲載されている表で見ると結構わかりやすい。
高校生が実行するプロジェクト文脈に落としていけば、
課題解決型:世の中に顕在化している課題に解決する。ex.防災の意識を高めるには?、子育てママを支援するには?
価値提案(創造)型:自分がやりたい、こんな町にしたい、から発想し、ひとまずやってみてから(それが結果的に課題を解決しているかどうか)検証する。
という風に分けてみると、商品開発とかPRのプロジェクトっていうのは、価値提案(創造)アプローチになっていくよなあと。
山口周さんが「ビジネスの未来」で言っていたけど
http://hero.niiblo.jp/e491394.html
参考:「自分」という共有財産(21.1.31)
上記ブログから引用
~~~
「問題の普遍性」と「問題の難易度」のマトリックスです。
問題の普遍性が高く、問題の難易度が低い領域には、多くの人が悩んでいる問題で、かつ、投資する資源は少なくて済むので、多くの企業はそこに参入します。松下電器が電化製品をつくり、トヨタが自動車を生産したわけです。
「課題を解決すること」がビジネスの本質であるとすると、困ったことに、問題(課題)はだんだんと解消されていきます。多くの家庭に洗濯機、冷蔵庫、テレビ、自家用車・・・が行き渡ってしまいました。それを解決したのが「地理的拡大」でした。アメリカに売り、ヨーロッパに売り、そしてアジア諸国に売ったわけです。
(中略)
したがって、企業が採用する選択肢は2つ。「普遍性が高いが、難易度の高い問題」へのアプローチか、「普遍性は低いが、難易度の低い問題」へのアプローチとなります。
~~~
「課題解決」というのが(大)企業だとしてもとても難しいアプローチなのだということがわかります。
だから、高校生のプロジェクトにおいて「課題解決」を前提として設計するのがナンセンスなことがわかります。
1 市役所にヒアリングして、課題を聞き
2 現場の人にインタビューして課題の現場を見て
3 自分なりに考えた解決策を提案する
で終わり。みたいなことをプロジェクト活動といって大学生になってもやっている新聞記事をいまだに見かけますけど、そこにどんな意味やスキルの向上があるのでしょうか。
せめて、4 自分でやってみる 5 ふりかえり 6 再設計があればいいのですけど。
それにしても、やっぱり世の中は「課題解決」という宗教に乗っ取られてしまっているように思います。山口さんのいうように、課題解決という手法では、よっぽどの大企業が「普遍性が高いが難易度の高い」課題(難しい疾病の治療など、莫大な投資が必要)もしくは中小企業が「普遍性は低いが難易度の低い」課題(いわゆるニッチな市場向けの課題解決商品・サービス開発)にいくしかないのです。
それかもしくは冒頭に説明した「価値創造(提案)」のアプローチと言うことになります。
高校生のときに、この実感をしていくことって大切なのではないかと思います。
自分(can)と社会(need)と未来(will)の真ん中にプロジェクトをつくっていくとうまくいく、と言われますけど、その3つの順番は、どこからでもいいのだと思いました。
なんとなくいいなと思った(will)から始めてもいいのです。
必ずしも社会課題(need)から始める必要ないのです。
やりながら自分(can)を発見し、変容していっていいのです。
あれは真ん中につくるのじゃなくて、三角形の「動的平衡」が機能しているときに、プロジェクトがうまくいく(変化し続ける)のだろうと思いました。
春休みリサーチにおいても、もしかしたらプロジェクトそのものも、「価値創造(提案)」アプローチっていうのがあってもいいのかなと思いました。個人の性格にもよると思いますけど。
授業後、令和6年度の打ち合わせを教員と地域の人で行った。熱量が過去最高に大きかったように思った。
その要因を振り返れば、コーディネーターの丹羽さんが夏に去り、自分たちでプロジェクトを回さなければいけなくなったこと。その中で「こういうときどうしたらいいんだろう?」ということや、他チームの状況が気になったこと。次年度に向けてどうやったらいいか?ということについて考えたこと。
教員サイドとしては、総探をやってきて、生徒が成長していることが実感できていること。いわゆる「手応え」が感じられてきていること。
1 アンケート調査での自己評価の伸びが数字として出たこと
2 最新の入試での総合型、学校推薦選抜の結果がある程度出たこと
3 学校長をはじめ管理職が「総探」に力を入れていくことを明言していること
地域サイドとしては
1 自分が担当している仕事に関連したプロジェクトであること
2 授業で、自分たちがなぜやっているのか?を語る機会があったこと
3 総探のプロジェクトが町のためにもなっていることが実感できていること
そんな要因から、50分の会議が終わっても、なかなか席を立たないアツい会議となった。
ようやくスタートラインに立った。
そんな実感があった。
令和6年度の発表会は学校を飛び出し、町の施設(公民館等)で公開で行うことになりそうです。
僕の役割はだんだんと少なくなっていきますが、引きつづきよろしくお願いします。
「地域と伴奏する探究学習」、始まります。
なんか、空気違うな、と。
先生方も、地域の方々も前のめりだ。
伏線があった。授業が始まる前の地域協力者キックオフ(打ち合わせ)で、新國農園の新國さんが言った。「具体的になにをするか?よりも、自分たちがなぜこの授業に関わって、どんな未来を描いているのか?を話したほうがいいんじゃないの?」
昨年度のキックオフは、1時間しか授業がなかったので、自己紹介⇒アイデア出し⇒年間計画づくりとあわただしくなってしまった反省もあり、今年はじっくりを時間をかけることにした。
1 授業の概要説明:個人⇒場(プロジェクト)、発見と変容、伴奏者としての地域の大人、
2 4マス自己紹介(名前・出身・私の好きな〇〇・只見町の〇〇がすごい)
⇒熱血自己紹介(郡山駅に降り立った人が行く場所決めていない時にプレゼンするとしたら)
3 この授業(プロジェクト)を通して、私が、只見町が、世の中が、〇〇になったらいい
4 3を実現するためにできること、アイデア30個出してみる(ブレスト)
(休み時間)
5 アイデアの中で、他人が言ったことで、あ、それいいな、と思ったものはどれか?印をつける
6 5を軸にして、年間計画に落とし込んでいく
7 春休みリサーチシートの記入
8 連絡先交換
こんな流れ。なかなかよかったなと。
想いの確認。WHYから始めよ。まさにそんな感じ。地域の人だけじゃなく、生徒も個人としての想いを語り、それをベースにアイデア出しをする。その「想い」には正解がないから。ひとりひとりに思いがある。これ、学期ごとにやってもいいなと思う。
春休みのリサーチは、その個人の想いや、5の他人が言ったアイデアでそれいいなって思ったものをリサーチしてみるのもいいのかもしれない。
感性が先にくるプロジェクト。それって、いわゆる「課題解決」とは違うアプローチなのだろうなと思った。
https://goodpatch.com/blog/product-value-solve-problem
検索すると、こんなページが。
課題解決型:ユーザーが認識し、顕在化している課題(Needs)を解決するためのアプローチ
価値提案型:ユーザーがまだ認識していない、顕在化する前の課題(Seeds)に対して、新たな価値や価値観を提案し、欲しいと思えるモノやコト(Wants)に変えるアプローチ
こちらも
https://www.daisuketsutsumi.com/entry/two-ways-of-NPO-strategic-thinking
課題解決型:
課題解決型とは字の通りですが「社会に存在する課題を解決する」ことを目的としたマイナスの状態を±0の状態に近づけることを目指す活動
価値創造型:
価値創造型とは、「社会に対して新しい価値を創造し、提供する活動」です。±0の状態から5にも10にも増やす活動
こちらに掲載されている表で見ると結構わかりやすい。
高校生が実行するプロジェクト文脈に落としていけば、
課題解決型:世の中に顕在化している課題に解決する。ex.防災の意識を高めるには?、子育てママを支援するには?
価値提案(創造)型:自分がやりたい、こんな町にしたい、から発想し、ひとまずやってみてから(それが結果的に課題を解決しているかどうか)検証する。
という風に分けてみると、商品開発とかPRのプロジェクトっていうのは、価値提案(創造)アプローチになっていくよなあと。
山口周さんが「ビジネスの未来」で言っていたけど
http://hero.niiblo.jp/e491394.html
参考:「自分」という共有財産(21.1.31)
上記ブログから引用
~~~
「問題の普遍性」と「問題の難易度」のマトリックスです。
問題の普遍性が高く、問題の難易度が低い領域には、多くの人が悩んでいる問題で、かつ、投資する資源は少なくて済むので、多くの企業はそこに参入します。松下電器が電化製品をつくり、トヨタが自動車を生産したわけです。
「課題を解決すること」がビジネスの本質であるとすると、困ったことに、問題(課題)はだんだんと解消されていきます。多くの家庭に洗濯機、冷蔵庫、テレビ、自家用車・・・が行き渡ってしまいました。それを解決したのが「地理的拡大」でした。アメリカに売り、ヨーロッパに売り、そしてアジア諸国に売ったわけです。
(中略)
したがって、企業が採用する選択肢は2つ。「普遍性が高いが、難易度の高い問題」へのアプローチか、「普遍性は低いが、難易度の低い問題」へのアプローチとなります。
~~~
「課題解決」というのが(大)企業だとしてもとても難しいアプローチなのだということがわかります。
だから、高校生のプロジェクトにおいて「課題解決」を前提として設計するのがナンセンスなことがわかります。
1 市役所にヒアリングして、課題を聞き
2 現場の人にインタビューして課題の現場を見て
3 自分なりに考えた解決策を提案する
で終わり。みたいなことをプロジェクト活動といって大学生になってもやっている新聞記事をいまだに見かけますけど、そこにどんな意味やスキルの向上があるのでしょうか。
せめて、4 自分でやってみる 5 ふりかえり 6 再設計があればいいのですけど。
それにしても、やっぱり世の中は「課題解決」という宗教に乗っ取られてしまっているように思います。山口さんのいうように、課題解決という手法では、よっぽどの大企業が「普遍性が高いが難易度の高い」課題(難しい疾病の治療など、莫大な投資が必要)もしくは中小企業が「普遍性は低いが難易度の低い」課題(いわゆるニッチな市場向けの課題解決商品・サービス開発)にいくしかないのです。
それかもしくは冒頭に説明した「価値創造(提案)」のアプローチと言うことになります。
高校生のときに、この実感をしていくことって大切なのではないかと思います。
自分(can)と社会(need)と未来(will)の真ん中にプロジェクトをつくっていくとうまくいく、と言われますけど、その3つの順番は、どこからでもいいのだと思いました。
なんとなくいいなと思った(will)から始めてもいいのです。
必ずしも社会課題(need)から始める必要ないのです。
やりながら自分(can)を発見し、変容していっていいのです。
あれは真ん中につくるのじゃなくて、三角形の「動的平衡」が機能しているときに、プロジェクトがうまくいく(変化し続ける)のだろうと思いました。
春休みリサーチにおいても、もしかしたらプロジェクトそのものも、「価値創造(提案)」アプローチっていうのがあってもいいのかなと思いました。個人の性格にもよると思いますけど。
授業後、令和6年度の打ち合わせを教員と地域の人で行った。熱量が過去最高に大きかったように思った。
その要因を振り返れば、コーディネーターの丹羽さんが夏に去り、自分たちでプロジェクトを回さなければいけなくなったこと。その中で「こういうときどうしたらいいんだろう?」ということや、他チームの状況が気になったこと。次年度に向けてどうやったらいいか?ということについて考えたこと。
教員サイドとしては、総探をやってきて、生徒が成長していることが実感できていること。いわゆる「手応え」が感じられてきていること。
1 アンケート調査での自己評価の伸びが数字として出たこと
2 最新の入試での総合型、学校推薦選抜の結果がある程度出たこと
3 学校長をはじめ管理職が「総探」に力を入れていくことを明言していること
地域サイドとしては
1 自分が担当している仕事に関連したプロジェクトであること
2 授業で、自分たちがなぜやっているのか?を語る機会があったこと
3 総探のプロジェクトが町のためにもなっていることが実感できていること
そんな要因から、50分の会議が終わっても、なかなか席を立たないアツい会議となった。
ようやくスタートラインに立った。
そんな実感があった。
令和6年度の発表会は学校を飛び出し、町の施設(公民館等)で公開で行うことになりそうです。
僕の役割はだんだんと少なくなっていきますが、引きつづきよろしくお願いします。
「地域と伴奏する探究学習」、始まります。