2017年12月26日
あなたは何屋さんなんですか?

「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件」(楠木健 東洋経済新報社)
この本、おもしろい。
なんかいい。
今日は、「機能分化」と「価値分化」の違いについて。
ガイシ系(=外資系)
っていう組織体が少しわかった気がする。
前までは、
能力主義で、ドライなんだろうなくらいしか
印象がなかったので。
欧米の会社が「機能分化」であるのに対して、
日本の会社が「価値分化」であるという説明。
ソニーがトランジスタ・ラジオを開発できた理由の
エピソードを紹介している。
~~~ここから本文より引用
ソニーの創始者、井深大さんは、トランジスタの話を聞いてすぐに、
「それは自分にとってなんだろう?わが社にとってなんだろう?」と考えている。
そして、非常に早い時期に、もう、トランジスタ・ラジオをやってみようと心に決めている。
井深さんは、ニューヨークの昼食会に招かれたとき、
「この頃何をしようと考えていますか?」と問われ、
「トランジスタでラジオをつくろうと思って」と答え、
大声で笑われたのだという。
トランジスタ誕生のあと、米国では4つの研究プロジェクトが動いていた。
1 トランジスタの性質の物理的研究
2 トランジスタの性能の改善の研究
3 トランジスタのつくり方の研究
4 トランジスタの普及のための再教育のやり方の研究
米国では、大局から方針を立て、
その方針に合った計画をつくり、それを動かす、
という方法を好む。
そういう米国の通念からすれば、
まだ未熟なトランジスタをいきなり
ラジオという商品にするというのは
夢のような話だと映ったのだろう。
ところがトランジスタ・ラジオという目標が
設定され、そこに活力が集中されたために、
問題解決のための努力が実った。
~~~ここまで本文より引用
ここで著者が説明したいのは、
「機能分化」と「価値分化」の違い。
アメリカはトランジスタの開発を
機能分化したプロジェクトそいて進め、
ソニーの井深さんは初めから自分の仕事を
「トランジスタでラジオをつくろう」
という顧客に提供する製品の価値から入っている。
そして現実にソニーはトランジスタ・ラジオの
イノベーションに成功した。
顧客がどのように使うのか、どのように喜ぶのか、という
観点から開発の基本的な方向づけがされていたことが
日本のエレクトロニクス産業が育った本質的な要因なのではないか。
なるほど。
ここから本文中では前後するのだけど、
僕のメモを
~~~以下メモ
機能と価値の違い。
「マーケティング」が「機能」であれば、
「オーディオ」という切り口は「価値」を問題にしています。
機能のお客さんは組織です。
ある人の「マーケティングの専門知識・技能」という機能は、
その人が所属する組織に提供されるものです。
その意味で、機能は組織に対するインプットです。
これに対して、
価値のお客さんはその人が所属する組織の内側にはいません。
お客さんは文字どおり組織の外にいる顧客です。
価値にコミットするということは、「こういうものをお客さんに提供したい」
というアウトプットが仕事のよりどころになるということです。
欧米では自分が組織に提供するインプット(機能)が
そのまま仕事の定義になるのに対して、
日本企業では、組織が提供する
アウトプット(価値)が人々のアイデンティティとなる傾向がある。
これが分化という組織の編成原理に注目した対比の図式です。
~~~ここまでメモ
なるほど。
欧米の企業は機能分化を文化とし、
日本の企業は価値分化を文化としている。
なるほどね。
外資系っていう世界が少しだけ理解できた気がする。
そして同時に、就活の「違和感」の原因がそこにもあるなと思った。
良い悪いではなく、
日本人は、考え方の癖として、
「価値」は何か?
というふうになっているんだ。
だから、オーディオを作っている会社で、
マーケティングを日々やっているとしたら、
「あなたは何屋さんですか?」
っていう質問に対して、
「マーケティング屋さん」ではなくて、
「オーディオ屋さん」であると答えるのが日本人「的」であるというのだ。
「マーケティング」というのは、
その人が属する組織(会社)にとっての価値であって、
「オーディオ」っていうのは、
その会社が提供する商品の顧客にとっての価値である。
なるほど。
だからさ、就活の時に、
「業種」と「職種」とかって聞かれるのって、
やっぱりちょっと違和感があるんじゃないかな?
特に「職種」っていうのは、
会社に対する機能を聞かれているわけだからね。
その会社にとってお客は誰なのか?
生み出す価値は何なのか?
そういうことをお互いにイメージする「就活」が
日本「的」なのかもしれないですね。
さて、
「あなたは何屋さんなんですか?」