2014年08月01日
休みとは、休むためではなく感性を磨くためにある

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」(渡辺格 講談社)
読み終わりました。
いやあ。
参った。
これです。
売りたかった本は。
ツルハシブックスのど真ん中に天井まで
積み上げたいくらいの本。
そこから放射状に本棚を作っていきたいと思えた、そんな本。
アーティストなパン屋「タルマーリー」。
「天然酵母」
っていう意味を初めて知りました。
1つ400円とかいう高いパンがなぜ高いのか?
というのも知りました。
古民家のパン屋さんが
なぜ増えているのか?を知りました。
「タルマーリー」の挑戦は、
「効率化への挑戦」だけではなく、
「資本主義」という構造的な矛盾の連鎖に
立ち向かうこと。
つまり
~~~ここから一部引用
技術革新によって
「商品」の価値が下がると、
それによって「労働力」の価値が下がる。
するとそれによって「商品」の価値がふたたび下がり、
さらに「労働力」の価値が下がる。
これが「腐らない経済」の宿命だった。
タルマーリーでは、
「職人」が技術と感性を磨き、
「労働力」の「交換価値」を高く保つ。
そして「職人」である生産者がつくった
「交換価値」の高い原材料(商品)を仕入れる。
こうしてひとつひとつの「商品」を丁寧につくり、
「商品」の「交換価値」を高く保っていくことが、
「小商い」が「小商い」であり続けるために必要なことなのだ。
パンに含まれる「使用価値」と「交換価値」を
不当に大きく見せることもなく、
不当に貶めることもなく、
「誰が」「どんなふうに」つくり、
そこにどういう意味があるかを丁寧に丁寧に伝えていく必要がある。
~~~ここまで一部引用
熱い。
静かに熱いなあ。
「価値観」を広げるってこういうことを言うのだろうなあ。
そしてなんといっても、
僕が目を開いたのはここだ。
タルマーリーの営業日は木曜日~日曜日(週4日)。
水曜日は仕込みの日。
月曜日と火曜日はお休みだ。
それはなぜか。
感性を磨くためだと渡辺さんは言う。
「パンに打ち込み、技術を高めていくことは大切。
でもパンしか見えなくなって、世の中が見えなくなってしまうと、
どういうパンを届けるべきかが見えなくなる。
料理や酒、工芸品、音楽など、
ほかのつくり手から刺激を受け、パンづくりのアイデアに活かす。
パン以外のものに触れるこうした時間が、
職人としての感性を磨き、人間としての幅を広げ、
奥行きを深め、見聞を広め、社会の動きを感じとる目を養っていく。
時代に求められるパンをつくり続けるために、
仕事と生活が一体となった暮らしにも、
休みの時間が必要なのだ。」
ううう。
言葉が出ない。
感性を磨いているか?
人間の幅を広げているか?
いい問いかけ。
そういうことのために休みがあるのであって、
休むために休みがあるのではない。
いいなあ。
渡辺さん。
1年たってしまいましたが、
ツルハシブックスは、渡辺さんのタスキ、
たしかに受け取りました。
売りますよ~。
Posted by ニシダタクジ at 06:34│Comments(0)
│日記
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