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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年05月13日

本屋の役割は「正解はひとつではない」と伝えること

「本屋」と「田舎」

おそらくはこれが
「地域」と「家庭」の教育力を
補完する機能・役割を担っていく。
いや、いかなければならない。

そう確信した。

茨城大学公開講座に出てきました。
講師は長谷川幸介先生
第1回目からめちゃめちゃ面白くて
度肝を抜かれました。

社会教育とか、地域NPOとかの人は
聞くとめっちゃ面白い気がします。

簡単に以下にメモを。

~~~ここから講演メモ

1 未熟な哺乳類(=「人間」)の秘密

1)哺乳類の誕生
・哺乳類の誕生は恐竜時代
・恐竜は温度の変化に耐え切れず絶滅
・哺乳類は恒温動物で小さかったので生き延びた

・しかし、その前に恐竜時代に生まれた哺乳類は生き延びなければならない
・生存戦略として、「生まれたらすぐに立ち上がり、逃げる」こととした。
・そのために哺乳類の妊娠期間は長く(約21か月)、出産数が少ない。
・おなかの中で系統発生(魚類⇒両生類を経験)する。

2)人類はまったく違う
・人類の妊娠期間は十月十日
・それ以上はお腹の中にいられない
・本来は21か月いなければならないのに、生まれてくる。
・だから生まれてすぐは立つことができない。ハイハイをする。
・つまり生理的早産をして生まれてくる。

・地球上の動物の中で珍しく未熟で生まれる⇒なぜ?
・脳を肥大化させるために、二足歩行をした。(立ち上がった)

3)人類の難題
・立ち上がった=立位:産道がナナメに通る。
・頭骨の肥大化=完成してからでは生まれてこれない
・縫合部は柔らかい。大脳も未完成
・頭骨と大脳の完成=1年後:ようやく立ち上がる時

・1歳までは胎盤にいるのと同じ
・セットされた本能(動物的本能)=反射
・犬や猫は本能で生きる。
・人間は身体的反射の他に「心の反射」を本能として持つ。

・心の反射は「共感反射」と「好奇反射」
・「共感反射」とは、泣いているお母さんに哺乳瓶を与えるような反射
・つまり、助け合うという反射
・「好奇反射」とは、おかしいと思う心。センスオブワンダー。
・好奇反射は扁桃体で起こる。
・人間は本能として、共感反射と好奇反射を備えて生まれてくる。

4)未熟さの克服

・つまり、人間はすべての人が障がいを持って「未熟で」生まれてくる。
・その障がいを克服するために「社会」という幸せ装置を作った。
・社会こそ人類の最高傑作
・生き延びるために必要なシステム「社会」は2つの本能をベースにしている

・条件1:共感する(=共感反射):つながること
・すべての宗教は「つながらなければならない」と言っている。
・共感反射を論理化することを宗教という。

・条件2:環境を変える(=好奇反射)
・「人間だけが地球にクワを入れる」
・すべての生物は、自然環境の中に生まれてくる
・生存戦略1「適応」:環境に合わせて自分を変化させる。進化や退化
・生存戦略2「開発」:自分に合わせて環境を変化させる。
・開発とは、住めないところを住めるようにするようなこと。

・つまり環境を自分に合わせてきた。
・自然災害や原発事故は自然とコミュニケーションしているのか?問われている

2 社会化と文化化

・社会=第2の自然
・人生の4分の1を社会に入るための準備に費やす⇒社会化(教育)
・社会化とは、「学校」「地域」「家庭」の三角形の鳥居を毎日くぐること。

・「学校」:学力(=幸せになるための技術・知識)を身につける
・教師は人間をつくるプロである。
・9教科をなるべく効率的に教える。
・学校はつながる力を育てない⇒なぜ?
・学力は引き算で決まる。比べるモノサシ:同一平面上にあるので時間がかかる子=ダメな子になる
・学力は科学であるから正解は1つ

・「地域」:社会力・つながる力を育てる
・「地域」は1つのルールで動いていない。(=超実感。笑)
・正解は人の数だけある⇒それが社会のルール。
・社会力というのは正解がひとつではないと伝えること、実感すること。

・「家庭」:自己肯定力・かけがえのない存在である自分を認める。
・他者と比べない。存在そのものへの肯定。
・子どもたちは「学校」「地域」「家庭」に「周りを明るくすること」で返してくれている。

最後に長野県の山奥にあるとある小学校の話で締めくくられた。
8校の分校を統合して1つの小学校にした、
すべての学校からバスで通学できるようにした。

ところが、半年後、村から活気が消えた。
子どもたちが道草を食わなくなったからだ。
長谷川先生が講演で、
「年に3回、計画的にバスを故障させてください」と言ったという。

子どもがまちを歩く。
それだけでその地域は元気になる。
ああ、そうだなあと。

~~~ここまで講演メモ

すごくスッキリとした時間でした。
僕にとってキーワードは「本屋」と「田舎」。

「地域」の役割は、正解がひとつではないと伝えること、つまり社会力=つながる力。
「家庭」の役割は、自分がかけがえのない存在であると伝えること。つまり自己肯定力。

「地域」の衰退により、
「地域の教育力」が衰退したということはつまり、
「正解はひとつではないと伝える力」が衰退したということ。

「家庭」の機能低下により、
「家庭の教育力」が低下したということはつまり、
「自分がかけがえのない存在であるという自己肯定力」が機能していないということ。

それが仮に事実だとしたら、
「地域コミュニティを復活させなきゃならない」
「家庭の教育力を高めなきゃならない」と訴え、叫ぶのではなく、
(もし仮に行政職員や政治家であれば、そのような施策を打つことができるかもしれないが)

現状の「地域」や「家庭」に関わらず、
なにかできることをしたい、と思う。

おそらくそれは、
「本屋」と「田舎」なのかもしれない。

「本屋」は地域の役割である社会力
=正解はひとつではないということを体感させてくれる。
「田舎」は若いというだけで声をかけられ、自己肯定力
=自分は生きているだけで価値があることを感じさせてくれる。

「高齢化した商店街の中にある本屋」
は機能的には「本屋」と「田舎」が同居している
と言えるだろう。

生きるチカラとは何か?

という大学時代からの問いに
再び向き合う時が来たのかもしれない。

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Posted by ニシダタクジ at 07:12│Comments(0)日記
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