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ニシダタクジ
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 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2017年12月07日

「正しい手」よりも「美しい手」を指す

「正しい手」よりも「美しい手」を指す
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
経営における「アート」と「サイエンス」 (山口周 光文社新書)

第1章読み終わりました。
いやあ、いいですね。
エッセンスだらけっす。

今日のテーマは「美しさ」です
エレガントな一手ってやつですね。

まずは
「デザインと経営には、本質的な共通点がある。」
ここから。

ユニクロが佐藤可士和氏を、
ソフトバンクが大貫卓也氏を起用して、
商品づくりの根幹にかかわることを決定しているのはなぜか?
ということ。

これを著者は次のように説明します。

~~~ここから引用

「エッセンスをすくいとって、後は切り捨てる」
そのエッセンスを視覚的に表現すればデザインになり、
そのエッセンスを文章で表現すればコピーになり、
そのエッセンスを経営の文脈で表現すればビジョンや戦略ということになります。

強い会社は選択が上手なのではなく、捨象、つまり捨てることに長けているのたわ、と指摘しています。

なにをしないかを決めるのは、なにをするのか決めるのと同じくらい大事だ。
会社についてもそうだし、製品についてもそうだ。
スティーブ・ジョブズ

コンプライアンス違反がどうやっておきるか。
なんら有効な経営戦略を打ち出せない経営陣が、
現場に無茶な目標を突きつけて達成し続けることを求めた結果、
やがてイカサマに手を染めざるを得なくなった、というストーリー。

そもそも、経営陣の最も重要な仕事は、
経営というゲームの戦略を考える、
あるいはゲームのルールを変えるということです。

昨今、労働問題や粉飾決算などのコンプライアンス違反を犯して
世間を仰天させるような企業には、一つの「共通項」があります。
それは既存事業の枠組みを前提にしてKPIを設定し、
ひたすらに現場の尻を叩くという、
いわゆる「科学的マネジメント」に傾斜していた、ということです。

大規模な「イカサマ」に手を染めて破滅する企業の多くは、
その直前まで「科学的経営管理」によって世間から称賛されているケースが少なくない。

サイエンスだけに立脚していたのでは、
事業構造の転換や新しい経営ビジョンの打ち出しはできません。

「そもそも何をしたいのか?」「この世界をどのように変えたいのか?」
というミッションやパッションに基づいて意思決定することが必要になり、
そのためには経営者の「直感」や「感性」、
言いかえれば美意識に基づいた大きな意思決定が必要になります。

このような局面で、サイエンスのみに軸足をおいて、
論理的に確度の高い案件ばかりに逃げ込み続ければ、
やがて現場は疲弊し、モラルの低下とイカサマの横行という
問題が起きるのは当たり前のことです。

「フワッ」と浮かんだアイデアが優れたものであるかどうかを判断するためには、
結局のところ、それが「美しいかどうか」という判断、つまり美意識が重要になるからです。

正しい手を指すためにどうするかではなく、
美しい手を指すことを目指せば、正しい手になるだろうと考えています。
このアプローチのほうが早い気がします。(羽生善治「捨てる力」)

高度で複雑で抽象的な問題を扱う際、「解」は、
論理的に導くものではなく、むしろ美意識に従って直感的に把握される。
そして、それは結果的に正しく、しかも効率的である。

大きな方向性や戦略について深く考察することは、
とりもなおさずこのスピードを毀損することになります。

~~~ここまで引用

なるほど。

科学的な正しい一手を指すということは、
とても大切なことなのだろうけど、
そこに傾斜しすぎることの危険を説いている。

そして、
日本企業の「成功体験」とは、
「スピード」という強みを最大限に活かしたこと。

そして、その「スピード」のために必要なのは、
「ゴール」であって、「ビジョン」ではなかった。

「思考停止」して動くことであって、
「なぜ、これが必要なのか?」と考えることではなかった。

そして何より、
年功序列型組織が悪いわけでは決してないけど
負の側面として、「失敗しないと出世する」
という思考に陥ってしまい、

そうなると打ち手はどんどん「サイエンス」的に
正しい一手となるが、それは次第にコモディティ化し、
さらなるスピード勝負、コストダウン勝負になる。

経営陣は経営戦略、つまり
経営的にどのように「戦い」を「省略して」いくか
を考えなければならないのに、

KPIを設定して、現場にがんばれ、と言い、
その数字を管理するだけである。
構造的に疲弊せざるを得ない。

足し算でイノベーションは起こらない。

まず引き算をして、
強みだけを取り出して、
掛け算していくこと。

あるいは、マイナスとマイナスを
掛け合わせて、一気にプラスにしていくこと。

そうやって、イノベーションは起こるのだと思う。

必要なのは、「ゴール」ではなく「ビジョン」であり「ミッション」である。
この世界をどうしたいのか?
この事業の先にどんな社会が広がっているのか?

そして、
「美しい」と思う一手を打つことである。

だから、感性を磨くこと。

「自信を持つ」っていうのは、
スキルではなく、むしろ感性のほうだ。

感性を信じて、
美しいと思う次の一手を打ち続けること。

プロフェッショナルとは、美しい一手が、
あとから考えると正しく、効率的だったとなることだ。

さて。

僕にとっての次の「美しい一手」とはなんだろうか?

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Posted by ニシダタクジ at 08:25│Comments(0)
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