2014年06月10日
「戦略」ではなく「感性」でキャリアをつくる
「偶キャリ。」
人事コンサルタントの所由紀さんが
クランボルツ博士の「計画された偶発性理論」
(キャリアドリフト)について描いた1冊。
(現在は絶版)
「キャリアドリフト」理論:
キャリアや人生は「偶然」の積み重ねで決まっていくので、
「偶然を起こし、偶然をつかむ」ことを
どのようにやっていくか?が大切。
そのためには、
「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「リスクテイキング」
が大切。
こういうのって
大学生向けに話をすると
めちゃめちゃ響くのだけど、
本とかにすると難しいのだなあと。
やっぱり、ひとりひとりのキャリアヒストリーを
自叙伝的に書いていくしかないので、
単調な感じになるのと、あとは
「その人はたまたま運がよかったんでしょ」みたいに、
(それがキャリアドリフト理論なのだが)
とられてしまって、自分ごとにならないので読みにくいということがある。
この本の冒頭に書かれている
「キャリアデザインの呪縛」
っていうのはまさにその通りだと思う。
大学でも高校でも中学校でも
「キャリアデザイン」が導入されて、
その手法はほとんど一律だ。
「自己分析」
→
「スキルの棚卸し」
→
「ビジョン設定」
→
「アクションプランの立案」
みたいな。
そういうマニュアルができちゃっている。
その結果、本人は実感できない
「キャリア」という名の企画書が出来上がるだけではないか、
と著者はいう。
おそらくこの話は
高校生・大学生が聞くと、
共感できるだろう。
マニュアルに沿って埋めていくような
キャリアプランを作ったところで、
そこに向かっていくエネルギーは湧いてこない。
著者は
「戦略」ではなく「感性」でキャリアをつくる、ことを提案する。
その前に人生をどのようなものとして考えるかが重要であるという。
A:人生とは厳しい競争を勝ち抜くものであり、ある種の「戦い」である
B:人生とはそもそも楽しいものであり、生きていること自体に意味がある
このどちらを前提に人生を生きているかによって、
キャリアのつくり方は大きく変わってくる。
このところの世の中で言えば、
「A」を前提に設計されているような気がしてくる。
勝ち組負け組、生き残り、サバイバル。
だから、キャリアをデザインしないといけないし、
資格を取っておかなければならない。
しかし、
世の中には、「B」のように生きている人たちもいる。
つまり、どちらが正しい、とかではなくて、
「A」と「B」のどちらに自らがシフトして生きていくか、
ということなのだ。
そして、
「周囲の意見」や「常識」、「世間体」、「ブーム」
といった外的要因に左右されずに、
自分自身が自分のキャリアの決定者にならなければ、
いつまでも迷い続けることになる。
感性を磨き、
人生は楽しいものだと思い、
その瞬間の人生を楽しんでいくこと。
そんな風に生きていてるほうが、
幸せなキャリアが待っているのではないだろうか。