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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2015年12月21日

ひとりひとりに使命があるように、本屋にも使命がある。


「まちの本屋~知を編み、血を継ぎ、地を耕す」(田口幹人 ポプラ社)

今年を締めくくる素晴らしい1冊に出会いました。
「ゆっくり、いそげ」に続き、
ツルハシブックスで買うべき1冊です。

誇りある書店員に出会ってしまった。
そんな感じ。

冒頭の東日本大震災後の描写に始まり、
本屋には、使命がある。と感じさせてくれる1冊。
魂を鼓舞してくれる素晴らしい1冊。
本屋であることを誇りに思え、背筋が伸びる1冊。

最大の目玉はココ。

「まちの本屋を成功させるノウハウは、もしかしたらさまざまにあるのかもしれません。
しかし、最も大事なことは、
自分たちがどんな本屋をしたいのか、
どういう店を最終的につくりたいのか、
どんなお客さまとこれから一緒に生きていきたいかを考える、
ということに尽きると思っています。

スタッフがそれを共有できていれば、
その店に店長はいらなくなります。
それこそ伊藤清彦はいらないし、僕もいらない、ということです。」
(本文より抜粋)

どんなお客さまとこれから一緒にいきていきたいか?

この問いは非常に熱い。
顧客は誰か?

のさらにもう一歩深い問い。

「どんなお客さまとこれから一緒に生きていきたいか?」

店を営む、ということはこういうことなのだろうと思います。

~~~以下本文よりメモ。

売った本の数だけ、何かが起きるかもしれないという想像力を持って仕事ができるかどうか。

売らされているのではなく、売るのだという覚悟を決めたとき、
目の前の一冊一冊の積み重ねが違う意味を持つはずです。

オレは文化なんて売ってないから。

文化をつくっているのは、そこに来てくださるお客さまであり、地域の人たちだからです。

教育と教養ではなく、今日行く、と今日用を売る。

本屋の六次産業化、本の地産地消。まちづくりへの参画。異業種との交流


本屋にとって、まちの存在は必要不可欠です。
逆に、まちにとって本屋が必要不可欠なのだという理由を、
店づくりの根底に持ち、そこに存在し続けることが、「まちの本屋」の本質でしょう。

その土地で本屋を続けていくという覚悟を持ち、地域と向き合い、
根づいている本屋すべてを、「まちの本屋」と呼びたい。

お客さんから、毎月5000円分頼む、と言われる店になる。

~~~以上本文よりメモ。

またしても感じる、圧倒的敗北感。
読書ってそういうのがいいのかもしれないですね。

自分はなにものでもない、と知る。
それが出発点になる。

2016年のテーマは、きっとこれになるなあと。
なにものでもない、を知ることから始める。
ゼロスタート。

書店としてのツルハシブックスの使命を考える。
どんなお客さまと一緒に生きていきたいか?を考える。

そうすると。
僕にとっては20歳の大学生になるのかもしれない。

というか。
昨日、読んでいた「本を読む人だけが手にするもの」(日本実業出版社)
の藤原和博さんの言葉を借りれば、

みんな一緒の時代が終わり、ひとりひとりが
自らの幸福論を構築しなければいけない時代に突入している。

だとしたら、
いわゆる「成人式」は、みんなが一斉に成人するのではなく、
ひとりひとりが「自らの成人式」を構築しなければならない。

そしてそれは、おそらく、1日ではなく、期間だ。
「成人式期間」を経て、人は大人になるのではないか。
必要な要素はおそらく、「孤独」と「敗北」と「学び」なのではないか。

それには、
コミュニティ内の人と距離を置くこと。
逆にコミュニティ外の人に出会うこと。
そして、本を読むこと。

その「成人式期間」は、
実は何歳でも、あるいは何度でもできる。
そのきっかけとなるような本や人との出会いを提供する本屋さん。
そこに書店としてのツルハシブックスの使命があるのではないか。

そしてまさにその部分だったら、
小説があまり得意ではない、本好きではない僕が
勝負できる分野なのではないか。

大学生の多くが自信を失っているように感じる。
いや、大学生ばかりではない、20代の働く人たちもそうだ。

それにはたくさんの理由が考えられるが、
・時代の先行きとこれまでの歴史がわからないこと。
・世界観が狭いというか、視野がせまくなっているから。
・自己肯定できるコミュニティとチャレンジの機会を持っていないから。

こういうところにあるのだろう。
そしてそのもっとも大きな原因が
学校(あるいは会社)という装置が自信喪失機能を果たしているから。
であると思う。

だからこそ、本屋の出番だ。
いや、ツルハシブックスの出番だ。

「みんな一緒」の幸せを追いかけれらない現代において、
ひとりひとりが、歴史を学び、未来を見通し、
世界観を広げ、共感できるコミュニティの中で小さなチャレンジをすること。

そうして自らの幸福論を構築していく行為。
それが「成人式期間」なのではないだろうか。

2016年。
僕は、20歳のために本を選ぼうと思う。
棚をつくろうと思う。

将来が不安でたまらないけど、
それでも歴史を学び、自分を見つめ、未来を展望し、
1歩を踏み出そうとするお客さまと一緒に、生きていきたい。

「自分の感性に自信を持てる」
そんな提供価値を共に悩みながらつくっていきたい。

田口さん、ポプラ社さん、
本屋魂を鼓舞される1冊を、ありがとうございました。

僕がこの本にPOPをつけるとしたら、
「君は、まちの本屋をやらずに死んでいいのか?」
になるかなあ。

本屋であることに誇りを持てる、最高の1冊でした。
ありがとうございました。  

Posted by ニシダタクジ at 07:43Comments(0)言葉