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ニシダタクジ
ニシダタクジ
 ツルハシブックス劇団員。大学在学中、「20代サミットメーリングリスト」に出会い、東京王子「狐の木」に育てられました。豊かさとは、人生とは何か?を求め、農家めぐりの旅を続け、たどり着いたのは、「とにかく自分でやってみる。」ということでした。
 10代~20代に「問い」が生まれるコミュニケーションの場と機会を提供したいと考えています。



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2014年03月11日

吉田松陰プロジェクト

あの日から3年。
あのとき、ずっと感じていたのは無力感。
ちょうど、ツルハシブックスオープンの準備追い込みだった。

あのとき。
思ったのは、「持ち場を守る」ということ。

ずっと支援し続けることはできないから、
いま、いる場所を守るということ。
東日本大震災復興関連は
福島県いわき市の「ニイダヤ水産」の応援だけに絞る。
(本日11日夕方のUX新潟テレビ21のニュースでニイダヤ水産が放映されます。)

10年前の2004年の新潟大学の学園祭。
中越地震の直後に行われた第一食堂での
「コミュニティマーケットin新潟大学」

あのとき、僕はまきどき村のほかに
もう1団体、出展してた。

「吉田松陰プロジェクト」
吉田松陰先生の野山獄のエピソードに感銘を受けた僕が立ち上げた、
地域での学びあいの場づくりのプロジェクト。

「だがしや楽校」を経て、
いま、内野町の商店街での
「うちのまち なじみのお店 ものがたり」
として再び。


大口屋さんの「ダシの文化を伝えたい」
という思いから生まれた、ダシの取り方講座を始め、
商店街を舞台にした学びの場。

主に大学生向けに企画されています。
講座のラインナップは以下の通り。
お問い合わせは西田またはツルハシブックスまで。

3月15日(土)14:00 マルカク醸造場「元気の源、味噌の効用と味噌屋のカンタン味噌料理のミソ」 定員8名 参加費無料
3月16日(日)19:30 匠for Hair「髪のお悩み解決じゅく」 定員 15名 参加費無料
3月17日(月)14:00 児玉輪店「30年乗れる点検の秘訣と乗り方」定員8名 参加費無料 ※自転車持ち込み歓迎
3月18日(火)14:00 イロハニ堂「おしゃれ女子のためのひとりカフェ入門」定員4名 参加費 500円
3月19日(水)14:00 みやん「まゆをキレイに~ステキな女性への第一歩」定員4名 参加費無料
3月20日(木)10:00 大口屋「ダシのとり方」 定員8名 参加費 500円(昼食付)
3月21日(金)11:00 飯塚商店「米は生きている」定員8名 参加費 300円(おにぎり付)
3月23日(日)10:00 ツルハシブックス「初対面の人との接し方」定員8名 参加費無料
3月25日(火)17:00 ビーンズ倶楽部「美味しいコーヒーの淹れ方」定員8名 参加費500円(コーヒー飲み比べ付)

吉田松陰プロジェクト、ここに復活です。  

Posted by ニシダタクジ at 05:32Comments(0)思い

2014年03月10日

本屋というインフラ


HAB(Human And Bookstore)が刊行されました! (1200円+税)
第1回の特集はなんと新潟!!
北書店佐藤雄一さん×ブックディレクター内沼晋太郎さんの対談から始まり、
ラストはツルハシブックス西田卓司と×古本いと本、伊藤かおりの夢の対談も収録。

あの、ヴィレッジヴァンガード郡山アティ店での
「郡山にカフェを作ろうと思ってるんです」の衝撃が収録されている
思い入れの深い1冊です。

佐藤さんと内沼さんの対談の日は僕も北書店にいて、
そのまま北酒場で飲んでいたのですが、
ソトコト取材の前日だったので、
大事をとって、12時くらいに退散したのですが、
翌日、内沼さんと朝ラーメン「中華のカトウ」からの老舗喫茶「白十字」
のモーニングをいただきながら、お話をお聞きしました。

62ページからの「延長戦」は実は前半部分、僕も生で聞いてます。
あのとき、「これからの街の本屋」って話をしていたなあと。

そして、今朝、ふたたび、

「ワーク・デザイン~これからの働き方の設計図」(長沼博之 阪急コミュニケーションズ)
を読み直す。

よく言われることだが、
いま、世の中は、明治維新から明治初期と同じ様相を呈している。
著者もそのように言っている。

この時期には、水道や電気、銀行や大学など、
私たちの生活に必要な近代のインフラが多数生まれてきた。
だとすれば現代は、
ポスト近代社会のインフラと呼ばれるようなシステム、サービスが生まれる
タイミングだ。

実際、クラウドファウンディングやクラウドソーシング、
デジタルファブリケーションなどの領域は、
これまでの働き方を劇的に変えていく可能性を持っている。

著者は例えて言う。(趣旨引用)

インターネットビジネスの
第1世代は孫正義さんを代表とする世代
第2世代は藤田晋さん、第3世代はミクシィの笠原健治さんらへと続いた。
彼らを20世紀型のパワーによってビジネスを推し進めた勢力と捉えて、
あえて150年前の徳川勢力に当てはめてみる。

するとこの徳川勢力のアンチテーゼとして、
「82世代」が登場、社会起業家の第一世代だ。
マザーハウスの山口絵里子氏やフローレンスの駒崎弘樹さんらだ。
彼らはまさに維新の志士。
既存の価値観に疑問を呈し、人道的活動によって時代を引っ張る。

そうなれば、次に来るのはインフラ事業だと著者は言う。
第一国立銀行(現みずほ銀行)の初代頭取、渋沢栄一、
三菱財閥の創始者、岩崎弥太郎などがあげられる。

現代に当てはめてみれば、
思いを持った人に全国から資金が提供されるクラウドファウンディングは、
まさに現在の資金調達インフラだと言えるだろう。

そこで、大切になってくるのが、
「これからの街の本屋」なのではないか、と思う。

内沼さんが言っている
「これからの街の本屋」は
答えではなく、問いそのものだ。

下北沢の本屋B&Bでは「BOOK&BEER」ということで
毎日、ビールを片手に参加するトークイベントを開催している。

開催者が誰もいないときは、内沼さんが出て行って話をする。

「そんなの、東京だから、下北沢だからできるんでしょう?」

と思ったあなた、
完全に現代社会の教育に侵されていると言ってもいい。

「これからの街の本屋」は、
答えではなくて、問い、なのだ。

ひとりひとりがその問いに向き合い、
試行錯誤しながら、
「これからの街の本屋」像を探していくのだ。

昨日の夕方、以前に来店されて、
大学生らとトランプをして盛り上がった近所の男性(定年後の年金暮らしだと言っていました)
が寄付侍に申し出、5,000円を寄付していただいた。

「場」としての本屋は、
地域社会のインフラになり得ると思う。

かつて、公民館や図書館、街の喫茶店が
果たしていたインフラとしての役割は、
カタチを変えて、「街の本屋」が果たしていくのかもしれないと思った。

もし、本屋がインフラになり得るとしたら、
そこは地域の農家さんの野菜を売る「市場」になるかもしれないし、
中学生高校生大学生が小さなビジネス「小商い」を
経験する「教育」の場になるかもしれないし、
人と人が集まり、おしゃべりをする「居場所」になるのかしれない。

「本屋というインフラが地域社会に必要だ」
と多くの人に思ってもらえるような本屋を
共演者たちとつくっていこう。

「これからの街の本屋」という問いを胸に。  

Posted by ニシダタクジ at 06:42Comments(0)日記

2014年03月09日

成長産業はもはや雇用を生まない

「安定した職」
「終身雇用」
「十分な年金によって支えられた老後」
等々、かつて人々が信じたストーリーは、もはやない。

今私たちは、信じるに足る「21世紀の物語」を探している。
状況は、思った以上に待ったなしだ。

と前書きで始まる本書、
「ワーク・デザイン~これからの働き方の設計図」(長沼博之 阪急コミュニケーションズ)


ロボット革命、クラウドソーシング、などなど。
現代のテクノロジーは、人からロボットへ、コンピューターへと
どんどんシフトしていく。

そして、まさに、
インターネットショップのような無店舗経営(今やこの言葉も死語か)
に代表されるように、

成長産業はもはや、雇用を生まない。
いや、雇用に依存しないからこそ、成長産業なのだ。

たとえば、コンビニエンスストアやファーストフード、
レンタルDVD等の店でのアルバイト募集の張り紙や求人を目にするのは、
それらのビジネスが非正規雇用に支えられていることの証明である。

~~~本文より引用

現代における成長産業はそもそも雇用を生みにくい。
これまでは製造設備を自社で持つことが当然であったから、
そこに雇用が生まれた。

しかし、現在生まれている成長産業のベンチャー企業は、
できる限り仕事を自動化しようとする。

グーグルにしても、アマゾンにしても、フェイスブックにしても、
コンピューターによって、支えられているモデルである。

また、大きな雇用を生むためには、
その仕事は多くの人ができる仕事でなければならない。
高度な専門知識を必要とするものではなく、
ある程度コード化された単純作業が含まれなければならない。

しかし、それらの仕事はロボットによってオートメーション化されたり、
賃金の安い海外へアウトソーシングされたりしているのだ。

~~~ここまで引用

成長産業はもはや、雇用を生まない。

ということは、
「いい就職」を目指して努力することは、
だんだんと無意味になってくる。

著者は言う。
「今、私たちは生産性や働き方、創造性といった概念の
優先順位や社会的評価を変えなければならない転換点にいる。」と。

これまではいかに少ない労力で
多くの生産を上げるかが社会の課題であり企業の目標だった。

だから、企業はオートメーション化を進め、
自分たちの強み(コア・コンピタンス)以外は
アウトソーシングする流れを作り上げていった。
その結果、先進国では人員過剰が起こると同時に
従業員の幸福度も低下した。

このブログで何度かご紹介しているが、
「日本でいちばん大切にしたい会社」の
多くがオートメーション化・コンピューター化していない、
製造業であるということからもこれらのことが言える。

そして、
これからは「創造性」の時代だ。

今、人々は物理的に「欲しいもの」がなくなってきている。
一方で精神的充実をもたらすものへの興味は、
ますます高まっている。

近年新たに生まれて注目を集めているのは、
「人」が極限的に少ないか、
お金になる、ならないにかかわらず「人」が
極限的に多く「参加する」モデルだ。

これらの事業・活動に対しては、
生産性や利益率を追及するだけではない新たな
評価基準が必要なのだ。

と、このように続いていくのだけど、
まさに、自分たちがうっすら感じていることを言語化してくれた
素晴らしい本だった。

予測できない未来。
このまま勉強を続けていても、大丈夫なのか?
「いい就職」をすればいいのか?

そんな問いにズバッとくる1冊。

「成長産業はもはや雇用を生まない。」

だとしたら、自ら創るしかない。
自らの仕事と、自らの人生を。

ひとりで、という意味ではなく、
地域の資源や人々を含めた、「私たち」で。  

Posted by ニシダタクジ at 07:35Comments(0)

2014年03月08日

米は生きている~今日もていねいに

「うちのまち なじみのお店 ものがたり」
の取材で飯塚商店へ。
戦後から続くお米屋さん。

米へのこだわり、というか愛が
伝わってくる取材になりました。

印象に残ったのは、
米の水分の話。

9月に収穫された米は、玄米の状態で保存してある。
冬の時期はいいが、5月を過ぎると、乾燥してくる。
水分量が減るとパサパサしてくるのだという。
だから、暑くなってくると、湿度の高いところへ
入れるのだという。

そして、米の味の話。

「魚沼産コシヒカリ」だからと言って、
必ず美味しいわけではないという。

たしかに、気候条件(夏でも夜は涼しい)
は似ているのだろうが、
作っている田んぼによって、
土と水が違うし、作り手によって、
肥料のやり方は違うのだから、当然、味は変わってくる。

場所が違えば、味が違う。
聞けば、当たり前のことだ。

しかし。
僕たちは、いつのまにか、
「魚沼産コシヒカリ」を「ブラックサンダー」のように、
安定して美味しい米だと思ってはいなかっただろうか。

米は生きている。
生きものを食べているんだ。

だから、作り手によって、作る場所によって、
味が違うし、当然、愛情を注げば、
それに応えてくれる。

生きているから、
水分含量に気を付けないといけない。

飯塚さんも
農家さんやお客さんとの対話によって、
うまい米を届けてきた。

安定したおいしさを出すために、
産地を組み合わせたブランド米「収穫物語」を看板米に、
今日も米との対話が続く。

大口屋さんのダシの話もそうだけど、
今回の米の話も、
「ていねいに生きる」とは、
食を見直すことから始まるのかもしれないと思った。


松浦弥太郎さんは著書「今日もていねいに」(PHP文庫)の中で、

ていねいに作られたものを食べる。

ことの大切さを語っていたが、
日常に食べるお米、そして味噌汁。
それをていねいに作っていくこと。
そして食べていくこと。

そういうところに「働くこと」「生きること」の
原点があると思うのは、僕だけだろうか。

「今日もていねいに」
そんなことが伝えられる講座をつくりたいと思った。  

Posted by ニシダタクジ at 06:52Comments(0)日記

2014年03月07日

「人生が変わる」かもしれない場を提供する

人生が変わらないインターンシップは、
やる意味があるのか?

という問い。

プログラムで人生が変わるわけではない。というご指摘。
もっと言えば、
「教育で人生を動かす」というのは、
教育者の傲慢なのではないか、ということ。

だから、どんな教育プログラムも
「人生が変わること」を
目的にすることはできない。
たしかにその通りだなあと思った。

しかし。
インターンシップにしろ、
普段の授業にしろ、
本屋さんでの一瞬にしろ、

「人生が変わるかもしれない瞬間」は
そこら中に広がっていると僕は思っている。

だから、インターンシップにかかわらず、
大学生や中学生高校生と関わるときは、
「自分が人生が変わる瞬間」に立ち会っている、という覚悟が
必要だと思う。

あとから振り返って、
あの日のあの出会い、あの経験が人生を変えた。
と思うことはたくさんある。
そういう出会いや経験を生み出している。

そして、その覚悟は
教育者として、ではなく、
場のつくり手として、必要なのではないか、と思う。

人生を変えるのは、
プログラムや出会いそのものではなく、
「場のチカラ」があってこそ、
プログラムや出会いの中の「人生が変わる」機能が作動するのではないか。

教育者ではなく、場の提供者として、
そのようなエキサイティングな場を提供したいと思う。

「人生を変える」のではなく、「人生が変わる」。
それをゴールにするわけではなく、
もしかしたら、変わるかもしれない、という緊張感を持って、
目の前の大学生高校生中学生に向き合っていくこと。

それがファシリテーターの覚悟なのかもしれない。  

Posted by ニシダタクジ at 06:41Comments(0)日記

2014年03月06日

人生が変わらないインターンシップ

「進化するインターンシップ 新潟フォーラム」に参加。

新潟青陵大学の発表のトップバッターは
Kさんだった。

本当か!?
と目を疑う。

昨年3月、プレインターンシップに
やってきた彼女は、周りのことを気にしすぎて、
行動できない、と気にしていた。

それがどうだろう。
あの堂々とした姿。
1年でこんなにも変わるんだって思った。

印象に残ったのは、
学生同士のディスカッションタイムの
ラストに新潟大学農学部の箕口先生が放った質問

「君たちにとってインターンシップは、
生まれてから親と同じ形をしているカマキリのような不完全変態のプロセスだったか
それとも芋虫からサナギを経て蝶になっていくような完全変態のプロセスだったか?」

この質問に対し、
残念ながら、すべての大学生が
「不完全変態」と答えた。

人生は変わっていない。
ただ、人生の一プロセスに過ぎない。

それって、どうよ。
なんか、意味あんの?

と自分に問いかける。

敗北。

われわれインターンシップを実施した者にとって、
「人生が変わらないインターンシップ」は
どんな意味があるのだろうか?

そんなに簡単に「人生が変わる」とは思わないが、
夏休みの3週間、バイトもしないで人生をささげたインターンシップが
人生に影響を与えないとしたら、
それは本当に意味があると言えるのだろうか。

では、どうしたら、このインターンシップを
意味あるものにできるのか。

・こちら側の覚悟
・時間をかけた個別の振り返り

「人生が変わる瞬間に立ち合っているかもしれない」
それがインターンシップに臨むものの心構えだと思う。
19歳、20歳の経験は人生を変える可能性がある。
僕が徳島県の沖津さんの畑にいったときのように。

そのようにプログラムを設計する。

そしてもうひとつが時間をかけた個別の振り返り。
冒頭に出てきたKさんは、
僕から見れば、1年前とは全く違う人になっている。

もちろんそれがインターンシップだけによってできたわけではないが。
しかし、少なくとも3月のプレインターンシップへの参加がきっかけとなったことは
間違いないだろう。

そういうことを、
プログラムが終了してからの変化を
自分で客観的に見つめなおしたり、教員やチームメイトがそれをフィードバックしたりして、
自分の中で学びを落とし込んでいくことが必要だろうと思った。

そういうことをていねいにやっていけば、
「ああ、そういえば、あのインターンシップがきっかけとなって私の人生は変わっていった」
という自覚が芽生えていくのではないだろうか。

もうひとつ。
僕の中で浮かんできた問い。

「じゃあ、お前の人生は変わったのか?」

学生、学生と言ってないで、
お前の人生はこのインターンシップで変わったのか?
そんな問い。

「場」とは、相互作用することだ。

学生の人生が動くということは、
当然、実施している自分たちの人生も動かざるを得ない。

しかし。
自分たちにその覚悟があっただろうか?
もしかしたら、自分たちの人生が変わってしまうかもしれない、
という覚悟があっただろうか?

そんな問いが突き刺さる。

19歳、20歳の夏休み。
人生が変わる瞬間に立ち会う、かもしれない仕事。
それがインターンシップなんだな、と
あらためて身の引き締まる思いがしたフォーラムだった。

人は変わる。
ちょっとしたきっかけで、サナギを経て、蝶へと変化できる。
何かにチャレンジすることで、どんなふうにだってなれる。
そんな実感を持ってもらえるインターンシップ。

大学生も自分たちも
「人生が変わるインターンシップ」に
携わりたいと強く思う。  

Posted by ニシダタクジ at 06:07Comments(0)思い

2014年03月05日

コミュニティデザインとは、当事者意識のスイッチを押す場のデザインのこと



コミュニティデザイナー山崎亮さん、
江南区での講演の前に、
ツルハシブックスに立ち寄って頂きました!
そしてなんと77人目の寄付サムライに!!
ありがとうございます!
100名達成が見えてきました。

今回の講演は、
島根県の海士町に
絞った形でのお話となりました。

地縁型コミュニティとテーマ型コミュニティ
をどう折り合いつけて、手を取り合っていくか、
がコミュニティづくりの点で非常に重要で、
行政がやることと住民がやることをうまく分担してやっていくこと。

この中で
もっとも大切だと僕が感じたのは、
タイトルの通り、
「当事者意識のスイッチを押す」こと。

studio-Lの仕事は
そこまでするか!というくらい丁寧に場を設計・コーディネートし、
ワークショップにのぞんでいるということがあらためて分かった。

海士町の総合計画づくり。
まずはメンバーを集める。
役場に面白い人を紹介してもらい、
ひとりひとり話を聞き、ワークショップ参加を口説きに行く。

元ヤンキーの水道会社社長、中村さんもそのひとり。
あなたみたいな人がいないと、と口説いて参加してもらう。

島の課題だと町長が感じていたのは、
Iターン、Uターン、ネイティブ(地元継続居住者)
がなかなか混ざり合わないこと。

それぞれが
自分たちはほかの人たちと違う
と思って、うまくコミュニケーションが取れていない状況があった。

ミッションは町の総合計画づくり。
これを住民が参加した形で行うというもの。

「住民参加」
新潟でもよく聞くフレーズだが、
多くの場合は、自治会の役員と「まちづくり」とかに関心のある一定の層が集まって、
ポストイットで意見を出して、ファシリテーターなる人が
意見を集約して、こんな意見が出ました、と言ってまとめて終わり。

海士町では、
全8回(非公式なものをいれると40回以上集まったという)
をかけて、住民同士が4つのテーマで話し合った。

その4つのテーマが
「ひと」「暮らし」「産業」「環境」だ。

「教育」とか「福祉」とかはない。
それには理由があって、

まず第1回のワークショップで、自由に意見を出してもらう。
「質より量」「誰が何を言ったかではなく、立場を超えて数を出しましょう」
と言いながら、4台のカメラとstudio-Lのスタッフが、
それを集中して見ている。

見ているのは「誰が何を言ったか?」だ。

それを事務所に帰って、
メモとビデオを解析しながら、
「誰が何を言ったか?」を元に、
100人の人ひとりひとりがどんなテーマに関心があるか、
を分析する。

そこからテーマを設定する。

ポイントは4つ
・男女比が同じくらいになるように
・年齢構成バランス、若い人とベテランが入っている
・Iターン、Uターン、ネイティブが入っている
・人数が均等

これらの条件を満たすテーマを設定すると、
「教育」「福祉」ではなく「ひと」となる。

そして、次回のワークショップで言う。
「前回のワークショップをもとに“適当に”分けました。」
自分の関心のあるテーマに分かれてください。

こうして、
参加者は自分で“選んだ”テーマのグループに入る。
(実際は選ばされているのだが)

もちろん、予想とは違うテーマのところに行く人もいるが、
それはそんなに多くはない。

こうしてできたグループを見て、進行する。

「それぞれ、だいたい、人数も男女比も年齢構成も同じくらいで、Iターン、Uターン、ネイティブも入ってますね」
という。

こうして、総合計画づくりがスタートする。

ここでの当事者意識のスイッチは2つある。
・「自分で選んだ」という気持ち
・ほかのチームに負けたくないという競争意識

こうして出来上がったチームは
2泊3日のほぼ徹夜会議などを経て、
総合計画が完成する。

総合計画というのは町の将来展望の指針であり、
10~15㎜以上の分厚い冊子となるのが普通だという。
しかし、海士町の場合、わずかに3㎜。

その代わり、10㎜にもなる別冊がついて、2冊セットになっている。

3㎜の本編は、役場はなにをどうやるかが書いてあり
10㎜の別冊は、住民はなにをどうやるかが記載されている。

別冊には、
1人でできることから
10人、100人、1000人でできることという分類で書かれていて、

1人でできること、10人でできることは
今すぐに自分たちだけでやったりいいが
100人1000人のは行政と連携してやりましょう、
というようになっている。

つまり、
プライベート(私)とパブリック(公)の間の
コモンをつくっていくということ。

現在では、
それぞれのチームから様々な活動が派生して、
炭焼き、パン焼き、名水サミットなどが起こっている。

総合計画づくりの
次に取り組んでいるのは、各集落を回った調査だ。

海士町の人口2300人のうち、100人は今回の
総合計画づくりにかかわり、主体的に行動している。
その周りの200人もきっと影響されて動いているだろう。
問題は残りの2000人で、特に過疎地にある集落の支援をどうしたらいいのだろうか?

ここで、各集落を回り、暮らしやすさを測る。
学校の近さなどの客観的データと
本人たちの認識だったり意欲を数値化する。

そこでひとつひとつ支援方法を考える。

そこで募集されたのが集落支援員だ。
各集落をまわり、その地区でできることを一緒に考え、実行する。

役場は、集落支援員6名を募集した。
全国からたくさんの応募が来た。

そこで驚くべきことが起こる。
あの元ヤンキーの中村さんが応募してきたのだ。

自分の会社もあるのに、
これは何かの間違いじゃないか、
と本人に問い合わせたところ、中村さんからはこう返ってきた。

浄化槽の整備を定期的にいっているので、
この20年間、集落をずっと見てきた。
だんだんとさびしくなっていく、元気がなくなっていく集落を見てきた。
これはなんとかしないといけないと思ってた。

でもそれは俺の仕事じゃないと思ってた。
役場がなんとかしなきゃいけないと思っていた。

でも総合計画づくりに参加して、実際に動いてみて、
Iターンの人と話していたら、Iターンのやつらはよう勉強してる。

俺も何かしたい。

それが中村さんの応募動機だった。

当事者意識のスイッチ。

それが押されたのは、いつだったのだろうか。

コミュニティデザインとは、
当事者意識のスイッチが押される瞬間をプロデュースすることだと思った。

「共感の場」を設計し、
「自分もそう思っていた。このままじゃいけないと思っていた。」
という思いを共有して、アクションを起こすきっかけをつくる。

コミュニティづくりはそこからしか始まらない。

海士町の多井という集落では、
「多井からの手紙」というのを発行し、
島を出て、本土で暮らす人たちに手紙を送る活動を始めた。

想像以上の反響があったという。
ふるさとのピンチに何かしたい、そんな心が起動したのだ。

共感が当事者意識のスイッチを押す。

そんな場と機会を設計することを
「コミュニティデザイン」と呼ぶのかもしれない。  

Posted by ニシダタクジ at 06:22Comments(0)学び

2014年03月04日

僕たちはこれから何をつくっていくのだろう

僕たちは、
これから何をつくっていくのだろう。

箭内道彦さんの書籍を題材にしたイベントを開催。

函館から道場さん、ありがとうございました。
このために時間をつくって、本を読んで準備してくれた
弘恵さん、本当にありがとう。
すばらしい機会になりました。



イベントって
人数じゃないよなあって
あらためて。

ひとりひとりが場を分かち合う
当事者になるような空間。
そんなのがいいなあと思う。

場によって引き出された僕の原点。

幸せとは、当事者になること。
会社と地域と、自分の人生の当事者になること。

僕が「どれだけ消費すれば満足なのか?」を
読んでからずっと心の中にあったのは、
きっとそういう気持ち。

当事者意識と行動力。
地域の大人と大学生。

この2つを組み合わせて、
双方の幸せ度を増していく取り組み。

地域の課題がまちづくりワークショップなんかしなくても、
解決していく地域。

みんながそれぞれの人生を演じている社会を
創りたいというのが初心だった。

僕たちはこれから何をつくっていくのだろう

そんな問いを抱えながら、走り続けていくのだろう。
ステキな時間をありがとうございました。  

Posted by ニシダタクジ at 05:42Comments(0)

2014年03月03日

すごいことなんだよ、プロでやるってのはさ・・・

ジャイアントキリング30巻。


電車の中で読んでいて、シビれた。
これは読むべきマンガです。
仕事、働くことについて考えるすべての人に贈りたい1冊。

1冊というか、30巻まで出てるので
30冊ですね。
30巻は特に熱かったっす。

大まかなあらすじは
サッカーJ1チームのエースプレイヤーだったタツミが
ケガをして引退後、
監督としてチームに復帰して、
降格争いをしていたチームをまた強くしていくというストーリー

戦術がはまり、
今期は7位という好位置につけているチームが
連敗したとたん、降格争いをしていた頃のチームに戻ってしまう。

そんな中でタツミは
「現役復帰」すると言い出し、
ミニゲームを行う。

〜〜〜ここから引用

俺はさ、
あいつらにもう一回考えて欲しいんだよね・・・

ボールを蹴られる喜びとか
ゲームができる幸せとか

すごいことなんだよ
プロでやるってのはさ・・・

自分の好きなこと追求して
それで生活できるんだから

だからさ
あいつらに
もう一回わかっててもらいたいんだよね・・・

その幸せな時間は永遠に続くわけじゃねえってことを

〜〜〜ここまで引用

ゲームの途中、
それまですばらしいプレーをしていた
タツミを激痛が襲う。

ケガが再発する。
ラスト3分は立っていられないほど。
そしてタツミは選手の前であらためて引退を表明。
監督業に専念することを宣言する。

そこからのセリフが熱かった。

〜〜〜ここから引用

けどね。
今ボールを蹴ってみて
改めて思った

やっぱ楽しいよ、プレーすんのは

これに勝る喜びを俺は未だに知らない

サポーターやファン、メディアの人間
スポンサーや協会のお偉いさん
コーチやトレーナーに監督

それ以外にも沢山このスポーツには
様々な業種の人が関わって
世界中で愛されてる。

けど間違いなく言えんのは

このフットボールって
文化の主役は
お前達選手なんだってこと

最高の職業だよ、選手はさ

俺にはお前らが眩しく見えるよ

俺だってもっと選手でいたかったよ。
ゲームももっと出たかったし
ゴールももっと決めたかった
ワールドカップにだって出てみたかった

(後略)
〜〜〜ここまで引用

これ以上書くと、
マンガを読むときに楽しくないのでここまでに。

仕事観。

こういうのに近い。

「フットボール」を自分の仕事に置き換えてみる。
僕だったら「本屋」に置き換えてみる。

昨日も。
中学1年生が1日店員をしていたり、
高校2年生とNPOの事務局長が偶然出会ったり、
大学生対象のTOEIC塾が始まったり。

本屋というプラットフォームの可能性を
見せつけてくれた。

すごいことなんだよ、
ツルハシブックスの店員をやるっていうのは。

誰かの人生が動く瞬間に
立ち合っているんだから。

自分の一言の声掛けによって、
始まる物語があるのだから。

プレイヤーである喜びを体中で感じて、
今日も本屋に立とう。  

Posted by ニシダタクジ at 06:14Comments(0)

2014年03月02日

45%の後悔と、55%の「やってよかった。」

ニイダヤ水産の干物まつり。

あの日からもうすぐ3年。
ニイダヤ水産復活プロジェクトチームが
動き出したのは、
2011年の4月だった。

新潟大学教育学部2年(当時)の
菊池美香子さんを中心に集まったメンバーは
何かできないか、ということで、
会津若松市の素材広場が取り組んでいた
ニイダヤ水産復活プロジェクトに参加させてもらうことにした。

8月にいわきのニイダヤ水産の被災現場を見に行き、
賀沢さんに出会う。

そこから始まった
ニイダヤ水産とのご縁。

この春、1期生たちがついに卒業を迎えた。

中心メンバーだった
阿部桃子さんと遠藤優花さんが
駆けつけて、魚を焼いてくれた。


無添加でこだわってつくられた干物。
新潟県で水揚げされた魚も多く使われている。

65歳にして再建へ向けて歩き出している
賀沢さんの思いが詰まった干物に、
心が動く。

阿部さんが最後の挨拶で言っていた言葉が
印象的だった。

「本当にやってよかったのか」

賀沢さんは、新潟大学の学生たちに背中を押されて、
復活を決意したという。

しかし、復活するということは、
再び借り入れをして、
日々、干物をつくり続け、
売れるか売れないか、考え続けるということ。

2012年、真空機をかうための資金集めの最後の
イベントとして、チャリティー鮭鍋を行ったとき。

阿部さんたちは、急にそんな思いに襲われる。
そんなことを思い出していた。

「かかわる」ということ。
「責任」ということ。

いまでも「もやもや」しているという。
本当にやってよかったのだろうか?

でも、やらないよりはやってよかった、って。

45%の後悔と
55%の「やってよかった」

人生はそういうものでできているのかもしれません。  

Posted by ニシダタクジ at 07:09Comments(0)学び

2014年03月01日

コラボと「ナリワイ」

コラボと「ナリワイ」

これがこれからの働き方の
キーワードになっていくと確信した
鹿児島での2日間。

鹿児島市中心部にある
「レトロフト」
ここは入った瞬間にすごかった。



オシャレ古本屋さん、カフェ、デザイン事務所が
空間を共有している。


本棚は世界観を表現しやすいように45㎝幅で3種類を組み合わせて
立体的に見せていた。

夜のトークイベントまでに時間があったので、
カフェを紹介してもらった。

その名も「数学カフェ」


閉店ギリギリの18時まで
資料作りをさせてもらった。
18時閉店は結構早いなと思っていたら、
「夜は数学塾になるんです。」と。

なんと!
カッコイイな、この人。

個人塾経営でカフェもやってる。
それかカフェの店主が塾をやってる?
それはすごくいいなあと。

昨日。
ふたたびレトロフトを訪問。


本屋の中でマルシェ、開催中。

ステキだ。ステキすぎる。
そしてマルシェをやっていたのは、
デザイナーの花田さん。

毎週金曜日、
自分のプロデュースした農家さんや食べ物屋さんの
商品を売っているのだという。

本屋マルシェだ。

コラボと「ナリワイ」
これからの働き方の見本を見たような気がした鹿児島2日間でした。  

Posted by ニシダタクジ at 06:47Comments(0)学び